インフィニットストラトスD×D   作:グレン×グレン

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そして明かされるレヴィアの罪・・・。


それは、守る王としてしてはならない最悪の失敗。


第十六話 選ばせることしかできなくて、御免なさい

 

 

 

 

 

 

「・・・クソ。爆発とか無いだろ」

 

 爆発と同時に屋根が崩れて、思わず蘭をかばったのは覚えている。

 

 意識が少しの間飛んでいた一夏は、意識を回復させて目をあける。

 

「い・・・一、夏、さん」

 

 青い顔をして蘭がこちらを見ている。

 

 ああ、確かにこれは怖かっただろう。こんなに不安にさせるなんて、本当に自分は弱い。

 

 守れる力が本当に欲しい。自分達を助けてくれた彼女のような力が、本当に欲しくてたまらなかった。

 

 そういえば彼女はどうなったのだろう。

 

 ISを相手に勇猛果敢な戦いぶりだった。何度も攻撃を受けていたのに、決して一歩も引かなかった。

 

 あんな立派な彼女が酷い目にあっていたらどうしよう。

 

 もしかしたらがれきに飲み込まれているかもしれない。すぐに探さないと大変なことになる。

 

 見ず知らずの自分達を助けてくれたのだ。今こそ恩を返す時だ。

 

 そう思い立ち上がろうとして、しかしなぜか上手くいかない。

 

 腕に力ははいっている。足にも力ははいっている。

 

 なのに、まるで体の中心にストッパーでもかけられたのかのように体を動かせなかった。

 

「一夏・・・さん・・・」

 

 蘭が震える声で自分を呼ぶ。

 

 本当にダメだ自分は。こんな情けない姿を見せたらさらに不安になってしまうではないか。

 

「あ、蘭、悪いけどちょっと待っててくれ。すぐ、立ち上がるから」

 

 緊張から解放されて気が抜けたのだろう。

 

 まったく、いつ崩れるかもしれないところでリラックスしてどうするつもりだ。我ながら情けない。

 

 そう思い全身に力を込めて、しかし震える声がそれをとどめる。

 

「一夏さん・・・! お、お腹・・・」

 

 泣き出しそうな声に従って、腹の方を見てみる。

 

―自分と蘭の腹部を、鉄骨が串刺しにしていた。

 

「・・・・・・・・・・・・え?」

 

 目の前の状況が理解できなくて、一夏は固まった。

 

 串刺しだ。ああ、串刺しだ。貫通だ。

 

 思わず575で考えて、そして一夏は冷静に納得する。

 

 確かにこれなら動けない。地面は老朽化で柔らかくなっていたのか、鉄骨は結構刺さっている。人力で抜け出すのは難しいだろう。

 

 と、いうよりこれはヤバいだろう。

 

 剣術という殺しの技術を習っていた一夏は、当然人の死にやすい状況という物も理解している。腹が貫通するというのはかなり致命的だ。

 

 そしてこの状況では救急車もすぐには来てくれないだろうし、よく見るとかなり血が流れている。致死量までそう時間はかからないだろう。

 

 ・・・死ぬのは時間の問題。その事実を理解するのにずいぶん時間がかかった。

 

「・・・ゴメン、蘭」

 

 本当に自分は誰ひとり守れない。

 

 体を張ってかばったのにもかかわらず、悲劇はその身をあっさり貫いて守るべき人すら貫いた。

 

 そのくせその天の采配は自分達を楽に死なせてもくれない。

 

 いっそ即死していたのなら、こんな罪悪感に駆られることなど無かったろうに。

 

 視界が涙でゆがむ。死ぬまでのわずかな時間を、一夏は後悔で埋め尽くそうとしていた。

 

「俺・・・なにもできない。盾にもなれない・・・最悪だ」

 

「・・・一夏さん。泣かないでください」

 

 青い顔を僅かに朱に染めて、蘭がその身を無理に起こした。

 

 そして、その両手で自分を出ししめる。

 

 温かく、優しく、いとおしく抱きしめられ、一夏は涙を止めていた。

 

「ちょっと不謹慎ですけど、好きな人と一緒に死ぬとか、女の子が夢見るシチュエーションじゃないですか」

 

 そう、少しだけ嬉しそうな声に、一夏は固まった。

 

「え、ちょ、ちょっと蘭?」

 

「もう最後だから言いますね。・・・愛してます、一夏さんのこと、恋人になりたいの好きって感情で愛してます」

 

 死の恐怖に震えながら、しかし自然に笑顔を浮かべて、蘭は一夏を抱きしめた。

 

「だからすこしこわいけど、一夏さんと一緒なら大丈夫です」

 

 ・・・本当に、どこまで自分は情けないのだろう。

 

 一緒に死ぬかもしれないときになって、始めて親友の妹からの好意を知らされるだなんて。

 

 突然のことに、どう答えを返したらいいかわからない。

 

 蘭のことは嫌いじゃない。しっかり者だし可愛いし、こんな時に自分のことを気遣うかのように笑顔を浮かべられるだなんて強い証拠だ。

 

 だけど、これはすぐに答えを返して良いものではない。

 

「・・・ゴメン。待っててくれないか?」

 

「・・・いや、助からないですよ?」

 

「だから、あの世で待っててくれないか? 俺、誰も守れないままで彼女作れないからさ」

 

 苦笑を浮かべながら、一夏も蘭に真剣に答える。

 

「ほら、どっかの神話とかでも死んだ後も戦うこととかあるだろ? アレみたいなことできるようになるからさ。しっかり蘭を怖くさせないぐらいになってから、答えてもいいかな?」

 

 視界が少しずつ暗くなってくる。

 

 もう時間がなくなっているが、だからこそ、しっかりとはっきりと答えを告げよう。

 

「その時まで、俺のこと好きでいてくれるか?」

 

「・・・はい。待ってます」

 

 蘭は笑顔で答えてくれた。

 

 こんな救いようのない死に様だけど、最期に二人で笑いあえた。

 

 ならきっと、あの世でも笑いあえるだろう。

 

 生きて守ることができないのは心の底から残念だが、だからこそ、せめて死後の魂まで怖がらせることがないように強くなろう。

 

 そう思い、最期を受け入れようと蘭を抱きしめ返しながら目を閉じて・・・。

 

「まだ早いよ」

 

 声が、聞こえた。

 

「今の僕では君たちを救うことができない。だが、選択する機会は与えてあげれる。だからまだ早い」

 

 自分達を助けようとしてくれた、そしてまだあきらめていない声が聞こえる。

 

「選択肢は二つだ。人のまま死ぬか、人を捨てて生きるか」

 

 目を開けて、その姿をその目に写す。

 

「だから選んでくれ。選ばせることしかできない僕を恨んでくれていいから、せめて君たちの意思を見せてくれ」

 

 彼女は、泣いていた。

 

 救えないことに泣いていた。

 

 守れないことに泣いていた。

 

 そしてそれ以上に、自分のことを許せなくて泣いているのが分かった。

 

「・・・・・・・・・選ばせることしかできなくて、御免なさい」

 

 傷一つついていない体で、しかし力なく膝をついて、懺悔するかのように首を垂れて、しかし二人に問うていた。

 

 その言葉の意味を、本当の意味で理解することはできない。そんな時間もないだろう。

 

 だけど、二つだけわかることがある。

 

 きっとこのまま死んだら、彼女は深く傷ついてしまうだろう。それは彼女を守れないことだ。

 

 そして、同じように泣く人はきっといる。

 

 鈴は泣く。弾も泣く。そして千冬だって必ず泣く。

 

 ・・・それは、嫌だった。

 

 頷くことで守れるのなら、絶対に守りたかった。

 

 ふと視線を前に戻すと、蘭も自分を見返していた。

 

 きっと似たようなことを考えていると通じ合い、そう思うと苦い笑みがお互いの顔に浮かんだ。

 

「・・・いいかな、蘭」

 

「一夏さんと、一緒なら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・生きたい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に、ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 きっと、その言葉に何より救われたのは彼女(レヴィア)なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・そして、二人を悪魔に転生させました」

 

 額を床にこすり付けたまま、レヴィアはそう悔恨する。

 

 悪魔の駒による転生機能は、ある一つの強大な利点がある。

 

 ある程度の条件はあるが、死者をよみがえらせることも可能だということだ。

 

 鉄骨を抜いた後に莫大な出血で二人は一度死亡したが、その後悪魔の駒で転生することで蘇生した。

 

 その後、一時的に記憶をごまかしたり服を魔力で修復するなりして、ギリギリで立ち去ることができた。

 

 あとは記憶が戻るタイミングで二人の元へと行き、そして改めて眷属として迎え入れた。

 

 だが、それだけで済むわけでもなかった。

 

「魔王の血筋ということもあり、僕の眷属には相当の強さが求められた。・・・今の二人の強さは必要にせまられた物です」

 

「それが、あの力か」

 

 レヴィアの言葉に千冬はあの光景を思い出しているのがわかる。

 

「強さを選ばせるために連れて行った研究施設で、一夏君は魔剣研究の過程で生まれた量産型魔剣カレドヴルッフを使うことを選び、蘭ちゃんは僕の家系が奪取し、それをさらに僕が奪取した神器を使うことを選びました」

 

 レヴィアはその光景を思い出す。

 

 強くなれる。もうあの時のような失態は繰り返さない。むざむざ蹂躙されるだけの自分にはならない。

 

 そう信じる二人は笑顔で礼を言い、それに深く罪の意識を覚えたのも忘れられない。

 

 そもそも自分がうかつなことをしなければ、そんな危険な物に手を出すこともなかったのだ。

 

 あの時、自分は真っ先に警察に連絡すればそれでいいはずだった。大声を上げるだけでも効果はあったはずだった。

 

 そうすれば誘拐事件は早期に解決したはずだし、少なくとも織斑千冬が二人と救出していただろう。

 

 彼女の技量があればあの爆発からだって二人を救えたはずだ。速度が足りず、爆発に驚愕して翻弄され、手遅れになってからそれに気付いた自分よりかははるかに可能性があった。

 

 全ては自分の慢心が原因だ。

 

 問題解決に専門家の力を借りず、子供その物のくだらない感情で勝手に行動したツケがこれだ。

 

 旧魔王の血族として、相応の戦闘に参加することだって当然あるし、それは義務だと思う。

 

 そして、それに眷属を率いるのは当然のことでそれを止めるわけにはいかない。ゆえに未熟な二人を戦場に連れていくことは多く、自分の立場ゆえに多くの危険に巻き込んだこともあった。

 

 つまり自分は、一夏と蘭の命を救う代わりに、命の危険に何度もさらすことになったのだ。

 

 全ては自分が怖かったからだ。

 

 自分の子供じみた後先考えない思慮の足りない行動で、罪もなく覚悟もない小さな命が二つも消え去ることが怖かった。救うために行動して逆に失わせる事実に耐えられなかった。生存という成果をもって、失態の償いをしなければ己の心を保てなかった。そうせずにはいられないほど、自分の行動には覚悟も決意も意識もなかった。

 

 自分はあの時選択肢を与えたのではない。ただ、逃げただけだ。

 

 救うという言葉でごまかし、自分の失態から逃げ出しただけだ。

 

 そして、子供の善意の結果でしかないこの行動を責めることは誰にもできない。

 

 基本的に人がいい四大魔王はこちらを慰めるだけだし、他の悪魔たちは敵意を向けられることを恐れるやら、たかが人間の死と気にも留めないやら、こっちがショックを受けていることをなだめようと必死になるわでしかる者は誰ひとりとしていなかった。

 

 それがさらにショックで、逃げるかのように遠隔障壁展開技術に意識を注いだ結果、今回の事件で皆を守れたのはまあ不幸中の幸いだろう。

 

 鈴と弾に知られた時も、二人はテロリストに対する怒りの方が強くて責められることはなかった。その後、蘭は両親にこっそり告白し、自分が気付いたころにはある程度終わってしまったため何も言われなかった。

 

 当然行われるべき糾弾が、未だに自分には襲いかからない。

 

 だから、もしここで織斑千冬に罵倒されても、それは当然のことなのだ。

 

「「「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」」」

 

 それだけの罪の告白に、その場にいるものすべてが何も言えなかった。

 

 そして千冬も黙して答えない。

 

 ああ、今も怒りではらわたが煮えくりかえっているのだろう。

 

 そしてその怒りが放出されることを願っている自分はまだまだ弱すぎる。

 

 受けるべき罰を受けないことを恐怖するなど、心の弱い者がすることだ。

 

 自らの行動で発生した犠牲を受け止める覚悟が未だに足りない。王としてあまりにも未熟すぎる。

 

「ち、千冬姉―」

 

「一つ、聞こう」

 

 何か言おうとした一夏を遮り、千冬は口を開いた。

 

「もしここで、私が弟の仇としてお前の首を求めたら、お前は応じるか」

 

「それはできません」

 

 即答した。

 

 できることなら受け入れてやりたいが、それをされることだけはどうしてもできなかった。

 

「眷属を悪魔にした過程が原因で僕が死ぬことになれば、その責は眷属である一夏君と蘭ちゃんにかかる。・・・それは本末転倒だ。それぐらいはわかる」

 

 一度本気で首を差し出そうと考えて、アストルフォに張り倒されたのは情けない思い出だ。

 

 動きだしそうな悪魔を箇条書きで提出されて、自分の影響力を別の意味で思い知った。

 

 なによりそれは別方向で無責任だ。

 

 旧魔王血族である自分という存在を利用して、戦争再発の原因となりかねない旧魔王信仰をガス抜きさせようとしているのにもかかわらず、たった二人の死をきっかけに反故にするなど卑怯どころの騒ぎではない。

 

 その時になって、自分は自分という存在が酷い影響力を持っていることを本当の意味で思い知った。

 

 ゆえにそんな死に方だけはできない。

 

 何より王である自分は生き残らねばならない。

 

「たとえ一夏君や蘭ちゃん、アストルフォやヒルデちゃんが無残に死のうと、可能な限り生き残らねばならないのが、王である僕の義務です」

 

 義務という言葉に逃げてはいないかと考えたことは山ほどある。

 

 だが、この事実から目をそらすわけにはいかないのだ

 

「・・・フォローするわけではないが。悪魔の中には人間を蔑視するものも多い。そんな事態が起きれば、貴様の関係者すべてを殺そうとする過激派も出かねないぞ」

 

 見かねた四朗の説明を聞きながら、千冬は目を閉じて沈黙した。

 

 沈黙して沈黙して沈黙して、そして目を閉じてレヴィアを見据える。

 

「お前はこれからどうする気だ? どんな王になる」

 

 その言葉にはどんな意味が込められているのだろうか。

 

「守る王です。魔王の血にすがらねば進めない者達の心を守り、自らの道を進む配下を、脅威から守る王です」

 

 それが、自分が求めて、見つめなおした、レヴィア・聖羅の望む王道。

 

 人を引き連れ己が欲望へと進む王ではなく、欲に生き欲と共にある悪魔の王族として、彼らが欲を正しく使う限りそれを守る王になる。

 

 それができる力を持ち、選ばれた物としての責任を果たし、そしてそれを人々に示す基準点としての王。

 

 配下の道を守ることに特化した、守護者の王となる。

 

 自分が最後まで残らねばならないのならば、自らが不動にして不沈の王となろう。砕けぬ絶対の象徴として、

 

 そしてその固さを分け与えることができるようになれば、彼らも死なず失われないのだから。

 

「・・・言っておくが、ここで罵倒してそれにお前を酔わせてやるほど、私はお人よしではない」

 

「・・・っ!」

 

 見透かされていた。

 

 さすがはブリュンヒルデ。英雄をヴァルハラへと導く戦女神の名を冠す猛者だ。

 

 今の自分の魂胆を見透かす程度、造作もないということか。

 

「・・・無様に死んで私の弟を苦しめる結果になることだけは許さん。それを胸に刻んで生き続けろ」

 

 自分にとっては当然の、しかし強く苦しむだろう要求が、彼女の答えだ。

 

 それはつまり、誰もお前を罰しないから、一生その罪に苦しみ続けろというのと同じだろう。

 

「・・・厳しい人だ本当に。いまどきスパルタ教師ははやりませんよ?」

 

「やかましい。私は教師で貴様は生徒だ。生徒は生徒らしく教師に服従していろ」

 

 教師の立場でパワハラを受ければ従うほかない。

 

 あまりにひどい内容ならこちらも手段をとるが、これはさすがに反論できない。

 

 そして千冬はレヴィアを見ない。

 

 その視線は、レヴィアの後ろにいるアストルフォの方に向く。

 

 見れば、アストルフォの視線は温かかった。

 

 一夏や蘭の用にレヴィアをかばうべきか千冬に気を使うべきか迷うそれではなく、簪達のように状況についていけず迷っている視線でもない。

 

 まるで子供が悪戯を反省してるのを見守るような、成長した子供を見守るような温かさがあった。

 

(そういえば、アストルフォとの付き合いも結構たつなぁ)

 

 思えば自分が現政権に下ってからすぐの付き合いだ。

 

 ぶっちゃけ自分の監視役だったが、気づけば書類仕事のうち自分が絶対に必要な部分以外はすべて終わらせてくれたり、勉強に熱中しているときはいつも温かいお茶を入れてくれたり、どちらかというと秘書みたいな立場だ。

 

「レヴィアの世話役だと思うが、それでいいか?」

 

「自分では、そのつもり」

 

 いや実際そうなっているだろうと思うが、今は口をはさんではいけないと思いとりあえず沈黙する。

 

「一夏と蘭のことを、お願いしてもいいだろうか」

 

「当然」

 

 即座に、アストルフォは頷いた。

 

「同胞を守るのは、当たり前」

 

「・・・感謝する」

 

 アストルフォに、千冬は深く頭を下げた。

 

「聖羅。お前にも頼む。二人を・・・お願いする」

 

「・・・はい」

 

 重い言葉だ。

 

 聞けば、一夏と千冬は両親に捨てられたと聞いている。

 

 その絆は普通の姉弟よりはるかに深く、しかしここ数年は自分のせいで溝ができただろう。

 

 その分、一夏を立派に生きていけるようにしなければならない。

 

 いつか自分の罪で裁かれる時は来るのかもしれないが、それまでにやれることはやっておかなければならない。

 

「・・・レヴィア」

 

「・・・レヴィアさん」

 

 気づけば、一夏と蘭がレヴィアに優しげな視線を向けていた。

 

「お前がどう思っていても、あの時助けに来てくれて嬉しかったし、俺たちを生かしてくれて感謝してる。だからその分、俺たちにもお前を守らせてくれ」

 

「あの時レヴィアさんが選択しをくれたから、私達は今ここにいます。それだけは誇っていてくださいね」

 

 二人の戦車から感謝の言葉をかけられて、レヴィアは目を潤ませながら苦笑した。

 

 思えば戦車にしたのも、自分なりの贖罪だった。

 

 少しでも死ににくい体にすることで、少しでも長生きできるようにしようと思ったのだ。

 

 そんなどこまでもダメだった自分を、しかし二人は恩義を持って接してくれる。

 

 この二人のためにも、立派な王にならなくてはならない。

 

 レヴィアは改めて決意する。

 

 この血に恥じない力量を持った、一人の王として君臨することを、その胸に秘めながらも誓う。

 

「おーい、自分のことおいてけぼりなんだけどデス」

 

「ヒルデさん。今いいところなんですから邪魔してはいけませんわ」

 

「嫁もお姉さまもいろいろあったということか。一度死んでまでいるわけだし、一夏を責めるのは筋違いだったか」

 

「そ、壮大すぎて先生ついていけません。しかもそれに伯父さんが関わっているとかどうしたものでしょうか・・・」

 

「まあ、なるようにしかなりませんよ。私達はそれを準備して待ち構えるだけですからね」

 

 眷属になったばかりでいきなりついていけなくて落ち込むヒルデ。

 

 そんなヒルデをたしなめるセシリア。

 

 過去の出来事を深く知って反省するラウラ。

 

 加速する現状に未だ混乱する麻耶。

 

 扇子に塞翁之馬と出しながら苦笑する楯無。

 

 これだけの人の協力を得たり巻き込んだりしながら、自分は今この場を切り抜けた。

 

 まだまだ自分は未熟の極みで、しかしそれでも対処しなければならない。

 

 そのことを深く受け止めながら、レヴィアは前を進む。

 

 どのような理由であれ、自分の決断は悪魔を大きく動かしかねない状況になったのだ。ならば、今度は覚悟の上でその責任を果たさねばならない。

 

「レヴィア」

 

 簪が、いつの間にか自分の隣に近づいて、そして花のような笑顔を浮かべる

「何かあったらいつでも言って? 私も、レヴィアを助けたいから」

 

「・・・ありがとう。簪ちゃん」

 

 今自分を取り巻く環境の、IS学園で出会った友人たちに、レヴィアは心から感謝した。 




これで溜まっていた分は打ち止めです。

これからはゆっくり目で投稿していくことになるのでご容赦ください。
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