インフィニットストラトスD×D   作:グレン×グレン

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ある程度話数があった方が感想も来るでしょうし、ちょっとばらまきます。


第二話 お前は本当にこういうことに慣れているんだな

「・・・一夏君? 僕は君に言いたいことが二つある」

 

「は、はい」

 

 殺気がものすごかった。

 

 怒気もものすごかった。

 

 一夏はものすごい反省していた。

 

「君が男の矜持を持っていることは知っているし、この時代ではとても良いあり方だとは思ってるけどね? ・・・世界初男子IS操縦者の肩書にクラス代表という伯を付けてどうするんだい? ・・・無いとは思うけど、セラフとか出張ってきたらさすがにかばえないよ?」

 

「本当にごめんなさいだからこれ以上腕をひねらないでぇええええ!?」

 

 堂々と一組の教室で、一夏の腕をひねり上げながらレヴィアは説教していた。

 

 ちなみにこの会話は魔力でシャットダウンしてあるので、周りには意識されない。

 

 当然だろう。ばれたら間違いなく一夏の人生は終わる。一夏が悪魔であることがばれれば、下手をすればIS学園が世界から消滅しかねないのだから。

 

 だからこそ、そのあたりの加減をレヴィアはわきまえていた。そして度の超えた無理をするつもりもなかった。

 

 彼女は権力をかさにきて横暴をする趣味もなければ、わざわざ現政権に下りに来るほど、三大勢力での戦争を避けようとしている。

 

 そんな状況下において自分の眷属が火種になりそうであるが故に、彼女はフォロー及び護衛のためIS学園に入学したのだ。

 

 そんな大事な相手が、自分から危機を呼び込んでしまえば苦言を呈すのが当然である。

 

 ・・・実際のところ、その可能性は考慮しておりまあなってもそこまで問題にはならないと思ってはいたが、それを言って油断されても困るのでお仕置きはちゃんとする。

 

「それと遠回しに言っている相手に対して直接罵倒してどうするんだい? 前から何度も言っているけど、過剰報復はハンムラビ法典の時代から人類のタブーだよ?」

 

 このレヴィア、一部の欠点こそあるが、それ以外は人間でもそうはいないほどよくできた人格者である。

 

 弱きを助け善政をしき、悪魔というイメージからは想像もつかないほど人助けを行える素晴らしい人格を持っている。

 

 とはいえ、下僕に対する愛は多少Sの気質があるようだ。

 

「さらに代表候補生相手にハンデを持とうなど愚の骨頂にも程がある。前から言おうと思っているけど、きみは行動する前によく考えてくれないとこっちが困るんだ」

 

「は、はい! 反省してます!!」

 

 ようやくサブミッションから解放され、一夏は素早く頭を下げた。

 

 男の矜持はどこかに行ってしまっている。

 

 そもそも主と下僕なのだから当然といえば当然だが。

 

「そ、そうだよ織斑君」

 

「男がハンデもらおうとかおかしいって」

 

 クラスメイトの女子たちも、何とか会話に加わろうとそう言ってくる。

 

 別に悪意があるわけではないが、今の世の流れを理解しているから当然の発言であり。

 

「・・・・・・君たちはどこか勘違いをしていないかい?」

 

 ゆえに、レヴィアは彼女たちにも苦言を呈することにした。

 

「『国家代表候補生』と『ただの生徒』なら分かるが、男と女は関係ないだろう?」

 

 その言葉は、その場にいた全員の注目を集めていた。

 

「え、どういうこと? え~っと・・・」

 

「四組のレヴィアだ。・・・どうやら君たちは、世の流れを本流に乗っている自覚が足りないようだ」

 

 レヴィアは苦笑を浮かべると、黒板まで歩いてチョークを手に取る。

 

「良いかね? 剣道の有段者とただの素人が剣道のルールで戦えば、当然有段者が勝つ。これはいいね?」

 

 その言葉に皆が頷く。

 

 当然のことである。

 

 ボクサーと子供がボクシングで勝負すれば、ボクサーが勝つ。

 

 兵士とサラリーマンが射撃で勝負すれば兵士が勝つ。

 

 それが普通だ。なぜなら、後者は戦い方を知らないのだから。戦い方を知っている方が有利になるのは当然であり、そんな勝負があるのなら、知っている方がハンデを付けるのは当然だろう。

 

 そして、それは戦い方の代わりに武器を持っているでも当てはまる。

 

「今の時代に女が男より強いとされているのは、ISという絶対的な武器があるからだ。そんなものは常識だろう」

 

「そうだよね。だから男がハンデもらうのは当然・・・」

 

「そういえばそうだね~」

 

 よくわかってない女子生徒の声を遮って、のんびりとした女の子との言葉が皆の耳を打った。

 

「気付いたようだねそこなダボダボ少女! 名前を言った後補足したまえ!」

 

「布仏本音で~す。・・・つまり、織斑くんは例外ってことだよね~」

 

 その本音という少女の答えに、皆は気付いた。

 

 そう、女は「IS」を動かせるから男より上となっている。

 

 では、ISを動かせる「男」と「女」の場合はどうなるのだろうか。

 

 答えは簡単。ISの性能とIS戦の技量が勝敗を分ける。

 

 故にこそ、「国家代表候補生」と「ただの生徒」。そうレヴィアは言ったのだ。

 

「無論、これは世の圧倒的大多数のISに関わらない男女に置いても言える。・・・女性だからすごいのではなく、ISを使いこなせるからすごいんだ。そこをちゃんと理解しないと、いつかしっぺ返しを食らうぞ?」

 

 出来の悪い子どもをたしなめる親の様に、苦笑を浮かべてレヴィアは言い放った。

 

「「「「「・・・・・」」」」」

 

 まるで有能な教師を思わせるその姿に、その場にいる物は沈黙し・・・。

 

 

「「「「「「おぉ~~~~っ!!」」」」」

 

 歓声が響き渡った。

 

 この瞬間、IS学園一年一組に置いて、レヴィア・聖羅は「とてもすごい人」と確定した。

 

 ・・・後に上層部から「お前が目立ってどうする」というツッコミを受けることになる、最初の行動であるのだが今はまだ誰も気づかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして夕方、一夏はとんでもない物を見てしまっていた。

 

 具体的にいえば、半裸の女性だった。

 

 濡れ羽色の長髪を持った美少女の姿を、はっきりと見てしまっていた。

 

「あ、あ、ああああああのその実は・・・!?」

 

 一夏はとてつもなく狼狽しながら、走馬灯のようにどうしてこうなったのかを回想する。

 

 具体的にいえば、家から通うつもりが寮生活が決定になったので、部屋に入ったらシャワー室から女性が出てきたのである。

 

 確か一組にいた子だろうが、よりにもよってこんなことになるとは思わなかった。

 

 織斑一夏は知人の共通認識として世界最強クラスの朴念仁と言われているが、それでも半裸の女性とこんなタイミングで出くわしてただで済むとは思っていない。

 

 と、いうか主にボコられる。

 

「ご、ご、ゴメン!! いや、俺もよくわかってないんだけどどうしてこうなったのか・・・」

 

「お前は本当にこういうことに慣れているんだな」

 

 土下座すら考えた一夏の行動を、半裸の女性の呆れた声が遮る。

 

 その声には、聞き覚えがあった。

 

 それも、かなり昔に。

 

「え、あ、アンタ俺のことを・・・」

 

「・・・ああ、なにも言ってこないと思ったが、気づいていなかったのか。まあ、髪型も変えてたし何年もあってないからな」

 

 女性は苦笑すると、その長い髪を手で持って、ポニーテールのような形にする。

 

 蒼して初めて、一夏は彼女の正体に思い至った。

 

「お前・・・箒? 篠ノ之箒か!?」

 

「ああ、久しぶりだな、一夏」

 

 篠ノ之箒。IS開発者篠ノ之束の妹にして、織斑一夏の幼馴染である。

 

 昔から一緒に剣道をしていた中だったが、まさかこんなところで会うとは思わなかった。

 

「覚えていてくれたとは思わなかった。・・・てっきり忘れられたかと思っていたぞ」

 

「そんなわけないだろ。幼馴染のことを忘れるような奴は死んだ方がましだ」

 

 僅かに会話をするだけで、昔の思い出が昨日のことのように思い出せる。

 

 それに、友達が近くにいるというのは、オオカミの群れにほおり出された羊のような心境の一夏にとって心を癒してくれた。

 

「・・・しかし男と女を同じ部屋に入れるとは、いろいろとIS学園も混乱状態のようだな」

 

「だよなぁ。しかも相部屋が幼馴染とかどんな冗談だよ」

 

 おそらくレヴィアも予測していなかっただろう。

 

「まあ、史上初の男性操縦者などどこの国ものどから手が出るほど欲しい人材だ。寮に匿っていた方が安心だし、それなら発明者の妹である私と一緒に入れておいた方が保護しやすいだろうな」

 

 そこまで言われて、一夏は自分が表の社会でもトラブルに巻き込まれそうだということをいまさらながらに実感した。

 

 実際のところ、レヴィアはある程度予期しており、こっそりPMCを雇って一夏の家の周囲を警護してもらっていたのだが、その辺を一夏は知らない。

 

 そしてこうなる可能性を考慮していなかったことにレヴィアは頭を抱えるのだが、それはまた別の話。

 

 そしてそこまで考えて、一夏は今の状況を思い出した。

 

「って悪い! そういえば風呂上りを―」

 

「いや、それは別にいいさ」

 

 特に動じる様子もなく、箒は肩をすくめる。

 

「・・・お前の体質なら偶然のタイミングでこうなる可能性は十分にあるし、一緒にふろにも入ったことがあるから今さらだろう。通達してなかった学園側に責任がある」

 

 冷静にそういう箒の姿に、一夏は目の前の少女が本当に箒なのか疑う自分がいた。

 

 篠ノ之箒という少女は、こう言ってはなんだがもっと勢いに任せて行動するタイプじゃなかったのだろうか。

 

「・・・お前、変わったな」

 

 喜んでいいのか悲しんでいいのかわからないその言葉に、箒は立ちあがりながら再び苦笑する。

 

「まあ、私もいろいろあったということさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園の学生寮、その一室でレヴィアは静かにお茶を飲んでいた。

 

 飲むのは特製のハーブティ。それは、レヴィアが大仕事をする時の癖だった。

 

 魔王血族のたしなみとして、大手企業の株などを持っていた自分だったが、まさか最先端のISを扱うことになるとは思わなかった。

 

 だが、それは仕方がないことでもある。

 

 セーラ・レヴィアタンは自分の眷属を守るために全力を尽くす。

 

 三年前のモンド・グロッソで起きた自分の愚行のツケを祓うためにも、その汚名を決して忘れぬためにも、それだけは決して怠ったりはしない。

 

 そして、だからこそレヴィアは一夏を全力で守る。

 

 勝手に寄ってくる恩恵を利用することはあっても、能動的に普通の上級悪魔以上の権力を行使することは行わないようにしていた自分だが、そのために行使することにためらいはなかった。

 

「世界が動く。・・・そう、表も裏も」

 

 いずれ一夏が悪魔であることはばれるだろう。悪魔同士の競い合いなどには積極的に参加していないから特に情報は漏れていないが、真剣に調べればいつかはばれる。

 

 世界唯一の男性IS操縦者が悪魔だと知られれば、間違いなくあらゆる異形の社会が動くだろう。事実、付き合いがあるとしか認識されていないにもかかわらず、一夏は過激派の教会側に何度も命を狙われている。

 

 自分が、守らねばならない。

 

 それこそが、三年前に道理に合わぬことをした結果、一生拭えぬであろう後悔を背負ったレヴィアの決意だった。

 

「かかってこい全世界。・・・一夏君は、僕が守る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたの? ブツブツいって怖いけど」

 

「あ、ゴメン簪ちゃん。・・・ちょっと考え事してた」

 

 とりあえずは、ルームメイトを怖がらせないことからやらねばならないが。




本作品において箒はかなり魔改造されているキャラだと言っておきます。

将来的にこの魔改造が一番批判されそうで怖い・・・。
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