この章は、幾つかのイベントを経由してから、本番に突入する形式になっております。
第一話 一応気を使ってアレかよ!?
レヴィアと簪の部屋で、皆がおしゃべりしながらだべっていた。
アレ以来、自分達の付き合いは深くなったと思う。
レヴィア達にとっては、秘密を隠すことなく接することができる貴重な人間の友人たちだ。逆に簪たちにとっては、大事な友人たちが秘密をちゃんと話してくれているという事実がある。
おかげでどうにも一緒にいることが多くなった。
実際中学の時には、鈴や弾とばっかり一緒にいることが多かったような気がする。
そして、その中にヒルデも混ざっている。
ヒルデと直接かかわったのは臨海学校になってからだが、これでいろいろと話しやすい。
独特な魔法は話のタネにもなるし、眷属として教えることもいっぱいあるのでその分さらによく話している。
そんなヒルデの顔を見て、レヴィアはあることに気がついた。
「そういえば、まだヒルデには使い魔を用意してないね」
「ああ」
一夏もそれに気がついてぽんと手を打ち、皆の視線を集めた。
「使い魔というと、魔女が使うようなあれですの?」
セシリアのイメージでは黒猫とかが思い浮かぶが、そういうものなのだろうか。
「まあ考え方としては近いかな。悪魔は雑用とかを使い魔に頼んで行動する時が多いんだよ」
「結構役に立ってるよな。あ、コイツが俺の使い魔だな」
そう言いながら、一夏は白い狼を呼び出すとその喉をなでる。
「「「「おおっ!」」」」
その姿に、セシリアもラウラも簪もヒルデも声を上げる。
鈴とレヴィアも少し笑顔になった。
一夏が彼になつかれたのを見てレヴィアは感心したし、鈴も始めてみたときは興奮して抱きついたりしたものだ。
「そういえば、レヴィアの使い魔ってなに?」
簪にそう言われて、レヴィアは少し考え込んだ。
ちょっと自分の使い魔はアクが濃い。はたしてうかつに公表して大丈夫なのだろうか。
だが、これからも自分のことをよく知ろうと考えているようだし、だったらあえて見せるのも必要だろう。
そう思いなおし、レヴィアは召喚陣を展開する。
「それでは本邦初公開! この子が僕の使い魔だよ!!」
召喚陣が光り輝き、そしてある物を呼び寄せる。
ぬるりと輝くからだ。
いくつものうごめく筋肉。
瞳のないその姿。
そう、それはまがいもなお・・・。
「この子が僕の使い魔、ナガヨシだ!!」
触手だった。
「「「きゃぁああああああああああ!!」」」
鈴、セシリア、簪は思いっきり悲鳴を上げ。
「これが、これが日本では江戸時代から伝えられていたとかいう触手モノとやらの現物か! クラリッサ、私は今日本の真髄を見たぞ!!」
ラウラは何やら妙な方向で感心し、
「・・・ああ、これヨーロッパ辺りで有名な奴デス。エロ系研究している魔女が目の色変えて探すレアものデス」
ヒルデは珍しい物を見たかのように写真に撮り始めた。
「いや、ラウラはとりあえずそのクラリッサって人と話したいから機会くれ! ヒルデもそんなことはどうでもいいから! っていうかレヴィアお前いろいろと言いたいことがあるんだけど良いか!?」
連続してツッコミをこなしながら、一夏はレヴィアの襟首をつかみ上げた。
たまにどうしようもなくエロ方面にブーストするのは知っていたが、使い魔にまでエロ方面追及とか考えてもいなかった。
今まで見せてこなかったので機に放っていたが、ある意味期待を裏切らないその在り方には関心すら覚える。
「・・・もしかして初回からOKだった!? ゴメン、一応初心者には荷が重いと思ってよしてたんだけど、それならナガヨシを紹介すればよかったよ」
「一応気を使ってアレかよ!? 俺も蘭もそんなことは考えてねえよ!?」
まさか気を使ってアレだとは思わなかった。
・・・詳しく思い出すといろいろとヤバいので記憶からシャットアウトするが、正直な話自分や蘭は今後の人生まともに生きていけるのか不安になるぐらいだったと伝えておく。
この女エロすぎる。
そして、後ろから鬼神が覚醒した。
「・・・一夏、ちょっとどいてなさい」
そろりと後ろに振り返る。
・・・半泣き状態の鈴が、拳を振りかぶっていた。
「一度死ね」
「ハイ! そういうことでヒルデさんの使い魔が変なことにならないか監視するために、わたくし達は冥界の中でも色んな魔物がいるこの辺りに来ておりますわ!」
「セシリア? 誰に向かって言ってるデス?」
紫に染まる空の中、レヴィア達は森の中にやってきていた。
フォローのために蘭とアストルフォまで来ていて準備万端である。
「思いだすなぁ。丁度この辺りで傷を負ったあいつに会ったんだよ」
「そうですね。一夏さんってば警戒されてるのにもかかわらずいきなり傷薬出して近付くから、どうなることかと思いました」
一夏と蘭は周りの風景を見て思い出に浸っている。
その様子をみて、セシリアとラウラはプルプルと震えていた。
「くっ! 二人だけの共有する時間が多いというのは明らかなアドバンテージですわ!」
「落ち着けセシリア。IS学園という絶大なアドバンテージを確保できる我々には逆転のチャンスが多すぎるぞ。・・・まあ勝つのは私だがな」
「そう言いながら震えてるわよ。・・・とはいえレヴィアのことだから、どうせ蘭も次の年には入学させるでしょうしねぇ。そう上手くは行かないんじゃないの?」
そんな二人にそう言いながら、鈴も回りを確かめる。
冥界の空は苦手だ。
あの時の、自分の情けなさをどうしても思い出してしまうから。
もうあんな弱くないとは思ってはいるが、つい先日魔王血族に瞬殺されたこともあるのでなかなかふっきれない。
などと思っていたら、ガサガサと木の葉が揺れる音が少しずつする。
皆の視線が集まる先には、白い白馬がいた。
それは毛並も美しい馬だったが、しかし一つの大きな特徴があった。
角が生えているのだ。
「ゆ、ユニコーンだよね。伝説に出てくる」
簪が少し興奮してレヴィアに尋ねる。
昨日見たヒーローが出てくるアニメで、そのヒーローの愛馬として登場していたからかドキドキしてしまう。
「そうだよ。しかし珍しい。この変じゃ最近は見掛けないはずなんだけどねぇ」
レヴィアが感心しながらも、なぜか少し後ろに下がる。
ユニコーンはじっとこちらを見て動かない。
―もしかして、触れる?
何人もの少女が興奮してその視線を向けるが、ユニコーンはじっとこちらを見るだけで動かない。
その視線が、セシリア、ラウラ、鈴、簪をみて頷いた。
その視線が、レヴィア、蘭、ヒルデを見て首を振った。
「・・・なんだよ、この反応の差」
1人相手にすらされてない一夏がつぶやく。
明らかにユニコーンが相手をえり好みしていた。
「ああ、ユニコーンは心の清らかな処女にしかなつかないからね。処女と非処女を分別してるんだろう」
なんてことがないように、レヴィアが開設した。
・・・さて、少し考えてみよう。
つまり今のユニコーンの反応は、相手が処女かどうかで判断していたのである。
つまり・・・。
「・・・レヴィアさん?」
「なんだい、蘭ちゃん?」
「いつの間にヒルデさんに手を出してたんですか?」
「三日前」
直後、レヴィアが蘭の回し蹴りを喰らって吹っ飛んだ。
「なんですのこの毛並!? 今までに触ったことがないぐらい上質ですわよ!?」
「さすがお嬢様。馬にも乗ったことあるのね。・・・お、結構乗りづらいわね」
「これがユニコーンか、う、動かないでいてくれるんだな」
「うわぁ、奇麗・・・」
幻想の生物に興奮する四人を見ながら、一夏は傍らにいるヒルデに声をかける。
「なあヒルデ。・・・レヴィアってどうなんだ?」
「始めてなんでよくわからないけど、すっごく丁寧にしてくれたデス。一夏の時もそうだったんだろデス」
「まあ・・・なあ」
少し言いにくいが確かにそうだ。
快楽追及に結構余念がないレヴィアは、快楽技術追求にも余念がない。
特に性質的に自分も相手も気持ち良くなってなんぼの考え方のようで、そういった方面にはとても気を使う。
だからこそこれだけは言える。・・・最高でした。
とはいえ結構強引にことに運ばれているわけで。
「私もっ、ユニコーンにはっ、興味がっ、あったのにっ、近付いてもらえないじゃないですか!!」
「い、いや、だってほら蘭ちゃん処女じゃないし!!」
「どこかの誰かさんのせいじゃないですか!!」
「破ったのは一夏君じゃん!! そこは気を使ったよ僕!!」
「気を使うところが間違ってるんです!!」
マウントポジションからの打撃から、マウントポジションからのゼロ距離射撃に変わり始めていた。
さすがにあそこまで来るとレヴィアにも相当のダメージが行きそうなのだが、そろそろ止めた方がいいだろうか。
いや、アストルフォは静かに見守っている。ならば放っておいても大丈夫なのだろう
「ま、まあ、ユニコーンを使い魔にするのは諦めた方がいいじゃないか?」
「それは同感デス。角とか取り放題で役立つかとも思ったけど、諦めた方がいいなデス」
相応にレアな存在なので残念だが、まあ仕方がないだろう。
そして何より・・・。
「嫁よ、話がある」
「主に蘭の何を破ったかについてよねぇ?」
「うふふふふ。一夏さん、覚悟はよろしくて?」
今は自分の心配をした方が良いようだ。
使い魔の名前はホライゾンを読みなおしていたら気が付きました。