インフィニットストラトスD×D   作:グレン×グレン

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流れるプールって、泳いで横に移動しようとすると流され続けて歩くより時間かかるんですよね。

子供のころ、泳いだ方が早いと思って親に怒られました。









プール編を書くにあたって、ふと思い出したのでつい書いちゃいました。皆さんもそんな経験ありませんか?


第三話 お茶菓子持ってきたわよ~

 

 

 

 

 それからはとんとん拍子だった。

 

 ヒルデに懐いた聖光龍はそのままとんとん拍子で使い魔の契約が終了した。

 

 それなりにレアな使い魔が手に入るとよかったが、まさかドラゴンになるとは思わなかった。

 

 そんなことを思いながら食後の紅茶をすすり、レヴィアは一息ついた。

 

 本来自分の年代では持てないような存在、アストルフォ。

 

 カレドヴルッフの使い手として、近接戦闘なら高い攻撃力を発揮する一夏。

 

 後付けという才能を発揮できない側であるのにもかかわらず、高い神器適正を発揮する蘭。

 

 そして独特な魔術を使い、ドラゴンを使い魔にする期待の逸材であるヒルデ。

 

 数こそ少ないが優秀な存在が集っている現状に、レヴィアは内心でほくそ笑む。

 

 これだけの優秀な人材を確保できる若手悪魔などそうはいない。

 

 特にレーティングゲームに積極的に参戦するつもりはないが、優秀な眷属を持っているというのは気分がいい。今後のことも考えると、自身の戦力拡充も魅力的だ。

 

 そういう意味では今後に期待が持てる布陣だろう。

 

「なんだか嬉しそうだね」

 

 自分の前の席で同じく紅茶を飲んでいる簪が、嬉しそうに見ながらそうほほ笑んだ。

 

「わかるかい? 実は結構楽しくなってきたよ」

 

「気分はトレーディングカードゲームでレアカードを集める感じかな」

 

「そこまでわかる? まあ、すごい人ばっかり集まってるからねぇ」

 

 思わず苦笑しながら紅茶を一口飲むと、簪はその顔を覗き込む。

 

「・・・レヴィアって結構悪だくみとかに向いてるかも」

 

 ちょっと反応に困る感想だが、しかし悪気は感じない。

 

 実際、自分の立場なら策略にも慣れた方がいいだろうし、そういう意味では正真正銘の褒め言葉だろう。

 

「これから大変なことになるだろうからね。まあ、戦力が増えるのは嬉しいことだよ」

 

 その返答に、簪の表情が僅かに曇る。

 

「やっぱり、IS学園(ここ)も巻き込まれる?」

 

 即答するのは避けたが、しかし答えねばならない質問が来た。

 

「可能性はあるだろうね。ああ、それを否定することはできないだろう」

 

 いくらなんでも学園のイベントとトラブルの発生が同期しすぎている。

 

 偶発的なクラス代表決定戦はともかく、IS学園でイベントになりそうな出来事全てに対してトラブルが頻発しすぎている。

 

 VTシステムはまだいい。アレは機体の損傷や搭乗者の精神状態が深く影響を受ける以上、戦闘でダメージを負うそのタイミングで影響を受けるのは当然だろう。

 

 だが他二つが問題だ。

 

 ISに対抗できる兵器の紹介と、ISコアの暴走。

 

 これまでに類を見ない出来事が、男性操縦者というこれまでに類を見ない存在が登場した年にイベントと同時に頻発する。

 

 直接関係があるかはともかくとして、二度あることは三度あると考えるべきだろう。

 

 この二つは、ともに下手をすれば多数の犠牲者を出しかねない騒ぎだった。

 

 それと同じことが自分達の側になっても起こると考えるのは当然だ。

 

「簪ちゃんも気をつけてね。たぶんだけど、これから世界は大きく動くから」

 

「うん。レヴィアも、気をつけて」

 

 素で返されて、少し戸惑ってしまった。

 

 すぐそばで見ていれば何度も思い知らされるが、簪は非常に魅力的な少女だ。

 

 油断すると魅了されそうになり、しかしレヴィアは気合を入れ直す。

 

 簪をこちら側に入れるのは、真剣に向き合ってのことでなければならない。

 

 元からこちら側だったアストルフォ。そうする以外にどうしようもなかった一夏と蘭。こちら側の事情をよく理解した上で来たヒルデはまあ問題ない。

 

 鈴もこちら側の事情に片足突っ込んでいるし、相応の知識も持っている。

 

 だが、彼女は違う。

 

 もし眷属に迎え入れるにしても、相応の時間が必要だろう。

 

 だから話をそらさなくてはいけないと思い、そしたら都合よく視界に都合のいい人物が映ってきた。

 

「ティータイムの簪ちゃんにお茶菓子持ってきたわよ~」

 

 ものすごいいい笑顔を浮かべながら、楯無がお皿の上に満載されたクッキーを片手にこちらに乱入した。

 

 簪に見えない位置で、的確にこちらに蹴りを入れてきたりするのは、本当に洒落にならない格闘センスだと思う。少なくとも、今の自分ではかわせない。

 

「はい。簪ちゃんにプレゼント」

 

「え、え、えっと・・・」

 

 ものすごい断りづらい笑顔で進める楯無の攻勢に、思わず簪は救助の視線をレヴィアに向けてきた。たぶんだが断る方向で持っていきたいようだ。

 

 とはいえ、せっかくの中のいい姉妹の関係構築を邪魔するつもりもない。

 

 ここは心理的ハードルを減らして取りやすくする方向で行こう。

 

「楯・無・会・長♪ 僕も食べたいな~」

 

「ええ、どうぞ好きなのを食べていいわよ?」

 

 許可が出たのでレヴィアは一つ取り、簪もそれにつられて一つ取った。

 

 簪がクッキーを一口食べて、その表情が好評化のそれに変わったのを見てから、レヴィアはそれを一口で放りこんだ。

 

 ・・・すごく、辛かった。

 

「どう簪ちゃん、美味しい?」

 

「う、うん。甘くておい・・・しい」

 

 戸惑いながらも確かに評価する簪の反応から見て、このクッキーが味音痴の産物ではないことを確信する。

 

 ためしにもう一つ取って、簪が食べるのと同じタイミングで食べてみた。

 

「あ、これもおいしい。・・・チョコだ」

 

 今度はワサビの風味がすごくした。

 

 視線を楯無の方に向けたら、ものすごい良い表情だった。

 

 もちろん好意的とかそういう意味ではなく、どちらかというと「ざまあみろ」である。

 

(ぼ、僕の思考を読んでピンポイントにロシアンルーレットを配置したというのか・・・!?)

 

 なんという才能の無駄遣い。

 

 この学園においての生徒会長とはすなわち超人だが、まさか心理的な方面においてもここまでとは。

 

 恐るべしIS学園生徒会長。恐るべし何代目か忘れたけど今の楯無。

 

 この才能の恐ろしさに戦慄しながら、しかしレヴィアは表情を崩さない。

 

 崩したら簪に影響があるはずだろう。それは避けたかった。

 

(我慢するんだレヴィア! これも更識姉妹の仲を取り持つため・・・!)

 

 レヴィアとしては、本来仲良くできる姉妹の仲を取り持つことはやぶさかではない。

 

 なんどか話をしていればよくわかる。簪はやはり楯無のことが大好きなのだ。

 

 ならばルームメイトとして一肌脱ごう。

 

 それに楯無には存在そのものが大迷惑といってもいい立場だからなおさらだ。楯無は誰が見てもシスコンなので方向性の問題もない。頑張って恩を売ろう嫌われてるし。

 

 そしてそのための手段もちゃんと用意している。

 

「あ、そういえば二人とも。今度親交を深めようと思うからプール行こうかと思っていてね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 計画は完璧だった。

 

 生徒会長とも親交を深めたいという理由なら、簪につられて楯無が来る可能性は十分にあった。

 

 さらに他のメンバーも連れての遊びだといえば、簪の精神的抵抗も減るから一石二鳥だと思った。

 

 だからいろいろとメンバーを連れて来たのだ。

 

 ただ、ラウラは一度部隊の方に顔を出すとのことで都合がつかず、アストルフォも冥界の方にいったん戻るということで都合がつかなかった。ヒルデも使い魔との親交を深めるために、聖光龍の故郷まで行ってみるとのことでタイミングが悪かった。

 

 蘭たちも招待したのだが、弾のほうが友達と一緒に遊ぶ用事があるとのことでコレそうにないとのことだ。美人をたくさん紹介してやろうと思ったのに残念である。

 

 そして一夏と鈴も別件で用事があるということで諦めたのだが・・・。

 

「まさか目的地が一緒だとはね。だったらもう少し踏み込むべきだったか」

 

 ウォーターワールド前で、ばったり一夏と鈴に合流してしまった。

 

「マジか。目的地が一緒なんだったら最初から一緒に行けばよかっ痛い痛い痛い!?」

 

 一夏がアホなことを言ったので即腕をひねり上げる。

 

「誰がどう見てもデートのお誘いでしょうがなんで分からないかな本当にもうこれならISの知識叩きこむあの一週間は女心叩きこむためのギャルゲー攻略週間にすればよかったよ本当にもう!!」

 

 一息で言い切りながらさらに腕を外す勢いで思いっきり引っ張り続ける。

 

 この男は鈍感という領域を通り越している。明らかに欠点以外の何物でもない。

 

 正直な話、彼がハーレムを作る分には一切構わないし問題がない。

 

 悪魔の業界ではハーレムなど異常ではないのだ。少なくとも、上級悪魔で複数の女性を囲っている悪魔はざらにいる。

 

 だから一夏が上級悪魔になればハーレムなど作り放題だ。そして下僕悪魔である今においても、積極的なレーティングゲームに参加しない自分は転生悪魔も積極的には増やしていないので、自分がちゃんと味見できれば駒に余裕がある限り迎え入れても一向に構わない。

 

 心情的には蘭が最優先だが、しかしそういうわけなので特に力づくで行動するわけではない。

 

 だが、ハーレムというのは構成人員におけるドロドロとしたものであってはならないと思う。

 

 みんな仲良く。これが一番だと思うわけだ。

 

 だから無自覚に惚れさせるのは頂けない。

 

 惚れさせるのならちゃんと人柄やその環境を理解させたうえで惚れさせるべきだ。そうでなければ血を見てしまうだろう。

 

 だからここはしっかりとシメておかねばならない。それが主としての務めだろう。

 

「くそ! せっかく二人きりでデートできると思ったのに!!」

 

「残念でしたわね鈴さん。・・・抜け駆けしようとした報いですわ」

 

「元気出してください鈴さん。・・・そうそう好きにはさせませんよ?」

 

 落ち込む鈴をフォローする振りして叩き落とすセシリアと蘭は放っておこう。

 

 そして本題は・・・。

 

「「・・・・・・」」

 

 あまりものという状態になり、お互いに話せず沈黙している更識姉妹だ。

 

 関節技をかけながらため息をつくという器用なまねをしながら、レヴィアはどうしようか考えていた。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プールで一同は思いっきりはしゃいでいた。

 

 蘭と鈴とセシリアが一夏を取り合って戦争状態になり、それを止めようとレヴィアがひと勝負提案し、流れるプール逆行水泳競争、十週勝負などという超ロング勝負が勃発し、今現在二週目に突入しようとしていた。

 

 最初は悪魔と魔法使いである蘭と鈴の一騎打ちになるかと思ったが、この騒動をある程度読んでいたレヴィアが監獄などで使われる封印用アイテムを使用してある程度是正。さらに他者強化系の魔法を使ってセシリアをブーストしたことでかなりいい勝負になっている。

 

 現在レヴィアが反則がないように移動しながらジャッジし、簪が最初の地点でゴールするのを見る形になっていた。

 

 最初はどちらかを自分がするといったのだが、

 

「変にブーストされて他の人に迷惑がかかったらダメだろ?」

 

 と、レヴィアに説得されたので諦めた。

 

 とりあえずもみあいに巻き込まれて疲れた心を癒そうと、ジュースを飲みながら一息つく。

 

 その背中に、明らかに柔らかい感触が二つ、くっついた。

 

「どぉう? 一夏君?」

 

「た、楯無さん!?」

 

 むにゅりと擬音をつけるべき感触が、むにゅむにゅと擬音をつけるべき動きでうごめいていた。

 

 ・・・かつての自分なら一切気にしなかっただろう。

 

 だが、女体をしる今の一夏にとってこれは刺激的すぎた。

 

 加えて言うと、一夏のしる女体とはつまりレヴィアと蘭である。

 

 まな板ド貧乳のレヴィアと第二次性徴期ちょっと前レベルの蘭ではすなわちサイズがハードというかスモールというか失礼な言い方になる感じであり、つまりデカさが足りない。

 

 反面楯無はむしろ巨乳の部類であり、ゆえにその感触は始めてのものだった。

 

「た、楯無さんはなれてください!? あ、あたってる!?」

 

「ん~? どこが当たってるのかな? お姉さんに言ってみて?」

 

 言えるわけがない。

 

 これはアレか、逆セクハラか。

 

 思わぬ事態に一夏は戦慄する。

 

「ねえ一夏くんどうしたの? お姉さんのあたってる部分ってどんな感じ? 最低でもセシリアちゃんよりかはあるから、一夏くんにはまたとない感触じゃない?」

 

 とても返答に困る。

 

「ちょ、ちょっと楯無さん!? 簪に言いつけますよ!!」

 

「・・・じゃあ一夏君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど良いかしら」

 

 一瞬で離れた。

 

 どうやらピンチの時はこの手段が効果的なようだ。

 

 いささか男らしくない気もするが、最終手段として覚えておこう。

 

「ぶっちゃけ、レヴィアさんの弱点って無いかしら?」

 

 ・・・なるほど。そういうことか。

 

 いくら平和的に行動するとはいえ、レヴィアの存在はIS学園にとって目の上のたんこぶだ。

 

 自分の正体が知られれば三大勢力戦争再開の引き金にもなりかねないから来てくれたが、IS学園にとってはレヴィアも爆弾であることに変わりはない。

 

 正体が公表されている以上、それを狙った天使や堕天使の襲来は警戒しなければならないのだ。

 

 当然楯無は上からそう指示を受けているだろうし、直接排除しなくても排除するにおいて有利な状況を取っておくように言われているのかもしれない。

 

 レヴィアの弱みになるようなことを言うのは問題があるが、レヴィアなら、あえて自分の弱みを教えて敵意がないことを教えるだろう。

 

 なら自分が言っても問題はあるまい。

 

「基本的に冷気系の防御研究は一切してませんね。今の魔王レヴィアタンがそっち方面ですごいらしいんで、乗っ取る意思がないことを証明するためにわざと弱いままにしてます」

 

「ちょっとちょっとちょっと一夏君。そういう意味じゃないわよ」

 

 慌てた楯無に止められて、一夏は首をひねる。

 

 はて、何か間違っただろうか。

 

 確かにこれは決定打になるような弱点ではないが、それだともう何も言うことはない。

 

 防御特化型で他の能力は低めだといえばそれまでだが。そもそもレヴィアは基礎ステータスがかなり高めだ。これは弱点とは言わない。

 

 よくわからず頭を悩ませていると、楯無はちょっと簪の方に視線を向けてから、耳元に顔を寄せてきた。

 

「・・・もっと精神的な弱みのことよ。嫌がらせに使えそうな」

 




楯無流嫌がらせ術の全てを耐えきるレヴィア。

だてに耐久力特化型ではありません。
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