時間はかかるかもですが、宜しくお願いします。
では、梨々花ちゃん短編どうぞーー
「みんな、元気にしてたか?」
『先輩!』
北宇治高校を卒業してから、一年と数か月が経ったとある夏の日。
僕は、差し入れとしてアイスの入ったケースを持って北宇治高校に顔を出していた。
「ほら、差し入れーみんなの分あるから。ゆっくり選べ~」
『ありがとうございます!』
僕が持ってきたアイスはあっという間に無くなった。
みんな、持っていくのが早い事で…
「拓哉先輩~」
「梨々花、どこ行ってたの」
「私、部長なんで忙しいんです」
久美子達が卒業し、部長となった彼女は不満そうな表情を浮かべてそう言ってきた。
「先輩に会えなくて寂しがってましたよ」
「ちょっと奏ー!」
副部長になった奏ちゃんに告げ口をされて怒る梨々花。
「あはは、そっか。寂しくさせちゃってごめんな」
僕は、彼女の頭を撫でる。
「いいですけど…」
梨々花はそう言いながらも、どこか満足そうな表情を浮かべていた。
そんな僕達を見て、二年生と一年生は噂話をしていた。
「お兄ちゃん!」
「さつき久しぶり!」
僕を見つけて、さつきは飛びついてきた。
市内に住むようになってからは、さつきと会う機会は限りなく減ってしまったので、こうして会うのもなんだかんだ一か月ぶりだった。
「大きくなったね」
「うん!」
入学してきた頃と違い、さつきは最上級生らしくなっていた。
「拓哉さん、久しぶりです」
知ってる子が減ったと言っても、まだまだいる吹部。次に声を掛けてきたのは、沙里ちゃんだった。
「サリーちゃん、久しぶり。頑張ってるって梨々花から聞いてるよ」
「本当ですか!嬉しいです!」
「クラは僕らの世代から安泰だね」
「そんな事ないですって」
「サリー先輩のあんな姿見た事ない…」
サリーちゃんの変わりように、一年生の後輩が困惑していた。僕の事を知らない後輩達だから、無理もない。
「ちょっとちょっと!拓哉先輩、私の事忘れないでください~」
「はいはい、梨々花の事は忘れてないよ」
ほんの合間の休憩時間が過ぎて
「では、練習を始めますが、その前に」
滝先生の言葉で、僕は先生の隣に立つ。
「関西大会まで、特別コーチとしてきてくれた鈴木拓哉君です。私の元教え子で、今は音大生です」
「鈴木君には、ダブルリードとクラをメインに指導をしてもらいます」
滝先生がそう言うと、二つのパートから歓声が起こった。
「では、鈴木君」
「はい、一年生の皆さんは初めまして鈴木拓哉です。滝先生の元で二年間指導させてもらいました。オーボエとクラをメインに指導させていただきますので、よろしくお願いします」
そう自己紹介をすると、拍手が沸き起こる。
さつきは、凄く自慢したいオーラが出ていた。ここは我慢するんだぞ
「では、早速ですが、全体での練習を始めましょう。よろしいですか鈴木君」
「もちろんです」
こうして、久しぶりの滝先生の指導をこの目で見るのだった。
=ダブルリードの会=
「お待たせ」
「遅いです!」
クラの指導を終えて、ダブルリードの方に来ると、待ってたと言わんばかりに梨々花に抱き着かれた。
「ごめんごめん…えるちゃんも駿河ちゃんも久しぶりだね」
「はい、久しぶりです!先輩!」
「お元気でしたか!」
「それはもちろん!」
後輩である二人に挨拶を交わして、新しく入った一年生達にもさっきよりも詳細な自己紹介をした。
「りりりん先輩、鈴木先生と付き合ってるんですか!」
「そうだよ~かっこいいからね~」
「辞めてね?」
「は~い」
僕の言葉を聞いて、梨々花は大人しく引いてくれた。
その後、ダブルリードの指導をこなして、この日は練習終わりとなった。
「久しぶりに来るといい物ですね」
「鈴木君、今日、凄く楽しそうでしたね」
「こうして教えるのも悪くないなって思いました」
「そうですか。剣崎さんが校門で待ってると言ってましたよ」
「ありがとうございます」
「鈴木君と剣崎さんの関係にあれこれ言うつもりはないのですが、剣崎さんが学生というのは忘れないでくださいね?」
「もちろんです。僕は、今の吹部を全国金に導くために来たんですから」
僕がそう言うと、滝先生はにこりと笑った。
先生に挨拶をして、校門に急いで向かうと身体を校門に任せていた彼女が居た。
「お待たせ」
「拓哉~」
梨々花は、僕が声を掛けると駆け寄ってきて、抱き着いてきた。
「まだ学校だよ?」
「誰も見てないですって~」
学校内では、先輩と後輩の立場で行こうと話していて、二人きりの時は呼び捨ての関係になっていた。
「と言っても誰が見てるか分からないよ?」
「既に知ってる子が居るので、今更なのです」
「それもそっか」
さつきや奏を中心に、僕達の関係は広まっていた。
そして、梨々花はスマホを操作して画面を見せてきた。
「次のお盆休みここに行きたい~!」
彼女が見せてきたのは、京丹後にある海。『琴引浜』
鳴き砂として有名な海水浴場。最近は保全活動もあって鳴きやすくなってるんだとか。
「電車で3時間なら…車で行った方が良さそう」
「免許取ったって言ってたもんね」
そう言う梨々花は、物凄く楽しそうに話していた。
そして、やってきたお盆休み。
「夏紀、車出してもらってごめんな」
「いいって。私も海に行きたいって思ってたし」
お盆初日、車で行くなら、大人数で行った方が良いとなって、夏紀、さつき、奏ちゃんの三人を誘っていく事になった。
他にも誘ったんだけど、生憎予定が合わなかったのである。
「どうですか~?似合ってますかね」
僕の前に現れたのは、黄色のビキニに身を包んだ彼女の姿だった。
「先輩~梨々花ったら、頑張って選んでたんですよ」
隣から赤い水着を着た奏ちゃんがそう告げ口をしてくる。
「もう奏~!」
奏ちゃんにそう言いながら怒る梨々花。
そんな二人のやり取りを見て、クスっとなる。
「奏ーその二人をほっといて行くよー」
そして、遠くから奏ちゃんを呼ぶ夏紀と、こっちに手を振るさつきの姿が。
「はーい、行きますよー」
そして、奏ちゃんは二人の元に行く。
「それじゃあ~行きますか~」
梨々花ちゃんに手を握られて、僕は彼女の言いなりのようにされる。
「本当に鳴いてる~」
「本当だ」
彼女が砂浜を踏む度に、足元からはキュッキュッと音がしていた。
その後、梨々花と砂浜で遊んだり、海でいっぱい楽しんだ。
その帰り道。行きは夏紀が運転してくれたので、帰りは僕が運転をする。
「さつき、寝てるよ」
「いっぱい遊んでたもんね」
「梨々花ちゃんも楽しかった?」
「はい~!いい思い出が出来ました!」
梨々花はそう言って、夏紀にスマホを見せていた。
恐らく、テントの中で休んでいた時に撮った写真を見せているのだろう。
夏紀が「私にもちょうだい」と言っていた。
「拓哉にも後で送っておきますね~」
「うん、ありがと」
そんなこんなで彼女との夏の思い出は過ぎていった。
この小説を読んでくださってる方で、琴引浜を知ってる方ってどれぐらいいるんですかね。
個人的には、結構知られてる方が多い印象です。
因みに、作者はコロナ前に朝4時に起きて兵庫から毎年行ってました。
懐かしい思い出です。2019年より前に比べたら鳴くようになったと聞いた事があるんですけど、今はどうなんでしょうかね。
さて、話は変わって次回は晴香先輩です。その次はみぞれちゃんか香織先輩の予定です。みぞれちゃんは話の構成に手間取ってるので時間かかるかもです。
余談ですが続きはないです。梨々花ちゃんの小説書いてるのでね、梨々花ちゃんは見たい方はあっちの作品をどうぞ。メインはそっちです。