恋人同士な二人のある日常を描いた内容、もしよければ!
本作はpixivにも投稿してます。
こうして機械いじりをするのは、やはり好きだ。
「回路の一部が壊れているな。これは、別の部品に交換するか」
俺は自宅でハロの修理をしていた。
テーブルの上には沢山の細かい部品と分解したパーツがある。
コンピューターで図面を確認しながら、壊れている回路も修復した。これで多分、問題はないはずだ。
「……ふふ」
モビルスーツのパイロットよりも整備員の気分だ。案外そっちの方が向いているかもしれない、なんて事を考えていると──
「何だか楽しそうね、アスラン!」
鈴の音のような、小鳥の囀りのような愛らしい声が聞こえた。
今はここで一緒に暮らしている──大切な恋人。彼女は興味津々そうに傍に来て、俺の作業を眺める。
「あたし、そんなアスランも大好きよ。夢中になっているところも可愛いもの♡」
「機械を触るのは昔から好きだったからな。ミーアのためにも、この子は早く直してあげたいしな」
ゆったりした部屋着姿の、桃色髪の可憐な恋人のミーア。
平和になった世界で、俺と彼女は一緒に暮らしている。
ミーアに見守られながら修理を進めて、残りはあと少しだけだ。
修理したパーツを取り付けて、外側も組み立て直す。
「ねぇ? また動いてくれるかしら」
ハロの見た目は球体型のシンプルなロボット。これでも自分で動くことも出来て、簡単な会話だって出来る。それに見た目にも愛嬌がある。
修理が終わったハロを見て、ミーアは俺に尋ねた。
「心配ないさ。あとは電源を入れれば──」
電源をオンにする。暗くなっていた二つの目に光が灯って、ピクリと左右に動く。
けれど、それから動きが止まってしまった。
「……おかしいな。確かに直したはずなんだが」
また確認しなおそうとした、ちょうどその時。
「ハロ! ゲンキゲンキ!」
声とともに元気よくハロは跳ね出した。
「また動いてくれた! あたしのハロっ!」
花みたいに眩く、ぱあっと喜ぶミーア。
ハロも彼女に気づいて、耳のようなハッチをパタパタ羽ばたかせて飛びついた。
「ハロ! オハヨウ! ミーア!」
「くすっ、おはよう。お寝坊さん」
ぎゅっとハロを抱きしめるミーアの姿。好きなぬいぐるみを抱く少女みたいで、凄く愛らしい。
ハロの色はミーアの髪と同じピンク色だ。ほんの少しだけ、ある光景が重なってしまう。
「ラクスさまも同じ色のハロを持っていたから。一緒にいると、いつもよりラクスさまそっくりじゃないかしら?」
プラントの歌姫で、以前は俺の婚約者でもあったラクス・クライン。ミーアはそんな彼女の影武者をしていた。
影武者をする必要がなくなった今も、もう一人の歌姫として活躍していて、俺もそんな彼女を応援している。
「確かに似ているかもしれない。でも──」
彼女の前髪を少し掻き上げて、気持ちを伝える。
「君は君で、俺の大切な恋人だ。代わりなんているものか」
「そう言ってくれると、嬉しい」
見つめ合う俺達。良い雰囲気ではあったけれど……。
「アスラン! ゲンキ!」
今度は俺の方にハロが飛んで来た。
「うわっ!?」
ミーアに気を取られていたせいで、突然のハロに驚いて尻もちをついてしまう。
「もうっ! アスランをびっくりさせないの」
頬を膨らませながらハロをキャッチするミーア。それから起き上がる俺に声をかける。
「痛くなかった? 大丈夫?」
「みっともない所を見せてしまったな。特に怪我はしてないから、心配しなくてもいい」
またミーアが抱いているハロ。悪気がないようにきょとんと俺を見ていた。
そんなハロを見て、俺はふと呟く。
「このハロは、まだミーアがラクスの代わりになっていたときに贈ったものだった。
君に始めてプレゼントしたハロ、今でも大切にしてくれて……嬉しいな」
こうして修理を頼んでまで大切にしてくれるミーア。
俺の言葉に彼女は当然のように笑うと。
「大好きな人からのプレゼントだもの。だからずっと、大切にしたいから」
愛おしくハロを撫でながら、そう答えてくれた。
(見た目はラクスと似ていても、俺の作ったハロをここまで喜んでくれるのはミーアだからだ)
堪らなく愛おしくなって、俺はハロごとミーアを抱きしめる。
「アスラン?」
「俺もミーアが大好きで──大切にするとも」
抱きしめて愛する人の存在を強く感じられる。彼女も同じ気持ちで、俺に言ってくれた。
「分かっているわ、アスラン。あたしのこと……これからも大切にしてね」
俺はもちろんと答えて、口付けを交わす。
柔らかい唇からも伝わる愛情。これが俺とミーアの、日常の一場面だ。