100万のウルサス軍に対抗してみた。by.マンネルヘイム   作:チト 熟練見張員

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プロローグ

「良い人生だった。」

 

1951/1/27

天気:雨天

スイス・ローザンヌ州立病院。

 

病室の窓辺からは、遠くレマン湖の鈍い光が見えた。湖面を渡る冷たい風が、裸の街路樹を揺らし、時折小枝がガラス窓を叩く。外の喧騒は遠く、病室には時計の秒針と、弱々しい呼吸の音だけが刻まれていた。

白いシーツの上に横たわる老人が一人。

 

その名は、カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム。

無所属、第6代フィンランド共和国大統領。

 

そして何より、フィンランドが誇る最大の英雄であった。

 

枕元の灯りに照らされた彼の顔は、歳月の重みを刻み込まれていた。痩せた頬、深く刻まれた皺。それでも青い瞳はまだ鋭く、若き日の軍人の気概を思わせた。ベッド脇に置かれた軍刀の柄を目にすると、彼はかすかに口元を緩めた。長き戦いの象徴が、いまも彼のそばにある。

 

「ロシアの騎兵として始まった軍歴……あれも遠い日のことか。」

 

弱々しい声で、彼は自らの半生をなぞる。

帝政ロシアの騎兵将校として、シベリアの荒野を駆け抜けた日々。日露戦争で硝煙にまみれ、血と汗に染まった馬上の戦い。あの経験がなければ、後に祖国を導くことはできなかっただろう。

 

そして――。

 

1917年、ロシア帝国の崩壊とともに、彼の運命は大きく転じた。祖国フィンランドは独立を宣言し、内戦が勃発。白衛軍の総司令官として立った彼は、激烈な戦いの末、共和国を守り抜いた。あの冬の寒気と、赤く染まった雪原の光景は、いまも瞼に焼き付いている。

 

「そして、冬戦争……。」

 

1939年。ソ連軍百万の侵攻を、わずか二十五万の兵で迎え撃ったあの戦役。凍てついた森に築かれた要塞線――マンネルヘイム・ライン。

数で圧倒されながらも、一歩も引かぬ兵士たちの士気こそが、彼の最大の誇りだった。結果は痛み分けに過ぎなかった。だが、あの抵抗は世界に衝撃を与え、小国フィンランドの名を地図に刻んだ。

 

窓の外では雪がちらつき始めていた。白い結晶が舞う様子を、彼は静かに見つめる。

 

「フィンランド…か。皆、なにもかも懐かしい…………」

 

その言葉は、もはや誰に向けたものでもない。だが確かに、彼の心の底から湧き出た本音だった。

やがて体力は尽き、瞼は重く落ちていく。英雄と呼ばれた男も、寿命には抗えない。

 

――そして2月4日。

 

その死の報は瞬く間に国を駆け巡り、フィンランド中を震撼させた。

ヘルシンキの街路には喪章をつけた人々があふれ、凍える風の中で涙をぬぐった。共和国議会の議員たちも、軍の将兵も、農村の老女も、誰もが彼の名を口にした。彼が愛したフィンランドの大地と人々は、心から彼を悼んだのである。

 

国葬の日、兵士たちが整列し、冷たい空気を震わせるラッパが鳴り響いた。白雪を踏みしめる行進の音とともに、国旗に包まれた棺はゆっくりと運ばれる。沿道の群衆は息をのんで見送り、すすり泣きが風に混じった。

この国土を守り抜いた将軍。

「最も偉大なフィンランド人」として後世に語り継がれる男。

マンネルヘイムの人生はここに幕を閉じた。

だが、彼の遺したもの――独立国家としてのフィンランドの礎は、今なお強固に生き続けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1076/11/9

天気:吹雪

ウルサス帝国・北部雪原

 

「…………………Perkele(ちくしょう)…」

 

 

背の高いサルカズの女が、雪原の真っ只中に立っていた。

雪がしとしとと降る、暗い冬の夜の話である。

小説の読者層を調査したいのですが…

  • プリースティスに脅されて…
  • 一般通過ミリヲタor歴史ヲタ
  • ドクターだし歴史も好き
  • チャリで来た(未プレイ、未履修)
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