100万のウルサス軍に対抗してみた。by.マンネルヘイム 作:チト 熟練見張員
アールネ
「おーい糞新兵ども!!俺様が教官になったからには、その腑抜けた体を扱きに扱いてやるからな!!まずは、百発万中を目指して射撃訓練だ!!泣いたり笑ったりできなくしてやるぞ!!」
マンネルヘイム
「あそこで物理的に不可能な事言ってる頭のおかしい予備役は誰かね?」
エイノ
「……私の……兄です…」
マンネルヘイム
「では、その隣で指示を完璧に再現している頭のおかしい猟師は誰かね?」
エイノ
「……兄の部下の…ヘイヘさんです…」
マンネルヘイム
「じゃあ、その隣に駐機してあるキルマーク数が頭おかしい機体の持ち主は誰かね?」
エイノ
「……私……です…」
マンネルヘイム
「お前ら怖」
私が村長になって、何度目かの冬が訪れた。
村はすくすくと成長していっている。
昨年、私の肝入りの計画であった水道管の工事が竣工した。
これにより、村の家々には水洗トイレと水道が使えるようになった。
もともとは小さい村だったが、今や上下水道完備の生活水準は一気に上昇した。
我ながら、いい仕事をしたと自負している。
やはり、自らが計画したものが形となり、想定どうりに動いている様を見るのは、実に気持ちがいい。
叶う事なら、マンネルヘイム線でもこういう事がしたかった。だってあれだぞ?マンネルヘイム線って、使われたコンクリートの最終総量がヘルシンキのオペラ座より少ないんだぞ?鉄壁のマンネルヘイム線(人力)とか、ハッタリ効かなかったら割と祖国終わってたわ。
あの時代に比べれば、今世はなんと穏やかなことか。学校の先生も交代してもらったし、過労状態から解放された私は今、充足感に満ちている。目の光も戻り、肌つやも良くなった気がする。隠居した爺さんからは「身だしなみに気をつけよ」と小言をもらうが、さすがにスカートは勘弁願いたい。生憎、私はスコットランド人ではないのだ。
「どれ、少し散歩にでも行こうかね…」
曇りがちなウルサスでは珍しい快晴だ。こんな気持ちのいい日に外を歩かないのはもったいない。私はコートを羽織り、部屋を出ようとした――そのとき、廊下を走る足音が聞こえ、ドアが乱暴に開いた。
尋ねてきたのは、何やら深刻そうな表情で顔を青くしている、住人の一人だった。
「村長!!大変です!!」
「なんだ?誰か骨でも折ったか?」
「それがーーー
村の広場に、ウルサスの監視隊がッ!!!」
ーーーーーーーーーーーーー
「オラァ!!」
「きゃああ!!」
家から火の煙が立ち上り、辺りに人溜まりができる。
燃え盛る家の前では、ウシャンカを被った軍人達が抵抗する男が取り押さえていた。隊長らしい男が集まった村人たちを振り返り、大声をあげる。
「お前ら、感染者を匿っていたとは、どういう了見だ!!」
「この神聖なるウルサスを汚すつもりか!!」
「この村は大罪を犯した!!」
住人たちの間に動揺が広がる。この村はウルサスの北、雪深い森の奥にある小さな村だ。正規軍どころか行商人でさえ滅多に立ち寄らない。そんな村にいきなり監視隊が現れたのだ。
「何事だッ」
騒然とする広場に、マンネルヘイムが走ってきた。
「村長っ!!」
「村長さん!!大変だ、レガソフの旦那が!!」
「………村長だと?」
マンネルヘイムは、監視隊の隊長とおもしき男の前に立つ。
監視隊の男は、ウシャンカに黒い外装を着込んでいる。
マンネルヘイムは、薄い灰緑の軍服を身に纏っていた。
監視隊の隊長は、舐め回すような目*1でマンネルヘイムを見ながら、軽蔑を込めて問いかける。
「我々は、偉大なるウルサス帝国の監視隊だ!!貴様がこの村の村長か?」
「…いかにも、私がこの村の村長だ。」
マンネルヘイムは、毅然とした態度で応えた。
「お見受けするに、我が村の住人を連行していくところと見えるが?」
「そうだ!!この村は、感染者を匿っていた。感染者も、それを匿う裏切り者達も、皆等しく罰を受けなければならない!!」
「それは、どういった法的根拠で?」
「?何を訳の分からぬ事を……法的根拠も何も、我々が法だ。」
監視隊というのは憲兵のような、チェーカーのような組織らしい。政治将校相手に議論を挑むなど、気が重い。マンネルヘイムは、村長職を安易に引き受けた自分を少し後悔した。
「彼をこの村から連れ出すことは、許可できないな。」
「なんだとォ?」
「彼はこの村の教師だ。彼がいなくては、この村の子供達は教育を受けられなくなってしまう。それは、ひとえにこの国に義務教育という、大国であれば当然行って然るべき制度が未だ未完全である所為だが。」
「何ッ?」
あやべ、最後皮肉が漏れてしまった。
我ながら気が緩みすぎだ。
「それは、偉大なるウルサス帝国政府への侮辱か!?」
「………そうは言っていない。ただ、せっかく雇った教師を連行してくなら、国家として最低限の保障くらいしろと言っているのだ。例えば、彼以上に優秀な教員を派遣していただけるのなら、我々も謹んで彼を引き渡そう。ただ、それができんというのであれば、少しくらい融通してくれてもいいのではないかね?」
「サルカズの分際で貴様っそれは私に命令しているのか?!」
「まさかまさか、ただ監視隊の皆様方とは今後とも有意義な協力関係を結べればと…」
「話にならんっ!!」
監視隊の隊長は話を切りあげ、腰に下げていた剣を抜いた。
住人達にどよめきが広がる。
「………。」
「貴様は偉大なるウルサス帝国を侮辱した!!第一、感染者の逮捕が我々の任務であって、村の教育どうのこうのは我々の知ったことではないッ!!それ以前に、感染者を匿っていたこの村に、どうして我々が気にかけねばならんのだ!!むしろ存在自体が罪であるに等しい!!!」
マンネルヘイムは相手が理性的に会話できる人物だと見なしていたのだが、その目論見は瓦解していた。剣が抜かれた以上、論戦は望めない。腰の手が止まる。政治将校相手に手を上げるのは面倒だ──そんな逡巡が、マンネルヘイムの腕を鈍らせた。
「はぁ………………
今一度言う。彼を置いて、村から立ち去れ。」
「喧嘩を売る相手を間違えたなッ!!」
ぐしゃり
監視隊が振り下ろした剣先は、マンネルヘイムの肌を切り裂きながら進む。
鮮血の赤が舞った。
<登場人物紹介>
監視隊
偉大なるウルサス帝国の治安を守る、正義の組織
偉大なるウルサス帝国の治安を乱す感染者達と日夜死闘を繰り広げている
ウィシャンカ帽を被り、ガスマスクを被っているのがチャーミングポイント
偉大なるウルサス帝国なので共産主義者ではない。
村長(前任)
仕事から解放され、老後を楽しんでいる隠居中のウルサス
最近の楽しみは新しくでき娘(?)を可愛がることと、村の周りを散歩すること
頑なに過去を語りたがらないが、倉庫に何か隠してるらしい
共産主義者ではない。
小説の読者層を調査したいのですが…
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プリースティスに脅されて…
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一般通過ミリヲタor歴史ヲタ
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ドクターだし歴史も好き
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チャリで来た(未プレイ、未履修)