100万のウルサス軍に対抗してみた。by.マンネルヘイム   作:チト 熟練見張員

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今作のタイトルって、『100万のウルサス軍に対抗してみた。by.マンネルヘイム』なんですけど、これ名前変えた方がいいですかね?割と深夜テンションで考えたタイトルなんですよ。

『テラに蒼十字はたなびいているか?』とか『元帥閣下が白と言ったら、黒土もそのうち白になる』とか、もっとウケ狙いのタイトルにした方がいいのか、或いはもっと真面目にタイトルを考えるべきでしょうか…

誰かいい案ないですかね…


第四話 君死にたまえ

ーー長い時間が過ぎたのだろうか

 

ーーずっと寝ていた感覚に似ている

 

ーー暗い意識の底で、誰かが呼びかける声が聞こえた

 

 

 

(……よ…)

 

 

「………」

 

 

(ま………むよ…)

 

 

「…んぅ……」

 

 

 

 

 

 

(マンネルヘイムよ!!)

 

 

「…………んん?私は一体…」

 

 

猛烈な眠気の中で、マンネルヘイムは半ば朦朧としながら声の主に応じる。辺りは暗く、視界すら怪しい。だが妙に聞き覚えのある声が響いた。

 

 

(マンネルヘイムよ、今朕は貴公の精神に直接語りかけている…)

 

「精神に……ここはどこだ?」

 

(ここは精神世界だ)

 

「精神世界…なんともファンタジーな」

 

 

今更である。

 

 

(異世界に行った上に、性転換して熊族(ウルサス)の村長やってるお前に言われとうない…というか、前世だって10万で100万の大軍を打ち負かすのだって、なかなかにファンタジーだったぞ?)

 

「それを指摘されては、ぐうの音も出な………待て、なぜ私の前世を知っている?」

 

 

こちらの世界(アークナイツ)では知り得ない自らの経歴を知る声の主に、目が覚める。

自分の過去などこの世界では知られようがないはずだ。

私は声の主に警戒心が高めた。

そもそも、自分はさっきまで村で監視隊と口論になっていたはず…

だが、声の主はまるで自分が考えていることを見透かしているかの様に、それに応えるかのように先周りする。

 

 

(その事について今詳しく話してやってもいいが、生憎今の貴公にはその余裕はないぞ)

 

「……」

 

(そう警戒するな、朕は貴公にアドバイスをしにきたのだ。)

 

 

 

私は怪訝な顔をする。

アドバイス――今の状況とは、監視隊がレガソフ(新人教師)を連行しようとしていることか、それとも自分が剣で斬り倒されたことか。

 

 

(両方だ。幸い今の貴公には状況を覆すだけの力が備わっている。)

 

「……生憎こちらにきてから体は鍛えていないのだが?」

 

(こちらに世界に来た時に授かった貴公のアーツが、状況を打破するであろう。)

 

「アーツ?」

 

(念じるのだ、己自身に。そして全てを委ねよ。さすれば、己は己自身に力を与えるだろう…)

 

「あ、待て!どこに行く!?」

 

 

声の主は遠ざかっていった。

暗闇に一人取り残される。

 

 

「アーツ?アーツだと?Perkele(ちくしょう)

 

 

怪しさは極まれり。

アーツ?とかいうのもよく分からないし、そもそもここどこだよ、って話である。

だが、他に手立てもない。

理由はよくわからないが、実際ここから出るには言われた通りにやるしか無いようだ。

ならば、大勢の命を預かる村長である以上腹を括るしかない。

 

 

「己自身に全てを委ねる…か」

 

 

とは言ったものの、具体的にどうすればいいのやら

 

具体的にどうすればいいのか分からないまま、曼陀羅でも描くように瞑想じみた姿勢をとる。すると――視界に文字が浮かんだ。

 

 

<システム警告>

 

<HPが一定値を下回りました>

 

<一時的にオートクルーズに切り替えますか?>

 

 

なんだこれ、と目を凝らす間もなく、

 

………

………

 

 

 

<loading…loading…>

 

<意識の移譲を確認しました>

 

<オート戦闘へ移行します>

 

<I HAVE CONTROL>

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

突如村へやってきた監視隊たちは、感染者を見つけるや否や逮捕。

家を特定して、火を放った。

騒ぎを聞きつけた村の村長は監視隊の前に立ち塞がり勇敢さを見せたが、それは結果として監視隊の怒りを買うことになった。

 

 

「コイツ、威勢が良かった割になんの抵抗もできずにやられたぞ」

 

「はっ!口ほどにもない、サルカズのクソ●ッチめ」

 

 

抵抗することなく斬られた村長は鮮血を散らし、のけぞる様に倒れた。

監視隊の一人がだくだくと赤黒い血で雪を染めていく村長の前に立ち、思いっきり蹴飛ばした。

 

 

「村長っ!!」

 

「グスタフさん!!」

 

 

村長の体は近くの小屋に壁に当たると、村長はぴくりとも動かなくなった。

冷たい風が、倒れ伏した村長の頬を撫でる。
地面に血が染み込み、ゆっくりと広がっていく。

監視隊の一人が笑いながら、剣の血を拭った。

 

 

「また感染者を匿っていないか、これからはこの村にも定期的に監査に来てやろう。
これはその罰として、徴用していく!」

 

 

そう言い放った監視隊の隊長は、肩に掛けた毛布をひらりと翻しながら笑った。

 

 

「まさか、こんな辺境でこんなに蓄えていたとはなぁ」

 

 

彼の目は、倉や納屋の影に隠された米袋や干し肉、保存用の根菜をひとつ残らず見逃さなかった。部下たちは無言で荷車を押し、次々と物資をかき集める。

荷車には監視隊が村から巻き上げた酒や食料が、積み込まれたいた。

 

 

「いいタカリ先が見つかってよかったぜぇ、なぁ?」

 

 

隊長は冷たく笑い、袋を裂いて中に入っていたリンゴを鷲掴み、齧り付いた。

溜め込まれていた食料は、酒や果物の他にもこの冬を越す為に備蓄されていた麦や芋もあった。

後に残ったのは、空になった倉と、寒さに縮こまる村人たちの沈黙だけだった。

隊長の呟きが風に乗る。

 

 

「はっ、これでしばらくは苦労しなさそうだ」

 

 

住人たちは何もすることができず、ただ黙って見ている事しかできなかった。

恐怖で動けなくなっていた。

その様子を流し目で見ながら、監視隊の一人が口元を歪ませた。

 

 

「いいタカリ先が見つかったぜ」

 

 

「これからは、麦の一粒に至るまで徹底的に搾り取ってーーーー

 

 

 

 

その声が、途切れた。

 

 

どさっ。

 

 

男の首が胴体から離れ、ゆっくりと雪の上を転がった。

誰も何が起きたのか、理解できなかった。

 

 

 

「……?おい、どうし……は?」

 

「なぜ首が刎ねられて……」

 

 

血の軌跡を伸ばしていた首は、体調の足元まで転がり止まった。

その首の虚な目が隊長と目が合い、初めて何が起こったのかを理解した。

 

 

「*サルカズスラング*!!どうなってやがる?!」

 

 

マンネルヘイムの身体が、立ち上がっていた。

だが、その姿は異様だった。

血に濡れた制服の隙間から、青白い光が漏れ出ている。
その瞳は虚ろで、焦点が合っていない。
まるで、人形が糸で操られているように、ぎこちなく腕を持ち上げる。

 

 

「サルカズのッ……貴様死んでいなかったのか!!バケモノめ!!」

 

 

隊長は再び鞘から剣を抜き、村長に構える。

部下たちも慌てて、クロスボウなどを村長に向けた。

 

村長は物言わぬ肉袋となった元同僚の隣を通り抜け、おぼつかない足取りでゆっくりと隊長に近づいていく。

 

 

『…………本当に残念だわ』

 

 

誰の声ともつかぬ声が、彼女の口を通して発せられた。

その音は金属の擦過音のように無機質で、凍てつく空気を震わせる。

 

 

 

 

 

「ッ!! 撃てっ、撃てぇ!!」

 

 


引き金が引かれ、クロスボウから矢が村長へと放たれる。
弓の軋む音が広場にこだまし、雪煙が舞い上がる。

 

だが、真っ直ぐ飛んでいった矢は――当たる寸前ですべて弾かれた。

マンネルヘイムの周囲に黒い破片の様な“何か”が、いくつも浮かび上がっていた。黒い原石を思わせる不揃いの破片が村長の周りを回転し、放たれた矢やナイフを霧散させる。彼女の髪が無風の中、逆立つように浮き上がった。

 

 

『……“繭籠(まよごもり)”』

 

 

その言葉とともに、地面が固まり始めた。

監視隊の足元から一瞬にして原石が雪の中から這い上がり、脚を絡め取る。

抵抗する間もなく、彼らの動きは止まった。

 

 

「ひっ……!? は、離れねえ!!」

 

「何だこれは!? アーツ!? アーツだと!?」

 

「くそ、貴様も感染者か!! 俺たちを――」

 

 

言葉の途中で、彼の身体が弾けた。

霜が爆ぜるような音とともに、原石の破片で傷付いついた兵士の上半身が粉砕される。

残った半身が雪の上に落ち、粉雪のように砕け散った。

 

 

『……“塵埃(じんあい)”』

 

 

その一言が響いた瞬間、原石の吹雪が巻き起こる。
空気そのものが凍り、視界が白に包まれた。

監視隊の一人が、恐怖で銃を落とした。
霜焼けの指先を震わせながら、叫ぶ。

 

 

「ひぃ!?たっ退避だッ! 退避ィィ!!」

 

 

どさっ。

 

 

男の身体が、背後から飛んできた原石の破片に貫かれた。
原石は貫通したまま、彼を壁に縫いとめる。
破片が雪面に落ち、チリチリと音を立てて消えた。

 

 

「我々にぃッ!!監視隊に手をあげたら最後、この村がどうなるか分かっているのか!?この村は」

 

 

もう誰も動けなかった。

逃げようとする者、祈る者、泣き叫ぶ者。

その全てを、彼女は哀しげな目で見つめていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

目の前で仲間が、ひとり、またひとりと消えていった。
叫び声もなく、足音もなく、まるで世界から“削除”されるように。
肩が触れた瞬間に消える。雪の上に落ちる音すらない。
ただ、風だけが残った。

 

 

<逃げろ!!>

 

 

誰かがそう叫んだ。だが、どこに逃げる?
白い霧に包まれたこの広場には、もう出口なんてなかった。
空も、地面も、何もかもが凍りついたように静まり返っている。

息を吸うたび、肺の中まで冷たくなる。
声を出そうとしても、喉が凍って動かない。


あの女――いや、“それ”がゆっくりと歩いてくる。

 

雪の上に、足音はなかった。
それでも、確かに近づいてくる気配だけは、肌で分かった。
視界の端が青く染まる。光が揺れ、風が凍り、音が死ぬ。
仲間の残した剣が、ひとりでに凍りつき、粉々に砕けた。

 

俺は後ずさった。
うまく足が動かず、何かに躓いて尻餅をついた。
冷たい雪が制服の中に入り込み、背中を這い上がる。
体は動かない。指先が震える。目の前の世界が、妙に静かだった。

視線を上げる。


そこに――彼女がいた。

 

血に濡れた髪が、風もないのにゆらりと揺れている。
頬を伝う氷の雫は涙のようで、青白い光を映していた。
その表情は穏やかだった。悲しそうで、優しそうで、まるで―――

 

 

「……ばけ……もの……」

 

 

声にならない声が漏れる。
彼女は何も答えなかった。
ただ、ほんの少しだけ首を傾け、目を閉じた。
そして、唇がかすかに動いた。

 

 

『…………貴方たちの魂に、せめてもの安らぎを…』

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

<オート戦闘が終了しました>

 

<スリープモードに移行します>

 

<良い1日をマンネルヘイム様 :)>




<登場人物紹介>

謎の声の人

マンネルヘイムの脳内に住む
尊大な物言いに、聞き覚えのある声らしい
共産主義者ではない。


オート戦闘モードさん

圧倒的アーツ力
誰もそこまでやれとは言ってない。

小説の読者層を調査したいのですが…

  • プリースティスに脅されて…
  • 一般通過ミリヲタor歴史ヲタ
  • ドクターだし歴史も好き
  • チャリで来た(未プレイ、未履修)
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