龍神の子は貴族令嬢の従者となる   作:尖兵

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これから物語が始まっていきます。失踪しないよう頑張りたいです。


第一話 降臨

 レヴィアは父である龍神に見送られながら、世界へと降り立った。そんな彼が降り立ったのは山の奥地であった。辺りは木々に囲まれており、知的生命体がいるようには到底思えないような場所だった。

 

「ありゃりゃ、いきなり山でしたか。せっかくなら何もかも分からない方が楽しいと思って完全にランダムな場所に降り立ったのは間違いでしたね。それはそうと、この山にある生態系はどんな感じ何でしょうか!楽しみです!」

 

 レヴィアは人とはすぐに会えないことに落胆はしたものの、実際に始めてみる、山の自然にもの凄くテンションを上げていたのだ。そうして彼は嬉々として山の散策に出かけた。

 

 レヴィアは知るよしもないが、彼が今いるのはラーレスト大陸である。そのラーレスト大陸において一番大きな山脈、クリスティア山脈とよばれる場所であった。この山脈には多くの魔物が生息しており、その中には強大な力をもつ魔物も居るとされている。そのため数多く生息している魔物のせいで文明が入る余地はなく、未だ未開の地とされている。

 

 そんな山をレヴィアは、場違いな程豪華なドレス姿で優雅に歩いていた。そして周りに生い茂る木々や草花を観察したり、時折襲ってくる魔物をじっくり観察した後に撃退したりしていた。ここに生息する魔物は人類の住む街に一度出現すれば大騒ぎになる程の強さを持っているが彼はそんなことも知らずに軽々と蹴りと殴りで退けていく。

 

「そういえば、この世界に降りて魔法を試してないね。ここら辺で一発放ってみようか」

 

 この世界には龍神が創造した魔法が存在している。事の成り立ちは龍神が生命を誕生させた時に、その副産物として予想だにしてなかったエネルギーを持っていたのだ。そのエネルギーを活用する方法として龍神は魔法を創り出した。

 

 基本的に魔法は位層が高くなるほど規模や威力、効果が大きくなる。位層を判断する要素は、魔法を放つ際に生成する魔法陣の数である。位層が高くなるほど、魔法陣が多くなる。レヴィアは自身の前に10個の魔法陣を展開させるが直ぐにその魔法陣を消し去った。

 

「そういえば、この世界じゃ精々5位層の魔法までしか発見されていないんだったか」

 

 この世界の魔法には本来10位層まで存在するが、大方の種族は力を制御出来ず5位層の魔法が限界なのである。そのため今ここで10位層の魔法を発動させた場合、付近に街がないとしても、騒ぎになることは間違いないのだ。

 

「私はこの世界は楽しみたいけど、騒ぎを起こしたくはないからね。あくまでこの世界のありのままの姿を楽しみたいからね!それじゃ5位層あたりなら大丈夫かな?」

 

 レヴィアは先程と半分の数の魔法陣を展開させ、何もない天空に向かって炎の魔法を発動させた。

 

 魔法陣から発せられた炎はレヴィアが思ったよりも大きく燃えあがり、周りの山程の高さまで燃え上がったので急いで魔法の発動を辞めた。幸いなのはこれを観測した人類が居なかったことだろうか。

 

「試してみてよかった〜そういえば魔法は同じ位相でも魔力の込めるだけ威力が上がるんだった。この感じだと魔法を使う時は、魔力をなるべく込めないようにしないとね」

 

 この世界での魔法の使い方を学んだレヴィアは改めて山の探索を続けた。その後、数十日ほど山を彷徨うことになるのだが、最初は新鮮な景色と自然を楽しめていたが、流石に20日目以降は飽き始めていた。レヴィアは食事が必要ない為、命の心配はないが、それ以上に退屈で限界を迎えそうになっていた。

 

「空飛んだら直ぐなんだろうけど、元の姿に戻らないと決めたし、かといって全速力で走ったらこの山の自然が壊れるしなぁ」

 

 彼は悩みに悩んだ末に、周りの自然を壊さない程度に走ることを選んだのだ。彼にとっては出来なくはないが、精密な身体操作が求められるためかなり精神をすり減らす移動だった。側から見ればドレスを着た美少女がとんでもない速度で山の中を走っているのだが生憎、この様子を見る者はいない。

 

 そうしたレヴィアの努力が身を結んだのか、しばらくして初めて木が生えていない開けた場所へと出ることができた。そしてその少し遠くに舗装された道が見えたのだ。

 

「あれは、もしかしなくとも道だ!あの道を辿ればやっと人間に会う事ができる!!やったー!!!」

 

 レヴィアは感極まって急いで道へと向かっていく。やっと人間に会える!その気持ちが彼の足を前に進める。直ぐに道に辿り着くと、走るのを辞めてゆっくりと踏みしめながら道に沿って歩き出す。

 

「これが、道かぁ!山より歩きやすいね!もしかすると、街に着く前に人間に会っちゃうかも!」

 

そうウキウキしながら歩いていると、目の前に沢山の人間が見えてきた。レヴィアはそれを見つけると、早足になりながらその場へと向かった。

 

「初めての人間だ!あの山を出て早速とは、幸先がいいね!こんな所でたくさんの人間だなんて、街の軍隊とかかなぁ?それとも旅する劇団とかかも!」

 

 楽しそうに予想しながら沢山の人間の元へと近づいたが、レヴィアの予想は全くのハズレだった。

 

 沢山の人間は綺麗とはいえない服装をし、剣や斧を持ちながら立派な馬車を囲んでいた。そして辺りには鎧を着た人間が数人、馬車を護るように陣形を取っていた。どこから見ても、馬車が盗賊に襲われている様子であった。馬車を引く馬の魔物は殺されており、馬車側の人にとっては絶体絶命の状況だった。

 

「はぁ……最初がこれなのかぁ……」

 

 意気揚々と近づいたはいいものの、レヴィアは足を止めてしまった。流石のレヴィアといえど、この状況があまり心地のいいものではないことは知っている。しかし襲われている馬車を助けようとはしない、彼は観測者という立ち位置に長らくいた為か、これも一種の弱肉強食だという考えがあるからだ。

 

「この馬車にノックス家の令嬢が乗ってることは知ってんだよ!!令嬢を差し出せばお前らの命だけは助けてやるぜ」

 

 盗賊のリーダーらしき中年ぐらいの犬の亜人種が馬車を取り囲んでいる護衛に言い聞かせている。

 

「うーん、あの馬車の中に貴族の娘さんがいるのかな?でもあの様子だと護衛の人駄目そうだなぁ」

 

レヴィアの予想は当たってしまい、護衛の1人が武器を下ろして

 

「い、命は助けてくれるんだよな!」

「おい!」「お前!」

 

周りもその言葉を咎めようとしているが

 

「ああ、当然だ。俺たちは無益な殺生はしないからな。ほら、武器を捨てて逃げな」

 

 そのリーダーの言葉に従い、1人の護衛は武器を置き、馬車から離れていった。そして盗賊は言葉通り逃げ出した護衛には何もしなかった。それを皮切りに護衛達は1人、また1人と逃げていき結局、誰1人馬車を護り抜こうとする者は居なかった。

 

「情けねぇな!」「それじゃあ中の令嬢ちゃんをいただこうかなぁ!」

「お前ら、程々にしておけよ!それに最初は俺からだからな!」

 

 護衛が逃げ去った後、盗賊達は下品な笑いをあげながら、これからの事に思いを馳せていた。

 

「これもこの世界の一部だからね、貴族の子には申し訳ないけど先を急ごうかな」

 

もう十分だと思ったレヴィアはその場を去ろうとした。その時

 

「おい!あそこに貴族の令嬢がいるぞ!」

「いつのまにか逃げてたのか!!」

「いや、ノックス家の令嬢は黒髪の筈だぞ!」

「どっちでもいい!お前らアイツを逃すな!!」

 

 とレヴィアの元へと向かって盗賊の何人かがコチラに走り出したのだ。その様子を見てレヴィアは最初はどうしたんだろう?と呑気に思っていたが、直ぐに盗賊の目的が自分だと気付いた。

 

「多分、私は君達が求めてる人じゃないけど……」

 

「ギャハハ!そんな言い訳が通用するとでも思ってんのかぁ?」

「言いいてぇことがあるなら、楽しんだ後聞いてやるからなぁ!」

「よく見りゃ、滅茶苦茶美人じゃねぇか!コイツは早いもん勝ちだぁぜ!」

 

 盗賊達はレヴィアの言葉に聞く耳を持たず、襲いかかってくる。それが彼らにとって最悪の選択だとは知らずに。傍観者であったレヴィアに、盗賊達は敵対行動をとってしまったのだ。

 

「君達は私を害するんだね、だったら返り討ちにあっても仕方ないよね」

 

 レヴィアは魔法陣を2個展開し、そのまま雷の魔法を向かってくる盗賊達に放った。雷の魔法は、完璧にレヴィアを舐めきって突撃してきた盗賊達は避けきれず直撃する。そしてそのまま、盗賊達は気を失ってしまう。

 

「うんうん、これぐらいだと気を失わせることができるね」

 

 レヴィアは殺さずに盗賊達の気を失わせることができたことに、嬉しそうにしていたが、少し遠くでその様子を見ていた盗賊達は焦っていた。

 

「お、おい!あれって2位層の魔法じゃねぇか!」

「しかも、詠唱すらなくてアイツらを倒しやがった!」

「お、俺達やべぇんじゃねぇか…」

 

 盗賊達は、簡単に返り討ちにあった仲間を見て、レヴィアに恐怖を抱きかけていた。しかし、その空気をリーダーの犬の亜人が一蹴する。

 

「テメェら!なにガキ1人にビビってんだ!!確かにあのガキの魔法はヤベェがかもしれねぇが、俺達には魔吸石がある!!この石さえあれば魔法なんか無意味だ!!」

 

 そう言ってリーダーの男は、黒色の宝石のようなものを掲げる。それに対して、手下達は歓声をあげる。

 

「あ〜あの石って魔力を吸収する奴だっけ?でも、僕が観測してた頃は高級品だった記憶があるんだけど、安くなったのかなぁ?」

 

 レヴィアは自身の記憶では魔吸石は高級品であり、あのような盗賊が持てるような物では無かった。それを時の流れかと、考えて目の前の敵に集中する。

 

「おい!嬢ちゃん、今降伏するなら一晩オレ達と一緒に過ごすだけで見逃してやるぜ。お前の頼りの綱の魔法は使えねえから、賢い選択をした方がいいぜ」

 

 とリーダーは勝ち誇ったようにレヴィアに提案をする。それを聞いて少しレヴィアは考えると

 

「うーん…君達のこと嫌いだし、私のこと襲おうとしたから倒すね」

「は?何言って、お前は魔法をっ……ぶほっ!!?」

 

レヴィアは見えない速度で盗賊のリーダーに接近してそのまま殴り、気絶させる。リーダーが倒された、その事実を部下たちが飲み込むのにしばらく時間がかかった。

 

「えっ……兄貴?」「嘘だろ……」

「に、逃げろっ!アイツやばっ………ぐはっ!?」

 

そしてレヴィアの強さを認識し、逃げようとした盗賊たちを1人残らず気絶させていった。そして全滅させるのに数秒も掛からなかった。

 

「うん、みんな殺さず倒せたね!いい準備運動になったね。あ、そういや馬車の中にいる子無事かな?」

 

 レヴィアは馬車に近づき、馬車の扉に手をかける。すると扉には鍵が掛かっていたので無理矢理、鍵を壊しながら馬車の扉を開いた。馬車の中には綺麗なドレスを着た、黒髪の女の子が座っていた。そして彼女はレヴィアのことを驚いたような表情で見ていた。

 

「あなた…まさか外にいた盗賊を倒したの?」

 

「うん、そうだけど」

 

 簡単に答えるレヴィアに彼女は、一度考え込んだかと思うと、立ち上がり、口を開いた。

 

「私はノックス公爵家長女、ノックス=テレイナです。この度は助けてくださり深く感謝致します。もしよければあなた様のお名前を伺っても?」

 

「私の名前はレヴィア!よろしくねテレイナ!」

 

これがレヴィアとテレイナの出会いであった。




※レヴィアは生物的に見ればきちんとした雄です。当然人間の姿の時はちゃんとしたものがついてますが、レヴィアは自身の見た目が女であるが為、自分に似た人たちが着ていた服、その中でも気に入ったドレスを着ています。

次も二週間以内には続きをあげる予定です。
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