龍神の子は貴族令嬢の従者となる   作:尖兵

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今回はテレイナ視点となっております。


第三話 令嬢の内心

(とんでもないことになったわね)

 

ゴーレムが押す馬車に揺られながらテレイナは、隣で楽しそうにとても上機嫌なレヴィアを見ていた。

 

(それ程までに従者になりたかったのかしら?服装からして身分が高そうですので、そういった憧れでもあったのでしょうか)

 

 テレイナはレヴィアの今の格好を改めて見てみた。明らかに特別な素材で作られた黒を基調としたドレスに、綺麗な白銀の長髪と正反対の色、そしてレヴィア自身の女神とも揶揄されてもおかしくないほどの美貌により、一度見れば忘れられないような姿だった。

 

「ん?テレイナどうしたの?」

 

「いえ、レヴィアさんはとても綺麗だと眺めてたのです」

 

「そりゃそうだよ!私この服には結構自信があったからね!」

 

「確かに、そのドレスも似合ってますよ」

 

「ふふん!そうでしょ!」

 

テレイナの視線に気づいたレヴィアに、対してテレイナは本心を言ったが、レヴィア自身は少し内容を履き違え、今はドレスをテレイナに自慢していた。

 

(ドレスかなり気に入っているようですわね……まぁ従者とするなら、まずは服から変えないといけませんけど……それはレロンナに着いてからでいいでしょう。問題はあの襲撃ですわね)

 

テレイナはレヴィアの事もそうだが、元々レヴィアと出会うきっかけになった、盗賊の襲撃について考えた。

 

(あれは、確実に私を狙ったものでしたね。攻撃魔法の魔力すらも吸い尽くしてしまう程の魔吸石を用意できる存在となると、かなり力を持ったものだと考えられますが)

 

 魔吸石にも効力の差があり、魔法の発動に対して無効にするほど魔力を吸収する魔吸石はかなり希少で、有力な貴族ですら入手は困難な程の代物だ。そんなものを盗賊に与える程の人物となると数はかなり絞られるが…

 

(とはいえ、それでも特定することは難しそうですわね。私の護衛と順路の情報も知っていたとなると王国内の方だとは思うのですが)

 

 テレイナの護衛に着いている者は少人数とはいえ皆2位層の魔法、それも3位層に近いものが使える、優秀な兵士達だが魔法を封じれば数で押されてしまい、実際それでテレイナは窮地に陥ったのだ。ノックス家の護衛は魔法が得意な事は、この国のある程度の権力を持ったもの達の間では有名である。

 それにテレイナは公爵家の長女であり、父は国の法務大臣をしている。だからこそ、恨みを買うことも決して多くなく、それはある程度の権力を持ってものでも同じである。テレイナを狙ったという点で首謀者を絞り込むのは無理な話なのである。

 

(恐らく、魔法学園に着いても暗殺紛いなことはありますね。それこそ今日もまだ来るかもしれませんし……レヴィアさんには嫌というほど迷惑をかけるでしょうね)

 

 今しがた自分の従者になったレヴィアに、テレイナは心の中で謝罪を述べた。口に出すと、必ず何か言われるので、懸命な判断だった。

 

(それにしても、呪われた令嬢と呼ばれる私にとって、勿体無いぐらいの人物ですね。レヴィアさんの主人は本当に私でよかったのでしょうか……)

 

 呪われた令嬢というのは、ある日ノックス家の長女テレイナは呪われた子という根も葉もない噂が、プラクライス王国で広まった。ことの発端は、彼女の母である、ノックス=ダリアが、テレイナを出産してすぐに亡くなってしまったことからだ。

 さらに彼女には魔法の才があった。15歳という若さで既に3位層魔法を使えるほどに。しかし、その得意な属性が世間では不吉とされる闇属性であったことから更に呪いの子や悪魔の子であると言われる要因であった。そうしてテレイナはいつしか王国中に呪われた令嬢という噂が広がってしまった。

 

「レヴィアさん、もし私が呪われていて貴方も死ぬ危険があるとしても従者になってくれますか?」

 

 先程は迫られて、つい流れで言ってしまったというのもあり、テレイナは不安になり、改めてレヴィアに確認をとった。するとレヴィアは少し考え込んでしまった。それに対してテレイナが少し不安になっていると。そしてはっとしたように口を開いた。

 

「は!?まさか、それを口実に私に従者をさせない気だね!そうはいかないよ!私は既にテレイナの従者だから!!」

 

「……ふふ、勿論ですよ。レヴィアさんは私の従者です」

 

「だよね!やっぱり無しは駄目だからね!」

 

(やはり、レヴィアさんにとっては些細なことのようでしたね)

 

テレイナはレヴィアが呪いなんかを気にせず、それでも従者になりたいと言ってきた事にホッとしていた。もしかしたら冗談かと思っているかもしれないが、それでも嬉しかったのだ。

 

「ねぇ!あれがレロンナだよね!おお!凄く高い壁だ!」

 

「そうですね、立派な防壁ですが、首都のプラクスはもっと凄いですよ」

 

「おお!!早くいってみたい!」

 

「そうですね、行く機会はあると思いますので、その時は私が案内してあげますわ」

 

「やった!ありがとう!!私テレイナに会えてよかった!」

 

するとレヴィアは嬉しそうにしながらいきなり、テレイナに抱きしめたのだ。

 

「ちょっ……あの……レ、レヴィアさん!?そ、その…は、離してもらえますか」

 

自身の父にも、そのような事はされたことないテレイナは顔を赤くしてしまい、すぐに離れてもらうようレヴィアに頼んだ。

 

「ん?好きな相手なら抱きしめてるんじゃないの?まぁテレイナが嫌なら離すけど……」

 

少ししょんぼりとしたレヴィア渋々テレイナから離れていく。

 

「その、嫌という訳ではないのですが……こういったのは初めてでして…それと、こういうスキンシップは他の人にしないようにして下さいね。下手をすれば犯罪にもなります」

 

「嘘!き、気をつけなきゃ…」

 

(ですが、レヴィアさんの場合は嫌がる人は居ないでしょけど…それはそれで問題を生むでしょうしここで止めておきましょう)

 

そんなこんなで、レロンナの街の門へと到着した。

 

「それでしたら、手続きは私がしておきますので、レヴィアさんはここで待っていてください」

 

「分かった!楽しみだなぁ!」

 

終始楽しそうなレヴィアを見ながら、テレイナは馬車を降りる。

 

(頑張りませんとね、ノックス家…いえ、自身の為にも)

 

こうして、2人はレロンナの街へと到着した。




設定
※この世界には龍神以外にも神様、天使や悪魔などはいます。元々は龍神が作った世界の中で力を持った者が神を勝手に名乗り始めたのが最初で、その神が天界や魔界などを作ったりして、悪魔や天使が生まれました。龍神は「何か小さい世界作っとるなぁ。凄いなぁ」と普通に感心して干渉せず、この世界には天界と魔界が誕生しました。

※この世界の人間と呼ばれる種族は、普通の人間に加え、犬耳や猫耳の生えた亜人種なども加わってきます。ファンタジーお馴染みのエルフやドワーフみたいな人は居ますが普通の人間として扱われています。あと文明をもつ種族としては魔族がいます。魔族は人間とは全く別の体の構造を持っています。中には人間に似た魔族も居ますが、そこら辺は亜人と曖昧であり、自称魔族、亜人は結構います。

それではまた二週間ぐらい時間をください…気長に待ってくださると幸いです。
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