龍神の子は貴族令嬢の従者となる   作:尖兵

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第五話 道中にて

 ドルシードへと向かっている途中、レヴィアはテレイナに懇願され馬車に揺られながら魔法を教えることとなった。

 

「テレイナは魔法はどこまで使えるの?」

 

「一応3位層までは使えます。そして得意の属性は炎と……闇です」

 

テレイナが闇属性を得意という時に少し躊躇していたような気がしたがレヴィアはあまり気にせず、この社会においての魔法とやらを理解しようとしていた。

 

(あ、やっぱり使える属性に個人差があるのか)

 

 レヴィアは魔法の基本となる、火、水、風、雷、土の五大属性に加えて、その属性を掛け合わせてできる氷や鉄などの魔法は勿論のこと、かなり珍しいとされる闇や光、強いては人間、魔族ほとんど知られていない時空間全てを使える彼にとってはあまりわからない感覚だった。    

 しかし以前世界を観察していた時に、個体によっての魔法の適性差があるのだと予想はしていたが、テレイナの話を聞いて確信に変わったのだった。

 

(となると、私は雷と土が得意ってことにしておこうかな。だけど今の私って3位層までしか使えないって設定にしてるし……)

 

「なるほど、三位層までは使えるんだね。うーん…それだと実力的には私とあまり変わらないような」

 

 本来なら、魔法とはイメージから魔力を発動する発動させる事象の魔法陣を作り上げていくので、自身の魔法を実際に見せて、魔法を教えてやりたいところだ。

 しかしそれをすると自身の正体をあまり知られたくないレヴィアにとっては、少し不都合だった。

 それに龍神が作った魔法に関しては当然詳しいのだが、今のこの世界において普及している魔法についてはあまり知らない。以前観察していた時から、大元は同じだが細かいところで魔法陣の展開の仕方などが変わっているのは知っていた。おそらく今も変化しているものだとレヴィアは思っていた。だから、やんわりテレイナの頼みを断ろうとしたのだ。

 

「確かにレヴィアさんも三位層魔法までが限界なのでしょう、しかし貴方の場合は詠唱を行わずにあれだけの魔法を行使している術を学びたいと思いまして」

 

「詠唱……それって魔法発動する前に何か言うってこと?」

 

「……………先ずは、そこからですか」

 

「すいません…」

 

詠唱という行動を全くしたことがないレヴィアは当然知らない、その様子にテレイナは滅茶苦茶引いた。今更だと思い彼のために一応この世界では魔法はどんな感じなのかを説明してあげた。

 

「貴方に常識がないのは知っていましたし、私が教えてあげると言いましたので、レヴィアさんが謝ることでもないです。それでは、この世界の魔法は、魔法陣の数によって位層が決まってますがそれは分かりますよね?」

 

「うん、それは私の魔法も同じだよ」

 

「その魔法を使う際に、一般的には魔法陣を展開する際に詠唱を唱えます。中にはレヴィアさんみたいに詠唱もなく魔法を使う人もいますがそれはごく一部です」

 

「ふーん、その詠唱ってどんな感じでしてるの?」

 

「そうですね、例えば『火球よ敵を焼き尽くせ!ファイアーボール!』とかですね」

 

(あー、イメージを補強する感じなのかな。だけど正直そんなことしなくても魔法が発動できるぐらいのイメージできると思うけど……多分、ある時に詠唱という方法を見つけた人が、それを広めて普及して、時間が過ぎるほど形骸化して基本的には詠唱!とかになったのかなぁ?)

 

「なるほど、詠唱っていうのは魔法のイメージを補強するための物なんだね」

 

「レヴィアさんの考えで概ね正しいと思います。それと詠唱は魔法個別に存在します」

 

「ん?」

 

レヴィアはテレイナの魔法個別という言葉に少し引っ掛かった。

 確かに2位層以上の魔法は属性そして個々の魔法陣を調整することで様々な種類の魔法を放つことができる。しかしこの世界が概ね5位層までが限界だとはいえ、魔法の種類は数を数えるのも億劫になる程あるはずだ。それに全て詠唱をつけているとは到底レヴィアは思えなかった。

 

「……テレイナは今魔法は何種類使えるの?」

 

「その、一応5種類です」

 

テレイナの言葉にレヴィアは確信を持った。レヴィアは3位層まで使えるのなら、テレイナと同様火と闇に絞っても軽く百を超える種類の魔法は考えつく。しかし、それをたったの5種類ときたのだ。

 

(この感じだと、ある特定の魔法しか伝承されてないって感じなのかな?父上に聞けば分かりそうだけど、今は無理か……とはいえ、流石に由々しき事態だ。あんまり目立ちたくないけどテレイナだけでも私がしっかり教えないと、このまま行くと下手すれば魔法がこの世界から使われなくなるかもしれない)

 

「テレイナの知ってる魔法は本来の魔法じゃないよ」

 

「え?それはどういう…」

 

レヴィアの言葉にテレイナはとても驚いたような表情をしていた。

 

「魔法っていうのはもっと自由なんだよ。テレイナ、さっきのファイアーボールは1位層の魔法?」

 

「え、ええ…」

 

「正直な話、ファイアーボールは3位層でも使えるんだよ。魔法陣が多い分、威力、大きさ、速さとか色々調整できる幅が増えるけどね。例えばこんなんとか」

 

そう言ってレヴィアは手のひらに土の塊を生成すると、それを手のひらサイズの簡単な動く人形を作り出した。それを見てテレイナは驚いた様子だった。

 

「………確かに、そのような小さいゴーレムは見たことありません…でしたら、レヴィアさんが言いたいのは魔法の上達には今までの私が持っている魔法の常識を捨てろと言うのですね」

 

「うん、そうゆうこと。だから最初は自分が知っている魔法と少し違う魔法を放つ練習からだね。例えばファイアーボールの大きくして、その分飛距離を縮めるとか、してみるといいよ。私もできる限りアドバイスはするからさ」

 

少なくともテレイナは本来の魔法を使えるだろうと満足気にしていると

 

「レヴィアさん、少し疑問なのですが…本当に3位層までしか魔法を使えないのですか?それほど魔法にお詳しいのですから4位層や5位層も……」

 

「使えないよ!ほ、ほら!私って魔力あんまりないから4位層の魔法とか使えないから!」

 

レヴィアの反応を訝しげな目で見ながらテレイナはため息をついた。

 

「今はそういうことにしておきます。それでしたらレヴィアさん、魔法のご教示頼みます」

 

「かしこまりましたテレイナ様」

 

「フフッ、本来ならそれが正しいのでしょうけど、改めてレヴィアさんがするとなると少し面白いですね」

 

「それってどういうこと!」

 

「何でもありませんわ」

 

「むう!」

 

そんな2人を乗せた馬車はドルシードへと進んでいった。




展開が遅くて申し訳ない…
次の話は2、3日後には投稿できます。
※設定
龍神が創った魔法は魔法陣の数によって出来ることが増えていきます。魔法陣の数はメモリとすると、そのメモリを消費して色々と能力を付け加えることができます。火力を上げるや、効果時間、範囲など全て魔法陣の数で決まります。そして魔法陣の数が6、7辺りを超えてくると時間を止めたり、瞬間移動できたりとメモリをアホほど消費しますが使うことができます。とはいえ展開する魔法陣を調整すれば色々と効力を変えれるので、某狩人×狩人のようにメモリを無駄遣いすることはありません。

 しかしこの世界では魔法はある程度規格が決まった魔法陣の魔法しか伝わっていません。遠い昔に本来の使い方をしていた時もありますが、時代を経るにつれて、形骸化していきある特定の魔法しか使われなくなりました。それに加えて、魔法陣の調整はかなり難しく慣れが必要という点もあり、現代でも本来の使い方をしている者は居ますが数は数える程しかいません。
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