龍神の子は貴族令嬢の従者となる   作:尖兵

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少し遅くなりました。やっと学園要素が出てきます…


第六話 入学試験

レロンナを出発して数日、野営などは基本はレヴィアが行っていた。料理とかの知識は世界を観察している際に身につけたものである。最初はレヴィアの腕前を疑っていたテレイナも今や、完全に信頼しきっていた。

 

 そうして、2人はドルシードへと到着したのだった。

 

「おお!レロンナより大きい街だね!これがドルシードがある街なの?」

 

「ええ、正確に言えばドルシード魔法学園がある街というよりかは、街そのものがドルシード魔法学園となっています」

 

ドルシード魔法学園は学園の校舎だけでなく、周囲にある民家や店も全てドルシード魔法学園が管理している。そしてドルシードに住んでいる住民は全て魔法学園の関係者や生徒達である。

 

「嘘!すごい!」

 

そんなテレイナの言葉にレヴィアはテンションを上げながら、ドルシードへの入場を今か今かと待っている。

 

 街の唯一の入場門には入学試験があるということで、沢山の馬車が並んでいる。

 

「おお、沢山並んでる!これって皆んな入学試験を受けに来たんだよね?」

 

「そうでしょうね、ドルシードは卒業しただけでも引くて数多ですからね。入学したい人達は沢山いるんですよ」

 

「へぇー」

 

それからレヴィアは一通り街の様子を眺めた後、テレイナに向き直った。

 

「そういえば、入学試験って何するの?」

 

「ドルシードの入学試験は魔法を使った技能試験と筆記試験ですね」

 

「筆記…試験…?」

 

テレイナの言葉にレヴィアは固まる。

 

「ドルシードは魔法だけでなく教養が求められます。まぁレヴィアさんなら大丈夫だと思いますよ」

 

そう言ってニッコリと笑みを浮かべるテレイナにレヴィアは気が気ではなかった。

 

「大丈夫と言われても、全く受かる気がしないんだけど…私はここでテレイナの従者を辞めることになるんだね……」

 

「まぁまぁ、本当に大丈夫ですから。それに、もう直ぐ街に入れそうですよ」

 

「本当!」

 

さっきまでの凹み具合はどこへ行ったのか、街に入れるとなるとレヴィアは瞬く間にテンションを上げた。

 

 テレイナが手続きを終えて、2人を乗せた馬車はドルシードの街中を進んでいく。ノックス家の馬車であり、ゴーレムが馬車を引いているという光景が珍しいということもあり、かなり注目を集めたが、レヴィアはそんなことは気にせず楽しそうに街中を眺めていた。

 

 ドルシードの街並みはレロンナよりも、綺麗に整備されており、至る所でレヴィアが見たことない魔道具が散見された。夜の暗闇を照らす魔吸石が埋め込まれた街灯は勿論のこと、店の看板が宣伝のためか宙に浮いていたり、子供達が光の玉を発射できる魔道具で遊んでいたりと多種多様であった。その目新しい光景にレヴィアは目を輝かせて眺めていた。

 

「落ち着いたら、遊びにいきましょうね」

 

「うん!まずはあそこの店に行って…」

 

とレヴィアはテレイナの言葉に勢いよく返事をした後、1人ぶつぶつと今後の予定を立てていた。気がつけば先ほどの魔法で賑やかだった街並みから、落ち着いた雰囲気の街並みになっていた。

 

「あれ?ここら辺はさっきの場所より落ち着いてるね」

 

「ええ、レヴィアさんが1人で楽しそうにしている間にドルシード魔法学園の校舎の敷地内に入りましたから。ここは、学生寮や教職員の方々が住んでいる住宅地といったところですね。そろそろドルシード魔法学園の校舎全体が見えてくるはずですよ」

 

よく見ると周りには同じような建物ばかりで、あれが学生寮なるものだとレヴィアは思っていると、大きな建造物が見えてきた。その建造物は遠くからでも分かるほど大きく、街に入る時から見えてはいたが、近くで見るとよりその大きさを感じられた。

 レロンナの中心にあった建物よりもはるかに大きく、建物一つが下手をすれば小さな街一つ分ぐらいはある程だ。

 

「…………凄い」

 

レヴィアはそんな建物を見て感動してしまった。自分が本来の姿になった時よりも大きな建物を、自身よりも力も全然なく、体も小さいこの世界の者達が作り上げたという事実に心を打たれたのだ。

 

「私も小さい頃に一度来たことがありますが、ドルシード魔法学園の校舎を見た時は驚きましたよ。そろそろ、試験ですから気を引き締めてくださいね」

 

「あ…………うん……」

 

テレイナの言葉に、感動していたレヴィアは現実に引き戻されてしまった。その後のレヴィアは名残惜しそうに街並みを眺めながら、ドルシード校舎へ馬車は入っていった。

 

 試験会場に指定されている、ドルシード魔法学園の、本校舎には沢山の人がいた。種族も多種多様で、人や犬人、猫人などの亜人種は勿論のこと、人型の魔族までいるのだ。

 

「す、凄い…こんなに人がいるなんて」

 

レヴィアがあまりの人の多さに、驚いている中テレイナは自身の渡された試験番号と番号ごとに振り分けられている試験会場を確認しながら、レヴィアに言葉に返答した。

 

「ドルシードに入学したい人は星の数ほど居ますからね。あら、レヴィアさんは第二教室で私は第一教室での試験ですね。離れ離れになりますがお互い頑張りましょうね」

 

「え?」

 

「それでは次会うのは試験が終わった後ですかね」

 

テレイナは唖然としているレヴィアを楽しそうに眺めた後、笑顔で手を振りながら第一教室へと向かっていく。

 

「ま、待って!せめて筆記試験のコツとか………行っちゃった……」

 

レヴィアは仕方がないので、トボトボと1人で第二教室へと向かった。

 

(うーん…試験ってことは答えがあるってことだよね、時間止めて他の人の答え見ちゃおうかな?いやいや!もしバレたらテレイナに迷惑かけちゃうからダメ!こうなったらダメ元でもやってやる!)

 

一瞬道を踏み外しそうになった所を、思い直した後、教室に着いたレヴィアは指定された席に着く。教室は50以上の受験生がおり、試験開始時間が近づくにつれ緊張した空気が流れ始める。すると、教室に青を基調としたスーツのよ服を着た、顔の整った20代ぐらいの金髪の男性が教壇に立った。

 

「ただいまからドルシード魔法学園の試験を始める。この第二教室の試験監督を務めるマクム=スラウブだ」

 

その名前を聞いた途端に教室がざわめき出した。レヴィアは何が何だか分からなかったが、近くからヒソヒソ声で

 

「おい、あの魔導卿が試験管かよ!」

 

「第5位層まで使えるっていう奴だろ!?何も悪いことしてないのに緊張してきたわ」

 

とかなんとか言っている会話が聞こえてきた。どうやらかなりの有名人らしい。テレイナの話を聞く限りだと第5位層まで使えるということはこの世界でもトップクラスの魔術師なのだろう。

 

「静粛に!これより試験開始後に私語をしたものは即刻失格とする!」

 

スラウダの一喝に教室は一瞬で静まり返った。それからスラウダが用意していた解答用紙が宙に浮いて、一人一人の席の前に着地していく。当然レヴィアの前にも解答用紙がヒラリと落ちてきた。普段ならテンションが上がっただろうが、今はそれどころではなかった。

 

「それでは筆記試験開始!」

 

こうしてスラウブの合図とともに筆記試験は開始された。

 

(お、最初は魔法陣の問題だね。何々…この魔法陣はどのような魔法が発動されるか答えよ……おお、簡単じゃん!これはもしやイケるのでは?)

 

こうしてレヴィアは試験を黙々と解いていったのだ。

 

数時間後……

 

「筆記試験終了!!」

 

そうして筆記試験は終わり、解答用紙が1人でにフラウブの元へと戻っていく。それを尻目にレヴィアは項垂れていた。

 

(全然ダメだった……最初にイケると思っていた私が浅はかだった)

 

レヴィアは魔法や数学などに関する問題は完璧と言ってもいいほど、問題の大部分を占めていた魔法や周辺国家の歴史や恐らく今のこの世界での一般常識を問うている問題などは全くできなかった。

 

(ううっ…あんなに張り切ってテレイナの従者になる!って言ったのに……テレイナは受かって私だけは落ちるんだ!そして私はテレイナの従者失格になるんだぁ!)

 

「グスッ…」

 

1人涙を流していると、いつのまにか技能試験の説明に入っていた。

 

「これから、一人一人こことは別の場所で魔法を使った試験を行ってもらう。何をするかは移動した後説明する。では、この教室で一番番号の若い試験番号5番からだ」

 

それからまた1人、また1人と技能試験へと教室を出ていくが、レヴィアはこれからどうしようか考えていた。

 

(テレイナの従者を辞めちゃうとなると、また一人旅だね。まぁ、仕方ないね。それでもここから他の街も近そうだし色々楽しめそうだね………うぅ…従者辞めちゃうのかぁ…まだまだ従者ぽいことできてないし……食べ物屋さんとか農家とかもやってみたいことは沢山あるけんだけど…まだ辞めたくないなぁ、初めての友達のテレイナの事も全然知れてないし…)

 

「587番!587番!いないのか?」

 

(……あ、私の番号だ)

 

考え事をしていると、いつの間にか教室には殆どの受験生が居なくなっており、自分の出番になっていた。

 

「は、はい!今行きます!」

 

レヴィアは慌てて立ち上がり駆け足で、スラウブの元へと急ぐ。

 

「着いてこい」

 

レヴィアが持っている試験番号の紙を確認すると、スラウブは背を向けて歩き出した。それにレヴィアは着いて行くと、少し広い部屋へと案内された。

 

「ここでは、あの的をこの円から出ずに魔法だけを使って壊せ。この円から出なければどんな魔法も使っても構わん」

 

スラウブはそう言うと壁に寄りかかり、様子を伺っていた。

 

(うーん…いっそのこと第4位層とか使って壊そうかなぁ?もうゴーレムでいいか)

 

レヴィアは考えるのが面倒になり、ここ最近ずっと使っていたゴーレムを3位層の魔法陣を展開して召喚した。ゴーレムを十数メートル先にある的に向かって歩かせて、そのままパンチで的を破壊する。

 

「なるほど…」

 

その様子を黙ってみていたスラウブはその一言だけ言うと、壁から背を離し

 

「これで試験は終わりだ。俺が案内したところで指示があるまで待機していろ」

 

そう言って歩いて行くスラウブにレヴィアは不安そうに着いて行く。

 

(うーん、この態度…やっぱり落ちたよねぇ…普通もっと祝福とかしてくれるよね?テレイナになんて言おうか…)

 

暗い考えをしていると、前を歩いていたスラウダが歩みを止めた。

 

「この教室で待っていろ」

 

 そう言ってスラウブはその場から離れていった。レヴィアは言われた通り扉を開けて、教室に入ると、30人程度の受験生が席に座り、談笑したり読書をしている者もいた。そしてその中にはテレイナもいたのだ。

 テレイナを見つけたレヴィアは一目散に彼女の元へと駆け寄ったのだ。

 

「テレイナ〜!!!」

 

「レヴィアさんならここに来ると…ちょっと、待ってくださ…」

 

テレイナはレヴィアに気づいて、話しかけたが、駆け寄ってくる彼が止まる気配がないことに気づいて静止しようとさせるが、今のレヴィアには効果がなかった。

 

「テレイナ!!」

 

レヴィアは嬉しそうにテレイナに抱きしめたのだ。

 

「ちょ…ちょっと!レヴィアさん!?…こ、ここには人もいますから!は、離れてくださいな!」

 

 いきなりのことにテレイナは顔を赤くして動揺しながらも、何とか彼を引き剥がそうとする。そしてその光景を、教室にいる殆どが驚いた顔をしながら見ていた。それも当然、公爵家の令嬢が恐らく従者であろうレヴィアがありえない程の無礼を働いているからだ。

 永遠に続くかに思われたが、ある資料をもったスライブが教室に入ってきたことにより、レヴィアは流石にテルイナから離れた。

 

「全員いるな。それではこれから合格者に、この学園の説明資料と誓約書を渡す。説明資料は後で読んでおけ、そして入学式の日に自身の名前を書いた誓約書を持ってこい。要件は以上だ、解散!」

 

 

そう言って、スライブは魔法で資料や誓約書を渡すとそのまま教室を出ていってしまった。それを見た他の受験生達は、各々教室から出ていっていく。

 

「ねぇ、私って合格したの?」

 

「はい、そうですよ。3位層の魔法が使えるのなら筆記がどれだけ悪かろうが文字さえ書けていれば受かるのですよ」

 

「…………えぇー!!!」

 

テレイナから明かされた衝撃の真実にレヴィアは今日一番の大声をあげた。幸い教室にはもう誰も残っていなかったので迷惑にはならなかった。

 

「それを先に言ってよぉ!」

 

「ごめんなさい、狼狽えるレヴィアさんが面白くてつい…」

 

「むう!テレイナの意地悪!」

 

レヴィアは頬を膨らませて、怒りを露わにするが、ただただ可愛らしい姿にテレイナは頭を撫でている。

 

「ですが、これでこの学園でも私の従者として生活ができますよ」

 

「そうだね!何はともあれこれからも私はテレイナの従者だからね!」

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

こうして2人は無事にドルシード魔法学園へと入学することができたのだった。

 

 

 

とある場所にて…

 

 明かり蝋燭のみで薄暗い部屋で、種類は様々だが皆白い服を着た7人の者達が円卓を囲んで座っていた。

 

「おいおい、結局闇の聖女様は攫えずにドルシードまで着いたじゃねぇか!誰だったか?3位層程度の魔法しか使えない小娘なんか自ら動くまでもないって言ったやつは?」

 

脚を円卓に乗せ、頭の後ろに手を組みながらギィ…ギィ…と椅子を揺らしている所々傷の入った白い服を着た赤髪の若い男が、大声で誰かを煽るような口調で話す。

 

「別にいいでしょ〜一回のミスぐらい。どうせロアちゃんのことだから失敗するのも見越してるんでしょ?」

 

そう反論したのは、綺麗な金髪を腰辺りまで伸ばしており、白を基調としたドレスを着た綺麗な女性だった。そして恐らくその女性からロアちゃんと呼ばれた、顔を隠すように白いローブ深く被った男が口を開いた。

 

「ああ、別にあの様な下衆を信頼していたわけではない。それにあれは闇の聖女が本物であるか確かめただけだ。既にドルシードに本命の刺客を侵入させてある」

 

「それらしい言い訳言って誤魔化したか、まぁ次の言い訳楽しみにしてるぜ」

 

赤髪の男は終始ロアを小馬鹿にした様な態度をとっている。

 

「んんっ……赤色うるさい……私の睡眠の邪魔するな……寝不足なんだぞ…」

 

「テメェ!昨日からずっとここで寝てるだろうが!会議ぐらい起きろや!」

 

ずっと円卓に頭を突っ伏しているオレンジ髪のショートヘアーの白い寝巻きの少女に赤髪の男は怒鳴るが、既に少女は眠りについていた。

 

「チッ…なんでコイツいっつも会議に参加してんだよ!」

 

その少女に対して疑問を投げかける赤髪の男に隣に座っていた、全身白の甲冑を纏った男が、赤髪の男を諭すように言う。

 

「ビシロの事は考えるだけ無駄だろ、まぁ多分寝るか食べることしか考えてねぇと思うがな。それで、リーダーはロアの作戦が失敗したらどうするつもりだ?」

 

「貴様!私が失敗するとでも思ってるのか!」

 

「もしもだよ、もしも」

 

ローブの男が立ち上がり、鎧の男に言い寄ろうとしたところをリーダーと呼ばれた、黒髪を肩あたりまで伸ばし、整った美少女のような顔をした、白いマントを羽織り、その下には煌びやからな白い宝石が装飾された豪華な服を着た者が口を開いた。しかしその声は美少女のような顔に似つかわず低く渋い声だった。

 

「辞めておけロア、デルシモアの言いたいのは君が今回行った、もしもの策だ。それとデルシモアの質問に対する答えだが……恐らく刺客を退けたとしても闇の聖女はドルシードに居るはずだ。だったら適任は……」

 

リーダーは一度自身から近い位置にいた候補のぐっすり涎を口から垂らして寝ているビシロに視線が向いたが、すぐに逸らしてもう1人の候補へと目を向けた。

 

「君にお願いするとしようか、マイレーヤ」

 

そう言ってこの会議中ずっと声を発して居なかった白いワンピースを着た水色の綺麗な髪をした15歳ほどの少女へとリーダーは話しかける。

 

「分かった」

 

リーダーの言葉に短く小さな声でマイレーヤは了承をした。

 

「それじゃあこれで会議はお終いだ。次何かあったら来れる人だけ来くるように……もう行ったか」

 

リーダーの言葉が終わる前に、円卓で気持ちよさそうに寝ている少女を残してそれ以外は居なくなっていた。

 

「はぁ…たまには最後まで聞いて欲しいけど……それじゃあビシロ留守番頼むよ」

 

そう言って夢の中にいる少女1人を残して円卓は静かになった。




こういう、組織的なのはやっぱり出したいよね!

今月忙しすぎるので投稿できるか分かりませんが、一回か二回は投稿する予定です。
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