マホイップ。
クリームポケモン。


そのポケモンは、物心がつく頃からずっといた俺の家族。

主人公「あっ、ちょっ待って、口にきのみ入れないで!?」

マホイップさん「──(お食べ、お食べ)」

主人公「皮ごとはムリだってば!?」

そんなんじゃ強い子になれないぞと思われながら、クリームで隠蔽されたきのみを渋々食わされる少年は、思ったよりのうてんきであった。

ただ、この少年のダーニングポイントが物心つく以前にあったというだけで。



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マホイップで貴方も狂わせたい。


ポケモンをよく理解せずに遊んでいた時、友人から薬漬けやら努力値やら個体値やらを教えて貰った際にマホイップさんが活躍しまくりで狂わされた時に思いついた一発ネタです。

余談ですが、砂糖ってコカインの8倍の依存性らしいですね。


1話:マホイップさんとの第一歩

 

マホイップ。

 

クリームポケモン。

 

ガラル地方に生息。

 

進化するとき 体の 細胞に 揺れが 発生することで 様々な フレーバーの 存在が 発見された。

 

 

「……めっちゃ種類あるじゃん」

 

 

────シンオウ地方。

 

ソノオタウン・ポケモンセンター。

 

 

目の前にあるパソコンモニターに映し出された参考写真には、ミルキィバニラ・ミルキィソルト・ミルキィルビー・レモンにミックス、まっちゃにキャラメル、トリプルミックス……

本当に様々なフレーバーの名称とその姿があった。

 

だが、流石に全部の種類は写真に収められなかったのだろう。

昔、パッチール?とかいう似た柄を沢山持つポケモンの研究をしてる人がテレビに出ていたので分かる。

 

種類が多いと資料にするのが大変なんだとか。

 

 

なにせ我が家……いやウチのマホイップさんは、なんか黒い。

お母さんは、マホミルの時は白かったって言ってたので、きっと特殊な揺れが進化の時に起きたのだろう。

 

なんでも、進化前のマホミルから進化するときに、持たせているどうぐや時間帯などによって、すがたが変わる……らしい。

 

 

よく分かっていない俺が、両親から聞いたのは、幼い頃に旅行先で懐かれてついて来たってこと。

 

そして俺の、物心付く前からいたマホミルが物心がつく頃には、進化していたということくらいだ。

 

 

……マホイップさんには申し訳ないが、全く覚えていない。

 

 

「───!────!!」

 

「すいません……!!すいません……!!」

 

当時のことを覚えていないのがお気に召さなかったのか、

気付けば俺の頭に乗っかったマホイップさんがペシペシとおでこを叩く。

 

あまり痛くは無いが、生え際を攻めるのだけは辞めて欲しい。

……まだうちのオヤジみたいにハゲたくないです。

 

 

そんな我が家の一員、マホイップさんのことをろくに知らなかった俺は、ポケモンセンターのパソコンでチマチマ調べたりしたが、ちょっとだけしか分からなかった。

 

なんだトレーナーが回ると進化したって。

 

 

……え、スマホロトム?

 

そういうのは大きくなってからと我が家では与えられてないよ。自転車も自分で買おうねって言われてます。

因習とはこうやって受継がれるのかとしみじみ思う。

 

おのれ10歳成人法!!

 

 

そんな訳で、物を買い与えられたりとかはそんな無かったが、なんだかんだ両親に愛されてのびのびと育てられた自覚は有る。

 

でも、それにしたってこの町ではすることがない。

 

──ソノオタウン。

 

その昔、荒れ果てた地だったこの地で誰かがふと「感謝の気持ち」を伝えた所、花畑が咲き乱れてから鮮やかに花の香る町として有名になった……らしい。

 

 

そんな名所とも言える場所へ幼い頃に『ちょっとそこまで』と言って行ったら迷子になったせいで町を出る外出は10歳まで禁止されているのだ。

そこら辺の階段とか登ったら花畑直通なのに。

 

地元の名所すら禁止にされた俺にとっては、観光とかで写真を撮りに来た人から話を聞いたり、花冠を作るのが日常になっていた。

 

そんな丁寧というか過保護な環境で、のんびり健やかに育った面倒くさがりな俺が、今更になってマホイップさんのことを調べているのかといえば。

 

このマホイップさん。

 

野良なのである。

 

はい、バリバリの野生です。

正確には昨日まで野良だったと言った方がいいか。

 

物覚えが付く頃から面倒を見られていた俺にとっては衝撃的な事実だった。なんなら教えられたのは昨日である。

 

想像して欲しい。

 

待ちに待った誕生日を明後日に控えた夜に、実はお前のお姉ちゃんは勝手に居座ってるだけの他人と言われた様なものだ。

 

この話さえ、明後日トレーナーとして旅に出るなら、マホイップさんをどうするのか聞かれて知った話だ。

 

よく知ろうとしなかった俺の責任もある。

 

いや、でも何でウチの両親は捕まえてないのさ!?

オヤジとお母さんは、なんかそのうち分かるとか言って早々に寝ちゃうし!!

 

 

その時のマホイップさんの荒れ具合と来たらとんでもなかった。

 

──少しだけ語ろう。

 

 

 

両親は寝室へと退散していく中、マホイップさんは2階への階段を塞ぐように立った。

そして、恐ろしいオーラで大人しく座れと威圧してくるのだ。

 

 

 

俺はもちろん屈した。

 

大人しくデーブルに戻って椅子に座り、不当ではあるが圧迫面接(おはなし)を受ける。

 

ちなみに、マホイップさんをマホイップさんと呼ぶのは敬称であり、畏怖があるからだ。

俺は本気で怒ってるマホイップさんには勝てぬと知ってる。

 

マホイップさんがポケモンだからとかじゃない。

きっと分かる人は分かる。俺が幼い頃から面倒を見ていた存在がハチャメチャにお怒りになられたら、逆らってはいけないのだ。

 

……普段優しいだけに怒ったらおっかないし。

 

 

「待って下さいね……? えっと、まずマホイップさんが野生のポケモンだったの始めて知ったんだけど……」

 

反応はない。

だが、こちらの言葉に耳を傾けてはくれている気がする。

 

 

「それにしたって何で今まで捕まってないの……?」

「────!!」

 

「痛ったぁ!?」

 

つい、失言した。

 

ソコソコ強めな(人間基準)ビンタが飛んできた。

ほっぺがヒリヒリする。

 

「いやだって野生だって知らなかったし……!!」

 

「他のトレーナーに捕まえられたりとかすると思うじゃん!?」

 

 

どこか呆れたかのようにため息をマホイップさんはつく。

 

そして俺を指差し、その後自分を指す。

「? ごめんさっぱり分かんない……」

 

ため息をつく深さがぐーんとあがった気がする。

 

こういう時のマホイップさんが思っていることを当てるのは難しい。

 

「俺よりマホイップさんが強いのは分かるよ?」

ポケモンと人だし。

 

ため息の深さが更にぐぐーんとあがった。

マホイップさんの息にスモーキーさがプラスされてる気がする。

 

 

「あ!!」

 

理解した俺の反応にマホイップさんが言ってみと促す。

 

「俺と遊んだりしてるからトレーナーと出会わない!!」

 

 

マホイップさんは頭を抱えた。

ため息の深さは、さいだいまであがった。

 

リビングにマホイップさんの甘いため息がたちこめた。

 

 

 

「マホイップさんが強いから捕まえられてない……?」

 

「──……」

 

長いことジェスチャークイズを繰り返し、途中何回か普通に『Yes』『No』で答えられそうな質問を繰り返し、やっとこさ正解を出した。

 

俺もマホイップさんもクタクタである。

だがその甲斐あってどうして怒ってるのかも分かった。

 

 

「ひょっとしてなんだけど、さ。トレーナーとして町を出る日にマホイップさんも一緒に行くってこと……?」

「────!!」

 

 

マホイップさんは、やっと理解したかと言わんばかりに頷いて、上機嫌に戻った。

ため息で甘かったリビングも戻ってる気がする。

 

繰り返し質問してそんな訳ないだろうと思っていたが……

 

そのまさかであった。

 

家族のようにいつも居たポケモンだからこそ、一緒には行けないとか、小さい頃からお世話してくれたから巣立たなきゃなぁ〜とか考えていたが、一緒に行ってくれるらしい。

 

 

それにしても、マホイップさんがパートナーポケモンか。

 

スクールで使ってたきのみ栽培キットを使ってきのみを育てたり、定期的にデザートを作ったり、俺が留守番で自炊する時に何にでもクリームを入れるマホイップさんと旅をする。

 

……悪、くは無い……はず。

マホイップさんも悪気は無いだろうし……俺が気を付ければ良い話だ。

 

 

「──、────」

 

マホイップさんの声で意識を戻せば。

 

スッ。とテーブルの上にモンスターボールが置かれた。

 

「えっ」

 

「──」

 

困惑したからか、戸惑ったからか。

マホイップさんはテーブルを乗り上げて、俺の手を取りそっと手のひらの上へボールを置く。

 

今、捕獲(ゲット)しろと……?

 

 

じっ─────。

 

俺を見つめてくるマホイップさんの黒い目。

こういう話し合い(一方的)の時は凄く怖い。

 

光を反射しながらも反射光以外は何も映ってない様な黒い瞳。

なんで悪いか分かる?と問うのだ。

 

分かんないけど、こういう時は多分俺が悪いパターンなのを知っている。

 

 

なので俺は、大人しくボールのボタンをマホイップさんに優しく当てて、ロックが掛かったのを確認して一息着いた。

その後、すぐにボールから飛び出して来たから心臓止まるかと思ったけど。

 

 

こうして俺は人生で始めて違法行為に手を染めてしまった。

 

 

ちなみにその疲れからか、今日は夕方までグッスリだった。

お母さんもマホイップさんも明日には出発だからか起こさなかったので疲れはちゃんと取れた。

 

最低限パートナーポケモンになるマホイップさんのことをちゃんと知ろうと思って、ポケモンセンターのパソコンで調べに行ったのだ。

 

……明日の旅支度とかしてたら遅くなって、あんまり調べられてないけど。

 

 

「旅の中でマホイップさんのことも分かればいいな」

 

家に帰り、ご飯もお風呂も済ませ、マホイップさんが枕元の定位置に着いたらグッスリだ。9歳最後の睡眠を噛み締めよう。

 

 

 

 

「カミヤ〜!!そろそろ出るんでしょ〜〜!!」

 

お母さんのバカみたいに大きな声が部屋まで届いてからほっぺをペチペチするマホイップさんによって起こされる。

 

「すぐ意識落ちたから、ろくに噛み締められなかったな……」

 

マホイップさんが渡してくる衣類にモソモソと着替えて、昨日用意したリュックサックを背負い、準備を整える。

 

マホイップさんが渡してくるヒメリのみを食べ、一階に降りればお母さんが待っていた。

 

 

「よし!」

 

「……お母さんごめん、なにが“よし”なのか分かんない」

 

足の爪先から頭のてっぺんまでくまなくみてから、両肩を強めに叩いて強く頷く母に理解が及ばない。

 

「────!!」

 

気合い満タンなマホイップさんの声から、お母さんがなんで頷いてるのか分かってるらしい。

 

「マホちゃんだけ分かってればいいの。ちゃんと連絡はしてね? 何かあったりとか相談とかでもいいから」

 

 

昔は旅をしていたからかめちゃくちゃアドバイスが出てくる。

出来ればもっと前に聞きたかったよお母さん?

 

 

「それと……」

 

そんな風に思いながらも出来るだけ言われたことは覚えておこうと意識していると、左腕に何か着けられた。

 

 

「誕生日おめでとう、これはお父さんとお母さんからね」

 

 

右腕を見れば手首にプラムカラーのポケッチ……

「ポケッチだっ!?」

 

ポケッチが着けられていた。

 

「マホイップさん見て! ポケッチ!!ポケッチ貰ったよ!?」

 

ウチの町に来る観光客の人はよくスマホロトムを使ったりするが、やはりポケッチはカッコいい。

 

時計だけどスマホロトムのように様々な機能があり、最近では近くの野生ポケモンの力を借りてひでんわざを使えるようになったんだとか!!

 

更にはデフォルトでは無い機能もあるらしい。

 

「ありがとうお母さん!! 大事にする!!」

 

「うん、カゼとか病気にだけは気を付けて行ってらっしゃい」

 

「行ってきます!!」

 

 

ちょっと元気が良過ぎるかも知れないけど、勢いよく玄関を開けて外に出る俺の右肩にマホイップさんが乗っかってきたのが分かる。

 

まずはナナカマド博士のいる研究所があるマサゴタウンだ。

 

 

 

────そんな風に考えていた俺ですが、目の前の光景に唖然としている。

 

 

204番道路。

コトブキシティに歩いて行くなら必ず通るこの道で目のあった人と辻バトルになった。

 

うん、ここまでは良い。

トレーナーに辻バトルを仕掛けられるのは仕方ないことだ。

 

 

 

「ガバイト、もう一度“ドラゴンクロー”!!」

 

相手トレーナーが出した指示を受け、マホイップさんに鋭い爪が当た……

 

……当たらない。いや、当たったっぽいけど効いてない。

 

「──なら“がんせきふうじ”だ!!」

 

岩がマホイップさんを襲うが……

 

 

「「えぇ……?」」

 

ロクにダメージを受けていない。

マホイップさん、なんかすっごい頑丈なのだ。

え、本当に強いから捕まって無かったの……?

 

「──?」

 

マホイップさんもこのコどうする?的な反応でこっちに目線を向けてきた。

……強者のよゆうを感じる。

 

「た、倒せる?」

「────」

 

恐る恐る聞いた質問に、気の抜けた様な声で反応が返ってきた直後。

 

 

凄まじい閃光が弾け、思わず目が眩み咄嗟に瞼を閉じる。

 

 

 

そして、閉じた目を開いて驚く。

 

ガバイトが戦闘不能になってた。

 

「ドラゴンタイプは無敵な筈なのにぃ……」

 

 

どうやら唯一の手持ちだったらしく、賞金として3000円渡して、辻トレーナーさんは去っていった。

 

 

 

 

──ウチのマホイップさん、なんか強くない……?

 

 

土埃を払ってから右肩に飛び乗ってくるマホイップさんを撫でながらぼんやりとそんなことを思った。

 

「あっ、ちょっやめ、口にチーゴのみ入れないで……?」

 

葉っぱ!!葉っぱの部分取ってない!!

取るの面倒だからってクリームで隠して放り込まないで!?

 

 

 

これが、成人までの殆どをマホイップに育てられたトレーナーとその姉を自称・自認するポケモンの第一歩であった。

 

のちにシンオウ地方にフェアリータイプの認識を広めることになるのだが……それはまた別の話。




マホイップとかデカヌチャンの作品あったら教えて下さい。

……あるいは誰か書いて下さい。

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