アイドルを引退した篠澤広とプロデューサーは婚約し、結婚した。
広「ねえ。」
P「なんですか?」
広「敬語、やめないの?」
P「あー、癖で。」
広「じゃあ敬語やめて。」
P「…考えておきます。」
広「あ、そうやってごまかした。まあ、いいけど。」
P(いいのか…)
広「そうだそうだ。ねえ、あなた。」
P「ああ、はい。」
広「結婚してから1年経つ。そろそろ子供が欲しい。」
P「なぜあなたが出産できると?」
広「確かにわたしにプロデューサーのは入らないかもしれない。だから、ゆっくり慣らしたい。」
P「…で、どうするんですか?慣らすとは言いますけど。」
広「本番をする前に、避妊具を装着し、慣らす。プロデューサー。コンビニで避妊具を買ってきて。」
P「なぜ俺が行くこと前提なんですか?あなたも行くという選択肢は?」
広「わたしは…疲れた。」
P「…そうですか。では行ってきます。30分くらいで戻ってくると思います。」
プロデューサーはそう言い残し、家を出た。
P「コンビニに来たが…いつもは置いてあるのに置いていないな。仕方がない。少し遠いところにはなるが、ドラッグストアに行けば必ずあるだろう。」
コンビニには珍しくコンドームが売っていなかった。広にドラッグストアに行くので遅れる旨を伝え、プロデューサーは自宅からほんの少しだけ離れたドラッグストアに行くこととした。
P「あんなところに包丁を持って、パーカーを着て、サングラスをかけ、マスクをつけた男が歩いている…少し遠回りをしよう。」
包丁を持った男は、回り道をしようとして、道を曲がったプロデューサーを見て、走って追いかけてきた。
P「…え、走ってきてね?」
プロデューサーは男が走ってくることに気が付き、逃げようと走った。しかし男は意外に足が速くすぐに追いつかれてしまった。追いつかれてすぐに、男はプロデューサーに襲いかかり、包丁を振りかざした。
P「やめっ!」
抵抗も虚しく、プロデューサーは刺されてしまった。犯人の男はプロデューサーのバッグを盗み、すぐに現場から逃げ、行方不明となった。
一方で広。
もちろん広はPが刺されて死亡したなど知るはずもなく、早く帰ってこないかと待ちながらニュースを見ていた。
広「ふんふふんふふーんー♪ん?通り魔事件…怖い、ね。」
そんなことを思っていたら電話がかかってきた。
広「ん、警察?…!?」
察しがついた。一応電話に出た。
広「は、はい。…すぐ、行く…はい…」
広が察していたように、プロデューサーが事件に巻き込まれ、病院に運ばれた。意識は不明だ。すぐに病院に来てほしい。という内容の電話だった。
すぐに車を出して、病院に向かった。広にとって、免許を取って以降あまり車を運転してこなかったため、運転は大変だったが、すぐに病院に着いた。
医者「…時54分17秒、死亡が確認されました。」
広「…」
すぐには言葉が出なかった。覚悟はしていた。死亡しているかもしれない、と。30分くらいは言葉も出ず、動くこともできず、ただただ、呆然としていた。
広「プロデューサーは、もう、いない?」
最初に出た言葉はそうだった。わたしはすぐには心の整理がつかなかった。とりあえず、遺品整理をすることにした。
プロデューサーの部屋には、わたしがアイドルになりたてで歌もダンスもまともにできていなかった頃の写真や、初で勝ち、遊園地へ始めてデートに行った時の写真。大阪へライブに行った時の写真など。どれも懐かしかった。
広「プロデューサー…わたしのこと…好きすぎ…」
わたしはいろんな気持ちがこみ上げてきて、自然と涙が出てきた。
遺品整理をしている間、いろんな思い出が蘇ってきた。
この家を選ぶ時、わたしがこの家が気に入ったと言って、プロデューサーが
「あなたにはこっちのほうがいいのでは?こっちは近くに坂道が少なく、あなたが倒れる頻度が減りますし…そっちの家は、移動が大変ですよ?」
と、言ってきたのを思い出した。
また、プロデューサーが、引退ライブが終わったあと、
「実は、前々から結婚したいと思っていたんです。篠澤広さん。俺と結婚としてくれませんか?」
と言われたな、とか、思い出した。泣いていたせいで遺品整理は進まなかった。
1週間後、葬式をすることになった。
葬式には、100プロに同僚や、わたしたちの親族が来た。葬式が終わり、火葬が終わったあと、墓に、埋葬しに行った。
広「…」
これで終わり、か。と思った。
プロデューサーがいない生活は寂しかった。構ってくれる人はいない。大学生時代やアイドルのときに稼いだ金、プロデューサーの遺産があったため、特に生活に困ることはなかったが、やはり寂しい。そう思いながらニュースを見ていた。
TV「先週起こりました、通り魔事件の犯人はまだ見つかっていないとのことで…被害者は、有名アイドル事務所のプロデューサーとのことで…計画的犯行の可能性…」
ニュースの内容はほとんど入ってこなかった。でも、急に犯人に対しての怒りが来た。でも、見つかっていない。どうしようもない。
広「プロデューサーは、もういない…」
わたしは自然と外に出ていた。
広「犯人を探そう。」
広「わたしが、事情調査を受けたとき、警察にバッグがなかったかと聞いたらないと言われたからきっとバッグが奪われてる。だからたまたまつけていたGPSを辿れば犯人の家に辿り着くはず。」
GPSを見てみるとその位置は少し離れたところにある市街地で止まっていた。とても離れている場所というわけでもないので、追ってみることにした。
〜〜
例の場所に着いた。そこは普通の民家だった。インターホンを押してみることにした。
男「は、はい。」
広「…」
隠し持っていた包丁で男を10回ほど刺した。確実に、殺せるように刺した。首にトドメを刺したあと、家に上がり、遺品のバッグを持って逃げた。
特に何も考えずに走っていったため、疲れて走るのをやめて、道に迷ってしまった。
目の前は崖だ。
崖…
広「プロデューサー、すぐそっち、行くから、ね。」