転生者剣士はハッピーエンドを迎えたい 作:虚構歴史学者(自称)
最後の一撃は、切ない。 すぐ決着ついちゃったから話膨らませられませんでした。
許せサスケ。
「全集中 虚の呼吸・捌ノ型
「陰陽五行・
全てを呑み込む闇の流星が斬撃となり降り注ぐ。
色鮮やかな天虹の星光が虚の光を照らし焼き尽くす。
互いが己の限界を超克した、力と力の鬩ぎ合い。
「───私の、勝ちですね。 主の力と心に敬意を、せめてその魂が安らかに帰幽せんことを、麗星神社の“元”宮司として願います」
(───
技の応酬に敗れた。 捌ノ型は天弓の六芒星に押し切られ、相殺すらしきれずに全身で浴びることとなった。
だが、それで良かった。 今回に関して言えば捌ノ型は廛閑を葬るための技ではないからだ。
ビームをモロに浴びて思考が少し狂っているのを薄っすらと知覚し、肉体が崩れ落ちる感覚に囚われながらも、意識はまだハッキリしている。
幽幻の冥星・虚光。 虚の呼吸を“完成”するための最後のピース。
虚の呼吸が持つ幻夢の太刀筋、あるはずのない虚の光、命の灯火を焼き尽くす恒星。
虚の呼吸において最も威力を求めた流星のような技、それが幽幻の冥星・虚光。
ずっと考えてた。 虚の呼吸の本質は何か。 他の呼吸と比較して、何が優れているのかを。
虚の呼吸は、炎のような苛烈さも、水のような柔軟さも、風のような荒々しさも、雷のような速さも、岩のような盤石さもない。
しかし、これまでに開発した技はそれらの特性を踏襲し組み込んだモノ。 いわばツギハギの寄せ集め、それでは敵わない。
だが、捌ノ型を完成させた今、やっと“答え”が視えた。
───“鋭さ”だ。 虚の呼吸は、他の呼吸のどれと比べても圧倒的な“鋭さ”がある。
此れより放つは、その究極技。
「───なに、勝った気でいやがる」
「ッ、なんだと・・・! 何故まだ立ち続ける、アナタの執念は、何故そこまで───」
「決まってんだろ。 幸せになりたい、誰かを幸せにしたい。 俺は、そんなありふれた願いを糧に生きてんだ。 終わりにしようか。 虚の呼吸・玖ノ型───」
その一太刀は、総てを切り裂く。 物質も、空間も、魂も、現実さえも。
(ッ、これは間違いなくマズい! 喰らえば死ぬ! 陽玉・陽壁───!)
その
「───次元斬」
動きは、ただの切り上げ。 だが、その切り上げは陽壁を容易く両断し、廛閑の胴から脳天までを切り裂き、空間にすら裂け目を形成し放たれた。
社の一角は跡形もなく吹き飛び、斬撃波は遥か前方にある鳥居すらも切り落とした。
“斬撃”の果て、これまでの剣技とは次元が違う。
「───みご、と・・・」
全てを出しきり脱力し、薄れゆく意識の中、その称賛の声が聴こえたような気がした。
・・・ここは、どこだ? 何も見えない。 何も感じない。
肉体が、精神が、魂が深く深く沈んでいくような感覚。
・・・いや、この場所には覚えがある。 そうだ、前世で生を終えたあの時の深淵の闇の中。
・・・あれ、もしかして俺死にかけてる?
そうだよねあの時も死んでここに来たワケだから・・・。
嫌だぁぁぁ! 俺はまだ死にたくなぃぃぃぃ!
「・・・・・き・・・!」
俺にはまだやりたいことが残っているんだぁぁぁぁぁ!!
「幽・・・君・・・!」
あ、マズい走馬灯見えてきた。
『そらそら、頑張って逃げねぇと刻まれっぞ~♪』
わぁ風叢さん強っよ~い。
『決断しろ! お前の想いはその程度か!?』
これは最終選別の時のか。 この時の真菰カッコよかったな~。
やっぱり覚悟を決めた人間ってのはカッコいいのよ。
『おいおい、こんな真夜中だってのに起きてるガキが居やがるぜ』
お、コイツは最初に会った鬼だ。 弱かったなぁ、弓で一方的にハメ殺しにできそうだったもんな。
・・・・・・・・・・。
・・・あれ、これで終わり? 死ぬ前に見る最期の景色がよりによってあの鬼なの!?
さすがに癪なんだけど。 こうなったら意地でも起きてやる・・・!
舐めんなよ、こちとら虚無と虚空の剣士やぞ。 完成した虚の呼吸なら、異空間すら切り裂ける。
さっきの感覚を呼び起こせ。 虚の呼吸・玖ノ型 次元ざ───
「幽希君!」
「───んってうわぁ!?」
「きゃっ」
虚空で次元斬を放とうとした瞬間、急に視界に色が戻りカナエが目の前に現れた。
「っ、幽希君・・・?」
「・・・えっと、おはよう。 それとも久しぶりって言った方がいいかな、カナエ」
「~~~っ! 幽希君~~~!!!」
「っとと、大丈夫。 俺はここにいるよ、カナエ」
瞳に涙を溜めながら抱きついてきたカナエを受け止め、どうすればいいかわからないながらとりあえず頭を撫でておく。
ぶっちゃけ全身が痛くて痛くて仕方がないが、そんなこと口に出そうものなら間違いなく曇るので気合いで抑え込む。
そうして少しの時が経ち。
「・・・その、お恥ずかしい所をお見せしました」
「・・・まぁ、心配かけたのは事実だから。 泣かれるのはちょっと予想外だったけど」
顔を赤くしながら椅子に座り直したカナエと、全身の痛みを無理矢理抑え込む俺の間に、なんとも言えない気まずい空気が流れる。
「それで、ここは?」
「ここは蝶屋敷。 しのぶの薬学知識が買われて鬼殺隊の療養施設として運営されている、私達の屋敷です。 幽希君は下弦の弐と戦った後、隠の人達にここまで搬送されてきたの」
「なるほどなるほど。 怪我の具合はどうだった?」
「重度の火傷に打撲、骨折。 出血は少なかったけれど、肉体の方がかなり限界に近い状態でした。 誰かが処置を施しておいてくれなかったらかなり危なかったと思います」
「・・・誰か? 俺を見つけてくれた隠の人じゃないのか?」
「それが、見つけた時点で応急処置がある程度されていたみたいなの」
「・・・えぇ?」
わざわざ治療をねぇ。 沙月さんか?
「とりあえず、これからちゃんとした治療を行いますので治るまでは安静にしてて下さいね」
「はーい」
(やっちゃったやっちゃったやっちゃった・・・!)
幽希君の怪我の処置を終えて病室を出た私は、その場で顔を抑えて座り込む。
十二鬼月、下弦の弐と交戦し勝利したという隊士が蝶屋敷に運び込まれたのがついさっきのこと。
運び込まれた隊士はかつて最終選別で出会った幽希君で、今にも事切れそうな重症だった。
予め応急処置がされていたので怪我の具合を診ながら脈拍を測っていたら、どんどん脈拍が弱まっていったからつい必死で呼び掛けて・・・。
そうしたら声が届いたのか目を覚ましてくれて、思わず抱きついてしまった。
自分のことを憶えていてくれた嬉しさ、いきなり抱きついたのに何も言わずに受け止めてくれた安心、優しく頭を撫でてくれた手の感触・・・。
思い返せば思い返すほど顔が火照っていく。
うぅ、はしたないって思われてないかしら・・・。 というか、勢いで抱きついちゃったけど絶対痛かったわよね・・・。
後できちんと謝りましょう。
(・・・それにしても)
幽希君、凄いな。 最終選別が終わってからまだ四ヶ月しか経ってないのに、もう十二鬼月を討伐するなんて。
私も頑張らないと。
そうしていつか、隣に並び立って戦える日が来たら嬉しいな。
あの時みたいに、ただ眺めてるだけの弱い自分じゃ幽希君に追いつけないもの。
「・・・今日も鍛練しましょう。 まだまだ幽希君には遠く及ばないわ。 そうだ、今度幽希君のお見舞いも兼ねて真菰ちゃんも誘ってみようかしら」
と、いうことで。 強敵廛閑戦、勝利です。 ・・・え? 切り上げの次元斬で頚を斬れたのかって?
幽希君が気絶しちゃったんで、その先のことはわかりませんねぇ。
評価バーに色が付きました。 この後書き欄を使用して評価してくださった皆々様に多大なる感謝を。
とっても嬉しい、今なら獪岳の気持ちが分かる気がする。
いややっぱわかんねぇや。
感想とかもらえると作者のモチベが上がったりします。
なくても頑張りはします。 アイデアが浮かぶ限りはなんとか・・・。
では。