転生者剣士はハッピーエンドを迎えたい 作:虚構歴史学者(自称)
アンケの結果見てたんですけど、皆さんけっこー容赦ないですねぇ・・・。
廛閑の過去は割と軽めに書きました。 執筆カロリー高かったからユルシテ。
神とは、絶対の存在である。
ゆえに、人々の憂いも、歓びも、全ては神の思し召しでしかない。
『よいか、譏滓£。 我々は神に仕える身。 常に清く正しく行動していれば、神は必ず私達を照らしてくださる』
『はい、父上』
(・・・これは、私の記憶・・・?)
『『人々の安寧が、村の豊穣が、そして泰平の世が、永劫に続くことを』』
平和を願い、祈りを捧ぐ。 私達にできるのはただそれだけ。
祈るだけでは何も変わらない。 だからこそ、人々は毎日を必死に生きて未来へと歩んでいく。
『譏滓£様! 聞いてくだされ、畑の野菜が今年は豊作でして。 こちら、麗星神社にもぜひお裾分けをと』
『おや、ありがとうございます。 農家の皆様も日々ご苦労様です』
『とんでもございません! 日頃から譏滓£様やお父上が豊穣を祈ってくださるお陰にございます』
『・・・いえ、我々は神職として務めを果たしているだけですよ。 この野菜は皆様が真心を込めて育てたからこそ、こうして水々しく実ったのです』
・・・そうだ、人々の働きあってこそ、大地は恵みをもたらしてくれる。
神はそんな人々の勤勉さを一瞥し微力ながらも天の恵みを施す。 そうして生活は営まれている。
───そう、思っていた。
『父上!』
私がその報せを聞いたのは偶然だった。
『・・・ゴホッ、譏滓£か。 そんなに血相を変えてどうし───ゴホッゴホッ』
『どうしたもこうしたもありません! 何故そのような状態になるまで黙っていらしたのです! 病に侵されているなど、私は一言も聞いていません、何故・・・!』
生まれ持った持病らしい。 医者も手の施しようがない、と。
『・・・ふっ、この社を継ぐお前に要らぬ心配をかけたくなかったのだ。 老い先短い私に気を掛ける暇があるのなら、少しでも多くの心構えを伝授したかった。 それだけのことよ』
『そんな、そんなの・・・!』
そんなの、父上の独善だ。 私は、もっと父上と過ごしたかった。 神職としての務めこそあれど、それでも親子として日常を営む日々が続くと、そう信じていたのに。
『・・・譏滓£、星影村を、麗星神社を、頼んだぞ・・・!』
『父上・・・? 父上ぇぇぇぇ!!!』
私はこの日初めて、この世の不条理を嘆いた。 思えば、この時から“神”への不信が始まっていたのだろう。
麗星神社を継いでから四年の月日が経った。 一人で神社を切り盛りする日々に慣れてきたその頃、星影村を何日も続く日照りが襲った。
『た、大変だ! このままじゃ日照りで山の川が干上がっちまう!』
『どうすんだよ! 水がなきゃ作物も育たねぇ!』
『譏滓£様ぁ! どうか、どうかこの危機を救ってくだされ! このままじゃ星影村はみんな飢え死にしちまいます!!』
『えぇ、無論です。 必ず神は我々を救ってくださいます。 皆は少しでも食糧を節約して備えて下さい』
『あぁ、なんと頼もしい・・・! どうか頼みました!』
『はい、信じて待っていてください』
麗星神社で私は祈りを捧げた。
私も、村人の皆もただ日々を平穏に過ごしたいだけだ。
父上の教えに従い、清く正しく生きてきた。 その教えを信じ、ずっとずっと正しいと思うことをしてきていた。
しかし、何も変わらなかった。
祈れど願えど雨が降ることはなく、遂に川は干上がり作物を育てることが叶わなくなった。
『何故・・・! 何故なのですか・・・!! 神よ、何故このような試練をお与えになるのです・・・!』
その問いに答える声はない。
もはや手遅れだ。 川は干上がり、草木は枯れ果て、星影村は朽ちてゆく。 そんな未来を薄っすらと幻視した時。
『───ならば、お前が“神”になればよいとは思わないか?』
『・・・!?』
背後の声に振り向こうとし、刹那、全身に激痛が走る。
『お前に私の血を分け与えた。 適合すれば人智を越えた力を得られる。 その力を以ってお前が救世主となれ。 期待しているぞ』
そうして、私は人の身を逸脱した。
「───さて、どうだ? 死を前にして、不届き者の目には何が映った?」
冷たい刃の感触とその声によって現実に引き戻される。 焦点の合わない目を上に向けると冷徹な視線が降り注ぐ。
私を追い詰めた鬼狩りが、そう問うてくる。
「・・・神は、救いなど与えはしない。
「・・・・・・」
「この村はかつて日照りで飢饉に陥った。 祈れど願えど雨は降らず途方に暮れたさ。 ヒトは無力で、何も出来なかった。 私は所詮、凡人に過ぎなかった。 かつては、な」
「・・・ほう?」
「偶然、偶然この神社を訪ねたあの方が与えて下さった力で新たな水源を探し、水路を繋げ飢饉を脱した。 私が、この手で成し遂げた!」
私はただ星影村の皆を護りたかった。 鬼となろうがそれは変わらない。
かつては宮司として、神に仕える身として祈りを捧げていた。 だが、祈りは無力であり天の定めに抗うことはできなかった。
今は“神”を騙る不届き者であれど、この力で村の未来を紡いでゆける。
・・・私はここで死すわけにはいかない。
いつしか訪れる厄災、それを払いのけ村を護ること。 それが父上に託された私の責務。
「
「ッ!? 黒穴・・・!」
陰陽玉から血鬼術による雷撃を発生させ己を巻き込みながらも剣士を退かす。
再生は終わっている、今度こそ目の前の脅威を排除しよう。
「・・・貴様、名は?」
「・・・夜帳 幽希」
「夜帳、か。 その名、憶えておこう」
「ハハッ、“神”に憶えられるとは光栄なこった」
「そう皮肉るでない。 ・・・一つ問おう、夜帳。 主は、“神”という存在をどう考えている?」
「・・・んー、神ねぇ」
夜帳幽希は私の問いに少し考える素振りを見せ、軽く逡巡したのち口を開く。
「ヒトは脆い。 肉体も、精神も。 だから何かに縋らないと生きていけない。 けど、お前の言う通り、この世界は沢山の不条理で溢れてる」
・・・黙して紡がれる言葉に耳を傾ける。 この人間の持つ“答え”を見定めるために。 その“答え”が、どのようなモノなのかを知るために。
「その不条理に押し潰され、深い絶望の闇の中に落ちてしまえば希望すら見出だせない。 それでも、生きたがる本能から“希望”を見出だそうと足掻いた末に、自らを救済してくれる“神”を幻想する」
あぁ、その通りだな。 かつての私達はそうした、そしてそれは所詮幻想に過ぎなかった。
「思うに“神”とは、そうして人々が作り上げた虚像、あるいは集団幻覚に過ぎない。 それが俺の考えだよ」
「・・・そうか」
奇しくも今の私と相違ない考え。
・・・あぁ、私はこの人間にかつての己を肯定されたかったのか。
神を信じ、崇め奉り祈り続けたあの日々は無駄ではなかったのだと、そう思いたかった。
しかし、現世に絶対の神は居ない。 なれば誰かが神として導き手にならなければいけない。
「主に怨みはないが、私は星影村の守り神として、命を散らすわけにはいかないのでな」
「はぁ~あ、さっさと殺しときゃよかったな。 ・・・じゃ、第二ラウンドと行こっか!」
互いに不敵な笑みを浮かべ相対する。 鬼と鬼殺隊、私達の道は決して相容れることはない。
だが、それでも。 夜帳 幽希、私の記憶を、原点を想起させてくれたことに感謝しよう。
「・・・沙月、避難しておけ。 これより執り行われるは、神々の聖戦である」
「・・・畏まりました」
沙月が山を降りて行くのを見送り、陰陽玉に意識を集中させる。
沙月の姿が見えなくなると夜帳が口を開く。
「・・・“神々の聖戦”、ねぇ。 俺がそっちの土俵に上がったのか、それともお前が凡人の舞台に落ちてきたのか・・・。 いずれにしても、随分と皮肉的だな?」
「さて、どうであろうな。 案外、巫女の前で神の体裁を保ちたいだけかもしれぬぞ?」
「・・・それ、さっきの聞かれてる時点で手遅れじゃないか?」
「・・・ふっ。 陽玉・来光」
「おい何か言えよ。 壱ノ型 亜空切断」
《
《 肆ノ型 黒穴 》
天から飛来する、陰陽玉に纏わせた土を硬質化させた岩の塊を黒穴で切り刻む。
《 伍ノ型 黒陽 》
「───爆ぜよ」
《 火行+土行・
隕落の星岩の威力を乗せた黒陽の威力が、自爆した陰陽玉の威力により相殺される。
《 弐ノ型 晦冥新月 》
《 陽玉・陽壁 》
黒陽の動作を終え、転移したかと思う速度で廛閑に襲い来る新月の刃を陽壁で封殺。 その隙に壊れた陰陽玉の再構築を行いつつ背後から更に星岩を突撃させる。
「空間転移」
《 陸ノ型 虚空 》
一方、幽希は攻撃が防がれたと見るや否や虚空で退避して岩を避ける。
両者の戦いは熾烈を極めていた。
黒陽や晦冥新月、光線や風炎、土岩やらの余波で社は瓦が吹き飛び、鳥居はひしゃげ、かつての荘厳な神社はもはや見る影もない。
《 陰陽・
《 参ノ型 虚影 》
命中した生物を狂わせる作用のある赤い光線を、虚影を作り出して回避する幽希。
《 漆ノ型 幽冥閃 》
「・・・ふんっ!」
意図的に冥月霧切を発動しないことで即座に幽冥閃に繋げ頚を狙うも、廛閑が一点に集わせた陰陽玉に弾かれる。
「チッ」
《 陸ノ型 虚空 》
軽く舌打ちをしながらも瞬時に虚空に入り幽冥閃による奇襲に切り替える。
《
《 漆ノ型 幽冥閃 》
「───っ!?」
幽希が虚空から幽冥閃を放つも、それは
(・・・外した? いや、刀は間違いなく廛閑を捉えてた。 脳の異常? いや、最初の一回以降陰気の攻撃は受けてない。 となると、視角が誤魔化された?)
「・・・そこか」
《 陽玉・来光 》
「ッ、しまっ───」
《 陽玉・
動揺からか虚空が揺らいだ。
その揺らぎに一つの陰陽玉から来光を放って突撃させ、捉えた幽希の像目掛けて五つの陰陽玉からエネルギーを集中させた砲撃を放つ。
虚空中は幽冥閃以外の技を即座に放つことができない。 幽希は黒穴を展開する間もなく直撃し、社の本殿の最奥の壁まで飛ばされ床に転がる。
(あー、これ相当マズいな。 というかコイツ強くね? 絶対厭夢より強い・・・ってかコイツと姑獲鳥と佩狼が死んで繰り上がった感じだよな厭夢は。 じゃあコイツが強いのも納得だわ巫山戯やがって)
呼吸で止血をしながら立ち上がり追ってくるであろう廛閑を待ち構える。
「・・・驚いたな。 最大火力をぶつけたつもりだったのだが、まだ立ち上がれるとは」
「ハッ、鬼殺隊ナメんな。 こちとら人間の身体能力でアンタら人外と戦ってる異常者やぞ」
「しかし参ったな。 これでも死なないとは・・・。 私は勝たねばならないのだが・・・」
「そりゃ、こっちも同じだよ。 だからこうして拮抗してるんだ。 ま、再生しない俺のが幾分か不利だがな」
呼吸による簡単な処置を終えたのか再び戦いが始まる。
今度は室内戦、しかし所詮木造建築の神社なぞ刀と光線の前には紙切れ同然。 遮蔽として使えるような代物ではなく視線切り程度にしか使えない。
・・・が、この二人からすればそれで十分。
《 陸ノ型 虚空 》
《 漆ノ型 幽冥閃 》
《 火行・陽炎 》
(また外れた。 いや、すり抜けた? 幻覚、それとも幻影? ・・・陽炎、か?)
遮蔽で視線を切ると同時に虚空に入ることで文字通り姿を眩ませる。 一方で廛閑は陽炎による虚像で斬撃を当てさせない。
(・・・陽炎、光の屈折による虚像。 もしそうなら、本体は逃げ水のように捉えられない。 なら、纏めて消し飛ばせばいい。 陽には陽だ)
(此奴の姿を消す技がどのような絡繰りかわからない。 だが、同じ空間に
《 伍ノ型 黒陽 》
《 木行・
陽炎を打ち破ろうと虚空を解いて放った黒陽、虚空から炙り出そうと四つの陰陽玉が構築した正方形の範囲内に放たれた紫雷葬撃。
「「ぐぅ・・・ッ!」」
互いが回避をせずに広範囲の殲滅技を放ったことでお互いに攻撃をモロに受けるという痛み分けの結果となる。
(マズい、雷撃で痺れが・・・!)
(くっ・・・かなり深く斬られた、再生が遅い・・・!)
互いが現状を忌避したことで偶然にも思惑が合わさり、それぞれが追撃に動けず膠着状態に陥る。
(・・・困った、現状の虚の呼吸じゃ手詰まりだ。 コイツの手札が多すぎて決定打に繋がらない)
(・・・チッ、血鬼術の悉くが火力不足だな。 仕留め切るには威力が足らな過ぎる)
撤退の選択肢はない、時間稼ぎも無意味だ。
夜が明けてしまえば廛閑は陽光で消滅するが、持久戦では単騎で戦う幽希が不利となる。 こんな辺境の村では増援も望めない。
虚影を作るのは結構疲れるし、虚空はあまり長続きしない上、虚空に入っている間は存外負担が大きいのだ。 そもそもあれらは搦め手の一つであって時間稼ぎ用ではない。
どの道、柱になるには幽希自身が仕留めなければならないのだが。
一方、廛閑も廛閑でこの場で幽希を仕留めなければ無惨によるパワハラが待っている。
それを抜きにしても、情報を持ち帰られればここに鬼殺隊の強者が押し掛けてくる関係上、幽希を逃がしてしまえばもう守り神としての使命を果たせなくなる。
(勝つには、今ここで“虚の呼吸”を完成させるしかないだろうな。 ・・・できるか? 考えろ、“虚の呼吸”の本質を───)
(陰陽五行の掛け合わせ、それぞれの持つ威力の限界を越える掛け算。 夜帳を葬る威力を出すには、これを成すしかない───)
((───今ここで、限界を越える))
傷が癒え、もう何度目かもわからないが互いに構える。
(一か八かの大勝負)
(成さねば、負ける)
(単純明快、やってやろうじゃん)
(己の“未来”のために)
「虚の呼吸・捌ノ型───」
「陰陽五行───」
透明文字の下は文字化けさせてます。 だって彼はもう 譏滓£ という人間ではなく天観神という名の“神”なのですから。
捌ノ型の名前が一生迷走して決まらなかった。
決定まで一月以上かかりました。 何をしてるんでしょう、哀れですね。
あ、そういえばお気に入り登録者が100人を突破しました。
読者の皆様いつもありがとうございます♪ ワタシ、とっても嬉しゅうございます。
"お前が始めた物語だろ"と言われないよう頑張りますので、気まぐれに読みに来てやってくださいな。
では。
ぶっちゃけ鬼の仲間化ってアリ?(オリ鬼、原作鬼問わず)
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好きにしろ
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鬼だって救われるべきだ
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悪鬼滅殺、慈悲はない