ワイ、コブラ部隊に入隊できたけど追い出された   作:ワイやて!?

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海上のメリークリスマス(後編)

 

「どうしたんだよ、みんな疲れてるのか?」

 

 サンタクロースを捕まえると意気込みながら真っ先に寝たアマンダの弟であるチコが、朝起きると死屍累々であった。

 

 徹夜して色々と頑張ったはずなのに、成果は全くでなかった。設備を整えたにもかかわらず、だ!

 

 そんな労力を無駄にしたことによる絶望がクリスマス当日の彼らを襲う。

 

 死ぬ気で仕事をしたのにこの始末とは。

 

「うう…………ちくしょうめ、何で俺達はサンタに会えなくてストレンジラブがサンタと遭遇するんだよ…………」

 

「え?サンタ?サンタが来たのか!?」

 

 未確認生命体(UMA)好きなチコが反応はするが、チコも内戦事情にやや適応しているためサンタクロースの存在を信じてはいない。

 

 それでもミラーほどの大人がサンタクロースについて言及すると興味が湧くというもの。

 

 結局、何が起きたのか聞こうとしたが疲れ切っている彼らを見て口をつぐんだ。

 

 滅茶苦茶に落ち込んでいる彼らに何かを聞くほど図太くはなかった。

 

「サンタクロースねぇ…………ここまで躍起になるのは何でかしら」

 

 同じく起床して周りの異常に気づいた鳥類学者であるセシール・コジマ・カミナンデス。名前が悪ノリしてるとか言ってはいけない、カミナンデスに近い苗字は実在するのだ。

 

 そんなパリジェンヌも呆れながらも死屍累々になっている彼ら彼女らを横目に通り過ぎていく。

 

 ミラーも、アマンダも、ヒューイも疲れ切っており、一足先に休んでいたストレンジラブはそこそこ元気にはなっていた。

 

 ただ、彼女が見たサンタだけは夢なのかと思い続けている。

 

 身体は休まっても精神が休まっていない。研究に没頭しすぎて徹夜を繰り返したように頭が重いストレンジラブも最低限の食事を取るべく食堂へと向かう。

 

「どうした、随分と遅かったじゃないか」

 

 そこには彼らのボス、スネークが居た。

 

「スネーク…………」

 

「聞いたぞ?サンタに出会ったらしいな」

 

「…………随分と耳が早いな」

 

「まあな、カズも随分と落ち込んでいた。『MSFを拡張した今だからこそ絶対に捕まえてみせる!』って意気込んでいたからな」

 

 朗らかに笑うスネークではあるが、彼の目の前に一つの箱が置いてある。

 

 丁寧に包装された跡が残っており、その中身にはやや覚えがある匂いが漂っている。

 

 いったいなにが入っていたのか、ストレンジラブに心当たりはあった。

 

「それは、葉巻か?」

 

「ああ、いいだろう?」

 

 自慢げに見せつけてくるところにイラっとしたが、このようなふざけた真似を大真面目にするものなのかと思っていた。

 

「お前もあいつに何か貰ったんだろう?」

 

「え?あ、ああ、これを…………」

 

「ほう、これか」

 

 サンタに出会った証拠として一度は没収されかけたものの、渡すことを拒否して持ち続けている小さな小包。

 

 その中には何が入っているのかは既にX線で検査は済ませてある。

 

「これは…………なるほど、あいつらしい」

 

「待て、お前、まさか全部知って…………」

 

「俺がサンタさんにプレゼントを貰えるような歳に見えるか?」

 

 茶化すような声でスネークは語る。

 

「本物かどうかはさておき、サンタはいた。そういうことだ」

 

 小包の中にはスネークの物と同じような葉巻が入っていた。

 

 ただ、今年スネークに渡された物とはどうやら違うようだ。

 

「この葉巻はある人物が好んで吸っていたものだ。今じゃなかなか手に入らないビンテージものでな。専門店で買おうとしたら相当な値が付くぞ」

 

 嬉々として葉巻を語るスネークはどこか懐かしそうに、そして寂しそうに話す。

 

 何故(why)、ストレンジラブにある人が所以する葉巻を渡したのか?

 

 そもそも何故(why)、毎年クリスマスに侵入してくるのか?

 

 そして、スネークは何故(why)知っていながら黙っているのか?

 

「俺たちは大きくなった。それ以前からも組織として色々と抱えている立場になった。そうなれば俺達を探ろうと侵入者が出てくる。それはスパイとしてか、それとも来訪者としてか。いつかやって来るなら最初から訓練した方が良い。知り合いにちょうどいい奴がいてな」

 

 ずうずうしく語るスネークにストレンジラブは驚きというよりも呆れが先に来てしまった。

 

「…………それ、あいつらに言ったら殺されるんじゃないか?」

 

「俺から言わせてもらうと、最初から今日みたいに本気でやれ、だ」

 

 皆に言うなよ、と最後に付け加えてスネークはストレンジラブから離れる。

 

 残されたストレンジラブと小包。葉巻はストレンジラブは吸わないのだが、この葉巻は大事に吸ってみることにした。

 

 ここで吸うのはあまりよろしくない。開けた場所で、どこか一人静かに吸えるところに行こう。

 

 疑問となる事は多い。だが、今日はクリスマスだ。

 

 一本くらい慣れるために吸うのも悪くない。

 

 どこの誰が彼女(ザ・ボス)の嗜好を知っていたのかは気になるが、サンタクロースが遣わしてくれたプレゼントを楽しもう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、私です」

 

「今年のクリスマスは随分と派手に動きましたね」

 

「おかげで後始末が大変でした」

 

「これを機に気を引き締めて欲しいところです」

 

「ですが、あの件もあります。難しいでしょう」

 

「このまま平和の日まで保てばいいのですが…………」

 

「それと、一つ気になったことがあるのですが」

 

何故(why)、彼女にもプレゼントを?」

 

「…………ええ、関係の方は知っての通りです」

 

「彼女は、ザ・ボスの愛人―――え、違う?」

 

「ザ・ボスの伴侶は1人だけ?は、はあ」

 

「貴方がそう言うならばそうなんでしょう」

 

「…………同じ愛する者を失った同士だから、ですか」

 

「いえ、深くは追及しません」

 

「ビッグボスも協力的で助かります」

 

「ただ、サンタクロースが本当にいると本気で信じていたみたいですが」

 

「この後はどうする、ですか?」

 

「このままビッグボスの下で働くつもりです」

 

「正直に言うと、ここの方が心地いいんです」

 

「危ういところもあっても、彼について行きたくなる」

 

「そのような気持ちになるのは初めてです」

 

「はい、今ではMSF一番のメディックです」

 

「茶化さないでくださいよ、貴方の教えが良かったんです」

 

「貴方の質問が始まった瞬間に地獄となりましたからね…………」

 

「皆のトラウマですよ?自覚はないんですか?」

 

「素人質問と言いつつ玄人の質問をしないでください」

 

「では、また連絡します」

 

「ええ、次のクリスマスこそ捕まえてみせます」

 

「それではまた…………」

 

「『謎多き院長』殿」

 

 





スネーク(ビッグボス)
プレゼントを置いてるのが誰かを知っている。それはそれとしてサンタクロースの存在は信じていた。
実はこのプレゼントに誰かの近状が挟まっており、人力ネットワークで連絡を取り合っていたりする。

カズヒラ・ミラー
最後まで何も知らない。
「サンタは実在する、のか?」

ストレンジラブ
この後、滅茶苦茶丁寧に葉巻を吸った

メディック
元『境界なき医師団』所属からMSFに移籍した。
定期的に『院長』と連絡を取り合っている。
目的としてはビッグボスの監視であるが、ビッグボス派である。
今後も問題がない限りビッグボスの元で働き続けていただろう。

『院長』
一体、ザ・誰なんだ…………?
『境界なき医師団』の各所に突然飛ばされてはいつの間にか別の所に飛ばされている不思議な人。
知識も豊富で戦闘力も恐ろしく高く、元軍人ではないかと囁かれている。
ただ、質問攻めすることも有名であり常時変人扱いされている。

と言うことでザ・ワイ視点がなければどうなるかと言うコンセプトの元で作られた小ネタでした。
ちなみに経路は自作ガジェットで陸から海へ渡って侵入したのちにプレゼントを置いて帰還、するつもりが何故か寝付けなかったストレンジラブと鉢合わせしてしまい、自分へのご褒美として買っていたザ・ボス愛用の葉巻葉巻(滅多に吸わないけどたまたま入手できた)を渡して誤魔化した。
設定上はサンタなので渡すだけ渡してそのまま海へ飛び込んで消えていきました。
グロズニィグラードでもバックアップ無しで単身潜入したから何とかなるかと思いました。
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