元社会人、異世界にTS召喚される。 作:名無しの投稿者
絶賛して体調不良の作者です。
こう言う時って筆が乗るんですよねー。人間、きっと頭働いてない深夜テンションとかの方が楽しいのかもしれませんね。
10/30追記、手直しを入れました。
空を翔る。
不気味な翼をはためかせ、縄張りを主張する怪鳥を触手で撃ち落とし。下から見上げ吠える獣を打ち砕く。
アストラは何処にいる。
アストラを攫った奴らは何処にいる。
「グゲゲェェエエ! ゲエェ!」
「4.xe。邪魔=、r.u!!」
飛んできた怪鳥の群れを触手で薙ぎ払い、触手を突き刺し、そのまま食う。
我ながら便利な手だ。裂ければ口になりそのまま齧り付いて怪鳥を食う。味はしない。しかし、腹は膨れる。
もっと、血肉がいる。
足りない。現界し続けるのに足りない。
贄が欲しい。アストラが居ないから、補給が間に合わない。
主、呼び主。何処にいる。
我が、私が、いま行くから。
泣かないで。
「おいおい、随分とテーブルマナーがなってないみたいだねぇ」
「……6j5、q@;? 0t.。0toue。6j5、q@;? q@;q@;q@;?」
「すまないね。星読みの古代語なら、アタシも理解できるんだがね。今のお前さんが何言ってるのかは、ちっとも分かりやしない」
だれだ。いや、我はあの人間を知っている。いや、知らない。いや、そんなはずはない。知っている。知っているはずがない。なぜ? なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?
「……あ゙あ゙、あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙」
「記憶の混濁か。それとも、拒否反応か。まあ、どちらでもいいさ。どれだけお前さんが強くとも、付け入る隙があるなら充分勝算はある」
だれだ。おまえは、お前は誰なんだ。
「かまえな。とは言っても」
「!」
足元から火柱が立ち上がり、そのまま私を飲み込む。
熱い。体が焼ける。痛い。でも、痛みはすぐに無くなる。でも、また焼かれて痛む。
「これは決闘じゃない。だから、よーいどんで始まるなんてことはないんだがね」
「3ze。3ze。eqe。7zqu。9hm7zqu」
「痛いかい? 痛いってんなら良かったね。まだ、生きてるってことだ」
目の前に立つ。火柱を起こして我を焼いた手下人は不敵に笑う。ああ、痛い。許さない。
お前が、拐ったんだな。お前が誘拐したんだな。
教えろ。アストラを、アストラを何処に連れて行った!
「8.xue。t5p、3rso=返p!」
「よく吠えるじゃないか。元気なガキは嫌いじゃないよ」
教えろ。教えないなら。お前を殺す。
──────────────────────────────────────
さて、勢い余って追いついちまったがコレからどうしたものか。
目の前に振るわれる半透明。ほぼ透明なナニカ。
当たれば城壁と同等の頑強さを持つ戦式魔術の結界も容易く砕く。アタシが当たれば即死。良くて瀕死だろう。
ただ、狙って動かしている様子はない。ただ乱雑に振り回している。まるで子供が癇癪を起こして腕を大きく横に振っている様に。
見えにくいが動きも単調。素早いが、避けれないことも防げないこともない。
冒険者時代に戦ったことがないほどの強敵だろうが、何も倒せないわけじゃない。
「そぉら、くらいなら!」
魔力を地面に流して隆起させてルナーラの体を打つ。
体重は対して変わっていないのか、簡単に打ち上げられて空に舞う。しかし、対してダメージになっている様な感じは見られない。よく見えないけど、触手に阻まれたみたいだ。
「タフだねぇ」
「d@7j=、r.u!! g5\!」
「ハッハッハ。よく吠える。
天よ、
落とせ──〝天落〟」
「h@g@z!」
「まだまだ。
風よ、砂塵よ、
檻となれ、荒ぶる刃となれ──〝風獄〟〝砂流刃〟」
空を浮遊するルナーラを地面に叩き落として空気の檻に閉じ込め、中で砂が風で荒れ狂う。
……大抵のやつなら、コレで死んでくれるんだが。
「まあ、お前さんは生き残るよな」
「eqtzq。eqtzq。eqtzq!」
無傷。とはいかなくても、体の表面。皮膚と思われる組織からは赤い体液が滲んでいる。
炎、熱に強いのか? それとも、転化系魔術には強いが、干渉系になると弱い? それとも、古代魔術に対して強い?
「t@3333!」
「おしゃべりが好きなこって! 足元注意だよ。あと、頭上もね!」
「! eqe 」
足元に魔力転化で水溜りを作って地面を軟化させて体制を崩し、頭上から転化させて作った雷を降らせる。
……やっぱり効果は薄い。
「なるほど。体質は変わらず、魔力や魔素には高い耐性があるが、物質による物理、質量攻撃に対する耐性は高くない。初心者殺しのままかい」
転化系。魔力を属性に転化した魔術。転化系魔術の効きは非常に悪いが、物質に干渉し操作する干渉系魔術には弱い。
バケモノの様な状態になっても、この体質は変わらない。亜人種の中でも魔種に近い奴らは体質ごと変化させて来やがるが、ルナーラはその辺はないみたいだね。まだやりやすい。
「そんな乱雑に振ったんじゃ、ご自慢の武器も大した脅威じゃないね」
それにしてもおかしい。
「s@b。[email protected]。3rso、[email protected]」
何を言っているのかはまったくわからない。しかし、この感じは……。
「……知能が低下しているのかい」
ルナーラは転化系魔術が苦手だ。しかし、魔力操作や練魔、練気に関してはアタシの様な魔導の頂にいる様な奴と同等の技量。総量に関してはアタシよりも遥かに多い。
なのに、一切こちらの魔術を防ぐ様に気力を纏ったり、魔力を使って魔術を相殺したりしようとしない。
いつもなら雨の様に魔力塊を降らせたり、正面から射出したり、不意をつく様に罠を張ったりなんてこともない。
そして、言語はわからなくても疑問に思うほど同じ音ばかり発する。まるで、同じ単語を繰り返している様に。
「うう、ううあああ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙」
「ちっ! 一枚持ってかれたか」
「ああ、ああぁ。アス、ト、ラァ。わ……しは」
「……」
知能は著しく低下しているが、理性が残っていないわけではないのか?
と言うことは、魔術や気に関しては無意識にセーブしていると言うことなのか。
「あああ、ああああああぁぁぁぁ。4.xe! 4.xe! 0qdf! 0qdf 」
錯乱しているのか。
精神的苦痛によって錯乱しているが故に暴れているのか?
なら、解決法はある。
ルナーラを正気に戻せばいい。正気に戻れば元の状態に戻るってんなら、私の奥の手が通用する。
「
瞬きの夢。
白昼の汝を惑わす。──〝夢現〟」
ほんの一瞬だけの幻。古代魔術の研究をしていても、練度は転化系や干渉系ほど高くはない。
平常時のルナーラなら容易く弾くだろうが、正気ではない今のルナーラにはよく効くだろう。意識を逸らし、アタシから目を逸らせ。
──今!
「──〝
アタシの持つ最大の武器。そして、切り札。
白痴を許さず、知性と理性を相手に強制的に打ち込む神の権威を象った代物。
「──〝ルミナリスの光杭〟」
【光と知恵のルミナリス】より授けられた光の杭。
もう年老いたアタシには、昔みたいに遠くからいくつも投げて相手に刺すなんて器用なことは出来ないが。手に持って突き刺し、殴って杭を打つことぐらい出来る。
アタシから気を逸らしたルナーラに杭を突き刺して杭を殴りつける。
カアアアァァァン!!
「eqe、eqe。3qjt@、0;.。eqe9 」
「効果ありだね」
知性の欠いている今のルナーラにはよく効くだろう。
「あぐっ。あ、ああぁ」
「効くだろう? 魔力をゴッソリ持ってかれちまうからあまり使いたくはないんだが、おっと危ない。安心しな。どんだけ暴れたって離してやらないからさっ!」
カアアアァァァン!
ルナーラに刺さったままの光杭を叩いて差し込む。
さっさと戻ってこい。馬鹿弟子。
「ああう。わた、し、ハ。ゲホッ! ゲホッ! 私、は」
「落ち着きな! 深呼吸だ。ダメなら目を閉じて体の力を抜きな」
「私は、……ジュ、ラ?」
「ああ、アタシだよ」
見えないナニカも無くなったし、杭も消えた。
ルナーラを支えていたであろうモノも無くなったのか、空中で体を傾けて落ちるのを受け止めて、ゆっくり地面に降りる。
相変わらず魔力の消費が激しい。二発殴ったら半分も持っていかれちまった。魔力を補充しておかないとね。
「目は覚めたかい」
「……うるさい。頭、中。うるさい」
「仕方がないんだ。お前さんは今、自他を分けるための試練に立たされている。精神的にキツいモノだ。思考がまとまらないのも、常に否定され続けるのもそう言うものだからなんだよ」
自他の乖離。過去の離別。新たな始まり。
境界の試練とはそう言うもの。
「この試練は、自分で解を出すしかない。お前さんが死ぬまで終わらない自分への問いかけ。問う声は止まない。……焦らずに落ち着きな。試練の本番は夜なんだろう? 前座の今で正気を失くしてどうするのさ」
「……でも、アストラ、が」
アストラへの異常なほどの執着。共依存関係が一番の課題か。それとも、ついさっきまでの暴走状態。自分と言う存在の異常性を理解することが課題か。
「アストラが心配なのはアタシもさ。でも、なんの情報もない今動いたってアストラを助けられない。頭を使わずにどうにか出来るほど、どんな生物も馬鹿じゃない。相手がヒト種なら尚のことだ」
相手も馬鹿じゃない。
昼間っから都市を襲い、人を拐って逃げるほど。あのヴェラルドルフからアストラを奪い取って逃げられるほどの奴だ。相当な手練れか、頭の回る奴か。
どちらだとしても、こっちも頭を働かせて挑まないと厳しいだろう。
「…………」
「アタシもアストラの救出は手伝う。可能なら、お前さんの試練もだ。アストラもお前さんもアタシの教え子。人の教え子に手ェ出したんだから、取り返してやらないとね」
どこの馬鹿かはわからないが、アタシを敵に回したんだ。どこへ逃げようと、どこへ隠れようと。例えアタシが死んでも逃げられない呪詛を贈ってやる。
「落ち着いたなら休みな。老体に鞭打ってお前さんと商都まで行ってやるから」
飛行魔術は得意じゃない。現代魔術はどうも苦手なんだ。使えないことはないし、事故を起こすこともないけど、アタシが使うと魔力の燃費が悪い。
「……わ、たし、も」
「お前さんは転化が得意じゃないだろう。大人しくおぶられな」
「…………ん」
まったく。世話の焼ける子だ。
元いた世界でどんだけ生きてたかなんて知らないが、今は子供なんだ。素直に周りから甘やかされな。子供の特権なんだから。
「落ちない様、しっかり掴みな。〝フライト〟」
「…………ごー」
ルナーラを背負って飛行魔術で空を飛ぶ。速度を上げるために、追加で〝
商都まではもう少しかかる。夜までには着くだろうが、……頼むから、尽きるんじゃないよ。アタシの魔力。
ちょこっと解説。
〝神象具〟
神格の権能を象り、道具へと姿を変えたもの。
異なる世界では神器と呼ばれていたりもするらしい。
神象具は、神格がその存在を認めて与えるモノ。言葉や文字も神象具の一つとする説もあるため、概念的なモノも与えるのではないか。と言う説もあるのだとか。
ちょこっと解説2
〝ルミナリスの光杭〟
【大導師】ジュラが、光と知恵の女神、ルミナリスから授けられた神象具。
突き立てた対象に理性や知性を付与することのできる、白く発光する杭。
打ち付け、深く突き刺されば突き刺さるほど強く効果を発揮し、知性や理性とは縁遠い獣にも知性と理性を与えることが出来る。
しかし、顕現させる時と打ち込む際に激しく魔力、気力を消耗する。
解号は「我はここに知性の杭を打つ」