曰く、ゲヘナ自治区の端に奇妙な図書館がある。丑三つ時にしか入れないそこには禁書や魔導書等、この世界全ての本があるのだとか。
くだらない噂話を小耳に挟んだその時の私はすぐに忘れるだろうと思い、その日は友達と遊んで帰った。
だがいつまで経ってもその噂は忘れられず、日に日に心の中で黒いモヤのようなモノが大きくなっていく。
今まで本なんてちゃんと読んだことの無い私なのに、どうしてその図書館に惹き付けられるのか。それを無理やり忘れるようにその日は早めに床に着いた。
のだが...唐突に目が覚めてしまった。
時計を見れば24時を回るところだった。
(今から行けばちょうど2時ぐらいに着くな...。)
寝起きで頭の回らない私はボーッとしながらそう考え、一気に目が冴える。
(何でッ!?どうしてそこまで行きたがる!?)
頭の中で疑問と恐怖が渦巻く。もしかして私は誘われているのか...と。
どうせ行っても何も無い、結局噂話は噂話だったんだと後悔する、そう思い込もうとしてもダメだった。
気が付いたら着替えていた私は夜の街へとその足を進めていた。
1:57 a.m.
その図書館があるという場所へとたどり着いた。ゲヘナ自治区の端にあるボロボロの廃墟。
立ち入り禁止のテープが貼られており、いかにも幽霊が出そうな雰囲気を醸し出していた。だが...
「なんだ...図書館なんて無いじゃないか...。」
あまりにもボロボロな廃墟は外から中が見える程だった。
携帯のライトで照らし、覗いてみても本どころか机や椅子もなく、壁にスプレーで落書きが描かれているだけだった。
立ち入り禁止のテープが貼られている理由は恐らく崩れる危険があるからだろう。こんな場所で図書館なんて出来るわけがなかった。
大きなため息をつくと、自分が汗をかいていたのが分かった。
とても緊張していたようで背中までびっしょりだったのだ。
「うわ最悪っ。帰ってシャワーでも浴びよ。」
明日...いや、正確には今日か。今日の学校は休もうかなとその廃墟に背を向け歩き出す。
今宵は満月のようで雲の隙間から月明かりが差していた。
今度あの噂話は嘘だったって言ってやろうと思いながら歩いていく。
2:00 a.m.
後ろから扉が軋む音が聞こえた。
心臓が跳ね上がる。ゆっくりと振り返り携帯のライトを当てると、廃墟だったはずの建物は古臭い、だがしっかりとした建物となっていた。その扉は半開きとなっており、私を招待しているようだった。
寒気が止まらない。何も見なかったことにして帰るべきなのは分かっていたが私は半開きになっている扉を開き、中に入っていった。
そこは図書館のようで違う、不思議な所。小さな世界に飛び込むには少し光が足りないこの場所には、大きな本棚が並んでおり、本が所狭しと詰められていた。
(本当にこんな所があったんだ...。)
携帯のライトで周りを照らしながら恐る恐る歩いていく。本当にこんな所に世界中の本があるのだろうか。気にはなったが学のない私には確認のしようがないのでそのまま歩みを進める。
暫く進むと8人位は並んで座れそうな長机がズラリと並んでいた。
そこは本を読むスペースのようだった。
(建物の外見と中の広さが一致しない...。異常な程広い...。)
先程から止まらない悪寒に肌を摩り温めていると、遠くの長机の1つにポツンと灯りがついていた。
(誰かいる!私以外に引き寄せられた人...?)
そう思いその灯りへと歩いていく。
近付くとそれが私とは違う、元からここに居た人だと気付いた。
髪の毛や瞳、服の色がどこまでも黒く、異常なまでに肌の白い大人の女が本を読んでいた。
光を放っていたの彼女の頭上にあるヘイローだったのだ。
光を放つヘイローなんて聞いたことがない、そもそもなんで大人がヘイローを...?と惚けているとこちらに気付いたのか本を閉じ、こちらへと視線を向ける。
「いらっしゃい、よく来たわね。本しか無いところだけどゆっくりしていくといいわ。」
飲み込まれそうな瞳と声色に意識を持っていかれそうになるが、ギリギリで耐え大人の女に問う。
「ここは一体...?あんたは誰?なんで私を呼んだの...?」
まだまだ聞きたいことがいっぱいある。言葉を続けようとするといつの間にか女が目の前に来ていた。
そっと私の口に人差し指を当てる。
「ここは図書館よ。お喋りする場所じゃないわ。」
そう言うと彼女は私の頬に手を添える。
「でも...分からないことだらけなのもわかる。良いわ、答えてあげる。」
耳元で囁く彼女。私の鼓膜に彼女の吐息が優しく吹きかけられる。あまりの刺激に腰を抜かしてしまいその場に尻もちを着きそうになる私を彼女は抱き寄せた。
「ダメよ、汚れちゃうわ。ほら椅子に座ってちょうだい。」
そういい私を椅子に座らせると彼女も隣に座り私の足に手を添える。
あまりにも煩い鼓動も気にならないぐらい彼女に私は夢中になってしまった。
私は彼女に食べられるためにここに呼ばれたのだろう。そう分かってしまった瞬間他の疑問などどうでもよくなってしまった。
甘くて底無しの沼に自ら身体を沈めていく。例えもう戻れない分かっていても。
彼女のヘイローが妖しく輝いた。
バリタチガチレズ司書です。怪異みたいなもん。最悪過ぎる。本を読むのも大好きだけど可愛い女の子食うのが1番好き。
この後モブちゃんはヤることヤられて朝帰りで生きて帰れたんだけど今までの生活にはもう戻れず、度々図書館に訪れるようになったらしい。可愛いね♡
特殊能力として好みの女の子を勝手に引き寄せるらしい。終わってるよこいつ。