緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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コミケ前今年最後の投稿です・・・
仕事が忙しすぎて寝る暇もない・・・


97話<昨日の敵は…>

武偵病院、待合室の窓から外を見れば空は黒から瑠璃色になろうとしていた。

 

「もう夜明けか・・・ホント最後まで慌ただしい文化祭だったな・・・」

そう言いながらキンジは長椅子に腰かけ欠伸をすると

「そうだな、やっと一つのヤマが終わったと思ったら最後の最後でまた次の波乱が間髪入れずにやって来たな」

氷牙も向かいの長椅子に座り缶コーヒーを投げ渡された

 

あの後、フォースという少女の置き土産で降ってきた瓦礫の下敷きになってしまったアリア、白雪、理子はすぐさま救助され(というか全員自力で出てきて平然としていたが)救護科へ運ばれていった。

普段から嫌でも鍛えられてるためかぶっちゃけ言って何てことは無かったそうたが念のため検査を受ける事になり入院を余儀なくされ、キンジや氷牙、レキや凛香も事情聴取や事後処理、アリア達の検査に追われバスカービルのメンバー全員が病院で一夜を明かす羽目になってしまったのだ。

 

「理子にも「今夜はオールナイトで打ち上げるよー!!」とか言われたけどまさかこんな形で徹夜するとは思わなかったよ」

「打ち上げなんて始めてもいないじゃねえか。満足に乾杯も出来てないんだからよ」

そして二人は乾杯も出来なかった打ち上げのせめてもの代わりとして缶コーヒーを打ち合わせて飲み干し、

 

これまでが呑み終わるとこれからの話が始まった。

「で?これからどうする?あの女、フォースだったか?最後に「またね」って言ってたし、間違いなくまた絡んでくるぞ?というかあいつお前の事「お兄ちゃん」なんて言っていたがあいつ本当に妹じゃないのか?」

「ああ、何度も言うがあいつとは初対面だ。そもそも俺に妹なんていない」

「だけどあいつ嘘を言ってるようには見えなかったんだよな・・・それにあいつの顔、どことなくカナさんの面影があった」

「・・・それは俺も思っていたよ。あいつとカナの顔が重なって見えた・・・それに・・・俺はあいつとは初対面なはずなのに俺はあいつを知っている。どうしてかそんな気がしたんだ・・・」

「とても偶然とは思えないな・・・一度鐵さんに聞いてみるか?まさか生き別れとか腹違いとか居なかったりしないよな?」

「もし父さんに愛人とか隠し子がいたらそれはそれで遠山家にとって大問題なんだが・・・父さんは俺が物心つく前に亡くなったからそんなものいないとは断言して言えないな・・・」

「・・・血筋だな・・・言っちゃあなんだが鐵さんもかなりのスケベ爺さんだからな・・・」

「・・・父さん・・・頼むから杞憂であってくれよ・・・じゃねえと俺がそっちまで殴り殺しに行くぞ・・・」

「今のお前が言っても返り討ちにされて逆にお前が殴り殺されてこの世に殴り返されるだけだろ。それに2つ気になることがあるんだが・・・」

「何だ?」

 

氷牙は気になる事を一つずつ指を立てて説明する。

「一つ、あいつ等多分コードネームなのかGⅢ、フォースって呼び合っていた。サードとフォース。つまりは・・・」

「・・・ファーストとセカンド。最低でもあと2人仲間がいるってことか・・・」

「フォースはGⅢに屈していた。もしあのコードネームが順位だとしたらあいつ等よりも強いってことになるぞ」

「お前を動揺させたフォースは勿論、それを屈服させたGⅢよりも強いか・・・考えたくないな・・・ちなみにもう一つは?」

 

氷牙は二本目の指を立てると

「2つ、フォースの奴最後に『先に帰ってる』って言ってたがどういう事だ?」

「それは俺にも分らん・・・まさか俺があいつ等の家に帰るとでも思っていたのか?場所も知らないのによ・・・」

2人が首をかしげているとキンジの携帯が震える

「ん?電話か?アリアから?」

 

 

「もしもし?」

『ももまん10個、ショートケーキ1ホール、マカロン1ダース、栗羊羹3本、カロリーメイト10箱。風穴』

 

――プツッ、ツー、ツー、――

 

「「・・・・・・・・・」」

 

今のは間違いなくアリアの声と口調であった。どうやら元気そうだな・・・つーか電話していきなりパシらせるか!?他に言う事はねえのか!?だが俺達に拒否権などない・・・

 

「しょうがねえな・・・キンジ、お前はコンビニ言ってこい。俺は街行って羊羹とケーキ買ってくるよ」

「すまん・・・じゃあ急ぐぞ!」

俺達は二手に分かれてキンジはコンビニへ。氷牙は街へと向かっていった。

 

そして病院から出ると、再びキンジの携帯が鳴る

「ん?電話?今度は誰だ?」

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

同時刻、氷牙の携帯も鳴った。

「ん?電話?凛香から?」

歩きながら電話に出る。

「凛香か?何か用か?」

『あ、氷牙?もしかして買い物に出てる?アリア達が突然ごめんね・・・』

「別にいい、どうやら心配なさそうで何よりだよ」

『うん、それと玉藻様も目を覚ましたよ。でもすごいご立腹で「もう許さん!!あの罰当たりめに天罰を下してやるわ!!!!」って言ってたから周りに気を付けてね?』

天罰ってあのチビ狐何する気だ?

そう考えながら

 

――パシィッ――

 

脳天めがけて落ちてきた鉄製の花瓶をキャッチした。

「・・・・・・・・」

『ん?どうしたの?』

「いや、俺の頭めがけて鉄花瓶が落ちてきた」

『え!?そ、それ大丈夫なの!?』

上を見れば最上階の病室の窓から慌てた様子で下を見ている1年と思わしき救護武偵がいた。どうやらあいつが落したのか

「気を付けろよ・・・こんなの脳天に当たったら俺でも即死だぞ・・・」

かまけている暇は無いので俺は花瓶をその場に置くとそのまま街へと向かった。

 

 

 

 

 

そして・・・

 

「氷牙の奴遅いな・・・あいつ何してんだよ・・・」

買い物を終えて病院の前で氷牙を待っているが一向に来ない。あいつの事だから先に帰ってると思ったのに・・・

 

 

やがて後ろから

「悪いキンジ、遅れた」

氷牙から声を掛けられた

「やっと来たか、遅いぞ氷――ッ!!」

氷牙を見た瞬間、キンジはギョッとしたが当然だった・・・

 

なぜならそこにいた氷牙は顔や制服が血塗れになっていた・・・

 

「だから・・・お前なんで血塗れになってんだよ!?」

「ああ、それがな・・・」

氷牙が説明しながら病院に入ろうとすると

 

「――っ!?あ、貴方はさっきの!!さ、先ほどは申し訳ありません!!そんなに血だらけで大丈夫ですか!?」

偶然通りかかった先程氷牙に花瓶を落としてきた1年と思わしき救護武偵が氷牙を見るなり慌てて駆け寄ろうとすると

 

――ブチッ――

 

ホルスターのベルトが切れてホルスターごと銃が落ちた

 

あれは・・・M29!!!

 

そして地面に落ちると

 

――ドォンッ――!!

 

――バキィンッッ――!!!

 

暴発して氷牙は吹っ飛ばされた

 

「え!?あ!!だ、大丈夫ですか!?」

「お、おい!氷牙!?」

呼びかけるが暴発させてしまった救護武偵も頭の片隅ではわかっていたのか顔を真っ青にして頭を抱えていた・・・今の吹っ飛び方・・・マグナム弾がモロに頭部に命中した・・・当然即死、頭が形を残しているだけでも奇跡だ・・・

「あ、ああ・・・ぼ、僕のせいで・・・は、早く手術室に――」

「頭撃たれたなら運んだところで無駄だろ・・・」

「そ、そんな・・・ぼ、僕はどうすれば・・・」

「どうもしなくていいんじゃねえの?出来る事なんて無いだろ?」

「で、でも・・・そ、そうだ!せめてお坊さんを呼んで・・・」

「落ち着けよ・・・てか縁起でもないから病院に坊主を呼ぶな・・・後、俺は無宗教だ」

「だ、だけどこのままじゃ僕は・・・」

「過失致死に9条違反、武偵3倍刑法のトリプル役満、良くて無期懲役、悪ければ死刑もあるな」

「し、しけ―――あ、ああ・・・夢だ・・・こんなの夢であって・・・・・・・・」

そこで救護武偵はある事に気が付いた、今僕は誰と話しているんだ?

真っ青を通り越して真っ白になっている顔を上げて声のする方向を見ると

 

 

 

 

 

 

ムクリと上半身を起き上がらせて立ち上がろうとしている氷牙がいた

「え!?」

「けど生憎だが俺は神には死神にまで嫌われているみたいでな?地獄でさえ門前払いにされっちまったぞ?」

そして口の中をモゴモゴと動かしてプッと口の中から噛み潰された銃弾を吐き出した。氷牙はキンジの特技、銃弾噛みでマグナム弾を受け止めたのだ。

 

「「え!?ええええええええ!!??」」

これにはキンジも驚愕の声を上げた。

 

「歯が痛ぇな・・・キンジ、今度コツ教えてくれ・・・」

「いやいや!!コツなんて無えよ!!そもそもマグナム弾噛んで止めるなんて俺も出来ねえよ!!」

 

その光景を見て救護武偵は

「あ、ああ・・・やっぱり夢だった・・・全部、悪い夢だったんだ・・・・・・・」

それだけ言い残すと目をぐるんと回してそのまま後ろにぶっ倒れて気絶した。

「あ?どうした?過労か?寝不足か?」

「氷牙・・・放っておいてやれ・・・全部夢であった事にしてやった方がいい・・・」

「情けねえな?こんなので気絶してたらこの先3年間やっていけねえぞ?」

「むしろこれで動じない1年がいたらそいつは絶対大物になるよ・・・」

そして俺達は気絶した1年をベンチに寝かせるとエレベーターに向かっていった。

 

 

 

「で?お前結局何があって血塗れになってるんだ?」

「まあ・・・1から順に説明するとだ・・・」

 

氷牙が言うには凛香から玉藻が天罰を下すと聞いてから、どうも不幸が重なって起き続けたらしい…

 

上から花瓶が落ちてきたのを始まって、信号では居眠り運転のトラックが突っ込んできて、工事現場を通りかかれば鉄骨が落ちてきて、居酒屋を通りかかれば襟に金色のバッチを付けた強面な酔っ払いに絡まれて、大通りを歩いていたら「不幸だ―!!」と言いながらヤンキーに追いかけられている青年に道連れにされ、挙句の果てには帰りに近道で裏通りを歩いていたらヤクザ連中に因縁を付けられたそうだ。

 

「そんで最後にはマグナム弾で撃たれて・・・こうも悪いことが続くなんて・・・不幸だ・・・」

「・・・俺はむしろお前に絡んじまった連中のほうが不幸だと思うよ・・・」

 

キンジは呆れるがそれも当たり前だろう

その後、居眠り運転のトラックは闇魔刀で真っ二つにして廃車にして、落ちてきた鉄骨も闇魔刀でバラバラにして鉄屑にして、絡んできた酔っ払いは酒を食い物と一緒に全て強制的に排出させて酔いと頭と体を冷ましてやり「酔って図に乗っていました!!申し訳ありませんでした!!」と、ヤンキー共は全員ボコボコに返り討ちにして「調子に乗ってました!!申し訳ありませんでした!!」と、因縁を付けたヤクザ連中とはMP5Kをブッ放した後「親父共々ご迷惑をおかけしました!!申し訳ありませんでした!!」と全員自らの血で血塗れなまま土下座させたのだから。

 

ちなみに道連れにしやがった青年にはヤンキー共を返り討ちにした後、笑顔でアッパーカットを入れてやった。あいつも最後まで「不幸だ・・・」が口癖な奴だったな

 

「それと凛香から聞いたんだが・・・師団総意のフォースやGⅢについての対応、聞いたか?」

「ああ、俺もお前と別れた後すぐメーヤから電話があって聞いたよ・・・」

「あいつ等バカじゃねえの?それは出来るとしてアリア達が納得すると思うのか?正直俺だって納得できないぞ?」

「それはそうだけどよ・・・・・・って待て!?何で実現自体は出来るって決めてんだよ!?」

「そりゃお前がいるからだ。てか・・・さっきからこそこそして何のつもりだ?いい加減出てこい・・・それともまた掘り出してやろうか?」

「え?」

そう言って氷牙はMP5Kを取り出しキンジの影に銃を向けると

 

『ひっ!?ま、待って!!今出るから!!お願いだから撃たないで!!』

影の中からそんな声が聞こえ陰からゆっくりと手が出てきて、やがて声の主の顔も出てきた。

 

「なっ!?ヒルダ!?」

先の戦いで倒した眷属の一人、アリアの殻金を剥がした張本人でもあるヒルダが出てきた。ただし黒のゴスロリの服ではなくナース服の格好で

「何しに来た?理子をいじめにか?それとも俺へのお礼参りか?次は無えって言ったはずだぞ?なら遺書は書いてきたか?まさか楽に死ねるなんて思ってないよな?」

「ひっ!?ち、ちがっ・・・わ、わたし・・・」

「待て氷牙!怯えてるだろ!それにこいつが手を出してこなければこっちも手を出さないって約束だ!せめて話を聞いてやってくれ!!」

キンジが間に割って入るとヒルダもキンジの後ろに隠れるとジャケットの裾をぎゅっと握ったまま顔を半分だけ出してこちらを見た。

「・・・分かったよ、ならもう一度聞くぞ?何の用だ?」

 

「こ、これ・・・理子に・・・」

ヒルダは菓子といちごオレ、ヤモリの黒焼きが乗ったトレーを差し出した。

それを見て二人はヒルダが何をしに来たのか察した。

「氷牙、銃を下ろせ。彼女、理子の見舞いに来たんだ」

氷牙は銃を下ろしたがその顔はまだ納得はしていなかった。

「だがそれなら俺達に付きまとう理由にはならないはずだ。俺達に何の用だ?」

「その・・・貴方達から・・・理子に渡してほしくて・・・」

「別に自分で渡せばいいだろ?」

そう言うとヒルダは俯いて

「私が渡しても・・・きっと受け取ってくれないから・・・」

 

ヒルダも氷牙にトラウマレベルまで叩きのめされて、理子に助けてもらってから心を入れ替えたのか自分がしてきた事への罪悪感を自覚し償いを始めたみたいだ。

けど二人の過去を考えてみればそれこそヒルダは殺意しか出てこないほどに理子に恨まれているんだ。今更どうやったって許してなんてくれないだろう。

だがそれでも歩み寄ろうとしている気持ちを無下にするほど俺も冷酷じゃないし部外者の俺が口を挟んでいい事じゃない

 

「キンジ、お前が渡してやれ。こういうのはお前の仕事だろ」

「わかった、理子にヒルダからって渡しておくよ」

キンジがトレーを受け取るとヒルダもこくりと頷いて

「それと・・・これは貴方に・・・」

何故か顔を赤くしてキンジに小さな宝石箱を渡した

「これ、俺にか?」

蓋を開ければ星状に光る大きな赤い石がはめ込まれたコウモリのペンダントが入っていた。

 

氷牙はそれを見ると目を見開いた

「おいおい・・・これってスタールビーじゃねえか!?」

このサイズと品質なら売れば数千万円にはなる!いくらなんでもポンとあげていい代物じゃねえぞ!?

「・・・貴方、お金ないんでしょう?受けた恩は下賤な人間でも必ず返すのが吸血鬼の誇りよ・・・その・・・助けてくれて・・・ありがとう・・・」

そう言って顔を更に赤くするとヒルダは影へと沈んで去っていった

 

 

そんなヒルダを見て氷牙は

(ワトソンに続いてヒルダもか・・・やっぱりフォース達への対応、出来はするな・・・こいつの毒牙犠牲者がまた増えるのか・・・)

そう呆れた

 

 

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