緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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長らく空いてしまいました・・・
自由を奪われた社畜なりに頑張って書いてます・・・


99話<妹の名は・・・>

氷牙が病室で激戦を繰り広げている一方・・・

 

「はぁっ・・・はぁっ・・・やっとまいたか・・・」

「なんだか逃避行みたいで楽しかったね」

アリア達を何とか振り切り逃げおおせたキンジとフォース

だがキンジは息が完全に切れているのにフォースは息一つ切らしていない・・・

「お前、何で平気なんだよ・・・てか事の重大さわかってるのか・・・これからどうすりゃいいんだよ・・・」

「どうするってお家に帰るんでしょ?お兄ちゃんいつまで待っても帰ってこないんだもん。だからあたし迎えに来たんだよ?」

「いや当たり前だろ!昨日はお前のせいで全員病院で一夜を明かす羽目になったんだぞ!!帰れるわけないだろ!!」

第一俺はお前等の家がどこにあるのかなんて知らないから帰れるわけが無い

そもそも俺一人でこいつとGⅢ、その上こいつ等よりも強いかもしれないセカンドとファーストがいるかもしれない場所に行こうなんて自殺行為もいいところだ・・・

 

「アリア達の前であんなことしやがって・・・俺の部屋にはアリア達が住んでるんだぞ・・・自分の部屋にももう帰れないじゃねえか・・・」

俺の部屋にはアリア達が住んでるから鉢合わせになったらその時点でドンパチが始まるからもう近づく事すらできない・・・

今晩からどこで寝ればいいのかと頭を悩ませていると

「それならもう大丈夫だよ?部屋にあったあいつ等の物は全部バラバラに切り刻んでゴミ置き場に捨てたし、鍵は変えておいたからもうあいつらは入って来れないよ」

「なっ!?何てことしてくれたんだ!!余計に火に油じゃないか!!・・・てかちょっと待て?お前今なんて言った!?」

「――?部屋にあったあいつ等の物を捨てて、部屋の鍵を変えた。だよ?」

 

先程の言葉をもう一度聞いてキンジの頭にはあの時の言葉の答えが出た

「まさかお前・・・昨日先に帰ってるって俺の部屋にって事だったのか!?」

「当たり前でしょ?お兄ちゃん相当疲れてたみたいだから雌共を叩き潰した後、お風呂とご飯と寝床の準備するために先に帰って待ってたんだよ?お兄ちゃんの部屋に勝手に住み着きやがって・・・お兄ちゃんと一緒に住んでいい女は妹のあたしだけだよ。それに・・・」

フォースはキンジのポケットから先程ヒルダに貰ったペンダントをひったくった

「あ、おい!」

「やっぱりね、ポケットから女の匂いがしたんだ」

「おい返せ!それは―――」

 

取り返そうとするがその前に

「全部処分したと思ったらすぐこれ。油断も隙も無いよね?お兄ちゃんは魅力的だから雌猫が集るのは本当に仕方ないけど・・・あたしの目が黒いうちはもう一匹たりとも近づけさせないよ!!」

 

――バキベキッ――!!

 

フォースはペンダントを素手で粉々に握り潰した

 

「な!?お、お前なんて事するんだよ!!」

売れば時価で数千万にはなった。そうすればこの先の学費や生活費は勿論、装備にかかる費用だって十二分に賄えた。長らく悩まされていた金欠もこれで終結するはずだった・・・だがそんなことよりも大事なのは・・・

「こんな物無くてもお金ならあたしがいくらでも用意してあげるよ。お兄ちゃんが欲しいときに欲しいだけ一生かかっても使いきれないくらい、こんなのはした金に思えるくらいにあたしが用意してあげるよ」

「違う!!そう言う問題じゃないんだ!!それはたとえこれ以上金に困ることになったとしても絶対に売ったりなんてしない!!それはヒルダの感謝と改心の証でもある、決して金なんかには代えられない物だったんだぞ!!」

「・・・そっか」

フォースは踵を返した

 

「おい!?どこに行く気だ?」

「お兄ちゃんあいつらの事ばっかり言うんだもん。だからあいつら、あのコウモリ女共々殺してくる」

「だからやめろ!!それにもしあいつらに本当に手を出してみろ!!氷牙に殺されるぞ!!あいつが本気で切れたら俺だって止められるかわからないんだ!!」

キンジが腕を掴んで止めるとフォースは振り返り

「じゃああたしだけを見てよ!!あたしだけを愛してよ!!あたしはお兄ちゃんの事を世界で一番愛してる!!だからお兄ちゃんもあたしを世界で一番愛してよ!!!」

目から大粒の涙を流しながら叫んだ

「―――ッ!!」

嘘泣きであれば簡単に見破るがこいつはとても演技で出来る芸当じゃない、こいつは本気で泣いている・・・

「あいつ等がいるからあたしは愛されないんだ!!あいつらがみんないなくなればいいんだ!!だから全部あたしが殺してやる!!あの女共だけじゃない!!あの男だって全部殺してやる!!お兄ちゃんがあたしだけを愛してくれるまで全部殺してやる!!!」

「――ッ!!止めろ!!二度とあいつ等に手を出すな!!手を出すなら・・・誰も死なせないためにも、あいつに誰も殺させないためにも俺が相手になるぞ!!」

 

キンジは銃に手を掛けるが・・・

「お兄ちゃん・・・あたしに銃を向けるの?あたしを撃つの?」

「曲りなりにも俺はあいつ等のリーダーだ。あいつら守るためにここで体張らなきゃどの面下げてリーダーなんて言えるんだ!!」

「無理だよ・・・お兄ちゃんは優しすぎるもん。お兄ちゃんはあたしを撃てないよ・・・」

「そんなこと言われなくたってわかってるよ・・・」

何度も痛感してるから嫌になるほどわかってる・・・

俺は女には絶対に手を上げられない・・・

たとえそれがどんな極悪人でも、たとえ親の仇でも、たとえ人間でなくても・・・たとえ仲間に銃を向けていたとしてもだ・・・

そいつが女ならば俺は絶対に手を出すことができない・・・

遠山家の血が、HSSの力がそうさせてしまうんだ・・・

もしこのままやり合う事になっても俺はこいつに手を出せない・・・

けどそれでも俺はこいつを止めなければいけない・・・

自分の命をベットにしても俺はこいつを止めなくちゃいけないんだ・・・

「だからこうするんだ」

キンジは銃を抜くと自分の頭に銃口を突き付けた

 

「――ッ!?お兄ちゃん!?なにしてるの!?」

「フォース、あいつ等に二度と手を出さないと約束しろ。できないならここで死んでやる」

「止めて!!あいつ等なんかの為に命なんて張らないでよ!!」

フォースもまさか自分の命を人質にするとは思わなかったようで狼狽えているが狙い通りだ。

こいつが先程、俺に相手にしてもらえず本気で泣いてるところを見てこいつの行動源は本当に俺を独占したいが故だと睨んだ。

それならばこうすれば諦めざるを得ないだろう・・・俺を独占するための行動によって最終目的の俺がいなくなってしまえば本末転倒なのだから

「俺だって死にたくない、でもお前を止めるにはこうするしかないなら俺は迷わず引き金を引く。だから手を出さないと約束してくれ・・・」

 

数秒の膠着が続くと・・・

 

「・・・分かった・・・約束する。だからお願い・・・そんなことしないで・・・」

 

フォースが折れて場を降りた

 

勝ったか・・・

文字通り自分の命をベットにした勝算はあったが二度とやりたくはない賭け・・・

そんな芸当が出来る様になるなんて俺もそのうち氷牙やレキの事をとやかく言えなくなりそうだな・・・

 

「でも・・・その代わり1つだけ、いい?」

「・・・内容にもよるが何だ?」

コンビニを指して

「キャラメル買って」

「・・・は?」

「キャラメル買って。じゃないとあの女共殺した後、あたしもお兄ちゃんの後追って自殺する」

・・・よくわからんがそれで俺とあいつらの命が救われるなら安いもんだ。

キンジは銃を収めるとフォースを連れてコンビニへと向かった

 

 

 

そしてコンビニに入れば・・・

 

「おい・・・あれ・・・」「またか・・・」「昨日とは違う子だよな・・・」「あの子もインターンか?」「あいつ何股かけてるんだよ・・・」「日替わりで女変えやがって・・・」「あいつやっぱロリコンか・・・」「可哀そうに・・・あの子も明日には前の女になるのか・・・」

 

昼時の為か何人もの居合わせた武偵校の連中にちらちらと見られていて落ち着かない・・・

だが気にしても仕方がない、無視してキャラメルを手にレジに立てば

「む?師匠ではござらぬか」

戦妹の風魔がいた。何でよりによって・・・

「お前何してんだよ・・・」

「今日はここでレジのアルバイトでござる。師匠こそ今日もデートでござるか?」

「今日もってなんだよ・・・俺はそんなもん一度だってした覚えはねえ。さっさとレジ済ませてくれ」

キンジは無視して会計を済ませようとするが

「お前みたことあるな?確かお兄ちゃんの戦妹だな?」

フォースが割って入り

「む?そうでござるか?とういよりそなたは誰でござる?」

「お兄ちゃんとの約束だから手は出さないでやる。けどお前みたいな紛い物が二度とお兄ちゃんの妹を名乗るな!!お兄ちゃんの妹を名乗っていいのは実妹のあたしだけだ!!」

そう言ってフォースは風魔を睨むが風魔は臆するでも怒るでもなく

「実妹!?師匠に妹がいたのでござるか!?」

風魔が驚きの声を上げると周りもざわっと声を上げた

 

「妹!?あの子キンジの妹なの!?」「マジか!?あいつに妹いたのか!?」「ね、ねえ!?あなた本当に遠山君の妹さんなの?」

 

近くにいた通信科の鷹根がフォースに突撃取材をすると

「はい、妹です」

とフォースが愛想よく答え

 

『ええーーー!!??』

 

周りの連中が一斉に群がってきた

 

「歳は?」

「14です」

「趣味は?」

「お兄ちゃんと一緒にいる事です」

「好きなものは?」

「キャラメルとお兄ちゃんです」

「嫌いなものは?」

「お兄ちゃんに近づく女です」

 

約束があるからか、それともキンジに手を出す女じゃなければ険悪な態度は取らないのか質問のラッシュにも一つ一つ丁重に答えていく

 

だが完全にしてやられた・・・これで噂はあっという間に広がる・・・明日には『遠山キンジに妹がいた!!』と週刊誌のようにハテナマークなど一つもつかない記事がでかでかと一面に書かれた校内新聞がバラまかれるだろう・・・

やられた・・・もうどうにもならん・・・

 

「貴女の名前は?」

「遠山じーふぉむぐ?」

キンジは慌ててフォースの口を押えた。

遠山ジーフォースなんておかしすぎるだろ!!

「ちょっと!何で名乗らせないのよ!!」

「明日の一面にするんだから聞かせてよ!!妹さんの名前は!?」

「な、名前は・・・」

何か名前は・・・父さんが遠山金叉で、長男が遠山金一、次男が遠山金次だからその妹なら・・・

 

「金女・・・遠山かなめだ!!」

 

「え?」

「ほら、もういいだろ!?キャラメル買ったし!!行くぞ!!」

キンジはフォースの手を引くと逃げるようにコンビニを飛び出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・なんか今日は追いかけられてばかりだな・・・」

コンビニを飛び出して野次馬の連中を振り切ると

フォースは相変わらず息の一つも切らさずにキンジにぎゅっと抱き着いて

「かなめ・・・あたしは・・・かなめ・・・遠山かなめ・・・」

先程キンジにその場しのぎに付けてもらった名前を何度も嬉しそうに復唱した

 

「お、おい?お前、何が嬉しいんだよ?」

「嬉しいに決まってるじゃん。お兄ちゃんがあたしにキャラメル買ってくれただけじゃなくて、あたしにかなめって名前までつけてくれたんだもん」

「その場しのぎで適当につけた名前だぞ・・・第一お前にだってジーフォースなんてコードネームじゃなくて本当の名前があるだろ?」

「無いよ」

「え?」

「あたしには名前なんて無かった。あたしを人間扱いしてくれる人なんて誰もいなかった。物扱いされて、名前なんか必要ないってずっとジーフォースなんて製品番号で呼ばれて・・・あたしを人間として扱ってくれたのなんてお兄ちゃんが初めてだよ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

自分の名前を付けてもらう。人として扱ってもらう。そんな当たり前の事がそんなに嬉しいもんなのか・・・

いや・・・嬉しいに決まってる・・・ただ俺にはそれが当たり前すぎて気付けないだけだ・・・

だって俺の近くにはいるじゃないか・・・

かつて名前も無く兵器として扱われ続けた親友が・・・

そして片や自らを一発の銃弾として扱い続け、片や名前も無くただ悠久の虚無を過ごした親友の妻達が・・・

 

「ねえ、お兄ちゃん。これからもかなめって呼んで?」

「まあ・・・人前でフォースなんて呼ぶわけにはいかないしな・・・」

「えへへ~」

かなめは嬉しそうにキンジに頭をスリスリと擦り付けた

なんか猫にマーキングされてる気分だな・・・まあ、あいつみたいに噛みつかれないだけまだマシか・・・

 

そして気が済むまで頭を擦り付けた後、かなめは満面の笑顔でキンジの手を引き

「お、おい、かなめ?」

「さ、帰ろお兄ちゃん。帰ってご飯にしよ?」

「わ、分かった!分かったから引っ張るな!」

キンジも自然とそう答えて、そして気付いてしまった

 

何が勝っただよ・・・試合に勝っても勝負には負けてんじゃねえか・・・

なんだかんだで結局俺はかなめを受け入れつつある・・・

そしてそれをごく自然な事だと思いつつある・・・

(ホント否定できねえな・・・俺、女にはどうしても勝てねぇみたいだ・・・)

 

 




次まではまたしばらく期間が空く見込みです・・・
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