緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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105話<リプレイ>

数日後、某高級焼肉店にて

 

「すいません!!カルビとタン塩10人前!!それとミスジもあるだけ全部!!」

 

キンジや氷牙、アリア、理子、、白雪、レキ、凛香といったバスカービルの面々は市街地にある高級焼肉屋にて食事会を開いていた

 

 

 

「あと、ヒレとサーロインも追加ね!面倒だから骨ごと持ってきて!カットこっちでやるから!!」

 

「それ・・・全部時価って書いてあるよね・・・」

「氷牙・・・あんたに遠慮ってもんは無いの?」

「ひょーたん、さっきから容赦なく高い部位ばかり注文してるよねー」

凛香やアリア、理子は目の前の盛り合わせを半分も食べていないというのに氷牙はそれだけに飽き足らず次々と追加注文を飛ばしていた・・・しかも全て時価の部位ばかりを・・・

 

 

「いいじゃねえか。どうせ払うのは俺じゃねえし。これくらいは当然の権利だ。遠慮なくやらせてもらうぞ」

 

そう言って網の上で焼かれたヒレステーキを真上に放り投げ、空中でクトネシリカでスライスカットすると全部箸に突き刺して一本の串焼きにするとそのまま豪快に一口で食べた

 

「氷牙・・・せめてもう少し味わって食べなよ・・・というかクトネシリカをステーキナイフの代わりになんて・・・アイヌの人が聞いたら卒倒するよ・・・」

「何かしら・・・つい最近似たようなことがあった気がするんだけど・・・あんた・・・ホントに遠慮しないわね・・・」 

 

「ああ、遠慮しない。ほらお前等もどうした?全然箸付けてないじゃねえか。お前達が主役なんだから遠慮せずにどんどん食えよ?」

 

隣のテーブルに座っているあかり達に声をかけると

「で、でも・・・ほんとにいいんですか?ここの品書き・・・ほとんど時価って書いてあるし値段がついてるのも私達が知ってるお肉とは桁違いな値段なんですが・・・」

あかりが遠慮がちにアリアに尋ねるが

「ええ、構わないわ。今日の支払いは全部あたしが出すわ。あんた達も遠慮せずに食べなさい。これはあたし達からの詫びとお礼としてあんた達には受け取る権利があるわ」

 

「それでは・・・遠慮なく!!」

「は、はい!!」

「ゴチになります!!!」

 

値段を見てやはり躊躇というものはあったのだろうが、受ける権利があると言われたこと、そして何よりも・・・

 

「まずはタン塩からだろ!!」

「分かってません!!ホルモンはじっくり焼いてこそおいしいんです!!」

「すいません!!ごはん大盛りでおかわり!!」

「す、すごい・・・A5ランクの肉って・・・本当に呑めるんだ・・・」

 

女子とはいえ武偵、それも食べ盛りの高校生が肉の誘惑に勝てるわけも無く。こういう時は開き直りが大事だとあかり達は細かい事を考えるのはやめて肉を焼き始めた

 

ちなみに武偵の焼肉は戦争でもある。何故かって?それは・・・

 

「あ、ライカ!!それ私が焼いてた肉!!」

「へ!こういうのは弱肉強食だぜ!!」

ライカの言う通り、武偵が焼き肉やバーベキューパーティーをやると、必ず『お前の肉は俺の肉、俺の肉は俺の肉』という弱肉強食ルールで始まる。

取られても取られた方が悪い、悔しいなら取り返せがただ一つの掟だ。そしてそのルールは―――

 

 

「ってありゃ!?」

気が付けば皿に乗せておいた肉が根こそぎ消えて

 

「・・・ほら、食べれば?」

かなめが何処からか取ってきた肉をあかりの皿へと乗せていった

 

「うん!かなめちゃんありがとう!!」

あかりが満面の笑みで礼を言うと

「・・・べつに・・・友達ならこれくらいは当然・・・でしょ?」

かなめも照れくさそうに顔を逸らした。

 

そのルールは網の上にとどまらないので口の中に入れるまで油断は禁物なのだ

 

 

 

 

 

「それにしてもホント、かなめすっかり大人しくなったわね?」

「そうだね。いつものように私達の部屋で会議してる最中にあかりちゃんに付き添われてアリア達に謝りに来た時は本当にビックリしたよ?氷牙何したの?」

「俺は何も?お前らが人の部屋占拠して無駄な議論したり、文字通り本当に何もしていないうちにあかり達が色々と頑張ってくれただけだろ?」

「う・・・それは本当に悪かったわよ・・・だからあたし達はかなめの処遇はあかり達に任せて手を引く事に合意したし・・・今日こうしてあかり達呼んで支払いあたし持ちで食事会開いてるんじゃない・・・」

「悪かったな氷牙・・・今回も結局頼りっきりで・・・」

「謝る相手が違うんじゃないか?お前のせいで妹グレてんのに何もしないで・・・そのせいで誰に一番迷惑かかったと思ってるんだ?覚悟しておけよ?アリアにはこの店の支払いでいいとしても、お前にもこのツケは金以外でキッチリ払わせるからな?」

「ああ・・・わかったよ・・・あかり達も本当に済まなかった・・・」

 

とは言っても実はツケはもう痛いくらいに払わされている。

あの後、キンジは逃走劇の末に警備隊に拘束されたが、その後の調べで容疑は晴れたもののなぜあんな所にいたのかとキツく尋問され。教務科が身元引き受けで迎えに来て帰った後もかなめの暴走が原因だと知っている教務科にキンジの監督不行き届きだとこってり絞められたのだから・・・

だが言ったところで藪蛇だというのは十二分に痛感してるので黙っていることにした。

 

 

 

そんなキンジの心境など知らないまま

「ほらキンちゃん、お肉焼けたよ。たくさん食べて元気出そう?」

「ほらキーくん?りこりんからの世界一の愛情込めたお肉召し上がれ、何なら理子ごと食べちゃう?」

理子と白雪、左右から肉を差し出されるが

 

――パン、パンッ――

 

それは磁気推進繊盾によって箸ごと弾き飛ばされた

「雌猫が何好き放題してるんだ?」

かなめはキンジの後ろから背もたれを軽く乗り越えるとキンジの隣に割り込んで腰に抱き着いた

「お、おいっ!?」

「世界一の愛情だと?お兄ちゃんを世界で一番愛してるのは誰かなんて比べるまでもない。このあたしに決まってるだろ!!赤の他人がお兄ちゃんに薄っぺらい愛振りまくな!!」

 

すると理子も白雪もピクリと反応すると

「へえ?それは聞き捨てならないね?」

「そうだね?本当の愛を分かってないのはどっちか教えてあげなきゃね?」

2人は立ち上がると

「いい、かなめ?家族愛と恋愛は別物なの。貴方の愛は所詮家族愛、本物の愛には敵わないんだよ」

「そうだよ?かなめちゃんは家族愛と恋愛は別物だって分かってないね?」

「分かってないのはお前達の方だ。お前達は所詮は他人だろ、あたしは違う。兄妹の繋がりは絶対、最強の繋がりなんだ。それに敵う愛なんてあるわけが無い!!」

「・・・言っとくけど、妹だからって手心加えるほどあたし達も優しくないよ?これまでの事は水に流してあげるけど、これからの事は話が別だからね?」

「そうだね?いくら妹でも度が過ぎるならちょっとお灸を据えないとね?」

理子と白雪はかなめと睨み合うが

「ちょっとあんた達!!喧嘩して店壊したらその時はあんた達が弁償しなさいよ!?あたしが持つのは食事代までよ!?」

「お、お前ら落ち着けって!!ここじゃ店に迷惑かかるだろ!!大体かなめもお前が俺に依存していたのは双極兄妹を作るっていう任務の為だろ!?それが机上の空論でしかなかった今ならもう俺にこだわる理由も無いんじゃないのか!?」

「確かにあたしがいままでお兄ちゃんにくっついていたのは任務とか使命とか愛以外の理由はあったよ。でもそんな理由でお兄ちゃんを振り回すのはあたしだってもううんざり。任務なんてもう知るか。もうあたしは我慢なんてしない!自分のやりたいように思うがままに生きる事に最後までみっともなくしがみついてやる!!だから・・・」

「だから・・・何だ?」

「本当の愛はこれからだから覚悟しててね。お兄ちゃん!!」

そう言ってかなめはキンジに抱き着くとスリスリと顔を擦りつけてマーキングした。

 

 

その光景を見て氷牙はシャトーブリアンをカットしながら

「また増えたな、これで男装女子枠に続いて妹枠も埋まったか。次は何枠が来るんだ?姉枠か?」

「いや・・・妹もだけど姉なんて狙ったっていきなり作れるもんじゃないだろ・・・」

「甘いぞライカ。こいつのハーレム創造力を舐めるな。そのうちいつの間にか作ってるだろうよ」

 

こうして主に俺と1年達による焼肉争奪戦は大盛況に終わり。その後の支払いでキンジとアリアの顔が引きつったのはまた別の話にしておいた方があかり達の為だろう。俺も代金を見たがあれをあかりが見たら卒倒してしまいそうだ。

 

 

 

 

 

 

―――ちなみに余談

 

お開きになりキンジ達が家に帰ると

「やっと平和な我が家に帰ってこれたな・・・」

 

「ええ、久しぶりに帰ってきたわね」

「ささっ、まずはお掃除しなくちゃね?」

「りこりん!キー君との愛の巣にカムバックだよ!!」

アリア達もまた戻ってくるようだが今はスルーだ・・・幸いにもかなめはあかり達とパジャマパーティーしてくるそうで今日は帰ってこない・・・今日くらいはゆっくり休めるだろう・・・

 

そして玄関をくぐり部屋の中に入ると

「って何だこれ!!??」

部屋の中は・・・壁どころか天井すらも埋め尽くさんばかりにグラビアポスターが貼りつくされていた。

それもどれもこれも露出が際どく、水着下着は当たり前、セミヌードや全裸、明らかにアダルト系の代物まで混ざっていた

 

「な、なんでこんなことに・・・」

そして後ろから遅れて入ってきたアリア、白雪、理子が部屋を見て

「な・・・何よこれ!?このエロキンジ!!あたし達がいないうちにこの部屋あんたの欲望のままにしてたわけね!!!!」

「き、キンちゃん!!やっぱり辛かったんだね!!大丈夫!!これからはこんな物無くても私がキンちゃんを満足させてあげるから!!」

「もーキー君!!こんな事しなくたって理子がいつでもどこでもキー君専用のグラビアアイドルになってあげるのに!!何でも言ってよ!!どんな格好でもどんなポーズでもしてあげるから!!」

 

顔を真っ赤にしてガバメントを抜くアリア、同じく顔を赤くしてポスターを剥がしつつ衣装やポーズをしっかりとメモしてゆく白雪、そしてその場で服を脱いで下着姿で「どんな姿がいい?何でも着ちゃうよ?」と迫りくる理子

 

「ち、違う!!俺の仕業じゃない!!俺だって何でこんな事になってるかわからな――――」

言い訳するも理子に押し倒され、アリアに撃たれそうになり、そこに白雪が乱入して訳も分からぬまま3つ巴戦になった・・・

 

 

そして夜・・・

 

「何だったんだあれは・・・」

寝室のベッドで横たわりながら帰ってきた時の事を思い返していた。

なんで俺の部屋の壁や天井にあんなにグラビアポスターが貼りつくされていたんだ・・・

「・・・いや待てよ?どこかで聞き覚えがあるような・・・」

 

思い出そうとしていると

 

「・・・あっ・・・あっ・・・」

 

何か声が聞こえる・・・何だ?

 

「あっ・・・ああっ・・・」

 

何だこの声は・・・出所はこの寝室の様だがまさか幽霊でも出たのか?こんな幽霊も嫌がるような所に出るとは物好きな霊だ・・・

 

「あっ・・・いいっ・・・」

 

それにしても妙に色っぽいというか艶めかしい声だな・・・

 

「いいっ・・・いいのぉ・・・」

 

なんにせよ無視だ。こういうのに関わると間違い無くロクな事にならない。

頭から布団をかぶって無視を決め込もうとしたが

 

「き、きちゃう!!すごいのきちゃうぅぅぅ!!!」

 

声が大きくなったところで

 

――バァンッ――!!!

 

突如寝室のドアが勢いよく開けられ

「こ、このエロギンジィ!!女連れ込んで何してんのよぉぉぉぉぉ!!!!」

「この泥棒ねこぉぉ!!それは私の役目なのぉぉぉ!!そこをどきなさぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」

「ずるいずるい!!理子も混ぜて!!!理子もキー君と愛育ませて!!!」

またしてもガバメントを持ったアリアとM60を構えた白雪とウィンチェスター1887を構えた理子が乱入して来た

「な、なぁぁっ!!??」

しかもアリアは制服のままだったが白雪は裸にエプロン1枚で、理子は反対側までが透けて見えるほどの透明なベビードール姿で飛び込んできた

 

 

「キンジぃぃ!!アンタ人の部屋で何してんのよぉぉぉ!!!風穴!!風穴ストーム!!!」

「キンちゃん!!大丈夫!?泥棒猫は逃げたの?遅くなってごめんね!!キンちゃんの為に覚悟決めて着替えたよ!これからは私がお世話してあげるから!!」

「大丈夫だよキー君!!!続きは理子がキッチリ引き継いであげるから!!さあ!どんなプレイがいい!?何でも言って!!どんなハードなのでも理子はバッチコイだよ!!」

再び3人に迫られて修羅場に突入した

 

何でだ!?何で何もしてないのにこんな事に・・・

 

――『これが終わったらお前の部屋の・・・』――

――『何もしてないツケは払わせるからな?』――

 

ふいに親友の言葉を頭がよぎった・・・まさかこれは・・・

 

「ひ・・・氷牙ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

かなめについて何もしなかったツケは・・・本当に高くついたのであった・・・

 

 




かなめ編終了です!
一年近くかかりましたがなんとか書き上げました・・・

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