緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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新年おめでとうございます



107話<ラ・リッサ>

ラ・リッサ第2部開始直前

 

「おいキンジ、もうすぐ始まるぞ?楽しみだな?」

「全然楽しくねえよ・・・帰りたいよ・・・」

キンジと氷牙は一足早く会場に入り片や楽しそうな、片や辛そうな心持でいるとやがてドアが開き選手たちが入ってきた。

普段から「死ね」が口癖で殴り合い撃ち合い殺し合いが日常茶飯事な体力だけはあり余っている男子たち

 

 

・・・ではなく

 

 

「え?あれって遠山キンジ?」「うわ、相変わらずやらしい目つき」「何でいるのよ?やっぱりたらしだから?」「あの目、きっと次の獲物狙ってるのよ」

 

模様も色も形状も千差万別な水着を着た女子たちが入ってきた。

 

もうお分かりだとは思うが俺は氷牙と一緒にサバゲー会場・・・ではなく女子の水中騎馬戦会場に来ているのだ。

 

何でそんなところにいるのかと言うと・・・

 

理由を話すために思い出したくないが思い出そう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を少し遡って俺達は最初はちゃんと実弾サバゲー会場にいた。

 

実弾サバゲー会場は学園地下の広場で行われる。というかここは半年前にアドシアードでバトルロワイヤルを開催して氷牙が水没させた場所だ・・・

あれから排水して天井もふさいで最近ようやく使えるようになったらしい

 

開始する前に一応のルール説明と教員たちの挨拶があるため俺達はいったん整列してやがて教員が壇上に登った。

 

そして教員がマイクの前に立ち

「というわけで皆さんには――ッ!?」

前口上を述べようとした直後、突然横に飛び

 

――ドォォォォンッッ――!!!!

 

さっきまで教員が立っていた場所に電気を帯びた超速の弾丸が通り

 

――バババババババッッ――!!

 

「ギャァァァァァ!!!!」

躱した先では弾幕が降り注ぎハチの巣にされてしまった。

こいつはどう見てもレールガンと9ミリパラベラム・・・ってことは・・・

後ろを見れば案の定ディストルとMP5Kを向けた氷牙がいた。

「オイコラ!!九狂!!お前何さらすんや!!」

蘭豹もキレて怒鳴るが

 

――ドォォォォンッッ――!!!!

 

今度は蘭豹の真横をレールガンがすり抜けた。

「前置きはいい!!さっさと始めろ!!これ以上下らねえ前口上ほざくならその壇上はそいつの死刑台になると思え!!」

 

――ドォォォォンッッ――!!!!

 

そう言うともう一発、上に向けてぶっ放し壁に亀裂を入れた。

「お、おい!!目がマジだ!!早く始めろ!!でないとこいつまたこの場所沈めるぞ!!」

キンジが叫ぶと

「だぁー!!わーった!!なら面倒な前置きは無しや!!!5分後には試合開始のコング鳴らす!!お前らさっさと配置に行けや!!」

蘭豹も命令を飛ばし、他の生徒達も半分訳が分からないまま所定のスタート地点へと向かっていった。

 

「ああ、それでいい。さっさと終わらせてレキ達の応援に行かねえとな!!」

氷牙も銃を手に持ったままスタート地点に向かうが

「ちょっと待て氷牙!!ディストルは使うな!!そんな物で人撃ったら何も残らなくなるぞ!!」

「そうか、わかった。じゃあこいつは使わねえ」

念を押すと素直に従って銃をしまってくれてキンジは安堵の息を吐いた。

 

だがこの時キンジはそのせいで2つの大きなミスを犯してしまった。

 

一つはこいつの本当におっかない武器はまだあった事を失念した事・・・

 

そしてもう一つは

 

「それに、試してみたいこともあるから初めから使うつもりもないしな」

 

この発言を聞き流してしまったことであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

そして所定位置に着き、開始まであと1分

 

氷牙は位置に着くと同時に腰を落とした構えを取り目を閉じて集中すると微動だにしなくなった。

皆はどうしたんだと遠巻きに見ているだけであったがもしこの中に魔力を少しでも感じる事が出来る者がいればすぐに気づいただろう・・・

 

氷牙は今、魔力と集中力を最大限に練り上げているんだと・・・

 

――ビーーーーッ――!!!

 

そして開始の合図と共に目を開き全身に蒼炎を纏うと最高潮まで練り上げた魔力と集中力に呼応するように蒼く輝きを放つ闇魔刀を顕現させると

 

『You shall die?(死の覚悟はできたか?)』

 

――ドォンッ――!!

 

そう唱えると同時に雷光を放ち氷牙が一瞬消えた。

 

『え!?』

 

周りの連中は何があったと戸惑うがキンジは別の意味で戸惑っていた。

キンジの目が確かなら氷牙が目を開いた時、その目は・・・両目が真っ黒になっていたのだ。

 

そして背中を向けると闇魔刀をゆっくりと納刀して・・・

 

「次元斬・・・絶唱!!!!!!!」

 

――チィィンッ――!!

 

そして納刀と同時に

 

――ザァァァァァァァァァァァァァァンッッッ――!!!!!!!

 

まるで遅れてやってきたかのようにフロア全域に蒼い残光と斬撃が走り

 

「ごばっ!?」

 

氷牙も全身から血と煙を吹き出し血を吐いて倒れた。

 

「お、おい!?」

 

キンジは慌てて駆け寄り容体を見ると

「――っ!?お前全身裂傷してる上に焦げてるぞ!?それにこの炎・・・何したんだ!?」

「心配するな、すぐに治る・・・」

「え!?」

よく見ていると全身至る所に出来た真っ黒に焦げた火傷や裂傷が徐々に小さくなってゆく

「っはぁ・・・申し分ないけどやっぱり無理があったか・・・」

「お前・・・一体何したんだよ!?」

「ああ、二つ新しく閃いた技を使ったんだよ。

まず一つは肉体の強化、俺は今までは殺意と戦意を向上させて防御を犠牲にパワーとスピードを底上げしてたけど、これは魔力で悪魔の血を活性化させて一時的に身体能力や自己治癒力を爆発的に飛躍させてるんだ。言うなれば魔人モード、悪魔への切り替え、デビルトリガーってところかな?

まあ今の俺じゃ継続時間がまだまだ短いのが難点だけど強化されるのはパワーやスピードだけじゃないからとっておきの奥の手として申し分ないな。

で、二つ目は次元斬・絶唱。底上げした身体能力と雷による高速移動も合わせた広範囲の乱撃技だ。ただ欠点は反動も相当ってところだな。雷の速度は秒速150km、文字通り桁が違う、人間がそんな速度で動けば筋肉への負荷はもちろん、空気摩擦でズダズダになって燃える。一度使えば悪魔の血の活性化で強化した肉体と自己治癒をもってしても数十秒は動けなくなるダメージが返ってくるよ・・・」

説明を聞くとキンジは呆れ果てた

「お前・・・一つ目はともかく二つ目は自爆技じゃねえか・・・なんて技使ってんだよ・・・」

 

 

 

 

 

そして数十秒後、火傷と裂傷が完全に治ると氷牙は蒼炎を霧散させるとゆっくりと立ち上がりレッドクィーンを床に突き立ててハンドルを捻り、唸りと爆炎を上げると

「さて・・・オイ!?お前らどうした!?背中が床につかなきゃ負けじゃないだろ!?さっさと来い!!」

「無茶言うなよ・・・未だに誰もこないところを見ると下手したらもう全滅してるぞ・・・」

確かにルール上は背中が床につかない限りは負けではない・・・だがキンジの予想通り相手チームはすでに全員が床に倒れており立ちあがれる者は一人もいなかった・・・

こうなると背中から倒れる事が出来た者は幸いだっただろう・・・もう戦わなくていいんだから・・・

 

「来ないならこっちから行くぞ?さっきの技は使えないけど体は動くからな!!」

レッドクィーン片手に再び攻め入ろうとしたが

 

『あー・・・九狂・・・』

 

スピーカーから蘭豹の声が聞こえてきた。

「あ゛?何だ?今取り込んでんだよ!?」

 

『お前、ここはもうええわ・・・水中騎馬戦のセコンドにでも行けや・・・』

 

蘭豹がそう言うと氷牙は笑顔になり

「え!?いいんですか!?」

 

『ああ・・・かまわん・・・誰も文句はないやろ・・・』

 

周りもコクコクと首を縦に振る者ばかりで反対するものは一人もいなかった。

「分かりました!!それじゃあ行ってきます!!」

氷牙は嬉しそうに退場していった。

 

『それと遠山、お前も行けや』

 

「は!?なんで俺も!?」

 

『さっさと行けや!!お前はあいつの保護者やろ!!そもそもお前真面目に戦う気ないやろ!!いても邪魔や!!』

 

バレていた・・・

そこまでバレていては反論も出来ずキンジも氷牙の後を追う様に退場していった。

 

 

 

 

 

そして今に至るというわけだ・・・

キンジは本当は来たくなかったが氷牙の見張りを命じられた以上逃げる事は出来なかった。

さっきから女子達に汚物でも見るような目で見られていて・・・俺だって来たくて来たわけじゃねえよ・・・むしろ帰れって言ってくれれば今すぐ喜んで帰るぞ・・・

 

「なんで俺ばっかり・・・氷牙だっているだろ・・・」

キンジが反論すると

「そう言えば氷牙もいたわね」

「けど氷牙は・・・ねぇ・・・」

そう言って女子たちは氷牙を見ると

 

「あの・・・氷牙?」

「そんなに見つめて私達がどうしました?」

「いや?二人の水着を見たのは初めてだと思ってな?見惚れてるところだ」

氷牙がそんなことをさらっと言うと二人は顔を赤くして

「え!?えっと・・・ありがとう・・・」

「そうですか・・・変では・・・ありませんか?」

レキは自分の髪と似た色合いのビキニを氷牙の前で恥ずかしそうにしながらも手を後ろにして自分の水着姿を見せてきた。

凛香もパレオを巻いた白ビキニを着て、普段は着やせして隠している白雪レベルの胸を恥ずかしそうに両手で隠していた。そうすると谷間が強調されている事に本人は気付いていないのだろうか・・・

「ああ、似合ってるよ。2人共すごい可愛い」

「――っ!!本当にそういうの平気で言うよね・・・」

「はい・・・ですがあまり見られると・・・その・・・」

「無理だ、目が離れん。それとも見られるのは嫌か?」

「嫌じゃないけど・・・恥ずかしくて・・・」

「いえ・・・もちろん見てくれるのは嬉しいんですが・・・」

 

 

「あれ・・・もうレキと凜香さんしか見えてないよね・・・」「私たちなんか微塵も眼中にないよ・・・」「あそこだけ空気が別世界なんですけど・・・」「見てるこっちが恥ずかしいわ・・・」「ていうか氷牙なんか焦げ臭くない?バーベキューしてたから?」

 

 

 

そして準備運動も終わると怪我人や溺れた者が出た時の為に医者として待機を命じられた凛香以外の女子全員が入水して騎馬を組み

「そんじゃ初めぇー。適当にやれぇー」

試合開始のホイッスルが鳴ると早速アリアのチームに一組の騎馬が掴みかかろうとして

 

――ジャカッ――!!

 

氷牙はMP5Kを抜いてアリア達に掴み掛かろうとする女子に向けた。

「え!?氷牙!?」

「―――ッ!!ちょっと待て!!」

それを見たキンジは慌てて銃を上に向けさせると氷牙を取り押さえた。

「お前はセコンドだろ!!いくらレキがいるからって肩入れするな!!」

「・・・あ、そうか、つい・・・」

氷牙を取り押さえて止めると

 

――ブバッ――!!

 

数人の女子が何故か鼻血を吹いて脱落した。

 

「き、キンジが氷牙を押し倒して・・・」「お互い(半)裸体で触れ合って・・・」「すごい!!アイディアが止まらない!!描ける!!描けるわ!!この光景だけで50ページは描ける!!」「やっぱり冬の新刊もキンジ×氷牙で決まりだよ!!」「いける!!冬まで一か月!描けるわ!!」「誰かカメラ!!早くあの光景を撮って!!」

 

女子たちは試合そっちのけでカメラを取りに走り撮影を始めた。

 

綴も相変わらずの死んだ魚のような目でなし崩しになった女子達を見て

「あー・・・こりゃあれかぁ?仕切り直しかぁ?」

そう言うと他の女子たちは再びスタート位置に戻っていった。

 

 

「氷牙どうしたの?なんだか様子か変だよ?それにさっきから焦げ臭いし・・・何かあったの?」

凛香が心配そうに尋ねてきたが

「そうか?別に何とも無いぞ?ただちょっと頭と体が熱く―――」

「あ、あの・・・九狂先輩・・・もしかして―――」

あかりが申し訳なさそうにプールから上がってやってきて

「氷牙さん?先程からどうしたんですか?」

レキも氷牙の様子がおかしいと感じたのかプールから上がってきた。

「・・・・・・・・・」

そしてレキをよく鑑賞すれば始めてみた水着姿に水飛沫を浴びて濡れた体が艶めかしくて・・・

 

「レキ」

「何でしょうか?」

「悪い、もう無理だ」

レキの後頭部に手を回すと

 

 

 

 

 

そのままキスをした

 

 

 

 

 

 

それも舌まで入れたディープなの

 

 

「んむ!?」

レキは目を見開き

 

「「な、なぁ!?」」

あかりとアリアは顔を真っ赤にして

 

「「おおっ!?」」

理子と麒麟は顔を赤くしながらもカメラを構え

 

『―――ッ!?』

その他の女子たちも顔を真っ赤にしながらもしっかりと目は釘付けになって

 

「・・・・・・・・・・」

綴だけは顔色一つ変えずにタバコを吸っていた。

 

 

 

「む!?んっ!?」

レキはもがくが氷牙は一向に離れずそれどころかさらに舌を入れ

 

「むぅ!?あ・・・ん・・・」

それに伴い段々とレキの体から力が抜けて抵抗が弱まり

 

「ん・・・む・・・」

やがてレキの腕は力なく垂れ下がり体も氷牙に預け気味になってゆき

 

「ん・・・ちゅ・・・」

最後はレキの目は完全に惚けて氷牙を完全に受け入れてされるがままになっていた。

 

普段は肉食で攻めに入れば敵なしのレキだがその弱点はスナイパーと同じく守りが弱い事だ

 

「あ・・・んむ・・・」

その証拠に完全に落ちた後は氷牙どころかレキからも舌を出してきてお互い舌を貪り合っていた

 

「ふぁ・・・」

そして気が済んだのか氷牙は唾液の糸を引きながらもようやく唇を離し、それと同時にレキは氷牙に抱えられて辛うじて立っているものの、膝はガクガクと震え、目はトロンと惚けていた。

 

「氷牙さん・・・・・・もっとぉ・・・・・・・」

 

 

 

 

「きゅう・・・」

あかりは顔を真っ赤にして目を回して気絶し

 

「な、ななな、何してんのよアンタたち!!」

アリアは顔を煙が出そうなほど真っ赤にして叫び

 

「え・・・ええもん見せてもらいましたァ!!」

理子は顔を真っ赤にして興奮気味だった。

 

 

 

 

 

 

だが氷牙はそんな外野など知った事かと

「それじゃあ・・・」

放心するレキを抱えたまま顔を赤くして固まっている凛香の方を向くと

「え?」

手を掴んで背中と一緒に壁に押さえつけ、いわゆる壁ドン状態に追い込んだ。

 

「え!?あ、あの・・・氷牙?」

「次は凛香の番だ。ちゃんと二人共同じようにしてやらないとな?」

後ろは壁、おまけに片手をしっかり押さえられ逃げ道は無い。

腕に抱えられているレキはこの後の自分の末路・・・

 

「あ、あの・・・せめて心の準備を「却下」―――ッ!!!???」

凛香にも同じようにディープなキスをしてやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと氷牙・・・二人どうするのよ・・・」

レキも凜香も手を離して解放した途端、目は惚けさせたまま力なくその場にへたりこんでしまった。

「あー・・・ちょっとやり過ぎたかな?こりゃもう無理だな・・・」

ずっと興味が無さそうにタバコを吸っている綴の方を向くと

「気が済んだかぁー?バカップル共ぉ?」

「ええ、レキと凛香は俺が介抱しますんで連れて行きますよ?」

「・・・まぁー・・・好きにすればぁー?」

「はい、じゃあ失礼します」

氷牙は目を惚けさせてへたりこみ骨抜きにされてしまった二人を抱えて連れて行った。

 

 

 

「・・・そんじゃあ、競技を再開するぞぉー?」

「え?あの・・・いいんですか?」

「お前ぇ・・・あいつらが帰ってくると思うかぁ?」

「無理ね・・・」

「あれもう帰ってこないわね・・・」

「あれ?でもそうなるとあたし達3人しかいないわよ?」

「んーそうかぁ・・・じゃあ遠山、お前代わりに入れ」

 

「「「え!?」」」

 

「え!?いやいや!!なんで俺が!?」

「お前もバスカービルのメンバーだろぉ?大体、ほかに代理できる奴なんているかぁ?」

「・・・仕方ないわね・・・キンジ!!代わりに入りなさい!!」

 

そして有無を言わさず無理矢理騎馬に組み込まれキンジは前にその両脇には理子と白雪、背中にはアリアが乗ることになった

 

先程から腕に伝わる柔らかくも張りのある感触・・・これはまさか・・・

「お、おい理子!!あ、当たって・・・」

「あててんのよ~♪」

理子はあざとくキンジの腕にくっついて押し付けて

「わ、私だって!!」

白雪も対抗して反対側の腕に理子よりも大きいのを押し付けていた。

しかも理子はスクール水着を着ていたためまだ水着越しであったが、白雪はマイクロビキニを着ているため布がほとんどなく感触がダイレクトに伝わってきていた。

「ちょっと!!バランスとりづらいでしょ!!てかキンジ!!何で目閉じてるのよ!?ちゃんと前見なさいよ!!!」

出来るか!!この状況で目を開けたら一発でヒステリア直行だ!!

 

アリア達は始まる前からすでに総崩れな状態であった

 

「そんじゃ競技再開ぃ。頑張れよぉ?」

 

その後どうなったか?言うまでも無いだろ?キンジは前を見ていないんだし理子と白雪はキンジの両腕にくっついてるんだ。まともに動けるわけも無くあっという間に崩れ落ちてキンジはアリアにフルボッコにされたよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日

 

「おい・・・氷牙?」

キンジは机にぐったりと突っ伏した氷牙に声をかけた

「あ・・・?」

「そんなにやつれて・・・何があったんだ?」

「どうしてか・・・胃がもたれて・・・あと・・・最後の一滴まで・・・搾り出されて・・・」

「は?」

ちなみにレキは何事もなかったように机に座っていた。

心なしか顔にツヤがあるような・・・

「2回戦は私の勝ちです、スナイパーの持久力を見くびらないでください。よろしければ3回戦で決着をつけますか?」

「らめぇ・・・もう出ない・・・」

凛香も出席はしてきたがずっと顔を真っ赤にして俯いたままだしどうにも歩き方がぎこちない。

その上2人共制服の下に首まで覆うインナーを着て、足は厚めの黒タイツを履いて最大限素肌を晒さない服装をしていた・・・

何でそんなに厚着してるのかは察しは付くが知りたくもない

 

 

防御はゼロの代わりに攻撃と持久力はカンストな嫁達に一度でも火が付いた状態でターンが来ればどうなるかなんて言うまでも無かった・・・

そして周りの女子は昨日の事があったのかチラチラと氷牙やレキ、凛香の事であれこれと憶測を立てて話題を弾ませ(一部の女子は漫画を描いていた)。男子は半数、紅組側だった連中は全員が体のどこかに包帯を巻いて消沈していた・・・

普段通りなのは俺達と同じ白組側だった男子くらいだ。

 

ちなみに3年の先輩方も何もできず何があったかもわからず開始1秒で全滅させられたことに大きなショックを受け「どんなに頑張っても越えられない壁はある」と自信を無くし退学を申し出た方が何人かいたそうだが教務科の必死の説得で何とか留まっているそうだ。卒業までに立ち直れるといいな・・・

 

 

そんな1/2は浮き足、1/4は消沈な雰囲気の中

 

「あの・・・九狂先輩いますか?」

教室にあかりが入ってきた。

「あら?あかり?どうしたの?」

「いえ・・・九狂先輩にこれ・・・」

「これ二日酔いの薬?何でこんな物?」

「実は私・・・昨日、九狂先輩が実弾サバゲーに向かう前に間違えてスピリタス渡しちゃって・・・先輩、それ一瓶一気飲みしちゃって―――」

 

「「「「「おまえのせいかぁ!!!!!!」」」」」

 

あかりの言葉を聞いた途端、負傷している男子たちが叫びだし

「え!?」

 

「「「「「あかりちゃん・・・グッジョブ!!!!!」」」」」

 

女子たちは全員がサムズアップした。

「ええっ!?あ、あのっ!?アリア先輩!?何の話ですか!?」

「なんて言えばいいのかしら・・・昨日のアンタのドジで魔王が大爆走したのよ・・・とりあえずここは逃げ――」

「あ?お前等、もうすぐHRやぞ。何騒いどるんや?つーかあかりも何でここにおるんや?」

3年生方の説得でとってもお疲れの様子な蘭豹が教室に入ってきた。

「そ、それが私もよくわからなくて・・・昨日九狂先輩に間違えてスピリタス飲ませたって言った・・・ら?」

それを聞いて蘭豹も魔王の大爆走の元凶が判明したことで怒り心頭になり

 

「お・・・・お前・・・何って事してくれたんやぁ――――!!!!!」

 

「え!?ええっ!?よ、よくわからないけど・・・・・ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!」

 

教室に蘭豹の怒声とあかりの涙声が響き渡った。

 




デビルトリガー
魔力を活性化させて悪魔の力を開放する
ただし外見的変化は全身に蒼炎を纏い両目が黒くなるのみで
効果も身体能力と自己治癒力を上げるだけに留まっている

次元斬・絶唱
クトネシリカによる加速も使い広範囲を超速で斬りつける技
モデルはバージルの次元斬・絶
ただし魔人の体で使用しているわけではないため、使用すると反動で全身に火傷と裂傷を負う自爆技になっている


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