緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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久しぶりに更新します
てか更新できてよかった・・・
マジで1年空くかと思った・・・


108話<決別の見送り>

「ま、待ってくれ!!俺は何もしていない!!全部濡れ衣なんだぁ!!」

裁判所にて手錠を付けられた被告人、遠山キンジは必死に自分の無罪を主張するが

「見苦しいわよ!!被告人は指示があるまで静粛にしなさい!!」

アリア裁判長は木槌を打ち鳴らすとキンジを黙らせ

「年貢の納め時だよキー君!!君の悪事の証拠は全部上がってるんだよ!!」

理子検事は次々とキンジが女の子を毒牙にかけている証拠を突き付け

「キンちゃん!!私も一緒に償うから・・・もうこれ以上罪を重ねないで!!」

白雪弁護士も罪を認めろと説得してきた。

「ち、違う!!誤解だ!!全部誤解なんだ!!」

「判決を言い渡すわ!!被告人、遠山キンジを絞首刑に処すわ!!!」

アリア裁判長は木槌を振り下ろすと氷牙執行官はキンジの首に縄を巻き付け

「氷牙!!やりなさい!!」

「了解!!」

「た、頼む!!一度でいい!!せめて弁明の余地を!!」

だが無慈悲にも氷牙は装置を作動させキンジの足元は抜け落ちて

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

そのまま奈落へと落された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ドボォォォォンッッ――!!

 

「ごぼっ!?」

そしてキンジは水の中で目を覚ました。

(ゆ、夢!?いや!?これも夢か!?いや!?鼻が痛い!?海水!?痛いって事は現実か!?お、落ち着け!!とにかく落ち着くんだ遠山キンジ!!何があったか思い出すんだ!!)

キンジはもがきながらも必死に記憶を手繰り寄せた。

(そうだ!俺は家に帰ってかなめが作り置きしてくれたカレーを食べた後ソファーでひと眠りしたんだ・・・)

それであんな夢を見て、気付いたら海の中に沈んで・・・

 

「ごぼぼっ!!」

(ってそうだ!!とにかく浮上するんだ!!このままじゃ溺れる!!)

必死に海上に向けて泳ごうとすると

 

――グィッ――

 

「ぐぼっ!?」

突然足を引っ張られ、まるで釣り針にかかった魚のように一気に海上へと浮上し

「ガバッ!?ゴバッ!?」

しばらく海上を滑るように引きずり回された後、足に繋がれたウィンチで逆さまに吊り上げられた先には・・・逆さまになった俺を見下すワトソンと・・・その隣でウィンチのレバーを持った氷牙が乗ったヘリが目に映った。

 

そしてワトソンや氷牙と目が合う高さまで吊り上げられるとウィンチの巻き取りが止まり

「ごほっ!!ごほっ!!」

その間にキンジは逆さまに吊られながらも海水を吐き出すように咳き込んだ。

「ようキンジ、目覚めはどうだ?」

「・・・遠山・・・大丈夫か?」

 

「だ・・・大丈夫なわけあるか・・・これはどういう状況だ!?なんで俺目が覚めたら海の中にいたんだよ!?」

「こんな時にいくら電話しても出ないし部屋に行ってみれば寝てるからここまで連れてきた後、ウィンチにつないで海に放り投げて叩き起こした」

「お前の仕業か!!どうりであんな夢見るはずだよ!!!」

「で?目は覚めたか?」

「覚めるどころか永眠するかと思ったぞ!!そもそもこんな時って今度は一体なんなんだよ!!!」

「GⅢが動き出した。かなめも見当たらないし連絡も取れない。おそらくGⅢの所に行ったんだろう。」

ディストルに弾を込めながらさらっと言い出した氷牙の言葉にキンジは逆さ吊りになったまま言葉を詰まらせた。

「考えてみればかなめは元々キンジを篭絡するためにGⅢがここに送り込んできたんだ。それが逆に篭絡されたなら今度はGⅢが動くのが当然だな。アリア達が迎えも待たずに先走って向かっているが・・・止めるのは無理だろうな。ほんと用意周到にやってくれるな?お前の携帯は電源切られていたし、お前が寝る前に食ったあのカレーにも大量の睡眠薬が混ぜ込まれていたぞ?お前は薬が効きづらいからな?強力なやつを大量に混ぜ込む必要があるけどそれじゃあ臭いでバレるから誤魔化すために香りの強いものに混ぜたんだ。俺がいつかやったようにな」

「かなめの奴・・・何でそんなこと・・・」

「決まってるだろ?あいつがかなめになるためだよ。あいつは遠山かなめとして生きる道を選んだんだ。そのためにGⅢと、何よりもジーフォースと呼ばれていた過去の自分と決別する気だ。たとえ刺し違えても・・・返り討ちになって殺されてもな」

「え!?ちょっと待て!!それじゃあまるで・・・」

「ああ、あの時の俺と同じだ。一番大事な時に一人で全部抱えて突っ込んでいきやがった。バカな奴だよ。それじゃあ勝者はいないってのにな」

けどあいつは俺とは違う道を選んだ。それだけは・・・少し妬けるな

 

「―――ッ!!クソッ!!早く止めねえと!!二度も後の祭りでしたなんて事になってたまるか!!」

「だから今向かってるんだろうが、腹違いとはいえ兄として弟と妹の兄弟喧嘩仲裁してこい!!後・・・どれくらいで着きます?」

キンジをウィンチから降ろしながら氷牙が尋ねると操縦席に座っていた執事服を着た背筋の曲がった初老の男性がこちらを振り返り

「あと10分ほどで到着します。それまでどうぞお寛ぎください」

「ええ、わざわざ迎えに来ただけじゃなくこのバカ起こすために寄り道までしてくれてありがとうございます」

「てかあの人誰だよ?」

キンジが尋ねると男性はキンジの方を向き

「申し遅れました。私、GⅢ様の執事でアンガスと申します。GⅢ様の命令で皆様をお迎えに上がりました」

「なっ!?」

GⅢの執事って敵じゃねえか!!

 

キンジは武器を構えてアンガスに突き付けたが

「キンジよせ、あの人は武器を持ってないし・・・戦えないよ」

「え?」

「その雰囲気や物腰から見ればなんとなくわかるよ。あんた、元軍人だろ?その背筋の曲がり方や動き方から見て後遺症が残る重傷を負って負傷退役・・・いやGⅢにやられたな?」

「左様です。元々私はアメリカがGⅢ様を消すためにデルタフォースから送られた暗殺者でしたが返り討ちにされ二度と戦えない体になりました。GⅢ様はそんな私を執事として置いてくださったのです」

「・・・あんたもGⅢに取り込まれたクチか」

「というよりもあいつの周りにいる連中は殆どがそうだよ。そんなことよりもお前は早く支度しろ?遠山家の兄妹喧嘩は決まってドンパチ戦争になるからな」

氷牙はキンジに装備と降下用のロープを投げ渡すと軍用ヘリにらしからぬ革張りのシートにのんびりと寝そべった。

「お前は随分余裕だな?準備はいいのか?」

「は?なんで俺まで準備しなきゃいけないんだよ?お前ら一家の問題だろ?かなめの時といい、これ以上俺達を巻き込むんじゃねえよ。何なら今度はお前の部屋で催淫効果のある香、ガンガンに炊きまくった状態で寝室に磔にしてやろうか?」

「氷牙!ここまでありがとな!!後は俺に任せてお前はそこで休んでてくれ!!」

以前部屋中をグラビアポスターだらけにされて寝室にAV音声流された時はアリア達が大爆走してそれを収拾するのがどれだけ大変だったかことか・・・キンジは大慌てで武器を装備して降下準備に取り掛かり

「遠山様、降下ポイントに到着いたしました」

「了解!行ってくるよチクショウ!!!」

目的地に到着すると同時にキンジは文句をたれつつも降下していった。

「・・・僕はついていくぞ?個人的にも見届けたいからね」

「別に止めねえよ?好きにすればいいだろ?」

それに続くようにワトソンも降下してゆき、後には氷牙とアンガスだけがヘリに残った。

 

 

 

 

「なあアンガスさん?キンジ達とGⅢ、どっちが勝つと思う?」

「そうですな・・・GⅢ様・・・といいたいところですが。遠山様も未知数の実力を秘めたるお方、どちらが勝つかは私にもわかりません」

「それを分かっててキンジ達をGⅢの所に連れて行ったのか?キンジ一人でも五分五分なのにもしそこに俺が加わったてたらもうGⅢに勝利は無いってことだろ?俺達を足止めしようとか考えなかったのか?」

「・・・ご冗談を、私はもう戦えぬ体。とても太刀打ちなど出来ませぬし・・・それ以前に私は執事です。皆様を連れて来いと命じられた以上、主の命令にどうして背けましょうか」

「確かに執事にとって主は絶対だ。だが奴隷と違って絶対服従ってわけじゃない、主を選ぶ権利もあるし、時には主の為ならば主の命令に背く事だってする。それに戦えない体だろうと、例えばこのヘリを自爆でもさせて俺達も道連れにするくらいはできるだろ?」

「・・・九狂様は本当にご冗談が上手ですな」

「冗談ね?本当に冗談か?じゃあ・・・なんでさっきから自爆スイッチ、電源入ったままなんだ?」

 

そう言うとアンガスは初めて目を開いて驚いた表情を見せた。

「・・・・・・・何故、お気づきに?」

「当たりか。半分はカマかけたんだが・・・あんた、昔の俺と同じ目をしてるんだよ。自分以外の誰かの、何かのために自分の命を燃やそうと決意している。そういう奴は自分の命を一番派手に咲かせて散らせる場面に敏感になる。まして戦えないあんたにできる事なんて玉砕覚悟の特攻くらいだ」

「そこまで分かっていてこのヘリに乗られただけではなく悠々と寛がれているのですか・・・恐れ入ります」

「まあ、本当にやろとしたら自爆スイッチ押す前に、あんたの腕ぶち抜いてやるところだがな。けどあんたは迷ったな?だから実行に移せなかった」

だがそれもそれで俺とはまた違う道だ。それもまた・・・妬けるな

「はい・・・九狂様の先程の言葉、あの言葉が私を迷わせました」

「それもあるだろうな。けど一番の理由はそんな事してGⅢが勝ったとしてもあいつが喜ぶかどうかなんてあんたが一番よくわかってるからだろ?」

「左様です。喜ぶどころか・・・決して私を許しはしないでしょう・・・勝者はいない・・・まさにその通りです」

 

「一応言うが俺はあいつ等の喧嘩にはもうこれ以上介入する気は無い。というよりこれはあいつら遠山兄弟の問題だ。もうこれ以上俺達が口を出す事じゃないだろ?それでもやるか?」

 

「・・・・・・・・・・」

アンガスは自爆スイッチの電源を切った。

「ご無礼をお詫びします」

「別にいい、これくらい気にしてたらキリがない」

「・・・GⅢ様もかつて同じことを仰いました。私を返り討ちにして瀕死の重傷を負わせておいて「わりぃ、虫の居所が悪くてやり過ぎた」といって手当てして、なぜ刺客である私を殺さないと聞けば「これくらい気にしてたらキリがねえよ」と殺しに来たことなど軽く流されました。本当にGⅢ様と九狂様はよく似ています」

「俺が?冗談言うな、俺にあいつみたいな殺しに来た刺客すらを味方にするような酔狂じゃねえよ」

「GⅢ様も「俺にはあいつみてえないつまでもあんなヘタレで甘ちゃんの尻を拭く様な酔狂じゃねえよ」と仰っていましたよ」

「アンガスさん、ヘリ戻せ。ちょっとGⅢぶっ飛ばす」

 

やっぱりそっくりだとアンガスは苦笑すると

「失礼しました。お詫びと言っては何ですが下に降りてお茶でもいかがですか?秘蔵のダージリンをご用意いたします」

「お、いいな?なら入れ方についてもいろいろ聞かせてくれよ?俺を足止めできるくらいにはな?」

「ええ、そういう事でしたらとことんお付き合い願います」

こうしてヘリは降りてゆきキンジ達が今まさにGⅢとの死闘を繰り広げようとしている最中、氷牙とアンガスは優雅にお茶会と決め込んでいった。

 

 

 

 

 

 

「ああ、それと茶の前に一つ聞きたいんだが・・・」

「何でしょうか?」

「GⅢの周りには・・・バカかアホか変態以外の奴っているか?」

 

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