緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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年内ギリギリ間に合いました
GⅢ編終了します


113話<喧嘩するほど・・・>

「ようみんな!!帰ったぞ!!」

 

「「「「お、お帰り・・・」」」」

 

爆撃機からミサイルに乗って脱出したキンジと氷牙はアリア達の元へと帰ってきたが全員に引きつった顔で迎えられた。

 

氷牙はまるで遊園地で遊びつくした子供の様な表情で帰ってきたが

 

「うう・・・」

キンジは叫び疲れてぐったりと横たわり

乗ってきたミサイルは既に燃料が切れて完全に沈黙して足元に転がっていた

 

「キンちゃん、大丈夫・・・じゃないよね・・・」

「キー君?生きてる?」

 

「なんとか・・・三途の河原は見た気がするけどな・・・」

 

「それ・・・ホントはお兄ちゃんじゃなくてあたしが見るはずだったんだけどなぁ・・・」

かなめがワトソンに支えられながらツッコんできた。

 

「・・・かなめも思った通り大丈夫そうだな?」

「ああ、傷を診察した時は見事なものだったよ。刺したというよりは隙間を通したという感じの傷だったからね。出血もほとんどないから僕がすることなんて何も無かったよ」

 

「お帰りなさい氷牙さん。思ったよりも遅かったですね」

レキと凛香も一足先に戻っていてヘリポートにも既にヘリが沈黙した状態で着陸していた。

「ああ、思ったよりも楽しくてな?ミサイルの燃料が切れるまで乗り続けてたらすっかり遅くなっちまった。2人に任せっきりにして悪かったな」

「それは別に構わないけど・・・それで?言われた通りに回収しておいたけど結局あれって何?」

凛香がヘリの傍にあるコンテナを指した。

「あれか?爆撃機の中にあったGⅢ様の美術品コレクションだ。あのまま海の藻屑にするなんてそんなの美術家に、芸術家達に対する冒涜だからな。脱出させられるようになっていたからコンテナ詰めて脱出させたんだ」

 

氷牙がそう言うと皆「だからか!!」という顔をした。

 

「なるほどね・・・だからアイツがあんな顔してあそこにいる訳ね・・・」

 

アリアが指した先、凛香が指したコンテナ、それよりも少し手前の・・・

 

「氷牙ぁ!!ようやく帰って来たなぁ!!!」

 

仁王立ちで額を青筋で埋め尽くしてどう見ても怒り心頭といった顔のGⅢが待ち構えていた。

 

「レキと凛香に続いてあいつがコート広げて滑空飛行しながら戻ってきた時には流石に驚いたわよ・・・それで着陸するなり真っ先にコンテナの中を見た後に「氷牙はどこだぁ!!!」って叫び出して、帰ってきてないって言えばコンテナ前で仁王立ちするなり「あいつが戻ってくるまで逃がさねえぞ!!!」ってあたし達を逃がさないように睨み付けながらあんたを待ち構えてたんだから・・・」

 

「・・・ったく、来いとは言ったが案外せっかちなやつなんだな」

氷牙は臆することなく歩み寄ると

「ようGⅢさっきぶりだな?そんなに俺に会いたかったのか?」

まるで友人と待ち合わせてたかのように話しかけた。

 

それがGⅢの逆鱗にクリティカルヒットしたらしく額の血管を本当にブチ切れるんじゃないかというくらいに一層浮かび上がらせ

「ああ!!延長戦をしに来たぜぇ!!!テメェ決闘に水差してぶち壊して挙句の果てには火事場泥棒とはやってくれんじゃねえかぁ!!!」

「火事場泥棒?人聞きが悪いな?全部盗難品じゃねえか。盗まれたものは取り返すのが俺の仕事だ。何ならお前を窃盗犯として逮捕してやろうか?日本じゃ盗難品と分かってて買ったならそいつも罪になるんだぜ?」

そう言ってGⅢを見下すように挑発するとGⅢの頭からブチブチッと何かが切れた音がした。

 

「・・・ほぉ?今、俺を逮捕するって言ったか?」

「ああ、言ったよ?抵抗するなら公務執行妨害も上乗せしてやろうか?」

「面白れぇ!!出来るもんならやってみろ!!」

「じゃあお言葉に甘えて遠慮なく」

氷牙はニィッと笑いながらGⅢに向かい足を動かした

 

氷牙が向かってくるとGⅢは傍に居たGⅢの部下たちの方に向かい

「アンガス!!腕だ!!」

「はっ、こちらに」

まるでそう言われるとわかっていたかのようにアンガスはアタッシュケースに入った義手を差し出すとGⅢはそれを右腕に装着してこちらに向かってきた

 

「なんだ?スペアがあったのか?」

「今の技術じゃ俺の動きに耐えきれる義手は無くてよぉ。すぐ壊れるから代わりをいくつも用意しねえと間に合わねえんだ」

「先端技術で作った義手を使い捨てで使うのかよ・・・どこかのゲームでそんなキャラいたな?」

 

GⅢは右腕の動作を確かめると銃を捨て、コートを脱ぎ捨て、プロテクターを全て外し。

それと同じように氷牙もレッドクイーンと闇魔刀を床に刺して置いて行き、ディストルとMP5Kを床に置き、上着を脱ぎ捨てた。

「何だ?武器はいらねえのか?プロテクターもキンジとの戦闘でも無傷で残ってたのにわざわざ外すのか?」

「テメェ相手に防具なんざいらねえ!!この右腕一本でも釣りがくるんだよ!!!テメェこそ武器置いてきて本当にいいのかぁ!?」

「手負いのお前相手なら素手がちょうどいいハンデだよ。武器なんか使ったら俺の弱い者いじめだろ?」

「・・・その言葉後悔させてやるからなぁ!!ホントにテメェは・・・」

「そりゃこっちの台詞だよ。ホントにお前は・・・」

 

話してる間にも互いにどんどん歩み寄り間合いまであと一歩のところで氷牙は表情を変えて抑え込んでいた怒りをあらわにして

 

「「キャラ被っててムカつくんだよ!!」」

 

ハモッた台詞を言い終えると同時に間合いに入り

 

「「ブッ殺す‼‼‼‼‼‼‼‼」」

 

――ゴッ――!!

 

GⅢと氷牙のクロスカウンターを皮切りに殴り合いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

それを見ているしかないキンジ達は・・・

「ちょっと・・・・あれどうするの?」

「どうするってどうにかできるかい?」

「・・・無理だね」

「ヤンキー漫画の王道ですなぁ・・・」

 

 

 

そして二人は殴り合いながらも会話を続けた

「そういやあアンガスを止めてくれたんだってな!?それに関してはありがとよぉ!!」

「そりゃどういたしまして!!じゃあ感謝してるなら謝礼出せ!!美術品渡しやがれ!!」

「断る!!それとこれは話が別だぁ!!」

「あれだけの美術品を自分以外の誰の目にも触れさせないなんてそんなの芸術に対する冒涜だ!!」

「それは同感だ!!だが俺のコレクションに汚ねえ手で触らせねえ!!」

「だからお前のじゃねえだろ!!嫌だってんなら逮捕して押収してやるからなぁ!!!その時は俺の脳天に木箱落した過失傷害もオマケしてやるからな!!!」

「だからやれるもんならやってみろっつってんだろ!!そもそも本音はそれだろうがぁ!!」

 

 

 

 

 

「なあ・・・あいつ等って・・・」

「もしかして案外仲がいいのかも?」

「仲がいいというよりも波長が合うんだろうね。もう子供同士の喧嘩だよ・・・」

「氷牙さん、楽しそうに遊んでいますね」

 

 

 

 

 

「何だそのパンチは!?ふざけてんのか!?」

「テメエこそなんだそのキックは!?なめてんのか!?」

 

再びクロスカウンターがお互いの顔に炸裂し

 

「「くたばれゴラァッ!!!!!!」」

 

互いに相手の肩を掴んだまま渾身の頭突きを激突させ

 

――ガゴォォォォォォォンッッ――‼‼‼‼‼‼‼

 

どう考えても頭突き合いで鳴るような音じゃない音が響き渡り

 

「「グォッ!!」」

 

二人とも後ずさると仕切り直すようにじりじりと間合いを詰めながら睨み合った

 

 

 

 

 

 

「あたし・・・GⅢのあんなに楽しそうな顔初めてみたよ・・・」

「GⅢ様・・・年相応なお顔をして・・・良き喧嘩友達を得たようで・・・嬉しく思います」

「ちなみにこの勝負どっちが勝つと思う?」

「GⅢはキンジさんとの戦いでボロボロですが氷牙さんも衛星の撃墜に魔力をほぼ使いきったうえにミサイルに乗って遊び疲れた状態です。コンディションは五分といったところですね」

「ならほっとこう・・・二人の気が済むまで殴らせとこう・・・」

「そうですな。手出しは野暮というものでしょう。お茶を淹れ直します。皆様もいかかですか?」

「ええ、いただきます・・・」

そしてこの後、キンジ達やGⅢの部下達が呆れ半分で見届ける中、夜の埠頭に氷牙とGⅢの怒号と殴り合う音が響き続けるのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「なあ・・・氷牙?」

朝のHR前の教室で重苦しい空気の中で武藤が不機嫌オーラ全開状態の氷牙に話しかけてきた。

「あ゛?なんだ?」

「なんでお前・・・そんな試合翌日のボクサーみたいな顔してんだ?」

氷牙の顔は、あちこちに痣ができていた。何でかは説明するまでも無いだろう。不機嫌な理由も・・・

「昨日ちょっとタイマン勝負して殴り合ったんだよ」

そう言うと何故か周りがざわついた。

「お前と殴り合いって・・・誰だよそんな命知らずっていうか自殺志願者は・・・」

「人造人間」

「は?」

「だから人造人間、今回は引き分けたが次は負けねぇ!!何千回生き返ろうと死ぬまで殺して溶鉱炉に沈めてやるからな!!!!」

「なあ・・・その人造人間と喧嘩って・・・もしかして昨日教務科に・・・」

「あ゛!?」

「いや・・・何でもない・・・」

これ以上は藪蛇と察したらしく武藤は自分の席へと戻っていった。

 

 

その様子を遠巻きに見ていたキンジ達は

「氷牙・・・やっぱり荒れてるわね・・・」

「あいつ自身負けず嫌いだし、悔しさもあるんだろうな・・・」

結局、昨夜の氷牙とGⅢの喧嘩は引き分けに終わった。何度目かのクロスカウンターが入ると二人同時にノックダウンして力尽き試合終了となったのだ。

 

そして2人の喧嘩が終わるとGⅢはアンガスさん達に抱えられて「後日改めてお詫びいたします。誠に申し訳ございませんが本日はこれで失礼いいたします」と言い残しGⅢを連れて帰ってしまい俺達もなし崩しに解散となってグダグダなまま終わってしまったのだ。そんな煮え切らない結末で不完全燃焼な所もあって余計に機嫌が悪いんだろう・・・

 

「けど、次が楽しみでもあるんだろうね。氷牙、あの傷絶対に治そうとしないんだよ?」

 

「「え?」」

 

「悪魔の血を活性化させれば自己治癒力も強化されます。そうすればあの傷も数分で治せるのですが氷牙さんは「こんな傷痛くもねえ、わざわざ悪魔の力使って治す価値も無え。それに次に喧嘩する時に俺だけ先に全快してたら不公平だし面白くねえ」と治そうとしないんです」

 

「次にね・・・やっぱり仲いいのかしら?」

「もしかしたら本当にいい喧嘩友達なのかもしれないな・・・」

 

ただ、引き合わせたら周りを巻き込んでの大騒動を引き起こすから今後の付き合いはできれば控えて欲しいものだがな・・・

 

まあとにかくだ、色々あったがこれでかなめやGⅢの騒動も片付いたんだ。しばらくは平穏に―――

 

『2年A組、遠山キンジ、及び九狂氷牙!!今すぐ教務科に来いやぁ!!!』

 

過ごせはしないようです・・・

 

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