この展開は結構始めの頃に考えてました
次の日の夕方、迷子の猫探しから帰ってきたキンジは俺と理子とで中庭にいた
「ぶぁっくしょん!」
「おー、キーくん凄いクシャミ」
「風邪か?4月とは言え夜中に海で遠泳したりなんぞするからだよ」
「誰のせいだよ・・・」
「はい、キーくん、これ頼まれたもの」
そう言って理子は書類の束を渡す。
これはキンジが理子に頼んだアリアに関する資料だ。
「ああ、相変わらず仕事が早いな」
そう言ってキンジは書類に目を通す。
「っと、あいつ貴族なのか?」
「うん、加えて二つ名持ちでイギリス人とのクオーターだよ。99回連続で一回の強襲で犯人逮捕、逃がしたことは一度もないんだよ。」
・・・そんな化け物みたいな奴に追われているのか、俺は。
「それで・・・結局お前どうするんだ?」
「何がだ?」
「アリアの事だよ、あいつと組むのか?それとも組まないのか?」
「組む訳無いだろ・・・俺は武偵を辞めるんだから・・・」
「そうか・・・まあ、それならそれでいいさ・・・」
「キーくんもこんな事頼まなくても彼女なんだから直接聞けばいいのに~」
「彼女じゃない!一応言っておくがこれはあいつを追い払うためで変な意味では断じてないぞ!」
「え~つまんない~」
「ったく・・・ま、ありがとよ、後は上手くやるよ」
そしてキンジは帰ろうとするが・・・
「キンジ!」
氷牙が呼び止める
「なんだ?」
「・・・断るならしっかりと断れよ?」
「当たり前だ」
そう言ってキンジは帰っていった。
だがこの後俺は後悔することになる
キンジとアリアから目を離してしまったことでキンジが最悪な返答を出してしまったこと
それを知ったのは最悪なタイミングであったこと
そしてその場には最悪なカードが揃ってしまうことを
もしあの時キンジから目を離さずにいてやれば・・・
そう後悔することになることを俺はまだ知るはずもなかった
次の日、装備科、平賀の作業室にて
「よう、平賀ちゃん、邪魔するよ」
「あ、氷牙君いらっしゃいなのだ、あの銃のチェック済んでるのだ」
「そうか・・・それでどうだった?」
「ビンゴなのだ、このMP5K、氷牙くんのMP5Kと同じクセの改造がされているのだ」
やっぱりか・・・
こいつを見たときはまさかとは思ったが・・・
だが俺以外にこんな改造ができる人間・・・少なくとも俺は2人しか知らない・・・
だけど一人は俺と同じ銃よりも体術の専門だし
もう一人に至っては・・・
けどこんな銃が簡単に出回るわけがない・・・
となれば・・・間違いなく奴らがここに来て「武偵殺し」と絡んでいるということだ・・・
そうして思考を巡らせていると
「ん?」
不意に氷牙の携帯が鳴った
「着信は―――キンジから?」
氷牙の携帯が鳴る少し前
この日は一雨きそうな空模様であった…
「くそ・・・乗り損ねた・・・」
先日の爆弾事件でチャリはぶっ壊した事を忘れてたキンジはバスに乗り損ねて歩く事になった。
「アリアは用事があるとかで早くにいったし・・・」
俺も早めに出りゃよかったな…
「ん?」
その時キンジの携帯が鳴った。
「もしもし?アリアか?」
「キンジ!今どこにいるの!?」
「え?今学園に向かってる所だが?」
「緊急事態よ!氷牙も呼んで今すぐ女子寮の屋上まで来なさい!」
「緊急事態!?何があった!?」
「バスジャックよ!7時58分発の通学バスが「武偵殺し」にジャックされたわ!」
「な!?」
キンジはカバンを落とした。
「キンジ!アリア!待たせた!」
「氷牙!」
「急ぐわよ!」
キンジとアリアと合流すると俺は先に向かっていたレキとともにヘリへ乗り込んだ。
そしてバスを追いかける途中で・・・キンジが思わぬことを言った。
「・・・いいかアリア、この1回だからな・・・」
「1回?何の話だ?」
「アリアを追い出すために1回だけ自由履修で強襲科に戻る、この1回だけアリアと組んでやるって条件を出したんだ。」
「なっ!?おいキンジ!まさかお前そんな中途半端な―――」
「ええ、この1回であんたの実力を見極めることにする。ただし手抜きしたら風穴開けるわよ!」
「ああ、全力でやってやるよ」
「・・・・・・」
全力は全力でも通常モードでのだろう・・・キンジ、お前は何もわかってない・・・
それじゃあダメなんだよ・・・そんな中途半端じゃあダメなんだよ・・・
だけど・・・もう賽は投げられた・・・もう手遅れなのか・・・
そしてジャックされたバスが見えてきたと思ったら―――――
「!!!!」
突如途方もない悪寒を感じ考えるよりも先に体が動いた
「氷牙!?」
氷牙が突如ヘリから飛び降りる
「ラァ!」
そして突然下方から飛んできたコンテナを蹴り返した
「なっ!?」
「何!?」
すると下から拍手が飛んできた
「お見事、よく防いだね」
「・・・お前は・・・」
「久しぶりだな、まあ・・・お前ならあの銃を見れば気付くか」
「やはりお前か・・・ファング!」
「氷牙そいつは誰だ!?そいつが武偵殺しか?」
「違う・・・コイツは・・・ワイルド・ファングだ・・・」
「ワイルド・ファング!?VSSEの要注意人物のコードネームじゃないか!」
「あいつの師匠・・・ワイルド・ドックはイ・ウーの幹部・・・」
「でもワイルド・ファングはワイルド・ドック共々死んだんじゃ・・・」
「あいつらがそう簡単に死ぬかよ。どうせドッグも生きてる」
氷牙は狂牙モードへと切り替わり
「・・・キンジ、アリア、ここは俺が相手する。お前達は先に行け!」
「だけど・・・お前一人じゃ・・・」
「時間がないわ!氷牙、そいつはお願い!」
そう言ってアリアたちを乗せたヘリはバスを追い飛んでいった
「さて・・・相手になるぜ・・・」
「ハハッ!せいぜい楽しませてくれよ!」
そしてファングは足回りを帯電させてきたと思ったら・・・
コンテナを引き寄せこっちに蹴り飛ばしてきた
「くっ!」
咄嗟に横に飛び躱す
「その足・・・トラクタービームを装備しているのか!」
「ご名答、いい洞察だな」
「・・・ドックといいあんたといい悪趣味だな、ターミネーターにでもなる気か?」
「強くなるなら、それもいいかもなっ!」
そう言って飛び上がり蹴りを入れてきた
「ラァ!」
氷牙も応戦するが・・・
(ッ!!流石に力競べじゃ装備が違うだけ分が悪い!)
「ホラ、もっと本気出せ、昔みたいに本気で殺すつもりで来いよ?」
「断る!俺は武偵だ!殺さず逮捕してやる!」
お互い体術のみでの戦闘、ファングも氷牙も体術の専門であるため自然と近距離での戦闘になるせいかどちらも銃を抜くことはなかった、
「ハァッ!」
「シャァ!」
お互い技術はほぼ互角ではあったが・・・
やはり装備が違う事
そして何よりも本気で人を殺すという決意がない氷牙のほうが不利であった
「・・・ハァ・・・ヌルイな・・・」
「なっ!?」
そう言って氷牙の攻撃を難なく捌き
「ラァッ!」
「グァ!?」
ファングのカウンターにより氷牙が吹っ飛ばされ地面に叩きつけられる
それと同時にファングも失望したかのように構えを解いた
「ダメだな・・・お前、牙が抜けたな。」
「グゥ・・・」
「・・・ほら」
ワイルド・ファングがこっちに何かを投げてきた
「持ってきてやった、使え。お前がかつてのお前に戻ってこない限りは、そんな腑抜けのままじゃ俺には勝てない。」
そして地面に突き刺さったそれは・・・見覚えのあるのもだった
「これは・・・」
かつての俺が使っていた二振りの刀だ・・・
「戻ってこい、こっちに」
「――――――――」
こいつを取れっていうのか・・・かつての自分に戻れというのか・・・だが出来ない・・・出来るわけがない・・・今の自分は武偵だ。これを使えばもう戻れなくなる・・・こいつを取ればもう取り返しがつかなくなる・・・かつての自分に戻ることは・・・武偵ではいらせなくなることなのだから―――
「マッド・ファング―――いや、俺の影」
コードネーム:マッド・ファング――――ワイルド・ファングの影にして忠実な戦闘マシンそれが・・・かつての俺だった。
みなさん気づいてるかもしれませんが
ワイルド・ファング、言うまでもなくタイムクライシスのファングです
氷牙とファングはかつてワイルド・ドッグの弟子だったという設定で動かしてます。