緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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126話<捨てる神あれば・・・>

 

 

「キンジはまだ帰ってこないのか?」

夜、集合時間になってもキンジはホテルに帰ってこなかった

何と今日3度目からの4度目の厄介ごとが来たのだ・・・

「電話も電源が切れてるみたいで繋がらないし・・・あのバカどこで何してんのよ・・・」

 

 

「遠山様が行方不明ですか・・・」

会合のために俺たちの元を訪れていた諸葛もキンジが行方不明な事を聞いて深刻そうに聞き返してきた

「・・・念のために聞くがお前らは何も知らないんだな?」

「はい、誓って我々は一切関与していません」

「てことは何かしらの事故に巻き込まれたか・・・」

「キンジ・・・あ、あたしやっぱり探しに――」

 

アリアは大慌てで部屋を飛び出そうとしたが

 

――ガッ――

 

「へぶっ!?」

氷牙に足を引っかけられて派手にすっころんだ

 

「ひ、氷牙!?なにすん――」

「落ち着け。いつも言ってんだろ。手掛かりを探すためにはまず落ち着け。どんな事にも必ず手掛かりも突破口もある。けどそんな自分の足元も見えてないんじゃ行くだけ徒労だ。だからまず冷静になれ、感情的に動く時と冷徹に物事を判断する時は使い分けろ。そうやって初めて手掛かりが見える。

だいたい少し考えればわかるだろ?あいつが藍幇の息もかからないような雑魚にやられるわけはないし。仮にあいつの命を狙える手練れがいたとしてもここは藍幇の領地だ。そんな奴が入り込んでいたらそれこそ藍幇が黙っていないだろ?」

「勿論です。バスカービルの皆様は大事な客人。そんな方々に手を出すなど我々への宣戦布告も同然です。遠山様を狙えるほどの手練れならばそれがわからないような愚か者ではないでしょう」

「なら少なくとも危機が迫ってるって事はない。普通に迷子になってるって可能性が一番高いだろうな」

「それはわかったわよ・・・けどアイツ中国語わからないんでしょ!?あたし達が見つけてやらないと・・・」

「もう夜も遅い、土地勘もない街で闇雲に探しても砂漠で一粒のダイヤ探すようなもんだ。

まずは朝まで情報を集めつつ様子を見るぞ。レキと凜香は屋上から目が届く範囲でだが捜索してる。理子も付近の防犯カメラ片っ端からハッキングして探してるし、白雪も口寄せやって必死で探してるよ」

「我々も日本語が話せる構成員を中心に捜索をさせましょう。万が一のことがあれば我々の面子にもかかわります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「腹減った・・・」

氷牙達がキンジ捜索の手はずを整えてる一方、当のキンジは一人、夜の香港の裏路地に座り込んでいた。

1人でホテルに戻ろうと路面電車を降りる際に財布と携帯をすられてしまったようで。連絡も取れず、道もわからず、周りに頼ろうにも言葉もわからず文字も読めない。行く当ても頼る当てもわからないままさ迷って最後はこの場所で歩き疲れてしまったのだ

「手元にあるのは武偵手帳と銃だけか・・・こんなことなら氷牙に密入国のノウハウでも教えてもらうんだったな・・・」

ほとんど現実逃避するように目を閉じて朝まで休もうとすると

 

「――――――――――!!」

 

誰かが俺に怒鳴りかけているようだが何を言ってるのかさっぱりわからない

 

「うるさいな・・・俺と話したきゃ日本語話せ・・・」

顔も上げずにそう呟くと

「え?あんた日本人?」

相手も本当に日本語で話し出した

「――!?日本語分かるのか!?」

顔を上げると目の前には白い制服を着た現地人の女の子が俺を見下ろしていた

「日本人がこんなところで何してんのよ?自慢じゃないけどここは観光で来るような場所じゃないわよ?」

「それが・・・財布と携帯すられて・・・言葉もわからなくて、ここが何処かもわからないんだ・・・」

「間抜けな日本人もいたもんだなぁー」

 

――グゥゥーー――

 

キンジの腹が情けなく鳴った

 

「・・・とりあえずそこどいてくれる?ドアの前で座られちゃ入れないからさ」

キンジが横にずれると女の子はさっきまでキンジがもたれかかっていた鉄板を横にずらした。あれ、ドアだったのか・・・

 

そして女の子がキンジの横を通って中に入り

「何してんの?あんたも入んな」

「え?あ、ああ・・・」

中に入るとそこは4畳あるかといった手狭な部屋に必要最低限の使い込まれた家具だけがそろえられた一人暮らしの学生が住むようなワンルームになっていた

「そこに座って、少し待ってて」

女の子はキッチンに向かうと慣れた手つきで調理を始め、数分後にはあり合わせで作った炒飯をテーブルに置き

「ほら、食べなよ」

「いいのか?俺、金は・・・」

「あたし達香港人のせいでこうなったみたいだし同じ香港人としての埋め合わせだよ。うちの前で行き倒れられても目覚めが悪いしね」

「ああ、ありがとう・・・」

キンジは感謝して炒飯を平らげ

「それで?あんた一人で来たの?」

「いや、仲間達と来たんだ。ICCってビルなんだが・・・」

「ICC?ここからじゃ路面電車や船を乗り継がないと行けないし、もうどっちも動いてないよ。それにお金無いんでしょ?どうする気?」

「それは・・・朝まで待って線路沿いに歩くしか・・・」

「あのねえ・・・日本はそれでいいかもしれないけどここは日本じゃないのよ?治安もいいとは言えないしそもそもあんた字も読めないんでしょ?道わかるの?」

「う・・・・・・」

言われてみればその通りだ。道がわかってるならとっくに自力で帰っている・・・

「今日は泊っていきな、朝になったらあたしが案内するよ」

「え?いやお前、見知らぬ男を泊めるとか・・・」

「お前じゃなくてユアン。あたしその辺の男より強いから平気。けど変な事したら叩き出すよ?それに明日、朝から香港中を歩き回ることになりそうだからね。そのついでだよ」

「何かあったのか?」

「気にしなくていいよ。ちょっとした仕事だから」

「仕事?バイトか何かか?」

「そんなんじゃないよ。あたし身寄りが無くてね。通ってる学校も学費がタダの代わりに時折学校からの仕事をしなきゃいけないのよ。で今来た仕事ってのがエネイブルを探せっていう仕事」

「エネイブル?」

「あんた知らないの?今香港に2人の日本の超人が来ているのよ。あたしも写真とか見てないから顔知らないけど」

「2人の日本の超人?その一人がそのエネイブルって奴なのか?」

「ええ、最近になって付いた二つ名らしいけどエネイブルって呼ばれてるそうよ。何でも不可能を可能にする男らしいわ」

「へえ?そんなすごい奴がいるのか」

「で、もう一人がイガミって呼ばれていて運命を否定する男だそうよ。二人共どんなに追い詰められてもあり得ない方法で切り抜けて敵を返り討ちにするんだって。特にイガミに関しては絶対に手を出すなって言われてるくらいよ。その辺の雑兵じゃ束になっても絶対に敵わないし、これ以上怒りを買うのは喜ばしくないそうだし」

「怒りを?」

「何でも私たちの上の人がそいつに対してすごく無礼を働いちゃったらしくてね?どうにかして機嫌を直してもらえないかって躍起になってるらしいわ。エネイブルを探すのもその一環だそうだし」

「上の不始末を下の人間が片付けるか・・・どの国でもしわ寄せってのはいつも下に来るもんだな・・・」

「さ、あたしの話はこれくらいでいいでしょ。後は寝るまでの間あたしに日本の事教えてよ。あたし将来は日本に渡って一攫千金狙ってるの。その為に日本の事勉強して、お金も貯めて日本の大学に行きたいのよ」

「そうか、そういう事なら俺も協力するよ」

 

その後、キンジとユアンは寝るまでの間日本の文化や雑学を勉強することになった。

 

修学旅行Ⅱ初日からこんなトラブルにあって一時はどうなるかと思ったがこんな異文化交流もこれはこれでいいもんだな

 

 

 

 




氷牙の二つ名やっと決まりました
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