緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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半年以上も止まってすいません・・・



128話<合流からの大氾濫>

寺院での乱闘未遂から十数分後、キンジ達はなんとか落ちつかせた氷牙を連れて近くの屋台のテーブルに座ると飯を食いつつこれまでのことを話し合った

 

「つまり・・・そいつは間違いなく孫悟空だが金三を撃ったのは「孫」の人格の方であって、今はもう一つの人格「猴」の方が表に出ているんだな?」

 

「はい、ちなみに「猴」の人格が出ているときは臆病な性格もあって戦闘力は皆無です」

 

テーブルの向かいに座っている八戒が肯定した。悟浄は隣で同じように飯をかっ込んでるし、当の猴はそれを証明するように八戒の後ろで怯えながら俺たちの様子を伺っていた

 

 

「で、お前は案の定、財布と携帯すられて迷子になって朝になって猴を見つけて追いかけたらここにたどり着いて俺と鉢合わせたってわけか」

 

「ああ、本当に会えてよかったよ・・・」

 

そう言って隣に座っているキンジはボコボコに殴られた顔で返答した。誰になんでボコられたかなんて言わなくてもわかるだろう・・・

 

「平和ボケしすぎなんだよお前は・・・」

 

氷牙はキンジの財布と携帯をテーブルに置いた

 

「取り返してやったぞ。財布はまで手を付けてないそうだけど携帯は売りに出されていたからメモリー消されてるかもしれん。後でチェックしとけ」

 

「すまん、助かったよ」

 

「私達も遠山様にこちらをお渡ししておきます」

 

八戒が香港ドルがぎっしり詰まった分厚い封筒を差し出してきた。

 

「何だこりゃ?金か?」

 

「盗品市場の頭目から先程渡されたお詫びです。「この度はまさかエネイブルとイガミのお二人とは知らず大変失礼しました!!こちらは今回の無礼のお詫びです!!足りなければすぐに言い値をお持ちします!!またエネイブル様から盗みを働いた愚か者は既に捕えておりますのでご所望とあらば指でも首でもすぐさま差し出しますのでどうか怒りをお納めください!!」と言伝と共に預かってきました」

 

「いや・・・指や首なんて貰っても困るんだが・・・」

 

「けど金はもらっとけよ?流石に今回は正当な権利もあるし何も後腐れも無いだろ」

 

「それはそうだけどよ・・・」

 

「ていうかエネイブルとかイガミって誰のことだ?」

 

「あ?知らなかったのか?お前らのことだぞ?まあ最近になって付いた二つ名らしいからな。正式に拝命されんのは来年あたりじゃねえか?」

 

「そうですよ。不可能を可能にする男、エネイブルこと遠山キンジ。そして運命を否定する男、イガミこと九狂氷牙。お二人のことですよ」

 

マジかよ・・・とうとうアリアに次いで二つ名付いちまったなぁ・・・しかも不可能を可能にするとか運命を否定するとか・・・まあ、そんな名前がついてもおかしくないようなこと数えきれないくらいしてきたしな

 

「てかちょっと待て。そういえばお前ら確か八戒と悟浄って言ったよな?孫悟空に八戒と悟浄ってまさか・・・」

 

「ああ、そういえばちゃんと名乗ってませんでしたね。改めまして私、猪八戒と申します」

 

「俺は沙悟浄だ。よろしくな」

 

「やっぱりか・・・猪八戒に沙悟浄ってことはお前らも人間じゃないのか?」

 

「ああ、俺と八戒は俗にいう妖怪だ。言っとくが河童とかブタとか言いやがったらぶっ殺すぞ?」

 

それに孫悟空に猪八戒に沙悟浄とくればあとは一人しかいないよな・・・

 

「てことはだ・・・あの時、ジープでずっとタバコ吸って寝そべってた金髪男・・・まさか・・・」

 

「はい、あの人は玄奘三蔵。と言っても法相宗の開祖でもある三蔵法師本人というわけではありません。その子孫で名を継いでいるというだけです」

 

「ちなみに俺達の中じゃ唯一の人間だ。だが周りからは初代の生まれ変わりとまで言われてるほどの実力もある。本人は嫌っているみたいだけどな」

 

「あんなのが三蔵かよ・・・世の中の坊さんが知ったら世をはかなんでもう一回出家しちまうぞ・・・」

 

氷牙が呆れていると

 

 

 

「あ、こんなところにいた!!」

 

突如、後ろから声を掛けられてキンジが振り返ると

 

「ユアン?どうしたんだそんな息を切らして」

 

ユアンが息を切らしてキンジの元に駆け寄ってきた

 

「どうしたじゃないわよ!!いきなり銃出して走り出して行っちゃうんだもの。何かあったと思うじゃない!!」

 

「あ、そうか・・・」

 

「おや?ユアンではないですか?」

 

八戒がそう言うとユアンも八戒を見て

 

「え!?八戒先生!?なんでここに?」

 

「なんだ?二人とも知り合いか?」

 

キンジが尋ねると

 

「ええ、私普段は学校の教師をしているもので彼女は私の教え子です。遠山様もユアンを知っているのですか?」

 

「キンジ?やっぱりまた女作ったのか?作るのはいいけどちゃんと現地妻にしないで連れて帰れよ?」

 

「マジか!?お前ら昨日香港に来たばっかりだろ?エネイブルは超プレイボーイって話本当だったのか!!」

 

「そんなわけあるか!昨日の一宿一飯、彼女に助けてもらったんだよ」

 

「そうでしたか。ユアン、遠山様、エネイブルを保護していただき大儀でした。後日諸葛様から褒賞が出るでしょう」

 

八戒がそう言うとユアンは目を見開いてキンジを見た

 

「え?ええ!?あ、あんたがエネイブル!?」

 

「ああ、俺も今知ったけどエネイブルって俺のことみたいだ・・・」

 

「ちなみに俺がイガミこと九狂氷牙だ。うちのバカリーダーが世話になったな。あとそこ危ないぞ。そろそろ時間だから」

 

「?何の話だ?」

 

「すぐにわかるよ。最初は甘んじて受けろ。そんで礼と謝罪もしろよ?お前がいなくなって真っ先に探しに飛び出すほど心配してたんだからな」

 

氷牙は立ち上がると

 

「ほら、危ないから下がりな」

 

「え?ち、ちょっと何?」

 

ユアンを連れてキンジから距離を取ると昨日買ったばかりの時計を確認し

 

「3」

 

カウントダウンを始めると同時に

 

「――――ッ!!!」

 

キンジもハッとして気が付いたようだ

 

間も無くこちらへ・・・アレが来る!!!

 

「2」

 

「「・・・・・・・・・・・・・」」

 

そのただならぬ雰囲気に気が付いたのか八戒と悟浄も悟空を連れて下がり

 

「1」

 

「ま、待ってくれ!!!せめて話を―――」

 

 

「0」

 

 

 

 

「バ カ キ ン ジ ィ ィ ィ !!!!!」

 

 

 

 

 

 

――ドォォォォォォン――!!!!!

 

空気さえも震わせる怒声の直後、まるで隕石でも降ってきたのかと間違いそうな音速を超えんばかりのドロップキックがキンジの脳天に炸裂して

 

「ごほぉ!!??」

 

キンジは吹っ飛ばされて積み上げられていたビールケースへと突っ込んでそのままビールケースの中へと埋葬された

 

「このバカバカバカぁ!!!!!!どばかぁぁぁ!!!!!どこほっつき歩いてたのよぉぉ!!!」

 

「財布と携帯すられて迷子になってたんだとよ」

 

氷牙が代わりに説明すると隕石、アリア星は出来たばかりの墓を暴いてキンジを引っ張り出すとさらに怒りをあらわにして

 

「こんの超どばかぁぁ!!!!!武偵がなにすられてんのよぉ!!今度から紐でも付けときなさぁぁい!!!」

 

アリアはキンジの顔を殴るわ蹴るわの暴行を続けながらガミガミと説教した

 

「ち、ちょっと止めなくていいの!?あれじゃあせっかく無事だったのに彼女に殺されちゃうわよ・・・」

 

「大丈夫大丈夫。あんなどつき夫婦漫才いつものことだから」

 

「風穴インパクトぉ!!!」

 

フィニッシュにパイルドライバーが決まりキンジの頭が地面にめり込んで文字通り杭のように突き刺さった

 

俺達の頭に1!2!3!カンカンカンカンとカウントとコングの音が聞こえ

 

「ポンコツは叩いて直すっていうからアンタのポンコツな頭もこれで少しは治ったかしら!?」

 

「あ、ああ・・・本当に悪かった・・・それと、俺のこと心配して探してくれてありがとう」

 

キンジもあらかじめアリアが心配して探していてくれたんだと聞いていたからか突き刺さったままの体勢と殊勝な心で謝罪と感謝を口にすると

アリアもピタッと硬直するとやがて顔を少し赤くして

 

「ふ、ふん!!わ、分かればいいのよ!!これに懲りたら次からは気を付けることね!!」

 

 

その様子を見てユアンは「ああ」といった顔で納得すると

 

「成程、あれが日本でいうツンデレってやつね」

 

「ああ、加えてチョロインってやつでもある」

 

氷牙がそう付け加えるとアリアもユアンに気が付いたようで

 

「ていうか氷牙?その子誰?」

 

「ああ、この子は―――」

 

ユアンの方を振り返るといつの間にか八戒と悟浄は猴と一緒に姿を消していた。

 

「って、あいつらいつの間に・・・」

 

「え!?あれっ!?みんなは!?」

 

「ちょっと聞いてんの?その子――」

 

アリアは何か思いついた顔をして

 

『まさかアンタこいつの女じゃないわよね!?』

 

と中国語でユアンに尋ねると

 

「は?誰が?誰の?あんたその中国語意味わかってる?」

 

ユアンは心底嫌そうな顔で答えた

 

「・・・違うみたいね」

 

「ああ・・・この子はキンジの捜索に協力してくれた藍幇の人間だ」

 

「そう、うちのバカが迷惑かけたわね。見つけてくれてどうもありがと」

 

アリアはキンジの方を向くと

 

「ほら帰るわよ。氷牙、今度は迷子にさせないように手綱握っときなさい」

 

「了解、帰るぞキンジ」

 

氷牙もキンジの足を掴むとズルズルと引っ張って連れて帰り

 

「じゃあな・・・色々と世話になった・・・」

 

キンジも引っ張られながら別れの挨拶をした

 

ユアンも「それにしてもまさかあいつがエネイブルだったなんて・・・」って顔をしてるけど

 

正確には昔アリアに「無理って言うの禁止」って言われて仕方なく乗り越えていただけで本当は不可能を禁じられただけなんだけどね

 

ちなみに氷牙は・・・アイツは素でいつも常識外れで滅茶苦茶な事をするからな・・・だから正確にはあいつに常識や正論は通用しないだけであいつ自身には運命を否定してる自覚なんかこれっぽっちもないんだよ・・・

 

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