緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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19話<新たな波乱―予兆―>

 

昼休み

キンジ、アリア、氷牙、レキ、武藤、不知火は学食で昼食をとっていた

すると周りからなにかヒソヒソと話し声が聞こえる・・・

 

「なあ知ってるか?」「ああ、昨日キンジの部屋で・・・」「神崎と星伽が大喧嘩したって・・・」「三角関係のもつれってやつか?」「噂じゃあ何でも神崎が危うく、出来ちまうところだったらしいぞ?」「え?マジかよ・・・」「それで二股かよ・・・」「最低・・・」「死ねばいいのに・・・」「責任取れよ・・・」「フケツ・・・」「キンジX氷牙はどうなるのよ・・・」

 

「お前、噂されまくってるな」

またしても最後おかしい気がするけど・・・

昨日のキンジの部屋で起きた第一次俺の部屋大戦はすでに周りに知れ渡っていた、まああんなに大声で喚いて銃ぶっ放せば当たり前だ

それに当のキンジは今朝、子供の正しい作り方を知り挙動不審になったアリアの八つ当たりでボコボコにされていた、周りからはこの怪我は痴情のもつれでやられたものだと思われているらしい・・・

ちなみにアリアはキンジをボコボコにしてすっきりしたのか今はすっかり立ち直ってももまんを食べていた

 

するとキンジも皮肉って言い返してきた

「・・・そう言うお前もな・・・」

 

別の方向に耳を澄ますと

 

「おい、聞いたか?」「ああ・・・九狂とレキが・・・」「今朝一緒に九狂の部屋から出てきたって・・・」「それってあれだよな・・・」「一夜を共にしたってことだよな・・・」「レキ様とどんな夜を・・・」「どんな寝顔してたんだ・・・」「絶対に殺す・・・」

 

何でも今朝レキが俺の部屋から一緒に出てくるのを数人に目撃されたらしく

その後

――今朝、レキが氷牙の部屋から一緒に出てきた⇒朝帰り!?⇒二人は出来てる!?

なんて憶測が流れたらしい・・・

結果、俺はレキのファンクラブとかゆう連中に睨まれ続けている・・・

レキがそばにいる間は手を出しては来ないようだが・・・どうにも落ち着かない・・・

 

「まあ・・・ある意味事実だしな・・・」

こういう時の開き直りは氷牙の18番だ

そう言って氷牙は不機嫌そうな顔でハムサンド(お手製)を齧る

 

すると不知火があざとく気づいてきた

「そういえばレキさんも、九狂君と同じもの食べてるね」

そう言ってレキのほうを見ればレキは氷牙の隣で黙々とタマゴサンドを食べていた

「そういえばレキがカロリーメイト以外を食べてる所なんて見たことないな・・・」

どうやらキンジも気になっていたようだった

「ああ、それは・・・」

「氷牙さんが作ってくれました」

 

 

なんでも今朝の事、

 

氷牙が朝食の用意をしている時

「そういえばレキっていつも何食べてるんだ?」

よくよく考えればレキが食事してるところなんてこの1年でも数える程しか見ていない

それも全部クエストで一緒だったときばかりだから携帯食料しか食ってるところを見たこともない

アレルギーとかあるかもしれないし、できるだけレキの好みに味付けしようと尋ねたところレキが

「これです」

とカロリーメイトを机に出した

すると氷牙は呆れた顔をして

「いや、潜入や張り込みの時のじゃなくていつものだよ・・・」

「いつもの?いつのことですか?」

レキは首をかしげた

それを聞いた途端氷牙は

え?・・・まさか・・・と顔を引きつらせ

「・・・もしかして・・・普段からこれ食ってるのか?」

「はい、栄養もあり手早く摂取できるので合理的です」

それを聞いた瞬間氷牙はレキが机の上に置いたカロリーメイトをひったくると封を開け食べた

――ガサガサ、ボリボリボリボリ――

「あ・・・」

――ゴクン――

そしてそれを飲み込むと・・・

「却下だ・・・」

「?」

「こんなもんばっか食うんじゃない、もっとちゃんとしたもん食べろ!!今日からお前の食生活、俺がきっちり指導してやる!!」

と言われ、その後弁当箱を渡され

「これ持っていけ!今日のレキの昼食だ!カロリーメイト食うんじゃないぞ!」

と半ば強引に持たされたらしい

 

「まったく・・・毎食カロリーメイトだなんて・・・今日からは俺がきっちり食生活指導してやるからちゃんとご飯食べろよ!」

「はい・・・」

そしてレキはテーブルに置かれたペットボトルを開けようとするが・・・

「ホラ、片手じゃペットボトル開けづらいだろ?あと口にパンくずついてるぞ」

そう言って氷牙はレキの口を拭ってあげてストローを差した紙パック飲料を差し出した

周りはそんな俺を見て殺意を込めた視線を送ってきたが気にしないことにした

アリアはそんな2人を見て

「恋人というよりは世話焼きな兄と手のかかる妹って感じね・・・」

キンジは呆れながらも

「それにしても・・・レキはお前に好意がないってわかったのに・・・なんだかんだで世話焼くんだな・・・」

と言うと、氷牙はレキを見て

「ま、なんというか・・・好意とかそう言う云々置いといてもさ、危なっかしくて放っておけないんだよ・・・」

ちなみにレキは

「・・・・・・」

少し俯きながらもツナサンド(氷牙特製)を黙々と食べていた

 

そしてそれを見ていた不知火は・・・

(九狂くんも遠山くんに負けずこうゆうことには鈍いのかな・・・まあ、レキさんも気付いていないみたいだし・・・ここはどちらかがそうだと気付くまで見守るべきかな・・・)

なんて思っていた

 

そしてそんなやりとりを見て更に何か聞こえてくる

 

「やっぱあの二人も出来てんじゃね?」「でもある意味息ピッタリというか・・・」「1年の時から怪しかったからな・・・」「まさか『ゴールド・フェンリル』の二人がな・・・」

 

ふと、ももまんを食べているアリアに聞きなれない言葉が入ってきた

「ゴールド・フェンリル?」

「げ・・・それは・・・」

キンジが顔を引きつらせる・・・

「ああ、神崎さんは知らないんだっけ?」

「それもそうだろ、去年この学校にいなかった奴でこの名前を知っているのは俺たち2年か、3年の先輩方から話を聞いた奴くらいだろ」

「おい二人共!余計なこと――」

「いいじゃない、聞かせてよ」

アリアは興味津々に訪ねてきた

「遠山君、九狂君、レキさん、どうする?」

「俺は別に構わないぞ?」

「・・・構いません」

「遠山くんは?」

「駄目に決まって――バキュン――・・・キカセテアゲテクダサイ・・・」

アリアのガバメントで一発で黙らされてしまった

キンジ・・・立場弱いな・・・完全に尻にしかれてるよ・・・

そして不知火は苦笑しながらもアリアに説明する

「遠山くんと九狂くんとレキさんの3人は1年の時コンビを組んでいたんだよ、その時のコンビ名が『ゴールド・フェンリル』という名前だったんだ」

「随分とすごいネーミングね・・・」

「全くだ・・・気づいたらそう呼ばれていたが・・・いったい誰が付けたんだか・・・」

この名前中二病っぽいからってキンジはずっと気に入ってなかったらしいからな

確か名前の由来は俺達3人の名前からだって言ってたな

キンジが金、氷牙が氷、レキが狼って

三人合わせて『金氷狼』つまり『ゴールド・フェンリル』

「当時はSランクの3人が組んだコンビだったんだ。彼らの任務成功率は100%、その実力は2年生はおろか3年生や教官すらも凌ぐんじゃないかとも言われていた、まさに武偵校始まって以来の最強の1年生コンビだったんだよ」

ただし俺が病院送りにした犯人も多くて最凶コンビとも言われていたがな・・・

「あんたたちコンビ組んでいたのね」

キンジもさすがに観念して答えた

「まあ気づけば3人で仕事してることが何度もあった、いわゆる腐れ縁ってやつだ・・・」

「俺達3人が組むとポジションは俺がアタッカー、キンジがカバー、レキがバックアップになるからバランスのとれたコンビになって仕事がやりやすかったんだ」

だからコンビを組むことに不満はなかったし3人とも別に報酬とかにこだわったりはしなかったしな、むしろ機会があれば積極的に組んでたくらいだ

「でも結成から半年足らずで突如謎の解散、その理由は未だに明かされず今でも多くの人が解散を惜しんでいるよ」

「謎の解散?」

「彼ら3人はある時ぱったりと組まなくなったんだ。それから間もなく九狂君はAランクに降格、遠山君も探偵科に転科してEランクになって『ゴールド・フェンリル』は事実上解散したって言われているんだ」

「「・・・・・・」」

その言葉にキンジはおろか流石に俺も口を閉じる

当たり前だ・・・

俺達が解散した理由は・・・

あの日の事件が原因だ・・・

キンジが腑抜けになっちまった日・・・

キンジの人生が大きく変わっちまった日・・・

金一さんが死んだ日だ・・・

その日からのキンジはとてもコンビを組む事はおろかまともに戦うこともできなくなっちまったんだから・・・

まあキンジをそうさせた元凶の一部は俺が病院送りにしたが・・・

あの時のキンジを思い出すとここまで復帰できたのはまさに奇跡とも言えるだろう。

ただしヘタレなところは一層に悪化しちまったみたいだが・・・

また肝心なところで踏みとどまっちまって周りを傷つけたりしなけりゃいいんだが・・・白雪の件もあるし・・・平和な生活には程遠そうだな・・・

(まあ、武偵校に平和を求める時点で既に間違っているだろうが・・・)

そう思っているとまた何か聞こえてきた

 

 

 

「けど・・・やっぱり『ゴールド・フェンリル』解散の理由は・・・」「二人が出来てるってことは・・・」

 

『三角関係か・・・』

 

男子からは

「遠山と九狂がレキを・・・

女子からは

「キンジとレキが氷牙を・・・

 

『奪い合って・・・』

アリアも顔を赤くして

「え!?それが解散の理由!?」

と訪ねてきたのでキンジと氷牙は

「「違う!」」

と同時に叫んだ

解散した時からずっとそうじゃないかと言われていたが、それだけは違うからな!特に女子!

 

 

説明を終えると不知火も話題を変えてきた

「そういえばレキさんは腕を怪我したんだよね?アドシアードは大丈夫なのかい?」

アドシアード・・・武偵高の年に一度の国際競技会だ。武偵高のインターハイ、オリンピックみたいなもんだ、そういえばそんな時期だったな・・・

「具合から見て難しいでしょう・・・」

「まあ・・・残念だが復帰は間に合わん・・・アドシアードは欠場だな」

「そうか・・・レキさんなら優勝どころか世界記録も狙えたかもしれないのに・・・残念だね」

余談だがレキが欠場したことで秘密裏に行われていた賭けの予想が大きく荒れたらしく何故か蘭豹も大いに荒れていたらしい・・・が、それはまた別の話だ・・・

 

「キンジは、アドシアードどうするんだ?」

「わかりきったこと聞くな、Eランク武偵なんかお呼びじゃないだろ?」

「だよな、じゃあ一緒に受け付けやろうぜ、不知火がダメになっちまってよ」

「そうなんだ、ガンシューティングに急遽出ることになったんだ。神崎さんが辞退してその補欠さ。」

「ふーん、アリアは何に出るんだ?」

「あたしは閉会式のチアやるだけよ」

「チア・・・アル=カタか・・・」

「キンジもやりなさいよパートナーなんだしどうせなんでもいいんでしょ?」

アドシアードのアル=カタは本来の意味のアル=カタとはまた違う。ナイフや拳銃による演武をチアリーディング風のダンスに組み合わせてパレード化したものである。

ちなみにアル=カタの役割は女子は前で踊る花形で、男子はそのバックでバンド演奏をする地味な役だ

「音楽、か。まあ得意でも不得意でもないし・・・それでもいいか」

キンジが何でもいいやって感じで決めてると

「バンドかぁ。カッコいいかもな。やるか!」

武藤も乗り気でついてきた

ほんとにこいつノリだけで動いてるよな・・・

「で、氷牙はどうするんだ?」

ああ、後、決めてないのは俺だけか

「そうだな・・・特にこれといって希望はないけど俺もバンドを――ん?」

突如、氷牙の携帯が鳴る

誰からだ?と思い画面を見ると・・・

「げ!蘭豹からじゃん!」

それを聞いてキンジたちも顔をしかめた

「ハァ!?お前なにしたんだよ!?」

「やばいぞ!早く出ろ!」

氷牙は通話ボタンを押し

「はい、九狂です・・・」

『おう、九狂、ウチや蘭豹や、お前のアドシアードの―――』

直後俺の第6感が告げた

ロクなことじゃないと・・・

「それでしたらチアのバンドすることになりました!」

――ブツッ――

すかさず終了ボタンを押した

キンジが心配そうに聞いてきた

「おい、いいのかよ・・・」

「どうせロクでもないことに決まってる!!」

そう言って電源を切って居留守を決めた

そして携帯をしまうと

「ん?」

今度はキンジの携帯が鳴った

「はい、遠山です―――」

キンジは電話に出ると顔を真っ青にしていた

「お、おい・・・氷牙・・・」

「何だ?」

キンジは顔を真っ青にしたまま電話をスピーカーにした

すると・・・

『九狂・・・人の話は最後まで聞けや・・・』

蘭豹の声が聞こえてきた・・・

あ・・・俺・・・死ぬかも・・・

 

 

 

「で・・・俺にバトルロワイヤルに出てくれと・・・そう言いたいんですか?」

バトルロワイヤル(総合戦闘競技)・・・これは表と裏の顔がある競技だ・・・参加者はまず武装解除させられた後、教官が武器をテキトーに詰めたトランクをひとつ持たされ学園島の地下深くに連れて行かれる・・・

そこには東京ドームが余裕で入る程の空間なっておりそこは・・・あるところは大自然だったり、廃墟だったり、砂漠だったり、沼地だったりとまるでテーマパークみたいな空間だ。そしてその空間に参加者は各所にランダムに配置される

そして競技が開始されるとトランクのロックが解除されて武器が手に入る

そこからは簡単だルールは1つ

――最後の一人になるまで戦うこと――

以上だ、当然制限時間はなし

(要するにただの殺し合いじゃねえか・・・)

まあ武偵ゆえ戦うのはいいとこ昏睡するまでで殺すとまではいかないが・・・

ちなみにこんなもの当然公にできるわけがないので表向きは映画撮影のスタントパフォーマンスという名目で公表している・・・

それに俺が出場すること・・・それが蘭豹の用件だった・・・

『おう、やってくれるか?(やるか?それとも死ぬか?さっさと選べや!)』

何か嫌な副音声が聞こえる・・・

「謹んで受けさせていただきます・・・」

どのみち俺に選択の余地はなかった・・・

『そうかそうか!お前なら受けてくれると思ったで!(当たり前や!やらんなんて言ったら殺すで!)』

ならせめてその副音声消してくれ・・・・

『わかっとるやろな?逃げたら殺すからな!』

――ブツッ――

そして電話は切れた・・・

つーか最後本音言ってたよな!?

そしてキンジたちに向き直ると

「おい・・・氷牙・・・」

「あんた・・・大丈夫?」

「お前・・・バトルロワイヤルって3年でも数人しか参加しない競技じゃねえか・・・」

「大丈夫なのかい?」

皆心配そうな顔をしていた

「・・・どっちみち出場しないと俺は死ぬ・・・こうなったらやるしかないさ・・・」

本当にこういう時こそ開き直りが大切であった・・・

武偵校にいると・・・本当に平和とは程遠いな・・・

 




二人の仲・・・ゆっくり進展させますか・・・
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