あの後俺たちはレキと合流して地下から脱出
ジャンヌは逮捕後、尋問科に引き渡されたが綴の尋問でも一貫して黙秘を貫いているらしいが・・・
「こんなに図太い根性のある玩具は九狂以来だなぁ・・・」
と綴はすごく楽しそうな笑顔だった・・・廃人になる前に自白するといいな・・・
そして俺たちは・・・
「みんなお疲れ様!乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
アドシアードは無事終了して今はキンジの部屋で打ち上げの真っ最中だ
「それと氷牙もバトルロワイヤル優勝おめでとう!」
「ああ、ありがとう」
そう、氷牙は本当にバトルロワイヤルを優勝していた
元々参加者を次々と倒していった上、最終的には天井に大穴を開けて地下空間を水没させて他の参加者や居合わせた審判・医療班を全員流してしまい怪我人が続出して、本部もこれ以上の続行は危険と判断して氷牙を優勝者に決定して競技を半ば強制的に終了させたらしい
当然異議を唱えるものは1人もいなかった
「聞いた話じゃ優勝の最年少記録と所要時間最短記録の他にも撃破数の記録も更新したんでしょ?」
「おかけで今、教務科や俺たちのクラスや強襲科はお祭り騒ぎだぞ・・・」
そりゃあアドシアードで自分達の所から優勝どころか一度に3つの世界記録を更新した者が出たんだ・・・無理もない・・・
「本当は俺も顔を出しに行くべきなんだろうが・・・」
「今は行かないほうがいいわよ、何でもアンタを取材したい奴やアンタと勝負したい挑戦者が殺到してるそうよ、教務科なんかにはアンタを引き抜きたいとかいうスカウトも来たらしいわ」
行ったらどうなるかわかったもんじゃない・・・
「表彰式・・・怪我を理由にバックレて正解だったな・・・」
と言いながら氷牙はレキに包帯を巻いてもらっていた
「あ、イタタ!レキ!もう少し優しく巻いてくれ・・・」
「我慢してください、だいたい氷牙さんは無茶しすぎです」
レキは氷牙と合流するなり有無を言わさず氷牙を救護科へ連れて行った
だが救護科受付で・・・「致命傷はないので止血さえすれば問題ありません。アドシアードで怪我人続出して今忙しいので申し訳ありませんが極力自分で治療して下さい。というか九狂さんが来ても絶対に入れないようにと矢常呂先生に言われています!」と言われ氷牙を睨みつけたあと医療道具一式を持たされ追い出されてしまったのだ
なので今はキンジの部屋でレキに手当してもらっている
つーか矢常呂先生に門前払いされた原因って・・・
「後の事は私に任せてください。氷牙さんを門前払いにした救護科には必ずしかるべき報いと滅びを与えます」
「しなくていいから!」
だいたい救護科無くなったらこの学校怪我人で溢れかえるぞ・・・
そして・・・そんなやりとりで打ち上げもある程度盛り上がってきたと思うと・・・
アリアが立ち上がり
「今回はみんなありがとう、みんながいなかったら・・・あたし一人じゃ魔剣を逮捕することもできなかったわ・・・」
珍しく殊勝な態度かと思ったら
続いてビシッ!とあの時と同じように白雪を指差して
「だ、だから・・・白雪!あんたもあたしの奴隷になりなさい!」
と宣言した
「え?」
「へ?」
「・・・・・・・」
「ふえ?」
「魔剣を逮捕できたのは・・・2割があんたのおかげよ!4割が私、3割が氷牙、1割がレキ」
・・・ん?
「あたしたちにはあんたが必要よ!だから・・・あたしのな・・・ドレイになりなさい!」
「アリア・・・」
氷牙はそうつぶやいて苦笑した
そのまま仲間って言えばいいのに・・・素直じゃないな・・・
「ど、ドレイ・・・私はキンちゃんのドレイなら・・・」
「白雪・・・お前いいのかそれで・・・・」
「はい、これキンジの家のカードキーよ!いつでも自由に出入りしなさい!」
「ありがとうございます!アリア!キンちゃん!」
そう言って超神速でカードキーを受け取るとポケットにしまった
「ってちょっと待て!何勝手にコピー作って渡してんだよ!」
キンジは抗議するが
「嬉しい・・・キンちゃんとの愛の証だよ!」
白雪は聞いちゃいない・・・
「何よ?文句でもあんの?」
「お前ら!俺の話を聞――ジャキッ――いてくれると嬉しいんですけど・・・」
アリアにガバメントを向けられるとキンジは声のトーンを下げていった
立場弱・・・やっぱお前アリアの奴隷だよ・・・
「ていうか・・・何で俺の成果は0なんだよ!?」
ああ、そういえばさっきの成果を計算するとキンジの成果は0になってるな
「だってアンタほとんど何もしてないじゃない」
「ああ、むしろ最初のうちは事態を悪化させてた」
俺も共感して追い打ちをかけた
「う・・・」
「おまけに護衛対象に手を出そうとしたじゃない!」
「そしてある意味ジャンヌよりも白雪傷つけてる」
「ぐ・・・」
重なる事実と正論にまさにグウの音も出なかった
そしてトドメに
「「なにか言うことは!?」」
俺とアリアは同じことを言った
「申し訳ありませんでした・・・」
そしてキンジは深々と頭を下げた
「ま、まあ・・・最後あたりは格好良かったから・・・アタシの成果4割のうち1割くらいならあんたのおかげにして特別にご褒美もやってもいいわよ・・・」
「え?」
「そのかわりいい!?今後奴隷同士でこの間みたいなやらしいことは禁止だからね!ああゆうのはチームの士気を――
それを聞いた白雪はすっと立ち上がり
「アリア・・・抜け駆けするつもりね・・・」
瞳孔を開き目を暗くしていた
「え?なに?」
「あーあ・・・なにかスイッチ入っちゃったな・・・」
白雪ヤンデレモード突入しました・・・
「言っておきますけどねぇ・・・・私だって・・・私だって!キンちゃんとキスしたんだからぁ!!!」
「な、なんですってぇ!?」
「だから引き分け!引き分けぇ!私がそこから一歩リードすればいいの!」
そう言って白雪は日本刀を抜いてアリアに斬りかかった
「き、キンジ!白雪にキスって何よ!?あんた依頼人にそんなことまでしたの!?こ、このハレンチ武偵!てゆうか何とかしなさいよこれ!」
「な、なんとかって・・・」
そんな状況を見て氷牙は
「やってられるか・・・レキ・・・帰るぞ・・・」
「はい」
そう言って氷牙とレキは帰っていった
「ま、待ってくれぇ!氷牙ぁ!」
だが氷牙は無慈悲にドアを閉め
『この・・・バカキンジィ!!!』
今日も相変わらずキンジの部屋にはアリアの怒声と銃声が鳴り響いた
そして部屋に帰り着くと氷牙はソファーに腰掛けた
「お疲れ様でした氷牙さん」
「・・・ああ・・・」
そう言ってレキは隣に座り
「それに大したものです・・・」
「何がだ?」
「浮かれていたとは言え皆さんに自分のことを悟られないように隠し通したんですから・・・」
「え・・・それって―――」
だが言い切る前にレキは俺を引き寄せ俺の体を倒した
――ドサッ――
それほど力の込められていないのに俺の体は力なく倒れてしまった
「あ・・・れ・・・?」
レキはそんな俺を仰向けにすると頭を持ち上げ自分の膝の上に置いた
「手当をして分かりました・・・バトルロワイヤルとデュランダルとの激戦に次ぐ激戦による肉体と精神的疲労・・・出血多量による貧血に全身打撲・・・頭部にもヘッドショットを数発受けた跡もありました・・・今の氷牙さんは意識を保つことさえもやっとなはずです・・・」
「なんだ・・・バレてたのか・・・」
よく考えれば氷牙はロクな装備もなしに三年生数十人を相手にしたあと立て続けにジャンヌと戦闘したのだ・・・無事なほうがおかしい・・・
「流石に・・・疲れた・・・少し・・・休むわ・・・迷惑かけて・・・悪いな・・・」
そう言うと俺の意識は少しづつ遠くなっていく・・・
「本当に・・・ハイジャックの時といい・・・氷牙さんは・・・無茶ばかりする人です・・・」
「ああ・・・それが俺の―――
だが俺は言葉を止めた
レキは相変わらずの無表情だったが・・・
俺は手を伸ばしレキの目元を指で拭う
「・・・レキ・・・泣いてるのか?」
レキの目元を拭った俺の指は・・・濡れていた
「え・・・?」
レキは自分でも目元を拭うと・・・やはりその指も濡れていた
「私は・・・泣いているんですか・・・?」
レキの目からは涙がこぼれていたのだ・・・
「ごめんな・・・俺のせいで・・・泣かせっちまって・・・」
レキは俺を見つめ
「氷牙さんのせい・・・なのでしょうか・・・?わかりません・・・私は・・・どうして泣いているんでしょうか・・・?」
そう言いながらもレキの目からは涙が流れ続けていた・・・
「・・・仲間が傷つけば・・・悲しいに決まってるよ・・・」
まさか初めて見たレキの感情のある表情が・・・泣き顔なんて・・・
こんなはずじゃなかったのに・・・俺に力が足りないばかりに・・・こんな結果になっちまった・・・
俺のせいで・・・レキを悲しませっちまった・・・
俺はレキの頬に手を当て
「レキ・・・俺は・・・もっと強くなる・・・もう絶対に・・・お前を悲しませたりなんかしない・・・」
レキも俺の手を握り返して
「はい・・・私も・・・あなたと共に強くあります・・・」
そう共に誓いながらも俺はレキの膝の上で眠りについた
そして後日
蘭豹の所に訪れたら・・・
「優勝おめでとな九狂!」
「は、はい・・・」
そう言う蘭豹はすごい笑顔だった
「ほれ、これ約束の報酬や!」
と言って
――ドササッ――
と音がするくらいの量の札束をくれた
「あ、ありがとうございます・・・」
こんなに貰っていいのかよ・・・いや・・・ありがたいけどさ・・・
「あ、そや、ついでにバトルで手に入れた獲物もやるわ!」
「あ、はい・・・じゃあありがたく・・・」
そう言ってアンカーショットとコルトパイソンもおまけでくれた・・・
ここまで気前いいと逆に怖いよ・・・
「あ、じゃあ失礼します・・・」
「おう!ほんじゃあな!」
と言って俺は教務科を後にした
ちなみに蘭豹がこんなに気前いいのはワケがある
何でも氷牙は参加者唯一の2年でしかも今年は腕利きSランクが何人もおり氷牙のことを知らない連中は誰も氷牙に賭けずにいたため氷牙の倍率は500倍近くになったらしい・・・
そんな状態でいくらかけたのかはあえて聞かないが・・・この上機嫌ぶりから・・・
相当儲けたんだろうな・・・
だってそばにあったカバンから分厚い札束はみ出てたし・・・
「ま、いいか・・・」
そう言って携帯を取り出し電話をかける
『はい、もしもし?』
「ああ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・・」
レキに少しづつ感情目覚めてきました
次回から3巻入ります