「ようレキ・・・」
「キンジさん・・・こんにちわ・・・」
日曜日、寮の玄関から出てみればちょうど出かけようとしているレキと鉢合わせた
そして日曜だというのにレキは制服を着て
その手にはカサブランカの花があった
ってことは・・・
「今日も見舞いに行くのか?」
「はい・・・」
レキは静かに首を振った
「氷牙の奴・・・まだ目が覚めないんだってな・・・」
「はい・・・」
ブラドとの戦いから数日・・・6月も終わり、もうすぐ武偵校では一足早く夏休みに入る・・・
だが・・・氷牙はあの戦いの後、意識を失いすぐさま武偵病院へ搬送され
以来ずっと意識が戻らず、今では面会さえ許可されたが予断を許さない状態が続いていいた・・・
矢常呂先生が言うには・・・元々生きているのが奇跡とも言える重傷だったらしい・・・ブラドの一撃による重度の脳震盪状態で『Razzo』での強制的な覚醒は脳に強い負担がかかったらしく・・・その反動もあり・・・いつ目が覚めるかわからないそうだ・・・
さらに・・・
「脳へのダメージが大きく・・・一体いつ目覚めるのかもわかりません・・・目覚めても脳に後遺症・・・最悪の場合このまま脳死してしまう可能性もありえます・・・それだけは覚悟してください・・・」
そんな宣告をされ・・・その時の俺たちは立ち尽くすしかなかった
だがそれを聞いても目覚める事を信じて黙々と氷牙の身の回りの世話をするレキを見て
『あいつらは必死で戦ってるのに俺たちが諦めてどうするんだ!』
と俺たちもできることをしようと立ち上がったのだ
それ以来俺やアリア、白雪も見舞いに行ったり交代で身の回りの世話をしているが・・・レキは毎日氷牙の元を訪れては身の回りの世話をしているのだ・・・
「氷牙・・・絶対に帰ってくるよな?」
「はい・・・信じています・・・氷牙さんは・・・殺しても死ぬ人じゃありませんから・・・」
「ああ、そうだな・・・あいつはどんな修羅場も何だかんだで乗り越える男だ・・・こんなところでくたばるわけあるか・・・」
武偵憲章第10条『諦めるな、武偵は決して諦めるな』
そんな信条に基づき二人はいつ目覚めるかわからぬ仲間の復帰を信じ強く願った
そして・・・その時は唐突にやってきた
突如キンジの携帯が鳴る
「ん?アリアから?」
通話ボタンを押して出る
「もしもし?」
『キンジ!今すぐレキを連れて武偵病院に来て!』
「――?レキなら今一緒にいるぞ?どうした?」
『大変よ!氷牙が――
「――!?氷牙さん!?氷牙さんがどうしたんですか!?」
『氷牙が病院から逃げ出したわ!!』
十数分前
『ごめんね・・・私せいで・・・こんなことに・・・』
『いいさ・・・俺自身、元の世界には――――だ・・・それに――――の世界にいけるんだ、むしろ喜ばしくさえ思ってるさ。あのヘタレ主人公いっぺんぶっ飛ばしてやりたかったからな』
『でも・・・本当にこんな―――でいいの?』
『構わないさ・・・これくらいの方が―――には―――と思うしな・・・』
『それじゃあ転生させるよ・・・君に付与する力を教えて?』
『それじゃあ・・・人間離れした身体能力・・・特に脚力を・・・あと戦意とか向上させたりする・・・自己強化の力と・・・それに―――てゆう力を・・・あとは―――』
『わかったよ、最初はほとんど記憶と一緒に封印されてるけど必要な時が来ればやがて目覚めてゆくから・・・』
『ああ、それまでは自力でやるさ』
『じゃあ・・・頼んだよ・・・―――を・・・助けてあげて・・・頃合を見て私も―――から・・・』
『任せろ・・・ところで一つ聞いていいか?』
『何?』
『―――ってのは役職だろ?お前の名前は?』
『私?・・・私の名前は――――』
「ハッ!?」
氷牙が目を開けると左目は何もない真っ暗な世界が、右目には見知らぬ真っ白な天井が映っていた
さっきのは・・・懐かしい夢だったな・・・この世界に転生する前の記憶か・・・
けど・・・ダメだ・・・結局肝心な部分がぼやけたままだ・・・やはり詳しいことはわからない・・・
いや・・・そんなことよりも・・・
「・・・何処だ・・・ここ・・・うっ!?」
体を動かそうとしたら全身に痛みが走る・・・それに・・・何でか・・・体がだるい・・・
けど・・・なんとか動く・・・
俺は体を起こすと辺りを見回す
どうやら・・・ここは病院の個室のようだ・・・
左目が見えないのは包帯巻かれてるからか・・・
「どうして俺・・・こんな所で寝ているんだ・・・」
何があった・・・俺は・・・
「うぐっ・・・」
何があったか思い出そうとすると頭に激痛が走る・・・
そして激痛と共に頭の中にあちこちにノイズがかかった不鮮明な記憶が浮かんできた・・・
【俺は・・・―――に―――されて・・・それで・・・】
それ・・・で・・・?
【・・・気分がすごく高揚して・・・自分を抑えられなくて・・・】
何だ?
【・・・俺は・・・―――を・・・なんの躊躇もなく・・・】
何だ・・・これは・・・?
【・・・笑って・・・殺したんだ・・・】
「う・・・ぐ・・・」
なんだこの記憶は?これは俺がやったことなのか?
だとしたら・・・
「・・・・・・クッ・・・ハハッ・・・」
俺は微笑した
狂ってるな・・・なんの躊躇もなく笑って殺したなんて・・・我ながら狂ってるな・・・
俺はとうとう・・・誰かを殺してしまったのか・・・
そしてもう一度周りを見渡すと自分の患者服にあるマークに気づく
「なっ!?これは・・・武偵の校章!?」
てことは・・・ここは武偵病院か!?
だとしたらこのままここにいるのは得策じゃない!
さっきの記憶が本当なら俺は殺人犯としてここに収容された可能性がある!
「見張りがいない間に目が覚めたのが幸運だったな・・・」
逃げるなら今がチャンスだ!
そして俺は腕に刺さっていた点滴を引っこ抜くとベッドから降りる
しかし・・・見張りどころか・・・拘束も監視もしないなんて・・・よほど間抜けなのか・・・それとも舐められてるのか・・・
どれくらい寝ていたのか・・・体が少しだるいな・・・それに・・・何か体に違和感がある・・・
武器は・・・どうやら取られたようだ・・・どこかで調達しないとな・・・
そしてドアに向かおうとするが・・・
・・・流石に武偵の巣窟で丸腰なのに正面から堂々と出るのは無謀すぎる・・・
そう思い引き返して窓を開け下を覗き込む・・・
「ここは・・・8階ってとこか・・・」
俺はその場で軽く足踏みをしてみる
「まあ・・・少し体に違和感はあるがいけるか・・・」
そして俺は窓を開け枠に足を
――ガチャ――
「・・・・・・え?」
「―――ッ!!」
掛けた所でツインテールの少女が部屋に入ってきた
あの制服、武偵だ!
(クソッ!バレた!)
そう思い俺は窓から飛び出した
「ちょっ!?ここは8階よ!!」
少女は見舞いに持って来たももまんを床に落とすと窓に駆け寄った
だが氷牙は寝たきりで鈍ってしまったとはいえ持ち前の脚力で危なくも着地して走り出していった・・・
「ダメッ!待って氷牙!!」
少女は必死に呼び止めるが氷牙は病院着のまま街へと消えていった・・・
「大変よ!誰か来て!氷牙が目を覚まして脱走したわ!!大至急捜索を要請して!」
「フッ!」
「グガッ!?」
――ドサッ――
そして逃げる途中、俺は近道だったのか偶然路地を通りかかった武偵を上から奇襲して気絶させた
「悪いな・・・装備、もらってくぜ」
そう言って俺は武偵から服や装備を剥ぎ取って身に着けてゆく
ついてることにコイツ強襲科で訓練帰りだったらしく鞄には装備一式が入っている・・・ブーツも服も幸いなことにサイズがぴったりだった
しかも・・・
「M79じゃねえか・・・」
カバンにはM79グレネードランチャーと炸裂弾が十数発入っていた
確かグレネードランチャーは武偵でも所持は違法なはずだ・・・コイツ・・・横流し品に手を出したな・・・
後はコイツが普段から付けてるであろうハンドガンにサバイバルナイフか・・・
「十分だ・・・これだけあれば逃げ切れる・・・・・・・え?」
――逃げる?何から?俺は何から逃げているんだ?
「う・・・」
頭に激痛が走る・・・
思考がぐちゃぐちゃに掻き回される気分だ・・・
考えがまとまらない・・・俺はどこに逃げればいい?そもそも何から逃げている・・・いや・・・その前に俺はなんでここに・・・
【何かラ逃ゲル?決まっテイる・・・俺は―――ヲ殺しテ・・・】
「ぐ・・・ああああ・・・」
【キッと――たチも俺ヲ捕マエに・・・】
「あああああ・・・」
【もウ俺ハ――ジゃナイ・・・】
「ああああああ」
【たダノ殺人狂ダ!!】
「があああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
声が響くたびに頭の激痛が一層に強くなり俺の意識はひっくり返されそうになる
うるさい!うるさい!うるさい!頭の中でうるせえんだよ!
なんなんだ・・・
さっきから頭の中で喚いてるお前は一体何なんだ!
「おい!いたぞ!!」
激痛に頭を抱えていると不意に誰かの声が聞こえた
「――ッ!!」
振り向いた先にいたのは・・・強襲科の武偵だった・・・
一人が無線を取り出した、応援を呼ぶのかと思った途端、氷牙の体はほぼ無意識で動いた
「こちら9班E4地区にてターゲット発見!しきゅ――がっ!?」
「なっ!?」
皆信じられないという顔をしている・・・それもそうだろう・・・
氷牙は無線で連絡を取ろうとしていた奴を言い切る前に飛びかかり仕留めたんだから・・・
「うるせぇ・・・うるせぇうるせぇうるせぇ・・・」
もはや今の氷牙は瞳孔が開ききった虚ろな目をしており見ただけでもわかるほどの狂気を発していて、どう見てもまともな思考回路があるようには見えなかった・・・
「マズイぞ!どう見てもまともな状態じゃない!」
「おい!落ち着け九狂!」
皆必死になだめようとするが・・・
「うるせぇええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
今の氷牙には・・・完全に無意味だった・・・
「なっ!?これは!?」
キンジとレキが駆けつけた時はそこは壮絶な現場だった
壁や地面のあちこちに銃痕が付いており、近くの建物はまるで爆撃でもされたかのように破壊され瓦礫があたり一面に散乱していた
「キンジ!レキ!」
「キンちゃん!こっち!」
「アリア!白雪!」
「おう!遠山!レキ!お前らも来たか!」
レキは蘭豹に駆け寄り問いただした
「蘭豹先生!!本当ですか!?氷牙さんが目を覚まして・・・病院を脱走したというのは・・・」
「本当や!しかもこの惨状も・・・」
そう言って蘭豹の目線の先の路地には
「うう・・・」
「ぐ・・・」
「ああ・・・」
傷だらけになった強襲科の武偵たちが救護科の手当を受けていた
まさかこの惨状も・・・
「あいつらから聞いた・・・九狂の仕業や・・・」
「そんな・・・」
「氷牙さん・・・どうして・・・」
「彼らの話によれば九狂君は今、錯乱状態にある。おそらく周りの人間は全て敵と認識しているんだろう・・・」
「不知火!お前もいたのか!」
不知火は顔を伏せて答えた
「しかも最悪なことに九狂君は彼らと戦う前に別の強襲科の生徒からC装備を強奪している・・・」
「なっ!?C装備を!?」
「その際の主力武器は・・・M79だ・・・」
「M・・・79!?冗談だろ!?」
「僕もそうあって欲しいと願ったよ・・・けど・・・その生徒・・・どうやら横流し品に手を出したようでね・・・訓練帰りに横流し品を受け取って帰るところだったそうだ・・・」
「おい・・・不味いぞ・・・早く総出で見つけないと!!」
これ以上街中でそんなものぶっ放されたら・・・大惨事になるぞ!
皆もキンジとほぼ同意見だった
だが・・・
「いや・・・総出で見つける必要はあらへん・・・」
蘭豹の言葉はそれを否定するものだった
「蘭豹先生?どうゆうことですか?見つける必要はないって・・・あいつを見捨てる気ですか!?」
「ちゃうわアホ!あのボケは今錯乱状態で榴弾持って武装しとるんやぞ!下手に手を出せば学園島一帯がここの二の舞になってまうわ!それに相手はSランクの3年数十人を一人で返り討ちにする男やぞ!まともに相手できるやつがこの学園に何人おると思っとるんや!」
確かにその通りだ、氷牙は3年生十数人を一人で壊滅させバトルロワイヤルを優勝した武偵校最強といっても差し支えないほどの男だ。まともに相手を出来る人間などアリアやキンジを含めてもこの武偵校に数人といないだろう・・・
「―――ッ!!だからって!このまま手をこまねいてるなんて・・・」
「当然や!だから足でまといは全員下がらせるんや!捜索は少数精鋭で行うで!」
「え?それじゃあ・・・」
「遠山!神崎!星伽!レキ!お前らは捜索隊や!他の人間はこの区画を閉鎖せい!なんとしてもあいつを見つけ出して頭冷やしてやれや!」
「「「「――ッ!!了解!!」」」」
「あ・・・ああ・・・」
俺は・・・これから・・・どうすれば・・・
俺の居場所はどこにもない・・・
俺はただの人殺し・・・
「―――ッ!?」
人殺し?俺は人を殺したのか?
いや・・・そもそも・・・俺は・・・
「俺は・・・誰を殺したんだ?」
思い出せない・・・記憶に・・・ノイズがかかってるみたいに・・・部分的にしか思い出せない・・・
どうして肝心なところが思い出せない?一体俺に何があったんだ?
「ううっ・・・」
思い出そうとしても頭に激痛が走るばかりでノイズがかかった記憶しかうかんでこない・・・
「――ん?」
そのとき偶然窓ガラスに映った自分の顔を見てふと気付いた
そういえば・・・顔の左半分を覆う包帯・・・これはなんだ?
それに・・・どうして俺は病院のベッドで寝ていたんだ?
俺は自分の顔の左半分を覆っている包帯を解いてみた
そして・・・言葉を失った
「なんだ・・・これ・・・」
顔の左側には・・・大きな傷があったからだ・・・
一つは左目斜め上から耳の下にかけて
もう一つは鼻から顎にかけて大きな裂傷があった・・・
まるでクマにでも引き裂かれたみたいだ
傷は左目を通っているが幸い目は見える
だが深さから見ればわかる・・・この傷は・・・一生消えはしないだろうな・・・
それにまだ新しい・・・もしかしてさっきから頭に走る激痛はこの傷のせいか?
しかし・・・どうして俺はこんな傷を負ったんだ?
そう考えていたら・・・
「ん?」
突如違和感に気づいた
「人の気配が・・・消えた?」
いつの間にか街からは誰もいなくなっていた
気配を殺して潜んでいるのか?
だが武偵だけでなく一般人もいたはずだ・・・
何をするつもりだ・・・
いや・・・どちらにしても・・・ここにいても仕方ないし・・・怪我をした理由も探すのも・・・まずはここを脱出してからか・・・
氷牙は周囲に警戒を払いながら進んでゆく
だけど・・・俺は・・・どこに行けばいいんだ・・・そもそも俺は・・・
「どう!?いた!?」
「ダメだ!しらみつぶしに探してるが見つからない!」
「氷牙さん・・・いったいどこに・・・」
「これだけ探しても見つからないってことはどこかに隠れてる可能性が高いね」
「となると・・・人目につかず・・・すぐには見つからない・・・そんな場所を探してみる必要があるわね・・・」
「・・・ならまずは南端の工事現場とかあたってみるか?」
「人目につかない場所・・・―――ッ!」
もしかして・・・
「ええそれじゃあ・・・ってレキ!?どこ行くのよ!」
だが静止を聞かずレキは走り出していった
「待ちなさい!単独行動は――」
アリアがすかさずレキを追うが・・
「待って!」
それを白雪が止めた
「白雪?」
「お願い・・・レキさんに任せてあげて・・・」
そしてあてもなく彷徨った氷牙がたどり着いたのは・・・
「ここならしばらくは大丈夫か・・・」
どこかに隠れようと闇雲に彷徨いそして気がつけば導かれるように逃げ込んだ場所は・・・武偵寮の空き部屋だった
灯台下暗しの言葉通り誰もまさかこんな所には逃げ込まないだろうと思っているためかこの部屋には追っ手はおろか近づいて来る人間でさえいなかった
「だが・・・なんだこの部屋・・・まるで牢獄だな・・・」
部屋を見渡すが・・・床板も壁紙も家具も何もない・・・本当に部屋なのかと疑いたくもなる場所だ・・・
キッチンらしき場所にカロリーメイトの空箱が積まれているところを見ると・・・どうやら誰か住んでいたらしいな・・・
部屋の具合からして・・・住んでたのは1年程度・・・引き払ってから1、いや・・・2ヶ月ってとこか・・・にしても・・・
「・・・本当にひどい部屋だな・・・こんな部屋に住むなんて・・・元の住人は俺と同じく・・・まともな精神じゃないな・・・」
「ええ・・・そして私は貴方に助けてもらうまで・・・それが当たり前の事だと思っていました・・・」
「――ッ!!」
不意に後ろから聞こえた声に俺は銃を向けた
「誰だ!」
そしてそこにいたのは・・・ドラグノフを肩にかけたショートカットの武偵の少女が入口に立っていた
「落ち着いてください。私は敵ではありません」
そう言って少女は肩にかけていたドラグノフを床に置き太ももにつけていた銃剣を捨てるとこちらに歩み寄ってきた
「っ!止まれ!」
そう言うと少女は止まった
「何が狙いだ!俺を捕まえに来たのか!?」
少女は首を横に振り
「あなたを助けに来ました」
「俺を・・・助けに?」
少女が再び歩み寄ろうとする
「ッ!動くな!!そう言って油断させて俺を捕まえる気だろうが!」
「違います、それに私はもう丸腰ですあなたを捕まえる力もありません」
「武器なんて隠そうと思えばいくらでも隠し様はあるだろが!」
「そうですか・・・では・・・」
そう言うと少女はまず靴を脱いで靴下も脱いだ
・・・?何する気だ?
そしてブラウスを掴むと
――・・・・バサッ――
一度止まったが意を決すると一気に捲し上げて脱ぎ捨てた
「・・・は?」
続いてスカートに手をかけ
――ジィィィッ、パサッ――
ホックを外すとチャックを下げて床に落とした
「・・・は?はぁ!?」
そして手を後ろに回してブラのホックに手を掛け
「ちょっと待て!何してんだ!」
た所ですかさず止めた
「・・・見てわかりませんか?服を脱いでいます」
「それは見ればわかる!なんで服を脱いでるんだって聞いてるんだよ!」
「丸腰だと証明するにはこれが一番手っ取り早い方法ですので」
・・・こいつ・・・何考えてんだ・・・
「理解いただけましたか?では・・・」
そう言って再びブラに手を掛けようとする
「いや!もういい!わかったから!脱ぐな!」
「そうですか・・・では・・・」
少女が下着姿のまま、また歩み寄る
「ッ!動くなっつってんだろ!つーか服着ろ!」
「なぜ怯えるのですか?今の私には貴方に立ち向かう力は無い。貴方にとって警戒するに値しないはずです」
ッ!!クソッ!!舐めやがって!!なら一発撃って黙らせてやる!!
そして俺は銃の引き金に掛けた指に力を入れるが・・・
【・・・止めろ・・・・】
「―――ッ!!」
またしてもそんな声が響き・・・頭に激痛が走り・・・手が震え指に力が入らない・・・
【・・・そいつは敵じゃない・・・】
「何だ・・・」
気がつけば俺の体は後ずさり少女から逃げるような格好になっていた
【・・・そいつを撃っちゃダメだ・・・】
「何なんだお前は!?」
そしてとうとう背中が壁に着くと
「・・・来るな・・・」
俺は恐怖から目を閉じ両手で無理やり引き金を引いた
【止めろォォォォォ!!】
「来るなぁあああ!!」
――パァン――
そして銃から弾丸が放たれ・・・
「はぁ・・・はぁ・・・」
俺はその場にへたり込むが弾丸は少女の横を通り過ぎて後ろの壁に当たった
そして少女は目前まで近づいて・・・
――ぎゅっ――
俺の頭を抱きしめた
「・・・もう大丈夫です・・・」
「・・・え?」
「怖がらないでください・・・たとえ貴方がどうなっても・・・私は・・・氷牙さんの味方であり続けます・・・」
「・・・あ・・・・ああ・・・」
それを聞くと俺は銃を下ろし床に落とした
どうしてかわからない・・・でも・・・この子だけは何があろうと信じられる・・・そんな気がしたから・・・
だけど・・・
「わからない・・・」
「君は・・・誰なんだ?」
「そもそも・・・」
「氷牙って・・・誰だ?」
「・・・・・・・え・・・?」
わかると思いますが
見舞いに来た少女=アリア
氷牙を宥めた少女=レキ
です