7月7日
俺はレキと共に七夕祭りに来ていた
レキの希望ここに行こうということになり俺も断る理由もなかったので行くことにしたのだがその理由は聞いても一切教えてくれなかった、そして駅前で待ち合わせとの事で俺は私服に着替え上野駅に集合時間の6時、その20分前にはここに来ていたが・・・
「なんだろうな・・・この感じ・・・なんとなくデジャヴ感があるな・・・」
どうしてか先ほどからデジャヴ感がしてどうも落ち着かなかった
それに先程から妙に視線を感じる・・・
なぜなら顔の傷は目立つとのことで今俺は顔の半分近くを覆う眼帯をしているからだ・・・
背中に背負ってる武器を入れたギターケースも相まって
「なんかどっかのパンクロッカーみたいだよな・・・」
それに・・・これはこれで目立つらしくさっきから周りの通行人は俺をチラチラ見ていた・・・
皆ヒソヒソ話してるけどよ・・・
「ねえ・・・あの人・・・」「うん・・・眼帯して・・・真っ赤でキツめな目してる・・・」「近寄りがたい雰囲気してるよね・・・」「なんか人殺してますって言っても違和感なさそう・・・」
全部聞こえてんだよ・・・武偵の聴覚と読唇術なめんでください
「でもさ・・・あの眼帯・・・」「うん・・・ワイルドな雰囲気も相まって・・・」「すっごいサマになってるよね・・・」「どこかのモデルかな?」「ミュージシャンじゃないの?」「ワイルドでカッコいい・・・」
(・・・・・・・・・・・・うう・・・)
ご通行中の皆様・・・褒めてくれてるのはうれしいんですが・・・
遠巻きに見られるのは落ち着かないんで勘弁してもらえませんか…
とまあこんな感じで・・・俺は今いろんな意味で落ち着かない・・・
「レキ・・・まだか・・・このままじゃホントに落ち着かない・・・」
とゆうかなんでレキはわざわざ駅で待ち合わせたんだ?別に寮でもよかったじゃないのか?
そんな感じで悶々としていると・・・
「氷牙さんお待たせしました」
待ち合わせ時間ジャストにレキは来た
「ああ、来た・・・か・・・」
そして俺はレキを見ると目を見開いて固まった
なぜなら目の前には
紫陽花の刺繍の入った鮮やかな青色の浴衣に身を包んだレキがいたからだ
顔もきちんと薄化粧もして髪も梳いておりそれを引き立てる決して主張しすぎないかんざしも実に似合っている
レキの洒落た姿に俺は
「綺麗だ・・・」
思わずそう言った
「・・・はい・・・ありがとうございます・・・」
「うっ!?」
その瞬間俺の頭にチクリと電気が流されたような衝撃が走った
(なんだ?この光景・・・どこかで・・・)
さっきから感じていたデジャヴ感が一層に強くなっていく・・・
だけど・・・知らない・・・覚えていないはずなのに・・・頭は・・・心は・・・確信を持って叫んでいる・・・
俺は一度同じ体験を―――
「・・・氷牙さん?どうしました?」
あと少しのところでレキに呼ばれ俺は我に帰った
「あ、ああ・・・なんでもない・・・じゃあ早速だけど会場に行こうか・・・」
そう言って俺はほとんど無意識にレキに手を差し伸べた
「・・・はい」
そしてレキもその手を掴んできて・・・
俺たちは手をつないだまま歩き出した
そして祭りの会場である神社に着くと
「流石に人が多いな、それに石畳が荒れてるな・・・レキ、足元気を付けろ」
そう言いながらレキの手を取りゆっくり歩いていると
「あっ・・・」
レキが突如つまづいた
「レキ!」
俺はレキの手を引いてほとんど抱きしめるような形で受け止めた
そして間近に迫ったレキの顔を見て・・・
小さな顔に猫みたいな大きな金色の目、無表情だけど整った顔立ち、文句なしの美少女だ、笑ったら可愛いんだろうななんて思っていたら・・・
(あれ・・・?この光景・・・)
「・・・大丈夫かレキ?」
「はい、ですが草履が・・・」
そう言ってレキは自分の足元を見た
「ああ、これか」
俺はしゃがんで道に落ちていた鼻緒を拾うと
「鼻緒が切れたのか・・・」
これならすぐ直せるが・・・
(なんだ!?この光景・・・どこかで――)
頭の中で先程から感じていたデジャヴ感が一層強くなっていく・・・
「うっ!?」
そして再び頭に電流が流れたような感覚がして・・・脳裏に知らないはずなのに懐かしく感じる光景がフラッシュバックした・・・
『洒落た浴衣姿に・・・』
『二人で手を繋いで・・・』
『鼻緒の緒が切れて・・・』
それに伴い頭の中に激痛と共に鮮明な記憶が蘇る
「氷牙さん!?」
「う・・・ぐううううう・・・・」
激痛で意識が飛びそうだがあの時ほどじゃない・・・それにあの時ほど奥深くまでは掘り返せていない・・・だけど・・・
(ああそうか・・・そりゃあデジャヴ感もあるわけだ・・・俺は・・・)
「レキ・・・」
――ふわっ――
「あ・・・」
俺はレキの背中と膝の裏に手を回すとそのまま抱え上げお姫様抱っこをした
「ひとまず移動するからちょっと我慢してくれ」
そう言って俺はレキの意見など聞かずに移動した
そして移動途中
「あの・・・氷牙さん・・・」
レキが口を開いてきた
けど何を聞いてくるかはすでに分かっていたので
「同じだな・・・」
俺は肯定も含めてそう答えた
「・・・・・・・」
「詳しい日までは思い出せなかったけど・・・俺は今日と同じことを経験している・・・そうなんだろ?」
そう尋ねるとレキは申し訳なさそうに俯くと
「・・・はい・・・2ヶ月ほど前に・・・氷牙さんは私と一緒に祭りに行きました・・・その時を再現できるように・・・同じように待ち合わせて・・・同じ浴衣を着て・・・そして・・・鼻緒も切れやすくしてありました・・・」
つまりこの展開は・・・初めからレキの思惑通りに仕込まれていたものだったのだ
「そうか・・・」
それを聞くと俺はレキを空いてたベンチに座らせると隣に座り鼻緒を直し始めた。
幸い今回はレキが修理道具を持っていたため直すのにさして手間はかからなかった
「申し訳ありません・・・貴方を騙すようなことをして・・・」
そう言ってレキは謝罪してきたが・・・
「いや、いいんだ・・・俺の記憶を戻そうとレキなりに頑張ってくれたんだろ?そのおかげてまたこうして少しだが取り返すことができた。むしろ感謝してるよ」
そう言って俺はレキの頭を優しく撫でた
「でも・・・記憶を探すのは今日はここまでにしよう」
「え?」
俺は立ち上がると
「ほら、鼻緒も直ったし・・・記憶を取り戻すことばかりに囚われないでせっかくの祭りなんだし・・・どうせなら目一杯遊んでいこうぜ!」
「・・・はい」
そう言って俺はレキに手を差し伸べるとレキも俺の手を掴んできた
その時のレキの顔はほんの少し嬉しそうで・・・どこか悲しげに見えた気がした・・・
それから俺たちは普通に(?)祭りを堪能した
「1等が2つに2等が3つです」
「俺は1等1つに2等4つだ」
「ば、馬鹿な…」
くじ引きでは的確に高額商品ばかりを当て出禁をくらい
「全弾一撃必中です」
「くそっ!一つ一発で落とし損ねた!おやっさん!もう棚に景品がねえぞ!早く次の景品並べてくれ!」
「う・・・嘘だろ…」
射的では二人で景品を取り尽くし出禁をくらい
「これで57匹です」
「俺は51匹だ。おい親父さん!もう金魚がいねえぞ?」
「あ・・・ありえねぇ・・・」
金魚すくいでは金魚を取り尽くし出禁をくらい
「登り龍(難易度最上級賞金1万)完成です。記録は32秒ですね」
「俺も出来た。40秒ってとこかな?」
「か・・・欠けどころかバリすらねえ・・・針ピン1本でここまでできるはずが…」
型抜きでは最高ランクを次々とミリ単位まで完璧に抜き取り出禁をくらった
屋台の店員は
「紐が繋がってないはずなのに・・・」
「重しを入れてるはずなのに・・・」
「網を脆くしてるはずなのに・・・」
「型を脆くしてあるはずなのに・・・」
と呟きながら嘆いていたがそんなもん俺たちには無意味だ
まあ、店員が泣きついてきたので流石に可哀想になったので景品は相場価格で売って返してやった
その間も俺とレキは手は繋いだままだった
そして祭りを堪能して打ち上げ花火が上がり始めた頃、俺は休憩所の一角に目がいった
そこには大きな竹にいくつもの短冊が吊るされていたのだ、というより今日は七夕なんだから当たり前といえば当たり前だ
「そう言えば短冊書いてなかったな・・・せっかくだし何か書いていくか?」
「はい」
そう思い俺とレキは短冊に願いを書いた
俺の願いは・・・
『早く失くした記憶が戻りますように 九狂氷牙』
「ま、これしかないよな・・・あ、でも・・・」
俺はレキを見るともう一枚短冊を取り願い事を書き直した
「やっぱりこっちの方がいいかな・・・レキは書けたか?」
「はい」
「そうか、それじゃあ・・・」
俺は笹に吊るそうとするがレキは短冊を吊るそうとせずにそのまま袋にしまった
「あれ?吊るさなくていいのか?」
「はい・・・この願いは・・・自分で叶えなくてはいけませんから・・・」
「あ・・・・・・・・そっか・・・そうだよな・・・」
そう聞いて俺も短冊を吊らずにポケットにしまった
「氷牙さん?」
「俺の願いも・・・自分の力で掴まなきゃな・・・」
そうだったな・・・神は何もしてくれない・・・願うだけじゃ腹は膨れない、傷は癒えない、道は見えない、だったらそんな神なんぞに頼らなくても自力で何とかして見せてやるさ!
それに・・・なんとなくだが俺は神に恨まれている気がするしな・・・
そう思い花火の上がる星空を見ていたら
「こら!武偵の基本は常在戦場よ!」
「―――!?」
急に背後からそんな声が聞こえてきてほぼ無意識に振り返った
そして声が聞こえた先を見て流石に驚いた
なぜならそこにいたのは・・・
「あれは・・・アリアとキンジか!?」
どうやらアリアも浴衣を着て祭りに来ていたようだ
そして休憩所の一角でやたらと盛り上がってる女子の集団に何か注意してるようだが・・・
「んもう!お祭り気分もほどほどにしなさい!」
「そりゃお前もだろ・・・」
俺は思わず突っ込んでしまった・・・
なぜならアリアの頭にはお面をつけて右手には大きな綿飴、左手にはリンゴ飴とチョコバナナと焼きいか、手首には水ヨーヨーを吊り下げており、どう見てもあいつが一番祭りを満喫している・・・
そしたら向こうも俺たちに気付いたようで
「あ・・・なんだ・・・お前らも来てたのか・・・」
「あら?氷牙にレキ?あんたたちも来てたの?」
それを聞いて女子たちがざわついた
「え?氷牙って・・・もしかしてあの九狂氷牙か!?」
「貴方が・・・武偵校最強の問題児とも言われてる・・・九狂先輩!?」
「なんかイメージと違いますの・・・パンクロッカーみたいですわ」
ほっとけ・・・
「あのっ!すみません!」
その中の一人の女の子が俺に話しかけてきた。何というかアリアを更にちっさくした・・・ミニアリアって感じの子だ
「ん?何?」
「あ、あのっはじめまして!九狂先輩ですよね!?」
「あ、ああ・・・そうだけど・・・君は?」
「あ!す、すみません!私、間宮あかりっていいます!アリア先輩の戦姉妹です!」
ってアリアの縮小版みたいと思っていたらホントに縮小版かよ・・・
「そうか・・・ん?」
氷牙が何かに気づいた
(こいつ・・・もしかして・・・)
「――?どうしました?」
「あ、いや・・・何でもない・・・それで?俺に何か用?」
「あっはい!ですけど・・・あの・・・今はダメなので・・・明日・・・武偵校屋上まで一人で来てくれませんか?」
「え?ああ・・・構わないけど・・・」
どうやら俺を呼び出したいそうだ・・・まあ暇だしいいけどさ・・・
「は、はいっ!じゃあお待ちしています!!」
そう言うとあかりは一礼すると脱兎の如く走り去っていった
「あ!おいあかり!」
「ちょっとあかりちゃん!?」
他の女子たちも慌ててあかりを追っていく
「っておい、走ると転―――」
「はぶっ」
「あ、転んだ・・・」
「お、おい大丈夫か?」
「あ、あかりちゃん!しっかり!」
そしてそんなあかり達を見て
「・・・なあ・・・アリ(ア、あれ本当にお前の戦姉妹っつーか武偵なのか?なんか抜けてそうで将来心配で仕方ないんだが・・・)」
「わかってるわ・・・わかってるから触れないで・・・」
俺は疑問に思っていたことを突っ込もうとしたが最後まで言い切る前に察したのか・・・アリアは頭を抱えながら答えてくれた・・・
「まあ・・・磨けばそれこそ化けるほどの才能がありそうだがな・・・」
「え?」
「だが・・・天性ともいえる才能と力を秘めているのに・・・その力を畏れて・・・忌み嫌っている・・・」
「・・・いつ気付いたの?」
「なんとなくだ・・・俺と・・・同じ匂いがした…」
「同類のみ分かる何かってやつね・・・」
「ああ・・・けどそれもまたあの子の才能であり力だ。それを認めないとあいつ・・・永遠に足踏みするだけだ・・・」
氷牙はそう呟いてあの子の将来を心配するが・・・
アリアは苦笑すると
「それなら心配ないわよ、明日あの子に会いに行ってみなさい、多分嫌というほどわかるから」
「え?」
この時は何を言ってるにか意味が分からなかったが後日・・・俺はその言葉の意味を嫉妬するほどに思い知らされる事になるとはまだ知る由もなかった・・・
ようやくAAの1年たち出せました・・・
今後ももう少し関わってもらう予定です