緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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再び脱獄
そしてあの子と偶然の出会い


幕間2話<氷牙の病院脱獄記②>

夜、氷牙は病院を脱走して駅に向かっていた

 

暇だし・・・抜け出して台場にでも遊びに行くか・・・

そう思い立ち駅に着くと・・・一人の少女が駅前で困惑していた

 

「ん?あの後ろ姿・・・もしかして・・・白雪?」

 

デニムのベストを着てレイヤースカートにコサージュ・サンダルとあいつにしては珍しく今風なお洒落をしているがあの特徴的なセミロングの黒髪は白雪のそれだった

アイツこんな所で何してるんだ?そう思い後ろから

「おい、こんなところで何してんだ?」

と声をかけたら

「ひゃあ!?」

「うわっ!?」

白雪はその場で飛び上がった・・・いや待て・・・白雪はこんなに小さかったか?

「な!?何ですか貴方!?」

そう言って白雪は振り返るが・・・って待て!この子よく見たら人違いじゃねえか!

「あ!ご、ごめん!人違いだった!後姿が知り合いに似ていたもんだからつい・・・」

そう言って俺は慌てて少女に謝罪した

「そ、そうですか・・・気を付けてください!・・・危うく・・・」

「ん?危うく・・・何?」

「な、何でもありません!それでは失礼します!!」

そう言って少女は駅に入っていったが・・・今度は改札前で先程と同じように困惑していた

 

「・・・・・・・・」

俺は少女に歩み寄り再び声を掛けた

「ねえ君?」

「またあなたですか・・・今度は何ですか?」

「もしかして何か困ってるの?」

「・・・・・・・・・」

「俺でよければ相談に乗るけど?」

「べ、別に結構です!そもそもどうして見ず知らずの私にそんなに親身になってくるんですか!?」

「そうだな・・・似ていたから?」

「・・・はい?」

「困っていそうだったからってのもあったけど・・・俺の知り合いにもどこか抜けていて世間知らずな子がいてさ、その子の雰囲気とか君にそっくりなんだよ」

「・・・なんだか私にもその人にも失礼な言い方ですね・・・」

「ああ、ごめん。でも本当にそんな理由だからさ・・・本当に困ったことあるなら聞くよ。袖触れ合うのも多生の縁って言うしね」

 

「・・・でしたら・・・その・・・」

少女はしどろもどろに

「台場に行きたいのですが・・・どうやってここに入ればいいのでしょうか?」

そう尋ねてきた

「え?切符買って入ればいいでしょ?」

「で、ですからその・・・・」

え?まさか・・・

「・・・もしかして・・・切符の買い方わからないの?」

「・・・はい・・・」

この子・・・外見は白雪そっくりだと思っていたが・・・中身もマジで白雪そっくりな世間知らずだった・・・

 

 

その後、俺はこの子に切符の買い方を一から説明してあげた

 

「あ、ありがとうございます・・・」

「いや、別にいいよ、これくらい」

 

『間もなく電車が到着します』

 

駅構内にアナウンスが鳴る、もうすぐ台場方面の電車が来るようだ

「ほら、もう行きなよ、急がないと乗り遅れるよ」

「え?は、はい!それでは!」

そう言うと少女は改札を通り行ってしまった

 

そして少女を見届けると

「さて、俺も行くか」

そして改札を通ろうとすると

 

――ビー、ビー、――

 

エラー音が出る・・・

「あ、そうか・・・そう言えばカードにチャージしてなかったな・・・」

仕方なく切符を買いに引き返すが・・・

「ん?」

俺は振り返り

「・・・・・・・・・・・・・」

少し考えたのち券売機に向かった

 

そして券売機前で

「ああくそ・・・片腕じゃあやりにくいな・・・」

上手く財布からお金が出せず苦戦していると

 

『ドアが閉まります、駆け込み乗車はおやめください』

 

そんなアナウンスと共に電車は行ってしまった・・・

「ハァ・・・ま、あせらずにやるか・・・」

そう言ってもう一度券売機に向き合う

「どうぞ、切符です」

「ああ、悪いなレキ」

レキから切符を受け取り改札に向かう

 

 

・・・ん?

 

 

 

何で切符が出てきた?

 

てか俺・・・今なんて言った?

 

恐る恐る振り返るとそこには・・・

 

「どうしましたか?」

 

レキがいた

 

「いや、ちょっと待て!何でレキがここにいる!?」

「貴方が病院を抜け出して街に行くので私もここで待っていました」

「待て待て!何で抜け出したって分かった?俺が抜けだしたのは十数分前だぞ!?それに・・・なんでここを通るってわかった!?」

「たとえ私たちが毎日見舞いに来ても貴方は大人しく寝ているような人ではありません。そろそろ我慢の限界でしょうから今夜にも抜け出すと推測しました。ですが貴方は脱走を繰り返して病院側からもマークされています。そんな状態で抜け出すとすれば病院の当番医の交代で見張りが手薄になるこの時間を狙います。しかしこの時間になればこの付近は軒並み閉店します。なので必然的に抜け出した後は街へ遠出するという選択肢に絞られます。そして街へ行くとしたらここを通るほかありません」

 

はい、その通りです・・・全部お見通しだったわけですか・・・

 

「頼むレキ!見逃してくれ!」

「いいですよ」

そう言ってレキはホームへと向かっていった

 

「そこを何とか!いくらお前たちが毎日来てくれてもずっと寝たきりなんて退屈すぎて・・・って、え?」

レキは振り返り

「どうしました?台場に行くんですよね?」

「え?あ、ああ・・・そうだけど・・・いいの?」

てっきり療養してろと連れ戻しに来たのかと思ったのに・・・見逃してくれるのか?

「今日の所は目を瞑ります。そのかわり・・・私も一緒に行きます・・・それが条件です。」

 

「え?」

それって・・・もしかして・・・

「・・・どうしました?行かないんですか?」

俺は苦笑して

「・・・・・・いや、行くよ。一緒に行こう」

そう言って俺はレキに手を差し伸べた

「・・・はい」

そしてレキも嬉しそうに俺の手を掴んできた

ああ、そうゆうことか・・・レキも・・・一緒に遊びに行きたかったんだ・・・

ならお望み通りそうしよう・・・二人で・・・台場にデートと行こうじゃないか・・・

 

 

 

 

 

 

そして台場に着くと俺達は二人でヴィーナスフォート(大型ショッピングテーマパーク)を見回った、かねてからの約束でレキの新しい浴衣を買うつもりだけだったのだが・・・

 

「次はこっちをお願いします」

 

レキは先程から浴衣だけにはとどまらず服を初めとして靴・アクセサリー、果てには下着までを次々と見て回って気になったものがあれば試着しては

「あの・・・どうですか?似合っていますか?」

と俺に見せては訪ねてきた(流石に下着までは見せてこなかったが・・・)

 

今レキが着ているのは白を基調にしたミュールにノースリーブのワンピースとシンプルなものだったがシンプルなだけにレキの可愛さを十分引き立てていた。

そしてここに来る前に美容院できちんと髪も梳いて薄化粧をしてあるため、その雰囲気はどこかのお嬢様といった感じで・・・店員や居合わせた客からも視線を集めていた

 

「ああ・・・やっぱりレキって可愛いから少し飾るだけでもホント見違えるよな・・・」

 

レキは元々目鼻立ちも整った美少女なのに普段は化粧っ気も無いからか少し着飾るだけでも本当に見違える程に綺麗になる・・・

他にも例えばフリルのたくさんついた黒を基調としたゴスロリ服を着ればアンティークドールみたいで似合ってるし、ショートパンツにミリタリージャケットにブーツとボーイッシュな服を着れば美少年みたいになってるしで見事に着こなしていた

 

「はい、じゃあ次はこっちを着てみます・・・少し待ってってください」

 

「ああ、待ってるよ」

そう言ってレキは再び試着室に入っていった

ちなみに気に入った服はほとんど手当たり次第に買い漁っていた・・・

まあ、金は先のカジノの時にたんまりせしめて腐るほどあるし・・・レキがお洒落に気を使うようになったのは本当に喜ばしい事だし・・・この機会にレキの私服を買い揃えておくことにしよう・・・

 

「ねえ今の子・・・」「うん・・・人形みたいで可愛いかったよね・・・」「どこかのモデルかな?」「でも見たことないよ?」

 

そして気付いてみれば周りからレキに対する評価が聞こえてくる

だがそうやって耳を澄ませてみたら俺に対する話し声も聞こえてきた・・・

 

「一緒にいる人彼氏かな?」「でもなんだろ?あの眼帯・・・サマにはなってるけど・・・」「それにあの人・・・右腕・・・」

 

俺・・・もう左目は潰れて無いし傷隠すために顔半分覆う眼帯をしてる上、右腕は肘から下が無いからやっぱり目立つのかな・・・

「・・・・・・・・・・」

俺は近くにいた店員に声を掛けた

「あの・・・すみません」

「はい?何でしょうか?」

「えーっと・・・男性用の長袖の上着ってありませんか?」

流石にこのシーズンじゃ置いてあるか分からないが・・・あるならそれ買って着て右腕隠そう・・・そう考え俺は店員に尋ねた

そしたら店員は意外なことを聞いてきた

「あの・・・失礼なことをお聞きしますが・・・お客様、右腕・・・」

「・・・ええ、ありません・・・だから隠すために長袖の服が欲しいんですが・・・」

「あの!でしたら・・・ちょっとよろしいでしょうか!?」

「え?」

 

 

そして数分後・・・

 

 

「あの・・・これは?」

氷牙が店員に持ってきてもらったのは・・・

黒ネクタイを付けて大きな十字架があしらってある細身のドレスシャツの上にチェーンの着いた大きなフードと大きく広がった袖が特徴的な丈の長い燕尾カットのパーカーを着て、下は足に左右非対称にベルトが巻きついた拘束デザインパンツにミリタリーブーツといわゆるパンク系ファッションに身を包んでいた。

「すっごくお似合いですよ!お客様、ワイルド系な顔してますから!これなら眼帯とも合ってます!」

「あ、ああ・・・そうですか・・・」

確かに長袖が欲しいとは言ったしこれなら袖が大きい分腕も隠れて目立たないが・・・一式見繕ってと入ってないぞ・・・

そして全身鏡で自分の姿を見てみるが・・・

「なんか・・・死神みたいだな・・・」

そう思っていたら

「氷牙さん、お待たせしました」

レキが入っていた試着室のカーテンが開く。

そしてレキと目が合うと・・・

 

「「え?」」

 

今のレキの服装は・・・十字架や髑髏がちりばめられたシャツにベルトの着いたアームカバー、ヘッドホンは首にかけて代わりに頭には猫耳の着いたニット帽、チェーンやベルトがたくさんついたボトムスとこちらもパンク系な服を着て、まさしく孤高な山猫といった雰囲気を出してとても様になっていた

 

「どうですか?彼女さんとおそろいですよ!」

あんた・・・さてはわかってて狙っただろ・・・

「いかがですか?今ならお安くしますよ?」

あ、そんでやっぱしそこに行きますか・・・

俺はどうしようか少し考えたが・・・

「氷牙さんと・・・お揃い・・・」

「それじゃあ・・・これにします・・・」

レキの嬉しそうな反応を見て選択肢は消えた

 

 

そして他に買った服は配送してもらうことにして俺達はお揃いのパンクファッションのままデートを続けることにした

 

ゲーセンに行ってまずはと思い音ゲーをやってみれば・・・

「パーフェクトです」

「うーん・・・やっぱり片腕じゃ限界があるな・・・」

 

「おい・・・あの二人・・・」「あれ・・・確か難易度上げ過ぎてクリアすら困難な曲だよな・・・」「彼女の方・・・パーフェクトって・・・マジかよ・・・」「男の方も左手1本でトップスコア出してるぞ・・・」

 

 

次にガンシューティングをすれば

 

「レキはゲームでも命中率いいな、的確にヘッドショット決めてるぞ?」

「氷牙さんも即断力が見事です、的確に敵味方を見分けて、出現から攻撃までのタイムラグが平均でも0.1秒を切っていますよ?」

 

「すげえぞ・・・無駄撃ちがまるで無い・・・」「命中率・・・100%!?嘘だろ・・・」「出現と同時に撃ってるぞ・・・どうゆう反射神経してんだよ・・・」

 

 

と二人してノーミス、ノーダメージで難なくクリアしてはギャラリーが凄い事になっていった

 

そして再びウインドショッピングをしてヴィーナスフォートを出ると近くのカフェで一休みした

「いやー、遊んだ遊んだ!」

「ええ、楽しめたみたいですね」

「ああ、入院生活で溜まっていたフラストレーション発散できたよ!なにせ・・・」

「なにせ?」

「・・・レキと一緒だったからな・・・」

「あ・・・」

「約束だったからな・・・新しい浴衣買って一緒に夏祭り行こうって。まあ浴衣以外にもあれこれ買ってついでに遊んだりしたけどな」

「はい・・・本当は・・・連れ戻さなければいけないのに・・・約束を守ってほしくて・・・そして一緒に遊びに行きたくて・・・氷牙さんの脱走に目を瞑ってしまいました・・・」

レキは俯いていたが俺はレキの頭を撫でると

「それでいいんだよ・・・」

「え?」

「今までレキはずっと何かに命じられるままに生きていたんだ・・・ならこれからは自分の思うがままにやってみればいい・・・」

そう言うとレキは顔を上げ

「ええ・・・そうですね・・・それに、氷牙さんを愛してしまった私に・・・氷牙さんの進む道を遮れるわけがありません・・・」

嬉しそうに笑顔を見せてくれた

 

――ゴーン、ゴーン――

 

そうしていると時計が鳴り日付が変わった・・・つまり、もうすぐ終電の時間だ・・・

 

「んじゃ・・・そろそろ帰るか・・・」

「・・・・・・・・・・・」

俺は手を差し伸べたがレキは手を取ろうとはしてこなかった

 

「・・・どうした?」

「いえ・・・氷牙さんとのデートが・・・これで終わってしまうのが・・・少し悲しいですね・・・」

「・・・終わらないさ・・・また一緒に来よう、何度でもな・・・だから絶対に終わらないよ」

「・・・はい」

そして今度こそレキは俺の手をしっかり握ってきた

俺はそんなレキの嬉しそうな顔を見て

(ああ・・・やっぱり好きだなぁ・・・)

そう思った

 

 

そして駅に向かってる途中

 

 

「ん?あれは・・・」

 

公園の方を見ると女の子が数人の男に囲まれていた

 

「な、何ですか貴方たちは!?」

「いいジャン別に」

「ちょっとお金と、ついでに君も貸してほしいだけだからさ?」

「そんなに買い物して結構持ってるんでしょ?」

 

あの子は・・・確か武偵校前の駅で会った子か・・・どうやら不良に絡まれてるみたいだ・・・

切符の買い方も知らない子だ・・・ああゆう輩のあしらい方なんて知るわけがないだろうな・・・

 

「いいから言うこと聞け!剥くぞオラ!」

 

っとヤバい!一人が銃を抜きやがった!最近は粗悪品の銃なら簡単に出回るから困ったもんだ・・・

 

(・・・わかったよ・・・言われなくてもそうするよ・・・)

 

俺はレキを見て

「・・・なあレ「援護は必要ですか?」

ほぼ同時にレキは返答してきた

「・・・まだ何も言ってないけど?」

「あの子を助けるんですよね?」

「・・・いいのか?気付いてるんだろ?」

「構いません、貴方はそうゆう人です。それで、援護は必要ですか?」

「いや、別にいい。多分あいつらが撃つまでも無く終わる」

そう言って俺は一人向かって行った

 

 

 

 

「おい、金が欲しいならバイトでもしろ、そのための夏休みだろうが」

俺の声に振り替えると少女は目を見開いた

「え?あ、あなたは・・・」

「よっ、また会ったな?それと・・・またなんか困ってるみたいだね?」

少女に絡んでいた不良達を見ると全員がナイフやスタンガンを手に持っており、どう考えても俺やこの少女をただで返す気はなさそうだ

「ンだテメーは!スカした格好しやがって!さっさと財布置いて消えろ!じゃねえと殺すぞ!」

不良は俺に銃を向けたが・・・

 

「全然ダメだな・・・」

「あ?」

「まず持ち方がなってない、次に構えがなってない、ついでに狙いもなってない、極めつけは興奮状態、そんなんじゃ何発撃っても当たらねえよ」

そう言いながら俺は不良に歩み寄る

 

「オイ動くな!テメエ撃つぞ!」

「動いて欲しくないなら撃つぞとか言う前にさっさと足でも撃て、銃は脅しに使う物じゃなくて撃つ物だ」

俺は足を止めない

 

そしたら不良達はたじろいで

「な・・・何なんだよテメェ・・・」

と聞いてきた

おいおい・・・これくらいでビビるのかよ・・・

 

「俺か?ただの通りすがりの・・・」

目前まで迫ったところで銃のスライドを握り指でトリガーとハンマーを押さえて発砲できなくした後

「武偵だよ」

そう言って腕をひねってやるとあっさりと銃を奪い取った。

てか簡単すぎて俺自身ビックリだよ・・・

 

 

俺が武偵だと知ると不良達は顔を青くして

「げ、げぇ!?」

「こいつ武偵かよ!?」

「やべっ、逃げろ!」

「そ、そいつはやる!だから撃たないでくれ!!」

銃を残して我先にと逃げていった

 

「いらないよ、こんなの・・・」

こんな粗悪品使えるわけがないし装備科に売ろうとしても、むしろ俺が廃棄費用を払うことになる・・・

平賀ちゃんにお願いして鉄くずとして使ってもらうか・・・

俺は溜息をつきながらも銃から弾を抜いて内ポケットにしまった

 

「あ、あの・・・」

俺は少女に向き合うと

「ああ、大丈夫?怪我はない?」

「は、はい・・・助けてくれて・・・ありがとうございます・・・」

「別にいいさ、言ったでしょ?袖触れ合うも他生の縁ってさ」

そして少女が落とした紙袋を拾うとレキもいつの間にか目の前にいて少女が落とした紙袋を拾っていた

「立てますか?」

「え、ええと・・・あなたは・・・」

「ああ大丈夫、その子も俺と同じ武偵で俺の彼女」

そう言うとレキは少女に武偵手帳を見せた

 

俺は少女に手を差し伸べて

「ほら、君も帰るんだろ?なら駅まで一緒に行こう」

「はい・・・ありがとうございます・・・」

そして俺は少女を立ち上がらせるとレキと一緒に少女を連れて駅へと向かって行った

 

道中・・・

(悪いなレキ・・・)

(構いません、そんな貴方だからこそ・・・私も惹かれたんです・・・)

(ああ・・・ありがとう・・・)

(もちろん嫉妬はしてますけど)

(わかってる・・・埋め合わせは必ずするから勘弁してくれ・・・)

(はい・・・楽しみにしてます)

と、目だけで俺達は会話し、最後に・・・

 

これでいいだろ?お前らも大目に見てくれよ、と

電柱の上に立っている白雪と路地に隠れているキンジに目配せした

 

何でか知らないがこの二人はずっとこの子を影ながら見守っていた、いざとゆう時は飛び出すようだったがどうやらこの子には自分たちの事は気付かれずにいたいようだったので俺に「代わりに助けてくれ」と要求してきたのだ。

まあ、こっちも脱走見逃してもらってるし・・・言われなくてもそうするつもりだったしな

そしたら白雪は「ごめんね」と小さく手を合わせ、キンジも「恩に着る」と軽く手を振っていた

 

そして俺はその子を駅まで送り武偵校の最寄り駅でタクシーに乗せて見送るとレキと病院の前で別れ、見回りの目をかいくぐりつつ自分の病室に戻った

 

ちなみにこの日武偵病院で死神を見たという目撃談が相次いだがまあ多分俺には無関係な話だろう・・・

 

 

 

 

―――翌日

 

――コン、コン――

 

俺の病室のドアを誰かがノックした

『氷牙、入るぞ?』

『氷牙君?見舞いに来たよ』

この声・・・キンジと白雪か・・・

「ああ、入ってくれ」

そしてドアが開きキンジと白雪が入ってきた

 

「よう、こんな朝早くから見舞いに来てくれたのか?」

「うん、それと・・・もう一人いるんだ。粉雪、入ってきて」

「はい、お姉さま。ですがどうして私をここに連れて・・・・・・」

そして粉雪は俺と目が合うとそのまま固まった

 

「紹介するよ。私の義妹の粉雪だよ。今日には青森に帰っちゃうんだけど私の友達を紹介してあげたくて連れてきたんだ」

ああ、なるほどね・・・姉妹なんだからそりゃ似てるわけだ・・・

てかお前ら・・・さては狙ってたな・・・

「ああ、初めまして、俺は九狂氷牙。キンジのクラスメイトで白雪の友人だ」

「え!?そんな!?貴方は・・・」

粉雪は困惑していたが

「ん?君とは初対面だったと思うけど・・・何処かで会った?」

俺が何食わぬ顔でそう言うと粉雪は我に返り

「そう・・・でしたね・・・初めまして、白雪お姉さまの妹で星伽粉雪と申します」

そう丁重に自己紹介をしてきた

「ああ宜しく。青森から来たってもしかして武偵校の学園見学にでも来てたの?」

「はい、お姉さまが通っている学校がどのような場所か見ておきたかったのです」

「そうか・・・それでどうだった?」

「・・・私は最初の内は武偵が嫌いでした・・・金銭のために武力を振うなんて卑しい。そう思っていました・・・ですが・・・いろいろ見て聞いて体感して・・・今の世の中には、この仕事も必要になっているのではないかと・・・そう思うようになりました」

「色々体感してか・・・まあ何がきっかけで人生や価値観が変わるなんて誰にも分らないからね。大事なのはそれが自分にとっていい事だったのかどうかだ。君はどうだったんだい?」

「・・・良かったと思います・・・自分がいかに子供で世間知らずで視野が狭かったか・・・自分の未熟さを痛感させられましたから・・・」

そう言うと粉雪は苦笑して俯いた

「そっか、なら良かったね」

「ええ・・・皆さんのおかげです・・・」

 

 

そして・・・

「粉雪?そろそろ迎えが来るよ?」

白雪が声を掛けた

「はい、それではこれで失礼します、お話で来てよかったです」

「ああ、夏休み中ずっと入院生活だったからさ。俺も話し相手が来てくれてうれしかったよ」

「はい、九狂様の息災をお祈りしております」

そう言って粉雪は出口に向かうが部屋を出る前に一度振り返り

「それと・・・ありがとうございました」

最後にそう笑顔でお礼を言って粉雪は部屋を後にした

 




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