しかし睡眠時間が減るときついっす・・・
「さあ、パーティをはじめようか」
「ああ、にしても・・・」
相手側からなにか聴こえてくる・・・
「あのキザ野郎・・・殺す!」「羨ましいことを・・・」「リア充爆ぜろ!」「覚悟しろよ・・・」「殺ってやる!」「コロスコロスコロスコロス…」「SATSUGAIせよSATSUGAIせよ・・・」「思い出を血に染めてやれ・・・」
戦う前からキンジのヘイトはすでにMAXだった、なんか後半おかしくないか?
「お前恨まれてるな」
「誰のせいだろうね・・・」
流石に当たり前と言えば当たり前だが理不尽だ・・・・
「キンジ、先行くぜ」
「え?」
そう言って氷牙は腰を落とした構えを取り
「シャァァァァ!!」
敵の真正面に一気に突っ込んでいった
(なっ!?いくらなんでも無茶すぎるぞ!)
「一人が突っ込んできたぞ!?」「慌てるな!所詮一人だ!」「数で囲んで押しきれ!」「Sランクをやれば箔が付くぞ!」「一斉にかかれ!」「殺せ殺せ・・・すべてを殺せ・・・」「俺は地獄のテロリストだ・・・」
いや、だから後半おかしくね?
「シャラァァァァァァ!!!」
「くそっ―――ガッ!?」「慌てるな―――グェッ!?」「皆で取り囲――ゴァ!?」
氷牙は進路上の敵を蹴散らしながら敵陣のど真ん中まで突っ込んでいきあっという間に包囲されてしまった。
どこぞのゲームじゃないんだ、普通なら一人で大勢を倒そうなんてことはしない。そもそも人間である以上一騎当千なんてものはありえない、傍から見れば氷牙のやってることは自殺行為以外の何でもないだろう。
皆が一斉に氷牙に襲いかかる。これで終わりだ、キンジも含め誰もがそう思った
だが、氷牙は蹴り技、投げ技、捌き技を巧みに使い多対1を難なく倒し続けていく
一人で来る奴は蹴り技でカウンターを入れる、
複数で同時にくる奴らは捌き技で同士打ち、
時間差で来る奴らは最初の一人をアイアンクローで掴んで…
(どうする気だ?)
「ラァァァァァ!!」
「グエッ」「ガッ」「グガッ」
そのままぶん回して他の奴らを蹴散らして投げ飛ばした
(人間を片手で投げ飛ばすとは・・・握力も相当だな・・・)
「オラオラどうしたぁ!」
(どうやら氷牙の戦闘思考は単独行動を取りがちになるみたいだ・・・)
だが、敵は目に見えて減っていく氷牙にとってはこれが一番自分の実力を発揮できる戦い方なのだろう。
(だがやり方が荒すぎる・・・ほら、そこに倒れている奴仕留めきれていない)
「仕方がない、なら俺の取るべき行動は・・・」
氷牙をフォローすることだ
キンジも後ろから援護射撃を始める
そして先程氷牙が仕留めきれなかった相手を撃って仕留める
「氷牙、詰めが甘いぞ?」
「あ?そのためにお前がいるんじゃねえか、今のお前なら背中任せられるからな」
「信頼されて光栄だよ」
「仲間を信じ、仲間を助けよ。武偵の心得だろ?」
「違いないね」
そしてクラスメイトたちを次々と倒してゆく
氷牙が荒々しく蹴散らし、キンジが華麗に仕留める
戦い方が全く対照的な二人だが息は阿吽の呼吸の如く同調しておりその実力は紛れもなく本物だった
「クソッ!距離を取れ!」「一斉射撃を仕掛けるぞ!」「同士撃ちに注意しろよ!」
クラスメイトたちは氷牙から距離をとり体術の間合いの外から撃ち始めた
「おっと!」
だが氷牙は縦横無尽に動いて銃弾を躱し自前の脚力で一気に間合いを詰め一人また一人と沈めていく、距離をとっても氷牙には無意味だ
しかし、何か違和感がある。
(氷牙、さっきから体術が主で刀剣も銃も出してない・・・)
そう考えていたらいつの間にかキンジも氷牙と一緒に包囲されてしまった
そして二人はお互い背中合わせになる
「氷牙、武器はどうした?」
「あ?そんなもんねえよ」
「な!?」
(無い、だって!?)
「銃もないのか!?」
「あんま使わねえから銃、カバンに入れっぱなしだったわ」
氷牙の視線の先を見ると・・・
まだへたり込んでいる白雪のそばにある氷牙のカバンの中から・・・
MP5Kのハンドグリップが覗いていた・・・
(冗談だろ!?ほんとに忘れている!)
「武偵なら、銃と刀剣の携行は義務だろう!」
「仕方ねえだろ、それに武器使うと難しいんだよ・・・」
「?」
難しい?何を言ってるんだ?
「そんなことより今はこの状況だろ?」
キンジもため息をついたが「そうだな」という顔になり周りを見渡す
周りは完全に囲まれてしまい本来ならまさに絶体絶命の状態だった。
それでも二人は臆することなくこんな状況なのに笑ってすらいた
「キンジ、まだまだいけんだろ?」
「ああ、これからさ」
「そうか、じゃあ―――」
「ああ―――」
二人は背を向けたまま互いの手の甲を合わせ
「「これで決めるぞ!」」
そう言って再び駆け出した。
その後、氷牙とキンジはほかの1年全員をまとめて倒したあと先輩方のダッグすらも次々と倒してみせるという「上勝ち」を難なくやってのけた。
ちなみに蘭豹には「やるやないかお前ら!」と褒められたあと「で、氷牙?お前獲物はどうしたんや?」と案の定バレていたらしくキンジと二人でこっぴどくシバかれたのは言うまでもない・・・
そしてようやく蘭豹の元から帰れ(逃げられ)た二人はおぼつかない足取りで帰路に着いた。
「最後の最後であんなラスボスが出てくるなんて・・・えらい目のあった・・・」
「悪かったなキンジ・・・巻き込んじまって・・・」
「氷牙・・・これからは武器ちゃんと携行しろよ・・・」
「努力するよ・・・」
悪いなキンジ・・・けど俺は武器をあまり持ちたくないんだ、
だって・・・武器を持っちまったら難しいんだ・・・
そう、殺さずに倒すのがな・・・
そして二人は寮へと帰った。
こうしてキンジと氷牙の1日限りのコンビは解散した。
だがこの時は二人を含め誰も知るはずはなかった、これがキンジと氷牙の長い腐れ縁の始まりであり、後々「ゴールド・フェンリル」と呼ばれる武偵高始まって以来の最強にして最凶の1年生コンビの誕生した瞬間でもあった事を。
だがこれはまだ物語の序章に過ぎない…
全ての始まりは2年の春から…
そう、キンジと氷牙の…そして未だ見ぬ緋弾の少女との物語はまだ始まってすらいなかった。
次回から原作1巻突入します!
やっとここまで来た!