空から女の子が降ってくると思うか?
答えはノーだ。
どこぞの映画じゃ無いんだ、例えば空から女の子が降ってきてその女の子が実はお空の国のお姫様で悪い奴らに追われているのをたまたまそこに居合わせた俺が助けるとか現実でそんなことがあるわけがない。
人が音速に近いスピードで走れるとか、乗っていた自転車が突然ジャックされるとか、それくらいにありえない。
つまりは普通空から女の子が降ってくるなんてありえないんだ。
そう・・・普通は・・・
だがここは武偵高、ありえないことが当たり前に起きるのがここの日常だ・・・
つまり・・・ここでは、ありえない、なんてことはありえないんだ
2年の始業式の日、キンジは…
「ありえん・・・」
『その、チャリには、爆弾、が、仕掛けて、あり、やがります』
と合成音声で話すUZIの搭載したセグウェイに追われて全力でチャリで走っていた・・・
そう、今キンジは世にも珍しいチャリジャックに遭っているのだ・・・
こんな事、普通はありえない・・・
だがここは武偵高・・・ここでは、ありえない、なんてことはありえない
減速しても爆発する・・・なので俺は全力で走るしかないのだ・・・
「くそっ!喉渇いてきた・・・ん?」
前方にいるのは・・・氷牙じゃないか
手にコンビニ袋を下げて・・・あれは、ペットボトルだ!
「悪い氷牙!それ貰うぞ!」
「あ?」
俺はすれ違いざまに氷牙からコンビニ袋をひったくるとペットボトルを取り出し一気に飲み干す、
その際袋を落とし、その袋はセグウェイに轢かれていった。
中に何かあった気がしたが今は気にかけてる場合じゃない。
「―――――――!!!」
後ろで氷牙がなにか叫んでいるが・・・何だ?
――バララララララッ
ってオイ!銃ぶっ放して来た!
どうやら、コイツをひったくったのが相当頭にきたみたいだ
なんてこった・・・敵が増えちまった・・・
俺はすかさず次の角を曲がりまずは氷牙を振り切ろうと下り坂を全力で走った。
普通なら何も足が無い人間ならこれで振り切れる。
そう・・・普通なら!
だがここは武偵高・・・ここでは(略)
「おいキンジ!人の朝飯パクって逃げようとはいい度胸じゃねえか!」
氷牙は全力疾走する自転車と併走して自分の足で走って追いついてきたのである。
なのに呼吸の一つも乱れていない。
「見りゃわかんだろ!非常事態だ!」
「知るか!いいから止まれ!」
「無理だ!このチャリには爆弾が仕掛けられてる。それも半径100メートルは吹っ飛ぶくらいの容量だ!自転車を減速させたら爆発する!だから頼む、助けてくれ!」
氷牙は俺の後ろにいるセグウェイを見て大体の事情は察したようだが・・・
「武偵なら自分でなんとかしろ元Sランク武偵!てかそんなことより朝飯弁償しろ!」
あっさりスルーしてくれました。
「お前も元Sランクで今でもAランクだろ!武偵なら仲間を助けろよ!武偵1条にもあんだろ!」
「その前に窃盗で逮捕してやる!武偵3倍刑法も適用してやるからな!!」
「頼むよ!もし死んだら朝飯弁償できないぞ?」
「む・・・そりゃあ困るな・・・」
氷牙はしばし考えて・・・
「じゃあほら、後で武藤に返してくれ。」
そう言って氷牙は一冊の本を差し出してきた
「何だコレ?」
表紙にはランドセルを背負ったツインテールの女の子が写っていて自分のワンピースをたくしあげ下着はおろかへそまでが丸見えになっていた。
タイトルには・・・『アリサちゃん12歳、大人の体育実習』
「…ってなんでエロ本だよ!」
しかもロリコン向けな
「これでヒスれ。そうすりゃ楽勝だろ?」
「出来るか!つうかたまには俺をヒスらせる以外の方法で助けてくれよ!」
コイツはいつも何かあればすぐ俺をヒスらせようと考える・・・
1年の時も何度こいつに無理矢理ヒステリアモードにされたか・・・
ああ・・・中等部時代のトラウマが・・・
「てか、なんで俺がロリコン扱いなんだよ!」
「だってお前ロリコンじゃねえか」
「違うわ!」
「じゃあホモか?どっちだ?」
「なんでホモかロリの二択しかないんだよ!」
「毎日、白雪に迫られても、俺があんなに後押ししても据え膳食うどころか、指一本触れようとしないんだ。誰だってそうとしか思われてねえんだろうよ。」
「お前、俺は女が大の苦手なの知ってるだろ!」
「ま、ガンバレよ」
そう言って氷牙は俺のブレザーのポケットに本を押し込んだ
「なっ、オイ!いらないから助けろよ!」
「じゃあな。後で朝飯きっちり請求するからな!」
「おいまて!――」
突如セグウェイの警告が入ってきた。
『お前、逃げ、たら、撃ち、やがり、ます』
セグウェイの銃口が氷牙を向いていた。
「あ?撃ってもいいぜ?撃てるもんならな!」
そう言って氷牙は突然消えた、否、突然後方に向かって走っていた
「なっ!?あいつ減速も無しに真後ろに方向転換したのか!?」
よく見ると氷牙が方向転換したであろうポイントでは地面がえぐれていた
(あいつ・・・脚力に物言わせて方向転換したのか!?)
相変わらずのデタラメな脚力である
「キンジー食いもんの恨みは恐ろしいからな―――」
1秒もかからないうちに氷牙は遥か後方へ行ってしまった・・・
エロ本を残して・・・
セグウェイも氷牙のことは諦めたのか銃口を俺へと向け直した・・・
「氷牙の・・・薄情者ー!!」
キンジの叫びは晴れ渡る青空へと響いていった。