「ラァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」
氷牙は闇魔刀を構えてアリアに斬りかかった
「くっ!」
初撃の斬り上げをアリアは躱すがその衝撃波で後ろに停車していたさっきまで俺達が乗っていた新幹線が二つに斬られホームには大きな裂け目ができた
「ジャ゛ァ゛」
追撃に繰り出されたミドルキックも避けたがそのキックは後ろの新幹線に直撃して新幹線の前半分は脱線して倒れた
「ゼァ゛ッ」
さらに闇魔刀を一度手放して繰り出された右の裏拳も避けたがそれが直撃した新幹線の後ろ半分は隣のホームに突っ込んだ
「ラァ゛ッ!!」
そして最後に氷牙は体を思いきり回して回し蹴りを繰り出した
「アリア伏せろ!!」
アリアはキンジの言う通りに伏せて避けると
――ドゴン――
氷牙の足は後ろの自動販売機にめり込み
――ババババババッ――
キンジはその隙間に銃弾を撃ち込んだ
「あ゛あ゛!?何の真似だ!?」
自販機から足を抜こうとしたが・・・
――ギシッ――
「――!?」
銃弾が引っかかって自販機から足が抜けない!?
「これは・・・影縫いか・・・」
「捕まえたぞ氷牙!」
『今だ!取り押さえろ!!』
そう言って他の武偵達が氷牙を取り押さえに飛び掛かろうとしてきた
「お願いよ氷牙!!こんな馬鹿な真似やめなさい!!あんた本当に戻れなくなるわよ!!」
アリアの呼びかけにも氷牙は口元を歪めて笑うと
「・・・・・・ああそうだな・・・殺す事が・・・戦う事がこんなに楽しい!!ホントに戻れないくらい狂ってるよな!!」
そう言って・・・
――ベキン、バキン――
地面にボルトで固定されてる自販機を片足一本で引き抜き持ち上げた
「オラァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!」
そして足を自販機にめり込ませたままハイキックを繰り出してきた
「―――――!!」
「ゴハッ!?」「ドァッ!?」「ガバッ!?」
その攻撃で取り押さえようとした武偵達は全員文字通り蹴飛ばされ
――バガンッ――
その遠心力で足から自販機が抜け自販機は3つ隣のホームまで吹っ飛んで行った
「そんな・・・嘘でしょ・・・」
「クソッ!!お前ら下がれ!!生半可な腕の奴が立ち向かっても邪魔なだけだ!!」
――バァン、バァン――
キンジが銃を撃ちながらこちらに突っ込んできた
だが氷牙は銃弾をその場から動くことなく躱した
「想定内だよ!!」
キンジは腰にしがみつきそのまま押し倒して取り押さえようとするが
――ガッ――
氷牙はわずかに後ろにずり下がったところで止まった
「ラァ゛ッ!」
「がはっ!?」
そしてキンジは反撃に膝蹴りと肘撃ちの挟撃を喰らい力が抜けたところを投げ飛ばされた
「クッ!」
――ババババババッ――
キンジはすかさず受け身を取ってベレッタをフルオートで発砲
――ギギギギギンッ――
氷牙は闇魔刀を回して壁を作り銃弾を全て受け止めた
「なっ!?銃弾を受け止めただと!?・・・だが・・・」
「後ろがガラ空きよ!!」
その隙にアリアが後ろからガバメントを発砲しようとするが
――ビュンッ――
その前に闇魔刀をアリアに向かって振り
「がはっ!?」
受け止めたキンジの弾丸をアリアに向かって撃ち出しアリアを吹っ飛ばした
「アリアッ!?まさか・・・受け止めた銃弾を刀を振って撃ち出したのか!?」
今の技、かつてココはどうやったのか見抜くことはできなかったがヒステリアのキンジはかろうじて見抜くことが出来た
理屈としては簡単だ、高速回転する弾丸と刀の回転を合わせたら弾丸の腹を刀の腹に当てて棒樋に沿って走るように弾道を変えた後は刀の鍔で止めてやればいい。
そして鍔に当たる瞬間には一瞬、銃弾とほぼ同じ速さで刀を後ろに引いて衝撃を完全に流しているから受け止めた鍔は無傷、弾丸も全く潰れていない。
最後に受け止めた後は刀を振ってその遠心力で弾丸を棒樋に沿って切っ先から相手に飛ばして撃ち出す。
(相手の銃弾を奪って我が物にする・・・名付けるなら・・・銃弾奪い(スナッチ)ってとこか・・・こんなの人間がやっていい技じゃねえぞ・・・)
「遠距離からの銃撃は全部返されるか・・・だったら近距離なら!!」
キンジが再び駆け出し、今度は近距離まで近づいたところで発砲するが
――ドッ――
「がっ!?」
それも躱されカウンターに顔面に左フックを喰らった
その直後アリアが再びガバメントを発砲
――バァン――
氷牙はそれも難なく躱し
「ラァッ!!」
その直後にキンジがはなったハイキックもことごとく受け止め
――バァン、バァン――
立て続けに発砲される弾丸もすべて躱し
「そこだ!!」
――パァァァァァァァン!!――
キンジが左手のバタフライナイフで『桜花』を繰り出したが
――ガキィンッ――
闇魔刀で上に弾いて捌かれた
だが・・・
「アリア!!今だ!!」
――バッ、ババババッ――
――バババババッ――
合図と共にキンジは右手のベレッタをフルオートで、アリアはガバメントで闇魔刀を撃ち
――ガキィィィンッ――
闇魔刀は氷牙の手から弾き飛ばされ線路に転がり落ちていった
「これでもう銃弾は防げないでしょ!」
そしてキンジがベレッタを、アリアがガバメントを左右から同時に突き出してきたが
――ガッ、ガッ――
氷牙は左手でキンジの右腕を、右手でアリアの右腕をつかむと体を半回転させ二人の腕を頭上で交差させると
――ブンッ――
そのまま二人を一緒に投げて床に叩きつけた
「ぐぁっ!?」「ぎゃっ!?」
そして叩きつけられたキンジとアリアはうつぶせになったまま息を切らしていた
「・・・どうした?これで終わりか?」
「ぐ・・・はあっ・・・まだだ・・・絶対に・・・止めてやる・・・」
キンジはそう強がるがもう息が上がっている・・・半年近くも前線を離れて腑抜けていたツケはこんなところでも出てしまっていた・・・
「お願い・・・氷牙・・・もうやめて・・・」
アリアも先ほどの銃弾奪いのダメージに投げつけられたダメージが重なったせいで満足に動けずにいた・・・
アリアとキンジ、Sランクの実力を持つ武偵が二人がかりで立ち向かっているのに・・・こちらの攻撃がまるで当たらない・・・
それに引き換え向こうの攻撃は1発でも喰らえば大打撃は免れない攻撃ばかりな上、たとえ直撃しなくても攻撃を繰り出す度に余波が発生して周りに甚大な被害を被っている・・・
その証拠に既に俺達がいる新幹線のホームはあちこちが破壊され瓦礫が散乱していた・・・
これが氷牙の本気の実力・・・敵に回すとなんて脅威な存在なんだ・・・
だが・・・
(おかしい・・・氷牙は本当にこんなものだったか?)
キンジの頭にはそんな疑念がまとわりついて離れなかった
確かにデタラメに強い・・・だがそれはあくまで人間にしてはだ・・・
もともとあいつは人間辞めてるレベルで強い男だった・・・
一時は目と腕を無くして体に後遺症が残り弱くはなったが今は腕と目を取り戻して悪魔の力に目覚め始めて・・・体は全盛期の頃・・・いや、それ以上に強くなっているはずだ・・・
なのに・・・それにしては弱い・・・それにしては物足りなさすぎる・・・
(アイツがこの程度のはずがない・・・まさか・・・手を抜いているのか!?)
いや!ありえない!アイツは暴走しているんだ!手加減なんてできるはずが無い!
アイツが手加減してるなんてありえ・・・
(あり得る・・・ここは武偵校だ!ここでは・・・ありえないなんて事こそ・・・ありえない!!)
間違いない!!氷牙は手を抜いて戦っている!!
(ならどうして?本当にアリアを殺すつもりならどうして手を抜く?)
そう思考を巡らせていると――
「がはっ!?」
氷牙はアリアの首をつかんで無理矢理立ち上がらせた
そして右手にゆっくりと力を入れてアリアの体を持ち上げながら首をギリギリと締め上げてゆく
「ぐ・・・は・・・」
アリアも両足が浮かんだ状態で両手で右腕を掴み抵抗するがあの状態で単純な力比べでは分が悪い!
「アリアッ!!氷牙、アリアを放せ!!」
――パァン――
キンジはすぐさま立ち上がり氷牙の腕にベレッタを発砲するが・・・銃弾はあっさりと弾かれてしまい傷一つつけることはできなかった
「・・・どこ狙ってんだよ・・・それにそんな豆鉄砲効かねえよ・・・」
「クッ!」
キンジはすぐさま銃を左手にデザートイーグルに持ち再び俺の腕を撃とうとしたが
「撃つならここだよ!!このヘタクソが!!」
氷牙はアリアをホールドしたままキンジの目前に立つと左手でキンジの腕をつかみデザートイーグルの銃口を自分の頭に突き当てた
「なっ!?」
「ほら!さっさと撃てよ!!この腑抜け上がりの甘ちゃんが!!」
「そんなのできるかよ・・・撃ったらお前死ぬじゃねえか!!」
「・・・撃たなきゃアリアが死ぬぞ?」
そういってさらにアリアを捕まえる腕に力を入れる
「が・・・あ・・・」
アリアはひき潰されたようなうめき声をあげながら目と口を限界まで開いていた
「――!!やめろ!俺もお前も武偵だろ!!殺したら9条を―――」
『遠山君!聞こえるかい!?』
そう言ったところで突如無線が鳴り不知火の声が響いた
「不知火か!?なんだ!?」
『武藤君から状況は聞いた!レキさんが殉学してそれで九狂君が暴走して大暴れしてるってね!そのことで緊急連絡だ!!九狂君の暴走を聞いてとうとう教務科も重い腰を上げたんだ!!現時点をもって・・・ケースZ9が発令された!!』
「なっ!?ケースZ9だと!?」
「へぇ・・・とうとう来たか・・・」
ケースZ9・・・
『非常事態につき特例措置を取る。事態解決の為ならばいかなる違法・違反行為を行った場合でもその一切を黙認し不問とする。いかなる手段を用いても事態を解決せよ』という意味を持つ
いかなる違法・違反行為を黙認し不問、つまり何をしても一切記録に残ることも罪に問われることもない。それが・・・違法捜査の行使でも・・・人道に背く戦い方でも・・・たとえ・・・9条を破る行為でもだ・・・
そう・・・この符丁が発令された時は・・・武偵が唯一、人を殺す事を許された時でもあるのだ!
この状況でこの符丁が発令すると言う事は・・・考えられる結論は一つしかない・・・教務科はこう言っているのだ・・・
『氷牙を・・・・殺せ!!』と・・・