緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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大まかな筋は出来てたのでコミケの並んでる最中の片手間に投稿します


73話<始まりの場所(前半)>

一週間後、9月23日

チーム直前申請の締め切り日

 

キンジ、アリア、理子、白雪は黒制服に着替えて屋上に来ていた

 

だがキンジ達はいまだにチーム申請をしていない

「・・・どうする?締め切りまであと10分だよ?」

このまま申請しなかったら俺達は教務科が決めたチームに勝手に組み込まされる・・・そうなったら・・・俺達は本当にバラバラになってしまう・・・

「待つわ・・・あたし達は・・・まだ全員そろってないもの・・・」

そう・・・まだ全員そろっていない・・・氷牙とレキが・・・ここにいない・・・

 

「お前・・・まだあいつらが来てくれると思ってるのか?」

「今朝メールは送ったわ・・・『あんたが何を考えていようと知らないけど・・・あんた達もあたし達のチームメンバーよ!だからあんた達が来るまで申請しないで待っている、あんた達が来なかったらあたし達はバラバラになるわよ!!』ってね・・・」

 

「でも・・・読んでくれる保証も・・・仮に読んだとしても来てくれる保証もないんだよ・・・」

「・・・それに・・・ひょーたんもレキュも・・・行方すらわからないんだよ・・・」

 

あの後1週間、俺達は必死になって氷牙達を探した・・・だが二人の携帯は電源を切られ連絡はおろか探知することもできず、氷牙のバイクも一緒に消えていた事から逃亡範囲は果てしなく広くなってしまい・・・その結果どんなに探しても見つかる事はなく時間ばかりが過ぎていき・・・俺達は今日・・・最後の望みを託してメールを送り時間ギリギリまで氷牙を待ち続けた・・・

 

だが・・・

「アリア・・・時間がない・・・もう俺達だけで・・・」

 

キンジは内心ではとっくに諦めていた・・・

あいつらは来ない・・・来てくれない・・・こんな無能で疫病神なリーダーのいるチームなんかに来てくれるわけがない・・・そう思っていたからだ・・・

 

「・・・アイツは約束したのよ!!月末の・・・・チーム申請締め切りまでには武偵校に戻るって・・・アイツは約束は絶対に守る男よ!!」

アリアはそう俯きながら言うがキンジにはそれはただ未練がましくしてるだけにしか見えなかった・・・

「・・・もう諦めろよ!!わかってんだろ!あいつらは自分の意思でここから出て行ったんだ!!出て行った場所に戻ってくるわけがないだろ!!」

 

アリアは顔を上げて叫んだ

「あたしは諦めないわ!!あんたも武偵なら最後まで―――ッ!!!??」

話の途中でアリアが目を見開いてキンジの後ろを見た

「――?」

キンジも何だ?と思い振り返ると・・・

 

 

「あきらめてんじゃねえよ」

 

 

そう言われながらキンジの頭に鉄槌が入った

「がっ!?」

キンジは頭を押さえながうずくまるが先程の声が頭の中で反芻して痛みは感じていなかった

 

今の声・・・まさか・・・!?

 

そしてキンジが顔を上げるとそこにいたのは・・・

 

「後簡単に背後とられるな、いい加減その平和ボケくらいは直せ」

 

雪のような白髪に血のように赤い目、顔の左半分を覆う仮面のような黒の眼帯、右手だけにはめた黒の皮手袋

 

見間違うはずが無い・・・こいつは・・・

 

「氷牙!?」

 

行方不明になっていた・・・そして今まで待ち続けた・・・最後のチームメンバーだ

 

そして・・・

 

「お久しぶりです」

 

その隣には当然と言わんばかりにレキとハイマキが一緒にいて二人とも黒制服を着ていた

 

「・・・よう・・・アリアからのメール見たよ・・・本当に俺を待っててくれたんだな・・・」

 

「待っててくれたんだな・・・じゃねえよ!お前・・・今までどこ行ってたんだよ!!それに・・・どうして・・・戻ってきてくれたんだよ・・・」

 

「氷牙・・・このバカ!!本当に・・・何処ほっつき歩いてたのよ!!」

 

「氷牙君・・・みんなすっごく探してたんだよ?どこに行って何してたの?」

 

キンジ達がそう問い詰めると氷牙は目を伏せて

「・・・一から説明するよ・・・事のきっかけは綴の事情聴取が終わって病室に戻った直後の事だったな・・・」

 

あの日の事を・・・自分が武偵校から姿を消した理由を・・・そして戻ってきた理由を語り始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間前、

 

 

 

綴の事情聴取が終わって病室に戻ると氷牙はレキをベッドに座らせた

 

「さて・・・レキ、早速だが俺はこれから「ベッドの下です」・・・・・・」

最後まで言う前にレキは返答した

 

「まだ何も言ってないんだが・・・何がベッドの下なんだ?」

「ここから脱走するのでしょう?なら必要なものはベッドの下のトランクに入ってます。氷牙さんのバイクは武藤さんが東京駅から寮前の駐輪場に戻してくれました」

「マジかよ・・・」

ベッドの下を見れば・・・本当に必要な装備は全部揃って入ってた・・・ついでに俺の銃も・・・

「流石に大剣は用意できませんでした・・・装備科の平賀さんの工房にありますが・・・取りに行きますか?」

「・・・いや、これだけで十分だ・・・でも・・・いいのか?ここから逃げて・・・俺がどこに行くか・・・わかってるんだろう?」

「ええ・・・ここを・・・武偵校を出ていくつもりでしょう?」

「・・・ああ・・・そしてほとぼりが冷めたら退学届け送りつけて・・・そして再来年の3月には今度こそ武偵ともおさらばだ・・・」

そう言いながらも氷牙はレキの用意した装備を身に着けてゆく

「今回の事でよくわかったよ・・・俺は・・・何も変わっていなかった・・・どんなに繕っても・・・どんなに言い聞かしても・・・所詮俺は・・・人でなしの悪魔・・・ただの戦闘狂だったってな・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ココ達を・・・アリアを殺しそうになった時でさえ・・・傷つけることも戦う事も楽しくて仕方がなかった・・・もう誰も・・・こんなイカレた俺を受け入れてくれるはずが無いさ・・・」

 

「・・・本当にそう思いますか?話し合ってもいないのに決めるのですか?」

「当然だろ・・・『武偵殺し』みたいな悪戯なんかとはわけが違う・・・本気で殺しにかかって・・・本気で殺させようとしたんだぞ・・・そんな奴と・・・仲間になんてなれるわけがないだろ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そう聞いてレキは頭の中ではそれは違うと叫んでいた。

氷牙さんはただ否定されるのが怖くて自分で答えを決めつけて逃げているだけ・・・これでは同じだ・・・かつてのキンジさんと同じ・・・自分の殻に閉じこもって逃げているだけだ・・・

 

そう思ったからこそレキは心に決めた

かつてのキンジさんは氷牙さんが助けてくれた・・・そして私をも助けてくれた・・・ならば今度は私が氷牙さんを助けようと・・・

 

けど助けるためには私だけでは出来ない・・・本当に助けるにはキンジさん達と向き合わなくてはならない・・・

 

けど氷牙さんは今は閉じこもってキンジさんとは顔を合わせる事すら拒絶している・・・

向き合わせるためにはそうせざるを得ない理由ときっかけが必要だ・・・

 

ならばそのきっかけは誰が作る?

 

当然決まっている・・・

 

(私以外・・・誰がいるんですか?)

 

でもそれを作る方法はまだまとまっていない・・・だけどやるしかない!喋りながらでも考えてまとめてみせよう!

 

そしてレキは一つの提案を持ち掛けた

 

「・・・氷牙さん・・・一つ賭けをしませんか?」

 

「・・・賭け?」

 

「チーム申請締め切り日、つまり一週間後になってもキンジさん達がまだ氷牙さんをバスカービルに迎えるようならば私の勝ちです。私が勝てば・・・キンジさん達と一度ちゃんと面と向かって話し合ってください」

「・・・へえ・・・随分と結果の分かり切った賭けだな?・・・でもその賭けに乗ったとして・・・俺に何のメリットがある?」

 

確かにその通りだ・・・賭けを持ち掛けるなら当然お互いに賭け金を乗せる必要がある・・・

この賭けを聞く限りでは乗ったところで氷牙には何のメリットも提示されていない

 

いや・・・提示する必要はない・・・

 

なぜなら・・・

 

「乗らないならば・・・」

レキはドラグノフを構えた

「なんだ?武力行使か?らしくないな・・・そんなんじゃ駆け引きは成り立たないぞ?そもそも俺と本気でやり合う気か?勝算はあるのか?」

「・・・いいえ、戦う気はありません。ただ脱走に反対するだけです。それにこの部屋で銃声の一発でも響けば・・・すぐに見張りの医師や教官が駆け付けてくるでしょう・・・すぐに逃げたとしても私も捜索に全面協力します。そうなれば逃げ切るのは困難になるはずです」

「・・・成程・・・そうきたか・・・」

「いかがですか?乗ってくれるのでしたら・・・貴方をこのまま逃がします」

 

そう・・・すでにメリットは出ているからだ。

賭けに乗らなければ脱走に反対し騒ぎを起こして脱走を阻止、乗ればこのまま静かに脱獄させればいい

 

「・・・OKだ、前言撤回するよ、いい駆け引きだな」

本当に・・・誰に似たんだか・・・おかげで分の悪い賭けに乗っちまった・・・

「では、この賭け成立ですね」

「・・・ただしこちらから連絡はしない・・・あっちの判断に任せた場合でのみだからな?」

どうせ結果は見えてるんだ・・・これくらいは言ってもたいして変わらないだろう

「構いません。では話もまとまりましたので行きましょうか」

そう言ってレキもどこから出したのか背嚢を背負った

「は?お前も来る気か?」

「はい、言ったはずです。私は一生傍にいると・・・言っておきますがあの時のように銃を向けて来るなと言っても、気絶させて置いて行っても無駄ですよ?来るなと言われても勝手についていきます、置いて行っても契約で結ばれた経路のおかげで氷牙さんの大まかな位置や状況は随時把握できます」

「つまりさっきの賭けに乗らなかったら逃げても無駄だったってわけか・・・なら好きにしろ・・・かわりにバイクにサイドカー取り付けるの手伝えよ?」

と、呆れながらもレキを迎える気満々な返答をして二人は病院を脱走してバイクと共に武偵校から姿を消した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それがお前がここから出て行った理由・・・そして・・・戻ってきた理由か・・・」

 

「ああ・・・本当に分の悪い結果の分かり切った賭けに乗っちまったよ・・・おかげでもう2度と戻らないと決めてた場所に1週間で戻る羽目になっちまった・・・」

 

そう語り終えるとレキはかすかに口元を笑わせ

「初めから賭けは私の勝ちになる事なんて承知していたのではないのですが?だから脱走した当初から黒服はちゃんと用意していたのでしょう?」

と言った

 

「ああ・・・そうだな・・・お前たちは最後の最後まで俺を待っていてくれた・・・だから俺も・・・それに応えるために・・・約束通りここに戻ってきたんだ・・・」

 

そう・・・賭けに負けた、ただそれだけの理由で氷牙は武偵校に戻ってきたのだ・・・ただ一度・・・キンジ達と話し合うために・・・賭けに負け、約束を果たすために・・・

 

「・・・でだ・・・お前ら・・・本当にいいのかよ?」

氷牙はキンジ達に問いかけた

 

「「「「え?」」」」

 

「・・・俺なんかと・・・本気でチームを組む気なのかよ・・・俺はただでさえ武偵校一の問題児で人間ですらない上に言う事なんざ聞きやしない、挙句の果てにはお前たちを殺そうとまでしたんだぞ!?」

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

「もし同情だとか本当は迷っているっていうなら止めてくれ・・・本当は嫌だって言うならそれでも構わない・・・修学旅行を経て『やっぱり組まない』なんて話は珍しくもないし・・・俺・・・もうバスカービル抜けた身だからな・・・何処にも所属しなかった奴は教務科が決めたチームに編入させられるから俺はそれでもいいかなって思ってる・・・だからお前達が少しでも嫌だって言うなら・・・」

 

「・・・バスカービルを抜けた?何の話?」

 

「・・・え?」

 

「誰もあんたの脱退を承認した覚えなんてないわよ?誰が何と言おうとあんたはあたし達バスカービルの遊撃手よ!それに言ったはずよ!!あたしはあんたの相手が誰であろうと自分の意思を貫いて立ち向かってゆくその信念、何よりも仲間のためにどんな修羅場にも臆せず乗り越えてゆくその心の強さを買いたいのよって!!」

 

「・・・キンジはどうなんだ?」

 

「・・・俺は・・・今までずっと『誰も傷付けず、誰も見捨てず、全部救う』そんな甘っちょろい理想論を吠えていた・・・

でも何度も失敗して・・・その度にお前にフォローされてわかったんだ・・・何もできない俺なんかに・・・そんな理想論叶えられるわけがない・・・俺一人じゃ何もできない・・・俺達じゃないとできないんだ・・・俺達じゃないとこの理想論を現実にできないんだ

それに・・・何もできない俺でも仲間を助けるくらいは出来た。だから決めたんだ!俺はこの身を挺してでも命がけで仲間を信じて、仲間を助けようってな!

だからお前も俺達の仲間でいてくれ!代わりにお前が危ないときは俺が絶対に助ける!お前となら・・・俺は・・・俺達は何だって出来る・・・理想を叶えるためにも・・・お前が必要なんだ!!お前もいなくちゃダメなんだ!!俺達は一人でも欠けたらダメなんだ!!」

 

そう言ってキンジは氷牙に向かって右手を差し出した

 

そして理子と白雪も左右から語り掛けてきた

 

「氷牙君は何も変わってないよ。記憶を無くしても悪魔の力に目覚めても氷牙君は氷牙君だよ。貴方は仲間想いな立派な武偵、私の友達の九狂氷牙君だよ。友達を拒絶なんてするわけないでしょ?」

 

「ひょーたんには借りがたっくさんあるからねー?それをしっかり返させてもらうには同じチームになるのが一番なんだよー?だから一緒にいてよ?その時が来たらみーんなまとめて・・・・・・・・・・・あたしが全部食ってやるからよ!」

 

「それが答えか・・・お前ら・・・ほんとに相変わらずのバカばっかりだな・・・」

 

 

「それに逆に聞かせてくれ・・・お前は本当にこんな俺と・・・こんな甘ちゃんで疫病神なリーダーと・・・組んでくれるのか?」

 

「・・・こんな俺さえも見捨てずに何度でも受け入れて・・・止めてくれるような大馬鹿・・・お前等くらいだからな・・・」

 

そう言って氷牙も右手を出し

 

「ああ・・・これからもよろしくな・・・親友」

 

「ああ・・・ホント・・・お前はバカでたらしで甘ちゃんで・・・腐れ縁の・・・最高の親友だよ・・・」

 

キンジと固く握手を交わした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして手を離すとキンジはふと思ったことを聞いた

「てか待てよ?お前たちがここから出て行った理由は分かったけど・・・結局お前らこの1週間近くどこ行ってたんだよ?」

 

「あー・・・それは・・・」

「説明する前にアリアさん、チーム申請用紙出してください」

 

「え?これ?」

そう言ってアリアが申請用紙を出すとレキはそれを受け取り

 

何か書き足して

 

「はい、ありがとうございます」

そのままアリアに返した

 

そして皆が書き足した所を見てみると・・・

「へ!?」

「え!?」

「は!?」

「え!?ちょっとレキ!?これどういうこと!?」

 

「それは・・・」

「少し長くなるけど・・・それも含めて話した方がいいか?」

「いや当然だろ!?ますます意味が分かんねえよ!!」

「分かったよ・・・」

 

そして氷牙は・・・病院を脱走した、その後の事も語り始めた・・・

 

 




後半は・・・早くてアニサマの後に書きます・・・
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