「そこっ!!」
――パァン、バチィッ――
レキが発砲した第一撃を凛香はUSPで銃弾を撃ち弾いた
なるほど・・・銃弾撃ちを狙っていたのか・・・
あの技は相手の銃を見て狙いとタイミングを先読みして合わせ撃つ技だ。だから凜香も逃げずにレキの銃弾をお互いの姿と銃が目視できる立ち位置で迎え撃つことにしたんだ・・・
だが・・・
――ビシュッ――
弾かれた弾丸はブラウスの右脇を掠めるように引き裂きリボンが床に落ちた
「――ッ!」
「確か先ほどの取り決めで、掠めても命中扱いでしたね?」
「え!?今銃弾撃って逸らしたのよね!?防いだんじゃないの?」
「いや違う・・・レキが逸らさせたんだ・・・わざと銃弾を撃たせて軌道修正させたんだよ・・・脇のリボンを掠めるようにな・・・」
銃弾撃ちさえも逆に利用するなんて・・・なんて奴だ・・・
「言っておきますが、もちろん偶然ではありませんよ?次はネクタイを狙います」
そう言って再びドラグノフを構えた
「撃って逸らすのは無理か・・・なら・・・」
凛香も再び中距離のまま構え
――バァンッ――
そして第2撃が発射され
「クッ!!」
――ギィン――
今度はマインゴーシュで銃弾を弾いた
あの剣は相手の攻撃を受け止めることを目的として作られた剣だ
そうなればその性質上、非常に頑丈に作られているから装甲貫通弾だって防ぎきれる
しかし・・・
――ギギィンッ――
弾いた銃弾は・・・天井と壁で跳ね返り
――ビシュッ――
凛香の首を後ろから掠め。ブラウスは襟の右側から胸元にかけてを引き裂き、レキの宣言通りネクタイの留め具も掠めて破壊した
「―――ッ!?」
あれは・・・三重跳弾射撃!?レキの奴・・・剣で弾かれることさえも前提にしていたのか・・・だから弾かれた弾丸が天井と壁で跳ね返って後ろから掠めるように狙って撃ったんだ・・・
「次はどうしますか?キンジさんの様に銃弾を素手で逸らしますか?それともあればの話ですがどこか隠れられる場所へ逃げますか?」
「・・・遠距離でも中距離でも防げない・・・なら・・・」
3発目が発射される前に凛香はレキに飛び掛かりドラグノフを上に向け押さえつけようとした
接近戦に持ち込むか、確かに単純な力比べじゃレキには分が悪い。悪くない手だ
「ゼロ距離に組みつかれた・・・決まりね・・・」
「いや・・・何もできないわけじゃない・・・」
押さえこまれる寸前
――ビュッ――
レキは下から掬い上げるように銃剣を突き上げ凛香の首に突き刺さる寸前で止めた
「―――ッ!?」
凛香はそれに驚いたのかすぐにレキから離れて距離をとった
その間にレキは銃剣をドラグノフに装着すると
「近接戦がお望みならお答えします、ただしこちらは手加減ができませんよ?」
と言い放った
「え!?ちょっと氷牙?レキって近接戦は・・・」
「ああ、狙撃科は格闘や剣の講習は必須じゃないからな・・・レキが近接で戦うのは・・・俺も見たことがないな・・・」
「・・・ここからはあんたも分からないってことね・・・」
「行きます」
レキはとても堂に入った低い構えでドラグノフを向けると
――ダッ!――
凛香めがけて駆け出し一直線に突いた
「甘いよ!!」
――ギィンッ――
初撃の突きはマインゴーシュで弾かれるが
――ガッ――
駆け出した勢いを保持したままドラグノフを半回転させて反撃に向けてきたUSPを銃床で弾き
そのまま体を一回転させてさらに勢いをつけ銃剣を横薙ぎに払い
――ビリッ――
制服の腹部を左脇から真ん中にかけてを上斜めに引き裂いた
「――ッ!!」
凛香は後退して距離を取ろうとしたが
レキはドラグノフを頭上でビュン、ビュンと回しながら低く構え、勢いを殺さずに
――シャッ――
凛香に突きを繰り出した
――シャッ、シャッ――
それも立て続けに繰り出し、その動きは恐ろしく華麗な銃剣捌きで鋭く速い。
凛香もマインゴーシュで辛くも捌きながら後退するが次第に壁へと追い詰められて・・・
――ビッ!――
「―――ッ!!」
首の真ん中に刃を寸止めするとドラグノフを回しながら下がった
「ちょっ!?あの構えって銃剣道!?あの子何時の間に近接戦闘術なんて身に着けたの!?」
「それだけじゃない・・・槍術と薙刀術も齧ってる。レキの奴・・・それぞれの長所を取り入れて自分に合う近接戦術を身に着けたな・・・」
「・・・いい加減諦めたらどうですか?これが実戦なら貴女はもう5回殺されています」
「断るよ、私は彼の傍で力になりたい。たとえ貴女が相手でも絶対に譲れないよ」
「・・・どちらにせよチャンスはあと2回、それまでに私の攻撃を防げなければそれも叶いませんよ?」
「ううん・・・次で決めるよ。貴女の狙いも・・・分かってきたしね」
そう言うと凛香はUSPをしまい
――ビリッ――
千切れかけていた自分の制服を引き裂いて右手に巻き付けるとそれをネクタイで固定して即席のグローブにして右手を保護した
「・・・何をする気かは分かりませんが・・・考えを呼んだというのなら防いでみてください!」
そう言って低く溜めのある構えをとると
――ダッ!――
凛香めがけて一気に駆け出した
「貴女の狙いは・・・」
凛香はギリギリまでレキを引き付けると・・・
「そこっ!!」
――バチィッ!!――
銃剣の刃を・・・掴んで受け止めた・・・
そして銃剣を掴んで受け止めると同時にマインゴーシュの腹でドラグノフの銃口を塞ぎ銃撃も封じた
「――うそっ!?銃剣を掴んで!?」
「マジかよ・・・なんて無茶しやがる・・・」
「なるほど・・・銃剣を掴むために防弾制服とネクタイを手に巻き付けたんですね・・・」
「うん・・・あなたの攻撃、私の制服の前ばかりを引き裂くようにして・・・どうしてそんなことをするのか考えたんだ・・・そうしたらもしかしてあなたの狙いは服を引き裂いて最後は無防備になった私の心臓を狙うつもりじゃないかって思って・・・だから次は胸元を引き裂くのを狙うんじゃないかって一か八か待ち構えてつかみ取ったんだ・・・」
「・・・それを読んだ推理力、そして銃剣をつかみ取る覚悟と技量は見事ですが一歩間違えれば指が無くなっていましたよ?そのリスクは考えなかったのですか?」
そう言われよく見れば・・・銃剣からは掴んだ凛香の右手から血が伝って床に落ち続けていた
「勿論考えたよ・・・でもあなたに認めてもらうためなら賭ける価値は十分にあった・・・それに・・・何かを捨てる覚悟が無ければ・・・何も成す事は出来ないからね・・・」
「・・・ですがまだ認めたわけではありませんよ?まさか次の攻撃までの1分、このまま銃剣を掴み続ける気ですか?」
そう言うとレキは
――グイッ――
ドラグノフを抉りながら押した
「―――ッ!!」
そして凜香の手からさらに血が流れるがそれでも手は離さなかった
「手を離してください。そうやって掴んでるだけでも相当な激痛なはずです」
「離さないよ・・・言ったでしょ・・・絶対に譲れないって・・・」
「・・・そこまでして譲れないのは・・・・・・貴女自身が・・・氷牙さんが好きだからですか?」
「え!?」
凛香が素っ頓狂な声を上げた。まさかそんなことをストレートに聞かれるとは思っていなかったようだ
「どうなんですか?答えてください」
レキがそう聞いて凜香をじっと見つめると凛香もやがて困ってしまった笑みを浮かべると小さく息を吐き唇を動かし
「――――もちろん好きだよ。それもあなたにだって負けないくらいに大好き」
そう答え優し気に答えた
「いつからそうなったのかは分からない・・・最初は見守るだけだったのに・・・見守ってるうちにいつのまにか彼に惹かれて・・・気が付けば好きになっていた・・・正直に言えば貴女に嫉妬した事だってある・・・」
「「・・・・・・・・・・・」」
その突然の告白にアリアはあんぐりとするだけだったが氷牙は目を伏せた
だがレキだけはやっぱりかという目をして
「・・・・・・何となくそんな気はしていました・・・氷牙さんも気付いていたんですね?」
そう聞くと氷牙も頷き答えた
「・・・・・・何となくな・・・できれば俺の思い違いであって欲しかった・・・だってもしそうだったとしても・・・俺はその気持ちは絶対に受けられない・・・そして凛香がそれを伝える気がないってなら・・・別の形で受け止めて・・・諦めさせるしかなかったんだ・・・」
「・・だから凜香さんが本当の思いを打ち明けて来ない代わりに仲間として受け入れようとした・・・そして凜香さんが打ち明けられない理由と氷牙さんが受けられない理由は・・・私がいるからですね?」
「当たり前だろ!レキを裏切るくらいならそれこそ死んだ方がマシだ!」
氷牙がそう叫ぶと凛香も
「うん、わかってる・・・だから私は言わなかった・・・君は彼女を選んだ。なら私にどうこう言う権利はないし・・・今さら本音を打ち明けたところで迷惑をかけるだけだよ・・・」
そう答え
「・・・・・・・・・・・」
レキは小さく息を吐くと引き金から指を離した
そして・・・
――キーン、コーン、カーン、コーン――
休み時間を終えるチャイムが鳴った
「・・・時間ね・・・」
「1分・・・逃げ切ったよ?これで私を彼のドレイって認めてくれるよね?」
「・・・・・・・・・・」
レキは銃を下ろし凛香に答えた
「何のことですか?私も氷牙さんと同じく、断じてあなたをドレイとは認めませんよ」
「え?」
「おいレキ!?それじゃあ約束が違うぞ!?」
「いいえ、約束は守ります。氷牙さん?私たちの部屋はまだ余ってますよね?」
「え?あ、ああ・・・元々あの部屋は4人部屋だからな・・・それがどうした?」
「凜香さん・・・貴女を・・・・・・氷牙さんの側妻として傍にいる事、そして同居する事を認めます!」
「・・・え!?」
「・・・はぁ!?」
「・・・へ!?」
レキのその宣言には全員が素っ頓狂な顔をした
「どうしました?嫌なのですか?」
「う、ううん!?もちろんうれしいけど・・・いいの?だってそうしたら貴女が・・・」
「そうすれば凜香さんは氷牙さんの傍にいられます。その思いも伝えられます。私も二人を傍で監視できます。それに・・・伝えたい思いが伝えらえない辛さは・・・私も痛いほど痛感していますから・・・それを私のせいで味あわせるようなことはしたくありません」
レキはドラグノフを肩に担ぐと
「ただし何度も言いますが本妻は私です。それだけは絶対に譲りません」
と言って凛香に手を差し出し
「うん・・・ありがとう・・・」
凛香もそう言ってレキの手を掴んだ
「いやいやちょっと待て!レキ?俺の意思はどうなるんだ!?」
「では氷牙さんは断るのですか?ならばちゃんと断ってください?言っておきますが私がいるからやバスカービルの戦力にならないなんていうのを理由にするのは無しですよ?私はもう凜香さんを認めています。戦力としても申し分ありません」
「う・・・・」
凛香は氷牙と向き合うと不安そうに尋ねてきた
「・・・だめ・・・かな?」
レキの承認をもらった以上、答えは既に決まっていた
「・・・俺が無下にできると思ってるのかよ・・・好きにしろ・・・」
そう言われると凛香は笑顔になると顔を真っ赤にして・・・
「え、ええと・・・・・・ふ、不束者ですがよろしくお願いします!!」
と言って頭を下げた
「ああ・・・それと手は大丈夫か?いくら防弾制服越しとはいえ刃物掴むなんてキンジじゃないんだから無茶すぎるぞ・・・」
「うん、それなら大丈夫」
そう言って凛香は顔を上げると手を出した
そしてその手を見れば・・・銃剣を掴んだ際に出来たと思われる傷は・・・既に血は止まりもうほとんどかすり傷と言えるほどに小さくなっており、やがて完全に消えていった
「おいおい・・・これって・・・」
「私も半分は人間じゃないからね、流石に腕や指が無くなったら元通りにはならないし痛覚もあるけどこれくらいの傷ならすぐに治るよ」
「そっか、ならよかった。それと・・・バスカービル専属衛生武偵にするって話、アリアも文句はないな?」
「ええ、衛生科Sランクでレキ相手にあそこまで渡り合うなら実力も申し分ないわ。凛香!今日からあんたもあたしのドレイよ!あとあたしの事はアリアでいいわ!」
そう言ってアリアは凛香を指した
「てわけで就任おめでとう」
そう言って凛香に手を差し出し
「うん、改めてよろしくね」
凛香も俺の右手を笑顔で握り返した
そして・・・
――ブチッ――
という何かが切れた音と共に先ほどの戦闘でボロボロになった凛香の制服は前が左右に勢いよく開いて
――ぶるんっ!――
と、ずっと封印されていた二つの大きな柔らかくもハリのありそうな宝玉が解放された
「え?」
「あ・・・」
「・・・・・・・・」
「へ?」
全員が何が起こったのかわからずに一瞬で固まるが・・・
(・・・よし・・・状況を分析しよう・・・)
氷牙は驚きを一周してしまったのか・・・冷静にまるで他人事のようにこの状況を分析し始めてしまった・・・
どうやら先程の何かが切れたような音は凛香のブラが切れた音だったようだ・・・おそらくレキの攻撃によって制服を貫通して下着も斬られていたのだろう・・・それがこのタイミングで限界を迎えて完全に切れてしまったんだ・・・
しかも抱き着かれたときの感触でまさかとは思っていたが・・・その封印されていた宝玉は白雪にも引けを取らないほどの迫力があり当然ボロボロになった挙句自ら引き裂きもした制服などでは隠せるわけもなく氷牙の目にはその宝玉の全て、さらにはその頂にある綺麗な桜色の装飾までが全て余すことなく目に入ってしまった・・・
「き・・・き・・・・」
そして俺より遅れて自分の状況がようやく分かったのか俺の手を掴んだまま次第に震えながら涙目で顔を真っ赤にしてゆく凛香に対し
「・・・お前・・・着やせする方なんだな・・・」
と思ったことをそのまま言って
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
凛香は悲鳴を上げながら両手で胸を隠しながらその場にうずくまった
それを見て氷牙は慌てて自分の上着を脱いで
「ほ、ほら!とりあえずこれ着ろ!」
と言って凛香にかぶせたところで
「うう・・・また見られたよ・・・」
凛香の口からそんな言葉が出るとレキがピクリと反応した
「また?どういうことですか?」
「うん・・・先月の始業式の時は下着見られて・・・今度は胸だよ・・・」
「いやどっちも不可抗力だろ!」
「・・・見たんですね?」
「まあ確かに見たけどさ・・・」
「ハイマキ!」
「待て!せめて説明くらい――ガブッ――おわっ!?」
言い訳するも空しく俺の左手はハイマキに・・・
――ガブッ――
首筋にはその飼い主に噛みつかれた・・・
「いや待て!歯立ってるから!地味に痛いから!!おい凛香!見てないで何か言ってやってくれよ!」
「・・・・・・・・・・・」
凛香は少し考えてやがて何か閃いた顔をすると
「心の準備も出来てないのに見たお返しだよ」
と言って凛香は笑顔で
「んむっ!?」
俺の口を自分の口で塞いだ後
「私はこっちね」
――ガブッ――
何を考えていたのかレキとは反対側の首筋に噛みついた
マジで・・・俺が何したってんだ・・・
その後氷牙は
「てかあんた達!もうとっくに予鈴は鳴ってるのよ!!早く体育館行くわよ!!」
と我に返ったアリアに突っ込まれてようやく離してもらえた。まあそれでも首には二人の歯形がしっかり残りましたが・・・
「ほら、急ごう?他のメンバーにもちゃんと私の事紹介してよ?」
「これからは平等にかつ今以上に愛してくださいね?出来なかったらまた凜香さんと二人で首に噛みつきます」
そう言われ氷牙はレキには右手を、凛香には左手を引かれながらため息をついて
「まぁ・・・二人の為にも頑張りますよ」
と笑みを浮かべた
こうして今日からバスカービルに専属衛生武偵が、俺の部屋に新しい同居人が、俺にレキ公認の側妻が出来た
オリキャラヒロイン追加しちゃいましたが後悔はない‼