ゲットしないと喉笛噛みちぎっちゃうぞ   作:イトシキイタダキ

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16章「さあ、進め。ここはかつてのチャンピオンロードだ」

 438番道路。実に寂れた道である。それもそのはず。先には439番道路、そしてその先には閉鎖されたチャンピオンロード。他には何もない。

 

 そんなどん詰まりを今行く人々の目的は一つである。

 

「あら、目が合っちゃったわね」

 

 脇の木々の間に立つ、時代錯誤の黄金色の着物の少女。彼女はわざと木の間に潜んでいたようだ。彼女は目をつり上げて嗤う。

 

「ああ、目が合ってしまったようだね」

 

 道を歩いていた体格の良い男のジャケットに8個のバッジが光る。

 

 その深い彫りの刻まれた顔で、その男は笑った。

 

「私は何をいたせば良いのかしら?」

 

 少女は笑いながらか弱く言ってのけた。

 

 少女は袖から紅白の玉を、男は黒と黄の玉を取り出す。

 

「お戯れを、待ち構えていたのだろう。それに三人で徒党を組んでいるのだろう」

 

「なんのことかしら。はっきりと何をしたいか言いなさいな」

 

「当然、バトルだ」

 

 男のボールから黒い影が現れる。翼のついた黒鉄の鎧を纏った女。ガラルの鋼の翼、アーマーガアだ。

 

「行きなさい、ユタカ」

 

 狩衣姿の神官が現れ、幣を持ち、構える。

 

「その紋様、ドータクンか。なるほど」

 

 神官が、聞き取れない古風な響きを発し、空間が黄色に染まっていく。

 

「洒落たトリックルームじゃないか、やれ、アーマーガア」

 

 アーマーガアはユタカに突撃し、金属音を奏でた。

 

 そのとき、景色が完成した。セキエイ式寺院、鳥居。そして背景の永遠に広がる黄金色の空間。

 

 無間の豊穣の田圃。

 

「おい、まさか君は」

 

 彼は、生成された寝殿の前に立つその少女に声をかけた。

 

「ただのトレーナー、お祭り少女のイナホよ」

 

 アーマーガアの少女は神官のサイコキネシスで地に引きずり落とされた。

 

 

 

「おい、ソウスケ。罪悪感で胸が張り裂けそうなんだが」

 

「大袈裟だなカイン。イナホの小遣い稼ぎだよ。セキエイ圏のルールには反していない、弱者の常套手段だ。万一イナホが倒されたら次俺が飛び出す。それでも駄目ならお前が飛び出す」

 

「先鋒がイナホちゃんなのが、なんかそういう犯罪感あるんだよ」

 

「やられたら金を取られるんだから、許されるだろ。それに、チャンピオンロード開放イベントに向かうバトルフリークしかいねえよこの道」

 

「お前、金銭が絡むと人格終わるな?」

 

「今は悪タイプが微笑む時代なんだよ、なあ、リーフェ」

 

「後でリーフェちゃんにしばかれろ、ソウスケ」

 

「大体、さっきバッジ8個持ち5人組に襲われたろ、あのもはや野良リーグが普通なんだよ」

 

「イナホちゃんが5タテしてくれなかったらやばかったけどさあ」

 

 男二人は道の少し先の木陰に潜んでいた。景色は豊穣の田んぼの幻影に侵食されているが、薮は残ったらしい。

 

 カインの奥で擬人化暴力マホイップがシュッシュッとシャドーボクシングしている。

 

 二人が構えているのは万一、アンリ並に嵌めてくるトレーナーがいた場合の対策である。クワトロを含むセキエイ圏のトレーナー規定にはトレーナー種別、手持ちのグレード、匹数によって賞金が決まるとある。ちなみに所持金半分という修羅の時代があったらしい。

 

 ソウスケはエリートトレーナーに分類されるから負けたときのリスクが高い。流石に三人がかりなら勝てるだろうと彼は考えた。

 

 もっともあの手練れトレーナーをユタカは一人で制圧してしまったようだが。

 

「はしたないですよ、イナホ様」

 

 ユタカの苦言の理由が気になり、ソウスケ達が覗き込んで見たところ、イナホは札を握りピースしていた。

 

「え、さらにお団子真珠? は? 捧げ物? それは拒否するわ」

 

 男はそれを聞き、満足気に来た道を引き返した。

 

 

 

 汚れだらけの竜、フライゴンとチルタリス。ソウスケ、カインの二人はそれらをボールに戻した。

 

 岩肌に鎖が繋がれ、幅が狭く、ライドポケモンでは厳しくボールにしまうしか無い。足元は崖であり、地面まで百メートルはある。遠くで雷が鳴る。

 

「ふざけるなよ439番道路」

 

 それは確かにナンバリングされた道であるが、岩山洞窟水場滝という酷路である。もはやアスレチックである。さらに気象がかのホウエンの120番道路並みに不安定である。

 

「まさにチャンピオンロードだな」

 

 しかし、何故か最後の洞窟をチャンピオンロードと呼称する。山は気象が不安定だから空も飛べず、リーグ側は断崖絶壁で海からのアクセスも厳しい。

 

 ソウスケとカインが鎖を持ち、ニャルマーの額ほどの足場をつたう。

 

 先行していたのか鎖を片手に持った野良トレーナーが叫ぶ。

 

「バトルしようぜ!」

 

 ソウスケがリーフェを出しながら言う。

 

「正気かよ! こんな足場で!」

 

 

 

「ありがとう、ミノル」

 

「どうも、気にしないでください。ピストン輸送で次はカインさんですね」

 

 イナホが出したルンパッパの擬人化に肩車され、滝を登っている。

 

 爪先を滝に引っ掛けてバタ足で推力を得ているはずなのだが、ソウスケは一切見ずに濡れない。滝の前を反重力で浮遊しているがごとくの快適さだ。 

 

 少なくともソウスケの知る勢い任せの滝登りでは無かった。レベルが違いすぎる。

 

 滝の上には屋台のような人がいないポケモンセンター。パルデアみたいである。セルフ回復マシン、仮設トイレ、自販機だけ置いてある。

 

 そして、近くの岩肌に大きな穴が空いている。

 

 立て看板に、「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」とある。

 

「セキエイ地域特有のチャンピオンロードだなあ」

 

「うわあ。こんなの10歳児に突破させてんのかよ」

 

 若い女性の声が聞こえた。

 

「お、来たか! ソウスケ君」

 

 赤と青のツートン髪白衣の若手研究者ホリゼが居た。

 

 本当にどこにでも現れるなこの人。

 

「あ、ホリゼ教授、リーグへの推薦ありがとうございます」

 

 ソウスケは頭を下げる。

 

「私は准教授だが。うん、事実を報告したまでだよ。後、どうせフィールドワークで動き回るなら君の研究のついでにジムも回ると良い。実力的には君やカインくんは十分だ。ああ、カインくん。君もありがとう。ソウスケ君の研究を手伝ってくれて」

 

「こちらこそありがとうございます、私の研究にも関わりますので」

 

 殊勝だな、とホリゼは言い。

 

「それなら、良かった。君は若いのに、偉いね。ところで、この看板をみてくれ」

 

 立て看板にA4の張り紙があり、ゴシックで「開放中! 中の話せるポケモンの指示に従って下さい!」と書いてある。

 

「見てくれよ、これを。これは面白そうだろ? 私はトレーナーじゃなくて入れないから頼んだよ」

 

 あのアスレチックをどうやって抜けたんだ?

 

「どうやって来たんです?」

 

「バスが一応出てるんだよ。運転手さんと野生ポケモンのバトルが3回くらいあったけど」

 

 交通網として成立しているのかそれ。

 

「確かにバス停あるな」

 

 カインが目ざとく見つけていた。

 

 舗装された専用道路もあるらしい。きっととんでもなく迂回する経路だろうが。

 

 

 

 ホリゼに見送られて2人が暗闇の中に入ると。

 

「えー、ジェントルメン」

 

 ドレッドヘアーでマイクを持った巨漢が現れた。

 

 リーフェとマホイップ、ついでにイナホを出すと、彼はひときわ大きい声で。

 

「レディースアンドジェントルメン!」

 

 と叫ぶ。わざわざ修正するとは律儀である。

 

「ようこそ、人がチャンピオンロードと呼ぶ洞窟へ! 俺は元々住んでいたものだ、人はバクオングと呼ぶ」

 

 なるほど、ヌシの一体か。

 

 ソウスケはその雰囲気からイナホのお供クラスはあると見積もった。

 

「さて、今日は骨のある奴に来てもらった! 君たちは洞窟の中、抜けた先の廃墟を好きに動いて構わない。入り口と抜けた先には休憩所がある。洞窟や廃墟にいる連中も戦いたくてウズウズしているが挑まれなければ勝負はしない!」

 

 野生を返上したかのような紳士ぶりである。

 

「倒してくれてもゲットしてくれても構わない。ただ、抵抗はするがな! ちなみに俺のような話せる奴にボールを投げない方が良い。ボールが無駄になる。マスターボールなら別かもだがな」

 

 ガハハと笑う彼にリーフェが聞く。

 

「そんな簡単に抜けられるの?」

 

「ああ! 人間どもが作った迷路は壊され、向こうが見えるだろう? ただし、脇道は深いから気をつけろ! 洞窟の端っことバカでかい廃墟内は強い傾向があるからな」

 

 イナホが聞く。

 

「なんであんたら、人を受け入れてんの?」

 

「お、グッドクエスチョン! 俺達は人と仲良くしたい、というのもあるかもしれないが、このようなまともな連中と戦える機会が楽しみだからだ! あ、ある程度マナーは守って、住処を汚すなよ! こんなもんかな」

 

 バクオングが厳かにしかし、愉しげに言う。

 

「さあ、進め。ここはかつてのチャンピオンロードだ」

 

 彼の後ろに無数の光る目。ゴルバットの群れだ。それもあの禁足地レベルでは無く、パルデアの大穴に迫りかねない連中である。

 

 

 

 リーフェが洞窟の脇を見て言う。

 

「まったく、汚しちゃって」

 

 トレーナーの女の子が震えながら岩にもたれかかっている。

 

「助けて、死にたくない」

 

 周りにコドラやハガネールがいるが彼女を避けている。

 

 どうやら、全滅したのだろう。殺されない環境なんだな。運が良かったな。

 

 イナホが。

 

「野郎は見るな!」

 

 と言いながら、神通力で入り口にダストシュートした。

 

 うわ、痛そう。ミンチにされるよりマシだけど。

 

 それに彼女の尊厳のためには早いほうが良い。

 

 

 

 ストレッチしていたマホイップ少女が。

 

「え、バイキング形式? 最高!」

 

 と叫びながら、聖なる光でわらわらと出てくる、ヤミラミやゴーリキー達を吹き飛ばしていく。

 

 良いのか、それ。

 

「強いねあんた達」

 

 奥から現れたのは、

 

 緑の怪獣モチーフのボディスーツを着た美少女。

 

 ほら、やばいボスが来た。

 

「バンギラス!」

 

 リーフェが叫ぶ。

 

「お、マスカーニャにマホイップ、色々いるね。明らかに他の奴らより上だ。お前ソーナンスか。完璧に人間に擬態しているな。サンドバッグになってくれ」

 

 うん。こっち見んな。

 

 ソウスケは野生でこんな怪物を見たことが無かった。イナホを除いて。そのワーストより若干マシぐらいだ。

 

 バンギラスの首元がトリックフラワーで爆破される。

 

「お、良いね。ちょっとこの子借りるよ」

 

 急所効果抜群を余裕で耐えて見せている。レベルが違う。

 

 マスカーニャとバンギラスがスパーリングを始める。

 

 マスカーニャの猛攻をバンギラスが捌いている。

 

「うん、良い。あ、イナホじゃん、元気してた?」

 

 バンギラスがよそ見をしながら言う。そして、

 

「ひゃくねんぶりじゃな――」

 

 イナホに狐耳と尻尾が生え、洞窟が明るく照らされるそして、まばゆい光線がノータイムでバンギラスに直撃する。

 

 バクオングが叫ぶ。

 

「おおっと! バンギラス君ふっ飛ばされたー!」

 

 ノータイムソーラービーム。日照りの有効利用。無慈悲な生命パワーの一撃。そんなのもあったのか。

 

 

 

 洞窟の脇道の先のドーム。中に篝火が焚かれていて明るい。

 

「マスター、しばらくAEDとインファイト封印して良いですか」

 

 イシスの前には相撲取り、ボクサー、キックボクサー、カポエラー、空手家と無数の格闘家が並んでいる。全員擬人化を果たしている。

 

「ああ、もちろんだ」

 

 彼女の技は連戦するにはあまりにもピーキーである。

 

 さらに、目の前にはあぐらを組み、こめかみに怒りを浮かべ黒のオーラを纒った白髪の少女。コノヨザル。

 

「……パーモットか。これは天に感謝しなくてはならんね」

 

 犬のような耳に柔らかな身体から生える鋼の棘。ルカリオがそう言った。

 

「テラスタル欲しかったんですがね。まあ、スパークで満足しますか」

 

 パーモットの擬人化イシスは悪い笑みを浮かべながら、全身に電気を纏い始めた。

 

「ちょっと混ぜてよ」

 

 暴力マホイップが、ふわりとエントリーした。

 

 その拳を構えながら。

 

 

 

 フライゴン、トルーネンが羽根の生えた赤い男とバトルしている。男が言う。

 

「え、おたくのメラルバが進化しない? ああ、この子より低いレベルならまだだよ。今代のジムリーダーの言う通りだ。もう少しで進化する。ておい。お前の地震きついんだよ!」

 

「来ていないの? 残念だ。すぐに進化させてやれそうなのに」

 

 彼、野生のウルガモスが倒れ臥すトルーネンに黄色い塊、元気の欠片を投げながら言った。 

 

 

 

 今度は巨大なバトルスタジアムの中。ズタボロのマスカーニャの前に銀色の美人が立っている。バッテンの意匠があちこちについている。

 

「えー、トレーナーよ。私達は捨てられたわけでは無いし、人を好いた記憶は無いぞ。ただ、ここでのバトルに憧れた記憶はある。だから皆高みを目指した。それだけだ」

 

 元チャンピオン戦のバトルフィールド。決して数は多くないが、ポケモンや擬人化ポケモン、そしてトレーナー達が声援を上げている。

 

 リーフェはメタグロスの鋼の拳で吹き飛ばされた。

 

 

 

 観客席のイナホはソウスケの横でうつらうつらしていた。

 

 観客の中にどこかで見たような赤髪、両手パペットの女の子と、そのトレーナーがいる。

 

 黒線外せば可愛いな。いや、どんな集団だよ。

 

 そして、ソウスケはふとスマホを防水ケース越しにいじりながら言う。

 

「電波生きているんだ。ここ」

 

 隣の席にはカインが。

 

「仮設ポケセンあるからな」

 

 ソウスケが見るメールの見出しには、「必見! 擬人化ポケモンの裸についての画像」とある。

 

 ソウスケがため息をつく。

 

 カインもため息をつく。

 

「これは迷惑メールだな、でも確認しないと駄目だな」

 

「刺激が強いから俺達だけでな、間違っても教授に見せるなよ」

 

 会場に大きな音が響いた。コロシアムの壁にバンギラス女が叩きつけられ、クレーターを作っている。

 

 メタグロスが突き出している、鋼鉄のガントレットは赤熱していた。

 

 会場から野次が飛ぶ。

 

「良いぞ、野生のチャンピオン!」

 

「次のチャレンジャーを出せ!」

 

 ソウスケはスマホを切らずに劣化した座席の上に伏せる。

 

「行くぞ、イナホ。廃墟の主に挑みに」

 

 カインはそれを目で追っていた。信じられないものを見たかのように。

 

 ソウスケの横のイナホは伸びと欠伸した。

 

「嫌よ、そんなの」

 

 まあ、そうだよな。バッジごときで言うこと聞くわけないよな。

 

 天から光が降り注いだ。イナホの周りを焦点に観客席が白く照らされる。

 

 瞬時にイナホの一対の耳と9本の尾が伸び、ソウスケや反対側の客まで押し退ける。

 

「私達はただ、喝采を受けに行くのよ、ソウスケ」

 

 最高かよ。

 

 

 

 メタグロス少女が腰に手を当て、モーモーミルクの瓶を飲み干し終わり、言う。

 

「イナホか。お前はトレーナーに与したか。だが、相手に不足は無い。掛かってこい」

 

「勘違いしないで、あなたを私に挑ませて上げるのよ」

 

 フィールドと日照りの範囲が一致した。

 

「ソウスケ、あんたは全力で指示をなさい。それでも出し切れるとは思えないことね。相手は奴なのだから」

 

 イナホは振り向かずにコンクリートに足を踏み入れた。

 

「舐めるなよ。リーフェで高速戦闘は鍛えられている。行くぞ!」

 

 

 

「チャレンジャー、キュウコン! 受けるは我らがメタグロス!」

 

 バクオングの実況が響く。

 

 4人に分身した鋼の少女。

 

「おっと、高速移動だあ!」

 

 これだ。熱風。

 

 イナホが低い声でコン、と唸った。鳥居の幻影がフィールドに屹立する。同時にフィールド中央のイナホに4人のメタグロス少女が飛びかかる。メタグロス少女に炎のミニロコン達が群がって炸裂する。

 

「熱風だ! もはや、エネルギー場になっているぞ!」

 

 収束し、一人になったメタグロスの拳がイナホの髪を貫き、髪が散る。半身で躱したイナホの手に炎が収束する。しかし、二の拳がイナホの腹部を突き上げ、彼女は打ち上がる。

 

「メタグロス、みんな大好き地震攻撃の応用だ!」

 

 ソウスケは叫んだ。指示はこれしか無い。

 

「お前なら耐えれる!」

 

 空中で一時的に目から焦点を失っていたイナホ。

 

「無茶言うわね、あの馬鹿、それは指示じゃないわ、正解はこれよ」

 

 ギュッと歯を食いしばり、神通力を放つ。自らの下駄履き足袋に向けて。彼女は足をサイコパワーで空間に縫い付け、バネのように脚を曲げる。

 

 そして飛び上がるように、真下のフィールドに目掛けて突進した彼女は、拳をメタグロスの胸に突き立てた。

 

 メタグロスはびくともしなかった。

 

 だが、その拳が開かれ、膨大な高熱が、スタジアムをオーブンする。その光は大の字を形作る。

 

「超圧縮大文字だ! 凄い、凄すぎるぞ、キュウコン!」

  

 それが、鋼鉄の戦乙女を焼き、押し退けていく。

 

 彼女は唸りながら、踏ん張り地面が割れる。フィールドの端までずっていく。

 

 そこで、炎が尽きた。しかし、メタグロスも前に倒れた。

 

 そして、イナホが。

 

 降り注ぐ光に腕を突き上げ、盛大な声援が響く。

 

 

 

 ソウスケも両手を広げ、歓声を浴びた。

 

 

 

 観客席にはカインが待っていた。ソウスケはカインがここまで、狼狽する顔を初めて見た。

 

 彼はソウスケのスマホ画面をソウスケの鼻先に突き出した。開かれたメールの文面。

 

 

 

――あの研究者の魂は人間でもポケモンでも無い人工物の塊だ

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