斬っても、逃げても、過去は背から離れない。

江戸の裏街道を渡り歩いた無宿渡世人――疾風の丈之助。
七人の追手を斬り、凶状持ちとして果てたその刹那、
目を開けばそこは、精霊と魔法が支配する異世界〈リーザングレイムス〉だった。

そこでは、人が精霊を縛り、魂を搾って魔法を成す。
欲望と支配に溺れ、精霊の涙を燃料に築かれた偽りの文明。
その歪んだ秩序の中で、城塞都市アルヴィアは、悪徳領主マルクスの圧政に沈んでいた。

罪なき娼婦エリザは、見せしめとして晒し台に縛られ、
かつて誇り高き騎士であったホルデンズは、民を守るために剣を捨ててなお立ち続ける。
幼き鍛冶師エマは、亡き父の遺した炉を継ぎ、折れた刃を打ち直そうと必死にもがいていた。

そこに現れたのが、地上から堕ちた“神落とし”――
西部の荒野を渡り歩く異郷のガンマン、エライジャ・ブラックウッド。
過去の罪を背負いながらも、彼はこの異世界で“もう一度、撃つ理由”を探していた。

そんな彼らの運命が、流れ者・丈之助の刀と交わる。

風の精霊セシリアに導かれ、丈之助は知る。
――理不尽に苦しみながらも、義を失わぬ者たちがここにもいることを。
そして、丈之助自身もまた“神落とし”としてこの世界に試されていた。

ならば――斬る。

罪を、権力を、そして運命を。
三度笠の影、風と共に舞う。
長脇差《昇り龍》を手に、渡世人は再び立ち上がる。

異世界を渡る渡世人、仁義の刃がいま抜かれる。
血と誇りが交錯する“魂の戦記”――『異世界三度笠無頼』

【毎日夕方17時半投稿】
※全話執筆済み・完結保証作品です
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