宿儺に追い詰められ絶体絶命の中、五条悟の死によって失われた六眼が日車寛美に宿る!!!

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筆折ルマンドさんの「ここだけ最強だらけの呪術廻戦」に感化されて執筆してみました。好評でしたら次話投稿します。
他にも『特別指定ヴィラン「煉獄杏寿郎」』という小説も書いてます。
読んでいただけると嬉しいです。


第1話

 

 

宿儺が無造作に命じる。

「腕を生やせ」

 

 本来ならば微かな再生に留まるはずのその命令に、日車は静かに頷いた。

 次の瞬間──

 

 彼の瞳が淡い蒼光を帯びる。

 六眼。

 五条が死したその影響で、眠っていた“視座”が日車に宿ったのだ。

 

 六眼は呪力の最小単位までを視認し、制御を可能とする。

 精密に編まれた呪力が、肉体を一瞬で再構築していく。

 肉が膨張し、骨が形を取り、皮膚が張り付く。

 

 一瞬で、完璧な腕が再生した。

 

「……っ」

 呪術師たちが息を呑む。

 宿儺自身も、わずかに目を細めた。

 

「ほう、完璧だな」

「おい宿儺……やり直しだ」

 

 日車は冷徹な声音で告げる。

 その言葉と同時に、彼の背後で天秤が揺れる。

 ただの術式の残響ではない。

 呪力が質を変え、存在そのものが次の段階へと踏み込んでいた。

 

 

 戦場の空気が一変した。

 宿儺は愉快そうに笑う。

「裁判官が神にでもなったつもりか。だがいい……強者は常に歓迎だ」

 

 日車の目は一切揺れない。

「俺は人間だ。人間が裁く。呪いも、術師も、そして“お前”も」

 

 術式が展開される。

 かつて一方的に蹂躙された領域は、今や隙一つなく完成された審判の空間として顕現する。

 

『領域展開──“制約法廷”』

 

 巨大な法廷の椅子に座した日車の背後に、無数の腕が伸びる。

 その一本一本が、彼自身の呪力で編まれた“判決”の具現。

 

 宿儺は目を見開き口角を吊り上げた。

「面白い。ならば俺が有罪か無罪か……この手で確かめてみろッッ!!」

 

 日車はただ冷たく答える。

「お前に問う余地はない。判決は──既に下った」

 

 斬撃の一閃。

 

 刹那、宿儺の斬撃を、再生したばかりの右腕で受け止める。

 その腕は砕けない。

 むしろ逆に、宿儺の刃に走ったのは亀裂だった。

 

 呪いの王が初めて、明確に驚愕を瞳に浮かべる。

 

 

 日車寛見。

 かつてただの弁護士であり、敗北した術師。

 しかし今、この瞬間においては、誰よりも純粋に「呪術」を完成させた人間だった。

 

「俺は裁く。呪いも、王も──等しく法の下に」

 

 宿儺の周囲で無数の呪いが呻き、空間が軋む。

 だが日車の天秤は揺れない。

 

 それは「最強」の証明だった。

 

砕けたのは宿儺の刃。

 その瞬間、日車は腕を振るう。

 

 天秤から伸びる無数の判決の腕が、宿儺を取り囲むように迫る。

 一本一本が呪具に匹敵する硬度と正の呪力を帯びた“審判の槌”。

 

「チッ……」

 宿儺は舌打ちし、空を裂くような斬撃を連ねる。

 “解”と“捌”。

 いずれも大地を割り、都市を抉る必殺の斬撃だ。

 

 だが、日車は退かない。

 再生した右腕が、斬撃の軌跡を正確に見切り、槌で弾き砕いていく。

 

「……まるで鉄壁だな」

 宿儺が吐き捨てる。

 

「鉄ではない。法だ。法の下では、どんな王も例外ではない」

 日車の冷たい声が響く。

 

 

 宿儺は一転して笑う。

「いいぞ。ならば、領域で決着をつけるしかあるまい」

 

 黒炎が走る。

 “伏魔御厨子”──宿儺の領域が展開される。

 世界が無数の斬撃に満ち、ただ立っているだけで肉体が刻まれる。

 

 しかし──日車は歩みを止めない。

 裁判所の法廷と、宿儺の御厨子がぶつかり合い、空間が軋み裂ける。

 

 天秤の針が定まる。

『有罪』

 

 裁きの声と共に、宿儺の腕に紅い烙印が刻まれる。

 その瞬間、宿儺の右腕が爆ぜるように弾け飛んだ。

 

「……っ、これは」

 宿儺が驚愕する。

 たとえ王であろうとも、法廷に立てば有罪の刑は執行される。

 それがこの領域の“判決”。

 

 

 宿儺は笑いながらも瞳に殺意を宿す。

「裁判官風情が、俺の身体を裁くか……愉快、愉快だ!」

 

 再生しながら踏み込む。

 次の瞬間、二人の拳が交錯した。

 斬撃と審判の槌がぶつかり合い、空気が炸裂する。

 

 破壊の王と、法の裁定者。

 互いに一歩も引かず、斬撃と槌が閃光のように交差する。

 

 ──戦場の誰もが理解した。

 今、この瞬間。

 呪いの王・宿儺に対抗できる唯一の存在が、日車寛見であることを。

 

 斬撃と槌が幾度も交錯する。

 だが、徐々に押し返していったのは宿儺だった。

 

「やはりまだ未熟だな、裁判官」

 宿儺の声が冷ややかに響く。

 彼の刃はより鋭く、速さを増し、日車の防御を削り取っていく。

 

 審判の腕が一本、二本と斬り裂かれ、法廷の天秤が軋む。

 血が滲み、日車の頬に赤い筋が走った。

 

「……っ」

 息が乱れる。

 宿儺は愉悦を滲ませて笑う。

「やはり俺の敵ではない。法だの裁きだの……その程度、俺の刃の前では無力よ」

 

 “捌”の一撃が日車の胸を抉る。

 鮮血が飛び散り、彼の身体が大きく後退する。

 

 呪術師たちが絶望の表情を浮かべる中──日車は倒れなかった。

 膝を折りながらも、彼はなお立ち上がる。

 

「……確かに、俺は未熟だった」

 苦痛に顔を歪めながらも、静かに言葉を紡ぐ。

「だが……未熟を裁くのは、俺自身だ」

 

 天秤が再び音を立てて揺れる。

 その針が揺れ動く先は──“逆転”。

 

 

 日車の体から迸る呪力の色が変わった。

 ただの黒い呪力ではない。

 反転した正の輝きが混ざり、灼熱のように鮮烈に燃え上がる。

 

「……反転術式……!」

 呪術師たちがざわめく。

 

 宿儺の目が鋭く細まった。

「人間風情が……ここまで……!」

 

 日車は深く息を吐き、再生した右腕を掲げる。

 その手に宿るのは巨大な槌。

 判決を下す裁定の象徴にして、呪いすら砕く絶対の武具。

 

『最終判決──有罪』

 

 法廷の声が轟く。

 宿儺の身体に再び烙印が刻まれ、刃が鈍る。

 

「なに……!」

 宿儺の斬撃が空を裂くが、その勢いは先ほどまでの猛威を欠いていた。

 

 日車は踏み込み、槌を振り下ろす。

 轟音。

 宿儺の防御を砕き、彼の身体を地に叩きつけた。

 

 

「これが……俺の判決だ」

 日車の声は静かだ。

 だが、その静けさこそが揺るぎなき力の証。

 

 

 

 

 宿儺は瓦礫の中からゆっくりと立ち上がり、血を拭った。

 笑みは消えていない。

「フハハ……いいぞ、裁判官。俺をここまで追い詰めたのは久しい」

 

 戦場は再び、火花を散らす二人の間に緊張を孕む。

 呪いの王と、法の執行者。

 この日──最強の座を巡る戦いが幕を開けた。

 


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