鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~ 作:DreamFrog
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一服盛られるどころか、正面から思いっきりなんかの注射をされ、意識が無くなると。
いつの間にか俺はベルベットルームに正座していた。
鴨志田卓の精神に沿って作られたインターハイ会場が、ベルベットルーム特有の色味でデコレーションされている。
イゴールはおらず、ベンチ近くに立つのは双子のみ。
ジュスティーヌとカロリーヌは、2人で並んでこちらを見つめている。
鴨志田卓
「…し、死んだ?」
カロリーヌ
「死んでない!落ち着け、1年!」
鴨志田卓
「あぁ良かっためっちゃ安心する。ど、どうされました?」
(あ、あれか!?起死回生の真実を掴むのだって言ってくれるやつ!)
(けど回想も何もして無いんだけど何?運命力?どちらにせよ治癒促進で回復できるのほんっっっとにありがたい………)
確かに、自身の具合は最悪だった。移動する前の体調を引き継いでいる。
ただ体の痺れは無くなり、じわじわと不調…ダメージが治っていくような感覚。備わっている治癒促進スキルが発動してくれていた。
ジュスティーヌ
「1年、少し通達があり…貴方をここへ呼びました。」
「貴方の人形達の中に混ざる誤表記についてです。」
ぴっ、と観客席を指さす。
賑やかになってきた人形達の中に、ホラゲーに居ても可笑しくない緑のバグったエフェクトが掛かったものがある。
(あっやっぱり双葉ちゃんの人形バグり散らかしてたよな?ストレージ双子葉類ってどう翻訳したらそうなるのよって感じっすよねほんと)
ジュスティーヌ
「あちらについての対応ですが…、?」
ふと、バインダーを見るような素振り。
しかし、手にバインダーは無い。
ジュスティーヌ
「…カロリーヌ。私のバインダーを知りませんか?」
カロリーヌ
「いつもジュスティーヌが持っているだろう?私に聞くな。」
「そうだな…さっき、飲み物を入れてくれた時に置いたんじゃないか?」
ジュスティーヌ
「なるほど。」
「1年、少しここで正座して待っていなさい。」
鴨志田卓
「え、あ、はい。」
(…妙に手際悪くない?)
(あっうわ成る程もしかして)
小・中・大3種の治癒促進によって段々と万全に近づく精神が、その答えを導き出す
(明らかに、2人は時間を稼いでくれてる…!!)
カロリーヌ
「これじゃないのか?」
ジュスティーヌ
「いえ、それはカロリーヌの自由帳でしょう。こちらの棚に…」
(…ありがてぇ〜!!!!こ、このままあのやべー薬の効果が終わるなり治し切るまでなり耐久できれば行ける!撃ち込まれたスパイクを拾える!)
体育館型のベルベットルーム、控え室への扉の先にて喋っている双子たちの意図を理解して、むむむと回復に努めようとしていると…
イゴール
「…集合だ。」
鴨志田卓
「っ」
むむむと目をつむった一瞬の間に、
命令だからだろうか?双子たちが目にも留まらぬ速さで集合する。
イゴール
「探し物はこれだろう?」
「そして、要件はこれで済んだ。」
その手には、ジュスティーヌのバインダー。
ベンチの隣の席にそれを置き、指を鳴らせば人形も変化する。
可愛い、普通の佐倉双葉の人形になった。
ジュスティーヌ
「…ありがとうございます。主の手を煩わせてしまい、申し訳ありません。」
仰々しく謝罪するジュスティーヌを無視して、イゴールはこちらに言い放つ。
イゴール
「…貴様は今、困難に直面している。」
「それをどうにかしてみてこそ、『更生』を遂げる者となる。」
「どうやら…ここは暫く閉鎖される様だ。」
カロリーヌ
「し、しかし!」
イゴール
「おめでとう、貴様の身体に故障は起こらない。」
「だがこれはベルベットルームの住民としてルール違反たりえる。罰として…君の仮面には、謹慎処分を受けてもらおうか。」
観客席…これまで得てきた人形が並ぶ席とは逆位置に、アスモデウスが座った。
それはつまり鴨志田卓の肉体のなかに同居して、ペルソナとして振る舞ってもらっている…鴨志田卓本人で。
別の精神であることを隠すためだろうか…こちらを心配する素振りなどは見せていない。
(やっべ、ペルソナの監禁による成長システムか!?)
(言い方からして俺の憑依転生には気づいてない!け、けど一つしかない力が居なくなっちゃったってことは…やっばい治癒促進剥がされた!!)
イゴール
「時間だ、試合に戻れ。」
「ククク…貴様の、武運を祈っている。」
意識が急激に遠のいていく。
これまでの、手を引かれ導かれるような退出でなく…紐を繋いで車で引っ張られたような急激な目覚め。
◎◎◎
誰も居ない、音のしない取調室。寝転んだまま…意識を取り戻す。
どれほど意識を失っていたのかは分からないが、下敷きになっている腕がまだ血が通ってる感覚がある為そこまでは経っていないのだろう。
双子が…命を繋いでくれた。
ルール違反?という発言から…恐らくはベルベットルームの住民としてのあれこれ、またはヤルダバオトとイゴールがやってるゲームの何かに抵触しているのだろう。
(何度も鍛錬場でしごかれていた時…ラヴェンツァの記憶を思い出したような素振りは見せていなかった。シンプル、心配してくれての独断なのか?わからんけどま〜じで感謝すぎる…いやもう理不尽なゲームすぎまっせヤルバダオトはん…)
体の麻痺(電気よりも怖い毒系の麻痺)はなんとか程度が下がっており、喉が痙攣するように詰まって呼吸が難しいのだが不可能ではない。
つまり。無事に、命は繋がっている。
イゴール(ヤルバダオト)と刑事の言葉を信じるならば…あのままでは、心の力に悪影響があったのだろう。
見返りを求めていた訳では無いが…双子達と仲良く過ごしていて良かったと歓喜にうち震えた。
まずは、助かった事実に安堵の息を吐く。監視カメラが不安だが、原作でもそういった部分に言及がなかったあたり…
証拠を残さず、そもそも提出出来ない状態にする為にカメラは作動していないのだろう。そう願うしかない。
ひとまずの危機は去った。しかし、危機は継続している。
仮死薬の場合、目が覚めるのは想定されている事項だろうし…このまま、脱出しなければ意味がない。
想定される時間より早く目覚めたのは間違い無い。どうか、これから活路を…
無理矢理体をよじって、手錠で結びつけられた椅子ごと立ち上がろうとする。
(あんの馬鹿…ご丁寧に足首まで片っぽ手錠着けやがって…じゃあそれは足錠だろ!くっそ、無理矢理食い込ませてるんだし手があれば外せそうだってのに…)
悪戦苦闘すること、三分ほど。どうにか…立ち歩けそうな体勢に。
(いよっしゃ立てた!入り口に誰か控えてたら詰みなんだが…ワンチャン人払いされてる可能性はある。防音になってるせいなのかもしれないが物音を立てても反応がないし、外から何も聞こえない。慎重に、ちょっと隙間開けて誰か居ないか聞き耳を…)
この状態を崩してしまえばまた時間がかかる。慎重に、慎重にドアノブまで進んでもたれ掛かる。
扉を開けるために、掃除してるか不安なドアノブに噛みつこうとした直前
いきなり扉が開き…内開きの、つまりこちらに押し出される扉によって、背中から倒れ込んでしまう。
鴨志田卓
「うおわぁっ!」
女性の声
「え」
(ちくしょう、まだ刑事居たのか!どうする?死んだふりももうできないし…いや、身体は動くんだ!すぐに立ち上がって、どうにか椅子の角でぶん殴って…)
もがき、反動をつけて立ち上がろうとしていると…
扉を開けた者が近寄ってくる足音が聞こえる。
女性の声
「随分元気そうね、鴨志田先生?」
鴨志田卓
「アンタらから貰った変な薬物のおかげで元気0.01倍ですよっ!」
女性の声
「…平常時はその100倍元気なの?」
ふざけた言葉に、ツッコミが入る。
(こ、この甲斐◯裕子さんcv特有の『強い』女性の声は!?)
鴨志田卓
「ええっ冴さんがなんでここに!?」
近寄ってきた者は、倒れて真上を見る俺を覗き込んだ。
新島冴
「…話したことが無いのに声だけで当てないでくれる?異世界の情報源があると言うのは本当みたいね。」
なんと、新島冴さんが取調室に入ってきた…!!!
取り繕う余裕が無く口に出してしまった言葉によって、勝手に何かの答え合わせをしてくれたらしい。
鴨志田卓
「え〜っと…初めまして。鴨志田卓です。」
新島冴
「真から聞いてる。時間が無いから、話は後。」
ポケットから、冴さんはスマホを取り出す
それは冴さんが持つには似合わない美少女キャラクターのステッカーが貼られており…
新島冴
「新島冴、裁判所をカジノ。」
鴨志田卓
「へ???」
何も状況がわからないまま。
鴨志田卓へ憑依転生してから通算三回目となる、生身での異世界潜入が始まった…
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次回以降、暫く回想シーンとなります。
電撃による襲撃からここに至るまでを4話程使って描写して参ります!
パレス内でのお名前表記をコードネームにするかどうかを迷っております。演出的に好みな/見やすい方を教えてください
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原作と同じ本名表記
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わかりやすいコードネーム表記