鴨志田転生~ペルソナ5一番の嫌われ役に憑依転生してしまったが、原作知識の力で雨宮蓮に代わって怪盗になり破滅フラグをへし折ってみせる!~   作:DreamFrog

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第267話 9/10(土) COOP:節制⑩

 

 

 

〜〜

〜〜

 

 

※鴨志田卓視点

 

 

(はわわわわ)

 

ワイキキビーチの、とあるベンチ。

ペルソナ5で7月10日の夕方といえばコレと言うべき、例のベンチに。

あろうことか俺は川上先生と隣り合っって座っわているる。*1成人男性のはわわは何らかの罪に問われるだろう。

 

共にビーチを少し歩いて、夕日でも眺めようと誘導されてベンチに座ったのだった。

 

 

 

川上貞代

「…楽しんでる?」

 

鴨志田卓

「勿論。どこもかしこも、皆が笑顔で…ソレを俺が作れたんだと思うと、達成感やら優越感やらで一杯になる。」

「心の底から嬉しいよ。」

 

川上貞代

「…良かった。」

 

 

本当に、この修学旅行は最高だ。

俺はアクティビティの近くで生徒を案内したりガイドと連絡を取り合ったりして忙しなく動いているものの、至るところで目にはいる生徒の喜ぶ声で胸がいっぱいになっていた。

 

(アクティビティで秀尽生達の知らないイベントスチル集めたい放題とか最高だろ。ソシャゲでも3,4枚だってのに瞬きするだけで毎秒5枚くらい×数時間見れるの駄目だって。)

(何が一番凄いかって、服だよな!そりゃ現実じゃ全部学生服じゃなくて幾らか私服持ってくるのは当然なんだろうけど…それってつまり怪盗団以外のメンバーでも私服差分を大量に見放題って訳で!!ホントに無料で良いんですか!?)

(ああいや、この世界の金銭は相応に払ってるから無料ではないのか…)

 

 

 

 

川上貞代

「…本当に、良かった…」

 

 

噛みしめるようにそう話す、川上さん。

それもそのはず…大怪我のお見舞いに行き、様子のおかしい鴨志田卓(てんせいしゃ)を見た後、こうして無事に鴨志田卓(かもしだすぐる)が帰ってきた姿を見たのだから。

 

 

川上貞代

「あの議員の謝罪動画とか、全部見たんだ。」

「これで…全部、終わったの?」

 

鴨志田卓

「一番綱渡りだった部分は無事に完了だ。まだちょっと仕上げが残っちゃいるが…盤面は無事に整ったんだ。きっと上手くいく。」

 

 

心中の鴨志田卓の語彙を使って、そうして安心させる言葉をかける。

改心祭りによって成長したステータスがあれば、刈り取るものは十分に狩れるだろう。あと1回潜入するだけだ。それで準備は全て整う。

勝つ為の盤面は全部作った。あとはゆっくり休んで相手の出方を伺い、『どう勝つか』を待ち構える段階だ。

 

 

川上貞代

「…そっか。」

「…良かった。」

 

 

そう言うと、静かな時間が暫く流れる。

なんとなく、良い雰囲気。

何か面白いことの一つでも言って笑わせたくなるものだが…ここが原作にて座る例のあのベンチである事が、この空気を壊したくないなと思わせてくる。

 

(…そうだな、うん。)

 

 

川上貞代

「あれだけニュースになるくらいの数、改心をして…疲れない?」

 

鴨志田卓

「鍛えてるから、これくらいはな。」

「ただ、メンバーの皆はかなり消耗してしまってる。この修学旅行で羽を伸ばしてくれると良いんだがなぁ。」

「2-Dの様子はどうだった?楽しめていない奴とか…」

 

川上貞代

「大丈夫。前の海水浴でへばってた子も、今回はのんびり過ごしてるみたいだから。」

 

鴨志田卓

「いい心掛けだ。暑いし、海外だし…無茶は禁物だからな。」

 

川上貞代

「無茶は禁物って…自分が言われても聞かないクセに。」

 

 

もう、と唇を尖らせて嗜められる。

その声色にはトゲが無く、呆れたような素振りだった。

 

 

鴨志田卓

「ハハ、俺は…飛べば届く高さだったからさ。」

 

 

俺の中の、鴨志田卓が考える言葉をほぼそのまま話す。

どうにかこうにか生徒や他者を慮る言葉を俺が考えなくても、自然に他者を気遣える気高いアスリートの心が復活してきており…

他者を教え導き、生徒を第一に考える教師の心も産まれようとしている。

 

 

鴨志田卓

「ああ、食事か何かに連れて行く約束は忘れてないからな。メンバー達を酷使しすぎてて、あまりそういった事に動くのが消極的になってて…」

 

川上貞代

「気にしないで。大切な時期を無視して予定取ってたら断ろうとも思ってたから。」

「覚えてくれてるってだけで嬉しいよ。」

 

 

静かに、ぽつりぽつりと話す時間。

会話の内容だけを楽しむ時間ではない。

さざなみの音や、日本語ではない異国人の営みの声。

この雰囲気を味わう為の、会話。

 

沈黙が気まずく感じることはなかった。それどころか、むしろ心地よいとも感じられる。

 

(鴨志田の言うとおりだ、無理に、沈黙って埋めなくても良いんだな…)

 

暫く口を閉ざしている、川上さんの横顔を見る。

夕日や日焼けだけでは説明しきれないほど、赤みを帯びていた。

 

 

川上貞代

「その…」

「一つ、頼み事が…あるの。」

 

鴨志田卓

「お。なんか困りごとでも?」

 

 

自分に、助けられる力があるのなら。人からの頼み事はその人から感謝を得られるチャンスに他ならない。

喜んで、耳を傾ける。

 

 

川上貞代

「鴨志田…卓さんの言う、仕上げも含めて、全部終わったら…その。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川上貞代

「一緒に住んでよ。」

 

鴨志田卓

「ホァッ」

 

川上貞代

「…家事、全部やってあげるから。」

 

(????????????)

 

思考のフリーズ。川上さんの、その告白を止められない。

そっと、海パンからはみ出た筋肉モリモリでパッツパツの太ももに川上先生の手が置かれる。

細い指。

黒板のチョークで少し荒れ気味の、教師の指だ。

 

(わぁ筋肉見てうっとりしてる、俺も好きだよ鴨志田卓の筋肉。もうバキッバキでかっこいいっつーかボディビルダーの見せ筋じゃない実用的な筋肉だから色気あんだよなホントに…そうじゃないそうじゃない絶対今考えるのそうじゃない)

 

(ま〜じでやばい、コレあれだ、『愛おしそうに』って形容詞が似合う顔だコレ。どないしましょコレ。)

 

 

川上貞代

「今の忙しさも、助けられるなら助けたいけど…専門外の分野だって事は分かってる。」

「帰ってくるって言って、本当に帰ってきてくれて…嬉しかった。」

「私…これからも、貴方の…鴨志田卓(かもしだすぐる)の、帰ってくる場所になりたいな、って…」

 

太ももに置かれた腕に、体重がかかる。

重心がこちらに動いており、川上さんの肩が俺の肩に触れ合う。

川上さんが首を傾ければ…俺の肩に、頭が乗る。

 

川上さんはこちらを見ない。俺から見えるのは、色づいた横顔だけ。

 

 

川上貞代

「今すぐ、答えないでいいの。考えて、欲しくて…」

「もし、全部終わってから、…。 …オッケー、なら。」

 

「私の家に…迎えに来て?」

 

 

そこで初めて…川上さんと目が合った。太ももに置かれていないもう1本の手が、俺の上半身に触れている。

ぶりっ子のべっきぃ的なものではない、素の顔。

しかし、その目は大きく潤んでいる。

 

川上さんが今聞いているのは、告白のイエス・ノーではない。

この問いについてを考えて欲しいという、依頼。

さすが国語の教師と手放しで褒め称えたい、断りようのない表現。

期待をされたことがない俺と、期待に応えた事しかない鴨志田には…逃げる方法など見つからない。

 

 

鴨志田卓

「…わかった。よく…考える。」

 

その頼み事を…鴨志田卓(オレ)は受けた。

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

ラヴェンツァ

『我は汝…汝は我…』 

 

『汝ここに、心の盃へ堅牢たる絆を浮かべ得たり』

 

『強き意志の宿る絆は』

『神の血を甘美な美酒とせん』

 

『今こそ汝、【節制】の究極たる秘奥に目覚めたり』

『無尽の力を汝に与えん…』

 

〜〜〜

 

 

 

ーーー

人形召喚 15SP

 

絆を深めた人間の認知存在を、

人形として杯の中に浮かべることができるようになる。

人形次第で様々な強化を受ける。

 

ーーー

 

 

ーーー

召喚可能な人形

・雨宮蓮

→Technical発生時、対象がDOWNする

・三島由輝 

→獲得経験値が増加する(異世界から帰還するまで有効)

・武見妙 

→自陣営に即死効果発生時、自動発動。それを無効にする。

・新島真 

→炎上・凍結・感電の付着率が50%上昇する

・佐倉双葉

→佐倉双葉のペルソナにロケットブースターが装着される。佐倉双葉が勝手に発動できる。

・川上貞代 NEW!!

→川上貞代の疲労が、全て消える。

 

・校長 

→攻撃力上昇、激怒の状態異常が付着

・金城潤矢 

→周囲に居る味方は防御力が上がり、狙われ難くなる

・一色若葉

→セーフルームか入口から、別のセーフルームか入口に移動する

・奥村邦和

→相応の賃金を支払い、社畜ロボを召喚する。

・明智吾郎

→相手の各耐性を全て見抜く。

ーーー

 

 

(えっちっちょちょちょ!コープアビリティがサボりや代行、マッサージっていう『行動回数を増やす』コンセプトがなんでこんな事に!?!?特別マッサージが疲れとれるとかそれくらいじゃ)

 

 

川上貞代

「貴方のためだって、思えば。」

「どんな疲れも…吹き飛んで動けるから。」

 

 

(なんてことを!?!?!?!?)

 

 

そうして川上さんは足を踏み出して、ベンチから身を乗り出し。

鴨志田卓の頬に、キスをして。

…ハッとしたように、こちらに遠巻きに視線を向けていた現地人数名に気付いて。

 

 

川上貞代

「こ、コレは欧米の挨拶だから。あ、アロハ〜…ハハ…」

 

そのまま、ビーチサンダルにTシャツとビキニ姿でホテルまで逃げ帰っていった。

 

 

(…。)

 

(……………………???????????)

 

 

 

数分、フリーズ。

 

 

 

(ま、ままままぁいい。()()()()()がうまくいけば、ちゃんと期待に応えられる。うん。はぁ〜、ヤルダバオトどうにかするまでになるべく武見さんと会っておきたいな…どうやって説明しよう…)

 

 

…。

憑依転生者は、同居する鴨志田卓であっても容易に確認できない意識の奥底にて『ヤルダバオトを■■するプラン』を考えている。

 

鴨志田卓はそのフォルダの中身を確認こそしていないが、おおよそのアタリをつけていた。

そして、憑依転生者と同じように…心の奥底で。

 

鴨志田卓本人の、最初で最後になるであろう『改心』の計画が練られているのだった。

 

 

 

 

*1
✕誤字 ◯動揺

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