催眠ポケモンメガカラマネロとの理想的なカラマれ方   作:あいいろ ののめ

27 / 27
phase26『真実』

―――…それで、なぜルミヤさんは私たちを呼び出したのですか?」

 

 私は目の前に集まった面々を確認するように顔を見ていく。

 ヌーヴォカフェの店員さん、さっき情報を教えてくれたご老人さん、そして今朝私と偶然カフェで会ったムクちゃんの兄のシローさん。

 

「今回の事件の答えが分かったからです」

 

「どういうことだよ、暴れてる野生ポケモンは結局見つからなかったんだろ?」

 

 ぶっきらぼうなカフェの店員さんの疑問に、私は得意げな表情を浮かべる自覚がありながらあるものを見せた。

 

「暴れるポケモンは見つけられなかったけど、代わりにコレを見つけた!」

 

「…キズぐすり?」

 

 その場の全員が疑問符を浮かべているような顔をすることに、私は続けて状況を説明した。

 

「このキズぐすりはそこのビルで見つけたんだ、それも屋上のちょうど真ん中に落ちてるのをね」

 

「ルミヤさん、それが何だと言うんですか?」

 

「このキズぐすりを落とした人は相当急いでいたんじゃないかな。ビルの屋上の真ん中に落としたのに気付かないぐらいなんだから」

 

「?」

 

「つまり、昨晩あのビルはZAロワイヤルのバトルゾーンが存在していたって事!!…そうだよね、シローさんっ!」

 

「はい!昨夜は確かにこの近くでZAロワイヤルに参加していました」

 

「このキズぐすりはその時に落とされたものなんじゃないかな。

 バトルゾーンのある時間は辺りも暗いし、いつバトルになるか分からない状況で落としたキズぐすりを探している余裕がある人はそんなにいないと思うの」

 

 シローさんからも同意が得られたことで、推理の確証が一段階確かなものに変わる。

 私は続けてカフェに訪れていたおじいさんに話し掛けた。

 

「そしておじいさん!あなたの情報はとっても助かったけど、一つだけウソをついていた!!」

 

「ウソじゃと?ウソなんて言う必要が無いじゃろう」

 

「ちょっとイジワルな言い方をしちゃったかも、ごめんなさいおじいさん。でも証言には一つだけ明確な穴があったの」

 

 こちらを詰めるような言葉に謝罪を挟みつつ、私は言葉を思い返してもらうために皆の前で繰り返した。

 

「あのね、おじいさんは私が聞いた時に『空が曇ったように思って空を見上げた』って言ってたよね?」

 

「ああ、そしたら大きな鳥ポケモンが…」

 

「そこ!…普通、大きな鳥ポケモンが空を飛んだなら、羽ばたく音が聞こえると思わない?」

 

 私が声を上げた拍子に近くにいたヤヤコマが飛び上がると、小柄な体格に見合わない翼の力強い羽ばたき音が周囲に響き渡る。

 

「確かに言われて見れば…」

 

「おじいさんがウソを言う必要がなかった、それは本当の話だと思う。でも空を飛ぶ大きな影っていう情報から、おじいさんは太陽を遮ったものが鳥ポケモンだと勘違いしたんだよ」

 

「では、大きな影の正体とは…」

 

 その時、私たちの上を大きな影が覆う。

 その場に居た誰もが空を見上げ、その次の瞬間…大きな影は目の前に降り立つ。

 

「あなたはシローさん…だよね?」

 

「私が頼んだんだ、あのビルの上にジャンプで飛び上がって欲しいって。ちょうど昨晩バトルゾーンでしていたみたいにね、普通の人なら無理だけど…シローさんの身体能力なら軽々とビルに飛び乗れる!」

 

「え…じゃあおじいさんが見た大きな影って言うのは、シローさんの事なの!?そんなのアリ!!?」

 

「アリもナシも無いよ、これが真実だもん。そして最後のピースを持っているのは…ヌーヴォカフェの店員さん!」

 

「ア、アタシか?」

 

 きょとんとして自分を指さす店員さんに、もう一度同じ質問をしてみる。

 

「ヌーヴォカフェの店員さんは暴れる野生ポケモンを見た覚えは?」

 

「いや、だからそれは無いって」

 

「じゃあ、昨晩バトルゾーンが無くなった後から今までに、メガシンカしたポケモンを見た覚えは?」

 

「ZAロワイヤルの後?…ZAロワイヤルの間なら幾らでも居たかもしれないけど、その後にポケモンをメガシンカさせてるヤツなんて……あ」

 

 店員さんが思い出したようにこぼした言葉で、私は空に掲げた指をこの場に居るある人物へと向ける。

 

「つまり犯人は…貴方だ、シローさん!」

 

「ど、どういう事ですか!?」

 

「シローさんはZAロワイヤルが終わった後も気付かず、今朝もこのカフェを訪れるまでずっとポケモンバトルをしていた。だからこの周辺でメガシンカしたポケモンが暴れていると勘違いされたんだっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――…なるほどねえ、それでシローさんはタイホされたんだ?」

 

「いやどうしてですか。犯人ではありましたけど、捕まる要素ゼロでしたよね」

 

 その日の夜、ホテルZで事の顛末を聞いたデウロちゃんがそう纏めるとすかさずピュールくんのツッコミが入る。

 ホテルZの一室が笑い声に包まれ、いつもより少しだけ賑やかな夕食時に私も笑顔を溢していると、今度はその隣に居たキョウヤくんから感心するような声が聞こえてきた。

 

「それにしてもそのシローさんの身体能力には驚きを隠せないね。まさか人間が鳥ポケモンと間違われるような動きができるなんて」

 

「それは正直に言うと私も同じ感想かな。シローさんとは前にも会った事があるけど、その時は私を抱えて飛び上がっていたから足場を使って屋上まで跳んでいたんだよね」

 

「オレもこの前3番ワイルドゾーン近くでシローさんとは会ったけど、その時に『ジャスティスの会上段者なら素手でポケモンとも戦える』って聞いた話も本当なのかもね」

 

 会話がひと段落した所で、タウニーが全員に聞こえるような声量とはっきりした滑舌で喋りながら皆に視線を向けた。

 

「みんな!重要な発表があるの!」

 

「…どうしたんですかタウニー、いつにも増して気合いが入った様子で」

 

「気合いも入るよ!…明日から遂にMZ団は本格的な活動を開始するんだから!」

 

「活動?」

 

「そう!クエーサー社のマスカットさんっていう人からMZ団は正式に仕事を受けて、暴走するメガシンカポケモンに対処する…それがMZ団の活動なんだし!」

 

「実はオレとタウニーは今日、そのクエーサー社のマスカットさんとポケモンバトルをして暴走メガシンカの仕事をやれるかのテストを受けて来たんだよ。

 それで晴れてテストは合格、ZAロワイヤルランクもFまで上がったんだ」

 

「二人ともすごい!Fって事はメガシンカ使いとして他のトレーナーと遜色ない実力って事だもんねえ」

 

「キョウヤやタウニーのバトルを見ていれば不思議ではありませんが、それでも実際にランクが上がると改めて感心しますね」

 

「そういえばルミヤはあたし達より先にマスカットさんとポケモンバトルで認めて貰ったんだよね?」

 

「え?…ああ…確かにバトルはしたね?」

 

「ルミヤさん、どうかしたんですか?」

 

「ううん、ちょっと寝そうになってたから驚いちゃっただけ。今朝はそれこそ昨日のZAロワイヤルからそのまま起きてたから…」

 

 私はMZ団の皆が心配してくるのを気にする程じゃないと軽くいなしつつ、夕食を終えてからAZさんやその隣に居るフラエッテに挨拶をしてホテルZを後にする。

 私は家に帰ってくると、モンスターボールからカラマネロを出して小さな声で話し掛けた。

 

「カラマネロ、体調に問題は無いか?…昨晩のロワイヤルから続けてシローさんと戦ったりもしたからな」

 

「ロネロ」

 

「大丈夫そうならば、悪いがアレ(・・)を頼むぞ。今日の昼はどうにかなったが、そう毎回上手くいくわけでは無いからな…」

 

「ロッ」

 

「よし、では始めるとしよう。

 

 カラマネロ、『ひっくりかえす』だ…―――




 宜しければお気に入り登録や、高評価をお願いします。

『ポケモン小説って何目的で読むのですか?』という作者さんが気になるだけで設置したアンケート

  • ポケモンが可愛い(等魅力)を求めて。
  • コレもZA作品なんだから熱いバトル!
  • ポケモンゲットのストーリー性
  • シンオウ神話のような設定が読みたくて
  • 推し(人間)のあれそれ
  • なんとなく開いた作品がコレ
  • その他   ...
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

俺が死んだと思っている仲間と会うのが気まずい(作者:guruukulu)(原作:葬送のフリーレン)

何で死んだのが分身って誰も気付かないの・・・


総合評価:5948/評価:8.04/連載:6話/更新日時:2026年04月01日(水) 19:00 小説情報

[悲報]虎杖成り代わり、縄文時代に立つ[言葉が分からん](作者:夕暮れの家)(原作:超かぐや姫!)

モジュロ虎杖悠仁に成り代わった男が、8000年のヤチヨの道中に付き合う話。善人であり、虎杖ほどイカれていない男が非常に強い力を持ってしまったことで、様々な後悔を抱えながら現代にたどり着くお話です。▼本編完結しました。気長に後日談でも書いていきたいと思います。▼


総合評価:18057/評価:9.09/完結:40話/更新日時:2026年06月01日(月) 21:06 小説情報

同情するならチャクラくれ(作者:あしたま)(原作:NARUTO)

▼ ▼貧弱チャクラの転生者は、金と情報と仲間をもって忍界を変える。▼目覚めた先は、死があふれる忍の世界。▼与えられた現実は、「致命的なチャクラ不足」という残酷なものだった。▼正面突破が不可能なのならば、仲間と金を集め、現代知識をフル活用して生き残る道を探る。▼「チャクラが足りないなら、効率を高めればいい」▼「金が足りないなら、新たな経済圏を構築すればいい」▼…


総合評価:21961/評価:8.9/連載:62話/更新日時:2026年06月10日(水) 00:00 小説情報

すべてを失って身売りした少女にすべてを与えてみた結果(作者:ヤンデレすこすこ侍)(オリジナルファンタジー/コメディ)

転生したら全てを持っていた。▼転生先は大国アズヴォルデ帝国の第三皇子だった。▼ふ~ははははっ! これで好き放題出来る!▼あんなことや、こんなことを、好き勝手にやらせていただく!▼そう息巻いて過ごすこと十五年。▼俺は早速飢え始めていた。▼つまらない。▼つまらないのだ!▼何もかもを手に入れてしまって、何にも充足感を得られない!▼金も名誉も地位も力も、全てを持って…


総合評価:24876/評価:8.88/連載:30話/更新日時:2026年06月03日(水) 12:00 小説情報

百式観音を背負いて。(作者:ルール)(原作:NARUTO)

▼ 憧れた姿を追い求め、▼ ただひたすら繰り返し、▼ オッサンはついにソレに辿り着く。▼ そんな狂気のオッサンが混じった忍者活劇。


総合評価:31508/評価:8.13/連載:91話/更新日時:2026年06月10日(水) 07:03 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>