催眠ポケモンメガカラマネロとの理想的なカラマれ方 作:あいいろ ののめ
―――…それで、なぜルミヤさんは私たちを呼び出したのですか?」
私は目の前に集まった面々を確認するように顔を見ていく。
ヌーヴォカフェの店員さん、さっき情報を教えてくれたご老人さん、そして今朝私と偶然カフェで会ったムクちゃんの兄のシローさん。
「今回の事件の答えが分かったからです」
「どういうことだよ、暴れてる野生ポケモンは結局見つからなかったんだろ?」
ぶっきらぼうなカフェの店員さんの疑問に、私は得意げな表情を浮かべる自覚がありながらあるものを見せた。
「暴れるポケモンは見つけられなかったけど、代わりにコレを見つけた!」
「…キズぐすり?」
その場の全員が疑問符を浮かべているような顔をすることに、私は続けて状況を説明した。
「このキズぐすりはそこのビルで見つけたんだ、それも屋上のちょうど真ん中に落ちてるのをね」
「ルミヤさん、それが何だと言うんですか?」
「このキズぐすりを落とした人は相当急いでいたんじゃないかな。ビルの屋上の真ん中に落としたのに気付かないぐらいなんだから」
「?」
「つまり、昨晩あのビルはZAロワイヤルのバトルゾーンが存在していたって事!!…そうだよね、シローさんっ!」
「はい!昨夜は確かにこの近くでZAロワイヤルに参加していました」
「このキズぐすりはその時に落とされたものなんじゃないかな。
バトルゾーンのある時間は辺りも暗いし、いつバトルになるか分からない状況で落としたキズぐすりを探している余裕がある人はそんなにいないと思うの」
シローさんからも同意が得られたことで、推理の確証が一段階確かなものに変わる。
私は続けてカフェに訪れていたおじいさんに話し掛けた。
「そしておじいさん!あなたの情報はとっても助かったけど、一つだけウソをついていた!!」
「ウソじゃと?ウソなんて言う必要が無いじゃろう」
「ちょっとイジワルな言い方をしちゃったかも、ごめんなさいおじいさん。でも証言には一つだけ明確な穴があったの」
こちらを詰めるような言葉に謝罪を挟みつつ、私は言葉を思い返してもらうために皆の前で繰り返した。
「あのね、おじいさんは私が聞いた時に『空が曇ったように思って空を見上げた』って言ってたよね?」
「ああ、そしたら大きな鳥ポケモンが…」
「そこ!…普通、大きな鳥ポケモンが空を飛んだなら、羽ばたく音が聞こえると思わない?」
私が声を上げた拍子に近くにいたヤヤコマが飛び上がると、小柄な体格に見合わない翼の力強い羽ばたき音が周囲に響き渡る。
「確かに言われて見れば…」
「おじいさんがウソを言う必要がなかった、それは本当の話だと思う。でも空を飛ぶ大きな影っていう情報から、おじいさんは太陽を遮ったものが鳥ポケモンだと勘違いしたんだよ」
「では、大きな影の正体とは…」
その時、私たちの上を大きな影が覆う。
その場に居た誰もが空を見上げ、その次の瞬間…大きな影は目の前に降り立つ。
「あなたはシローさん…だよね?」
「私が頼んだんだ、あのビルの上にジャンプで飛び上がって欲しいって。ちょうど昨晩バトルゾーンでしていたみたいにね、普通の人なら無理だけど…シローさんの身体能力なら軽々とビルに飛び乗れる!」
「え…じゃあおじいさんが見た大きな影って言うのは、シローさんの事なの!?そんなのアリ!!?」
「アリもナシも無いよ、これが真実だもん。そして最後のピースを持っているのは…ヌーヴォカフェの店員さん!」
「ア、アタシか?」
きょとんとして自分を指さす店員さんに、もう一度同じ質問をしてみる。
「ヌーヴォカフェの店員さんは暴れる野生ポケモンを見た覚えは?」
「いや、だからそれは無いって」
「じゃあ、昨晩バトルゾーンが無くなった後から今までに、メガシンカしたポケモンを見た覚えは?」
「ZAロワイヤルの後?…ZAロワイヤルの間なら幾らでも居たかもしれないけど、その後にポケモンをメガシンカさせてるヤツなんて……あ」
店員さんが思い出したようにこぼした言葉で、私は空に掲げた指をこの場に居るある人物へと向ける。
「つまり犯人は…貴方だ、シローさん!」
「ど、どういう事ですか!?」
「シローさんはZAロワイヤルが終わった後も気付かず、今朝もこのカフェを訪れるまでずっとポケモンバトルをしていた。だからこの周辺でメガシンカしたポケモンが暴れていると勘違いされたんだっ!!」
―――…なるほどねえ、それでシローさんはタイホされたんだ?」
「いやどうしてですか。犯人ではありましたけど、捕まる要素ゼロでしたよね」
その日の夜、ホテルZで事の顛末を聞いたデウロちゃんがそう纏めるとすかさずピュールくんのツッコミが入る。
ホテルZの一室が笑い声に包まれ、いつもより少しだけ賑やかな夕食時に私も笑顔を溢していると、今度はその隣に居たキョウヤくんから感心するような声が聞こえてきた。
「それにしてもそのシローさんの身体能力には驚きを隠せないね。まさか人間が鳥ポケモンと間違われるような動きができるなんて」
「それは正直に言うと私も同じ感想かな。シローさんとは前にも会った事があるけど、その時は私を抱えて飛び上がっていたから足場を使って屋上まで跳んでいたんだよね」
「オレもこの前3番ワイルドゾーン近くでシローさんとは会ったけど、その時に『ジャスティスの会上段者なら素手でポケモンとも戦える』って聞いた話も本当なのかもね」
会話がひと段落した所で、タウニーが全員に聞こえるような声量とはっきりした滑舌で喋りながら皆に視線を向けた。
「みんな!重要な発表があるの!」
「…どうしたんですかタウニー、いつにも増して気合いが入った様子で」
「気合いも入るよ!…明日から遂にMZ団は本格的な活動を開始するんだから!」
「活動?」
「そう!クエーサー社のマスカットさんっていう人からMZ団は正式に仕事を受けて、暴走するメガシンカポケモンに対処する…それがMZ団の活動なんだし!」
「実はオレとタウニーは今日、そのクエーサー社のマスカットさんとポケモンバトルをして暴走メガシンカの仕事をやれるかのテストを受けて来たんだよ。
それで晴れてテストは合格、ZAロワイヤルランクもFまで上がったんだ」
「二人ともすごい!Fって事はメガシンカ使いとして他のトレーナーと遜色ない実力って事だもんねえ」
「キョウヤやタウニーのバトルを見ていれば不思議ではありませんが、それでも実際にランクが上がると改めて感心しますね」
「そういえばルミヤはあたし達より先にマスカットさんとポケモンバトルで認めて貰ったんだよね?」
「え?…ああ…確かにバトルはしたね?」
「ルミヤさん、どうかしたんですか?」
「ううん、ちょっと寝そうになってたから驚いちゃっただけ。今朝はそれこそ昨日のZAロワイヤルからそのまま起きてたから…」
私はMZ団の皆が心配してくるのを気にする程じゃないと軽くいなしつつ、夕食を終えてからAZさんやその隣に居るフラエッテに挨拶をしてホテルZを後にする。
私は家に帰ってくると、モンスターボールからカラマネロを出して小さな声で話し掛けた。
「カラマネロ、体調に問題は無いか?…昨晩のロワイヤルから続けてシローさんと戦ったりもしたからな」
「ロネロ」
「大丈夫そうならば、悪いが
「ロッ」
「よし、では始めるとしよう。
カラマネロ、『ひっくりかえす』だ…―――
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