鬼滅の刃って好きな話ばっかりで困っちゃうぜ!
そういうのを自分采配で崩して再構成する楽しさが、虹…
2次小説の良いところだよね!
一つの任務が無事終わり、再び任務を言い渡され、現場は向かう道中。
炭十郎と小泉寸津浪は再び日課の手合わせをしていた。
線路沿いの河川敷。
朝霧が足元を流れ、独特な砂利匂いが肺に満ちる。
「――では、行きますよ。」
小泉が刀を構え、深く息を吸う。
「深呼吸・玖ノ型 突き!!」
相変わらず、技名は素朴だった。
だが突き抜ける一太刀は空間を切り開きながら迫ってくる圧を伴っている。
炭十郎はそれを真正面から受けず、右手の《ミズカミ》で流し、左手の《ヒノカミ》で間を制した。
キン――ヒュカッッ!
二振りの刃が描く円と直線が、寸分の狂いもなく噛み合った。
「……今の、繋ぎ」
小泉が目を細める。
「完全に合致しましたね。
間隙が見当たりません、隙がないと言う事です」
「えぇ…」
炭十郎は呼吸を整えながら、静かに答えた。
「ようやく……形になりました」
円舞の回転。
水の受けと、日の攻め。
それらを別々に扱うのではなく、一つの“流れ”として束ねる。
(この神楽は、ただの舞ではない…
代々受け継いだ誇りに新しい禊と枷を組み込んでいる。守るために――斬らねばならない…矛盾と向き合う“舞”だ)
「名は?」
小泉が、少し楽しそうに尋ねる。
炭十郎は一瞬だけ迷い、そして答えた。
「―そうですね…小泉殿から教えてもらった話を聞いて思いつきました。詳しくは言えませんが、私は自分の役割を遂げたい。
なので伊邪那岐(いざなぎ)神楽…と名付けます」
「なるほど、父の役割」
小泉は悲しそうに頷いた。
「はい」
小泉は炭十郎を監視するにあたって…
御館様より情報はある程度伝えられている。
それゆえに…小泉寸津浪は素直に喜ぶことができなかった。
数日後。
二人は鎹鴉の導きで、任務地へと到着していた
「――短期間で四十名以上の行方不明」
小泉が報告書を読み上げる。
「発生場所は、蒸気機関車の中。
通称……無限列車…縁がありますね」
炭十郎の足が、わずかに止まった。
「そう…ですね。まさか、今度は線路ではなく、列車そのものに関わるとは思いませんでした」
「ええ。
鬼の仕業であることは確実ですが……今回は厄介です」
「どういう?」
「すでに複数の実力ある鬼殺隊員が動いています。
それでも被害者が増え続けて止まらない」
小泉は紙を畳み、前を見据えた。
その先には
「うわははははは!なんだ、こいつ、山の主か!勝負しろ!」
「イィーヤァー!なんで、またお前と一緒なわけ!?
…違う違う!生き物じゃないよ、列車を知らないなんて、お前どんな田舎者なわけ、恥ずかしいからやめろー!?」
2人の視線の向こうには、顔見知りの実力者が慌ただしく列車の乗車の順番を待っていた。
小泉は「ここで合流する3人のうちの2人ですね、あと1人は柱だそうです」と、我妻善逸と嘴平伊之助の個性的なやり取りに「うむ!」と頷いている。
炭十郎は
(賑やかになりそうだ)
と静かに思うのだった。
………………数日前
とある闇しか存在しない空間。
床も、壁も、天井も定かでない。
ただ、湿り気を帯びた空気と、鉄錆のような血の匂いだけが満ちている。
そこに、5つの影が跪いていた。
下弦。
かつて十二鬼月の名を与えられた者たち。
しかし今、その呼び名はもはや形骸でしかない。
「……」
中央に立つ男――
鬼舞辻無惨は、ゆっくりと視線を巡らせた。
その瞳には、感情と呼べるものが一切宿っていない。
あるのは、選別者の目だけだった。
「随分と……数を減らしたな」
低く、冷たい声。
誰も答えない。
答えられる者はいない。
無惨は、鼻で笑った。
「柱に狩られ、名も知らぬ剣士に討たれ……
挙句の果てに、私の期待すら裏切る」
一体の鬼が、震える声で叫ぶ。
「そ、そんな……!我々は勝ち残っております。負けたのは他の下弦、我々は無惨様の期待に応えております!!
次も必ず――」
言葉は、最後まで続かなかった。
無惨が、ただ視線を向けただけで。
鬼の身体が、内側から弾け飛んだ。
血肉が霧となり、骨が砕け、悲鳴すら許されない。
その場にいた他の下弦たちは、一斉に身を強張らせる。
「だから私が間違っているとでも?私は決して間違わない、全ては貴様達のせいだ」
淡々と紡がれる理不尽
「な、なんで!?これじゃあ、俺達は何やっても結局…」
「そう…貴様達は何をやっても役立たずだ」
次の瞬間、無惨の指がわずかに動いた。
――それだけで、地獄が始まる。
「や、やめ――」
「何でもしま……!」
「ちが…」
「理不尽だ!」
命乞い。
忠誠。
恐怖。
最後の抵抗。
それらすべてが、無意味だった。
下弦たちは次々と崩れ、溶け、潰れ、消えていく。
血鬼術を使う間もない。
“格が違う”。
その事実だけが、空間に刻まれていった。
――そして。
最後に残ったのは、一体。
床に額を擦り付け、恍惚とした表情で伏している鬼。
「……あぁ……
ありがとうございます……無惨様……」
その声は、震えていなかった。
むしろ――悦びに満ちていた。
「この場に立たせていただけたこと……
選別の場に呼んでいただけたこと……
それだけで、私は満たされております……」
無惨が、初めて足を止めた。
「……名は?」
「魘夢(えんむ)でございます」
無惨の視線が、魘夢を貫く。
恐怖。
怯え。
保身。
それらが、一切ない。
あるのは、歪んだ陶酔と、己の価値を信じ切った目。
「……ほう」
無惨は、ゆっくりと微笑んだ。
「貴様、他の下弦が殺される様を見て……何を思った?」
魘夢は、即答した。
「――感謝を」
無惨の眉が、わずかに動く。
「自分が最後に選ばれたこと。他の鬼達が死ぬところを見せていただいた事、不要な者が排除されたこと。
そして……無惨様が、より高みへ進まれること」
魘夢は、心底嬉しそうに言った。
「私は、無惨様の夢の一部になりたいのです」
沈黙。
そして――
無惨は、はっきりと笑った。
「……見どころがある」
その言葉と同時に、無惨の爪が、自らの首筋を裂いた。
黒く濃密な血が、宙に浮かぶ。
「近う寄れ」
魘夢は、震えるほどの歓喜を滲ませながら前に進む。
無惨の血が、魘夢の口へ流れ込んだ。
「――っ、あぁぁぁ……!!」
身体が軋む。
骨が鳴る。
意識が溶ける。
だが、魘夢は笑っていた。
「堕摘(だつみ)の後釜だ」
無惨の声が、冷酷に告げる。
「上弦の拾壱。
その席を与えてやる」
魘夢の瞳が、狂喜に染まる。
「……あぁ!ありがとうございます……
必ずや……必ずや、その期待に……」
「期待はしない」
無惨は言い切った。
「結果だけを持ってこい」
そう告げると、無惨の姿は闇に溶けた。
残された魘夢は、床に額を擦り付けたまま、呟く。
「……夢を……見せて差し上げます……
最高の……甘美な……」
その声は、誰にも聞かれることなく、闇に消えた。
……そして現在………
蒸気の音が響くホーム。
黒鉄の車体が、ゆっくりと息を吐くように佇んでいる。
「列車は、普段は落ち着いて乗る物ですが…しかし」
炭十郎の隣で、小泉が腕を組み語る
「鬼が、こんなにも人が多い所で身を隠すとは…視界が狭く、気配を読むのが厄介です」
「だからこそ、神経を研ぎ澄ましておかねば」
炭十郎は静かに返す。
その言葉に小泉は頷く
「乗客が犠牲になってはいけない、それは人が死ぬと言うことだ」
「えぇ、絶対に…阻止しましょう」
「おいサンズロー!テメェまた同じこと言ってんなぁ!!がはははは!」
聞き覚えのある野太い声
嘴平伊之助。
我妻善逸はすでに泣いていた。
「なんで列車なんだよぉ!
俺こういう閉じた空間ほんと無理なんだけど!?」
「列車だろうが山の主だろうが鬼だろうが関係ねぇ!
俺が1番強い、強くなる!そのために斬るだけだ!」
「話が通じなあぁぁ〜い!!伊之助は黙っててよ!!」
小泉はその光景を見て、ため息をついた。
「はっはっは!賑やかですね」
炭十郎は小さく笑う。
「えぇ、たまになら…悪くないですね」
短いやり取りの後、四人は列車へと乗り込んだ。
車内に足を踏み入れた瞬間、異様な熱量が空気を震わせる。
「うまい!」
力強い声。
「うまい!!」
弁当を手に、満面の笑みを浮かべている男――
「うまい!!!」
煉獄杏寿郎。
「君たちも鬼殺隊だな、話は聞いているぞ!!
うまい!!!!
俺は炎柱の煉獄杏寿郎だ!」
初対面の柱
その存在は今までの、どの柱よりも熱い漢だと感じさせるには十分な気合いだった。
「よろしく、お願い致します」
「うむ!」
挨拶もそこそこに、車掌が現れ、全員の切符を切る。
――その直後。
「鬼だ!!」
「ひぃ!?」
「何だあれ!?」
車内に現れた、異形の2つの影
反射的に、炭十郎と煉獄が同時に動く。
並走する2つの一閃。
幻のように現れ、幻のように消える鬼。
「む?…私についてくるか」
「…手応えが軽い?…今のは、いったい」
それぞれに疑問が浮かぶ間もなく、視界が揺れ…
……プツン……
意識が途切れた
――
深く…深く夢へと沈んでいく。
誰も、それが血鬼術だとはわからない
――小泉寸津浪
最初に感じたのは、違和感だった。
空気が、澄みすぎている。
人の声が多いのに、ざわめきがない。
「……学校?いかんな、授業中に眠っていたのか」
小泉は、自分が学生服を着ていることに気づいた。
袖口は汚れていない。
新品みたいに、きれいだ。
周囲には、同年代の子ども達。
笑い声。
無邪気な会話。
そのどれもが、遠い。
「おはようございます、小泉様」
唐突に、そう声をかけられた。
振り向くと、頭を下げる教師
「……やめて下さい、私は生徒で…あなたは教師です」
「いえ、校長や父上から“失礼のないように”と」
胸の奥が軋む
「父上」
政府。
国会。
法案。
派閥。
それらを動かす男の、次男。
――それが、自分だ。
「……夢だな」
そう思った瞬間、景色が切り替わった。
教室。
窓際の席。
外は晴れている。
担任が、黒板の前で言った。
「では、転校生を紹介します」
一人の少年が立つ。
こちらを見て、少し緊張したように笑った。
拍手。
担任が続ける。
「それと……皆に言っておきますが」
視線が、小泉に集まる。
「彼は小泉議員のご子息です。
失礼のないように」
その瞬間、空気が変わった。
――線が引かれた。
昼休み。
「ねえねえ」
女子生徒が、笑顔で近づいてくる。
「君さ、小泉って政治家の子供なんでしょ?」
「ああ……」
「お母さんがさ〜」
一瞬、言葉を切り、
「“仲良くしとけ”って言うから、友達になってあげてもいいよ?」
世界が、静止した。
「……は?」
小泉は、聞き返した。
「だから。
パパが言ってたよ?
将来、役に立つかもって」
周囲の子ども達が、頷く。
「うちも同じこと言われた」
「偉い人の子だもんね」
「コネって大事じゃん?」
「折角、同じ教室になったんだから良いじゃん」
笑っている。
全員、笑っている。
「……はは」
乾いた笑いが、喉から漏れた。
「そうか」
胸が、冷たくなる。
これはある種のトラウマだ…
この時は“私”は何と答えたのだったか…いや、なぞるつもりはなかった。
「お前らは、さ…」
小泉は、机に手をついて立った
「“私”が、ただの子供でガキだったら」
声が震えないように、意識する。
「“俺”に話しかけたのか?」
沈黙。
誰も、答えない。
目を逸らす。
気まずそうに笑う。
時計を見る。
――答えは、もう出ている。
場面が、また変わる。
豪奢な屋敷。
広い食卓。
父が、新聞を畳んで言う。
「学校はどうだ」
「……普通で、変わり映えがなく、いつも通りで、特別な事はありません」
「…子供じみた言葉遊びはやめる事だな、お前は賢い」
それだけ。
母は、食器を整えながら微笑む。
「お友達は?」
小泉は、一瞬、考えた。
「……いるよ」
嘘だった。
「そう。
なら良かったわ」
誰も、深く聞かない。
聞く必要がないから。
――“孤独”は、問題にならない。
夜。
部屋で、一人。
剣道の竹刀が、壁に立てかけてある。
「……許せないのは…“私”自身だ。…“俺”をみて欲しくて…無理矢理、個性を持った…それでもダメだった…人の役に立っていると実感できる何かがしたかった」
呟いた。
誰とも繋がらない世界で、
唯一、対等に向き合えたもの。
勝ち負けが、嘘をつかないもの。
その時。
背後から、声。
「惨めだね」
振り向くと、誰かがいる。
顔は、ぼやけている。
「友達が欲しかった?」
甘い声。
「それとも、
“自分を見てくれる誰か”?」
胸が、締め付けられる。
「……黙れ」
「だから」
影は、続ける。
「鬼殺隊に入ったんだよね、これほど人の役に立つ事もないよね。頭を使うより体を使って実感したかった、傷付きながら人を守れる人になりたくて…」
言葉が、突き刺さる。
「炭十郎が羨ましい?」
――ピクッと、反応する。
「家族が鬼にされた…妻が子供に喰われた、悲惨だよね…まるで大好きな悲劇の主人公だ…世界が彼を中心に回っているようだよね……そんな大きな“役割”が自分も欲しかった」
「違う」
即答だった。
「……あいつは」
言いかけて、止まる。
証明できない。
影が、笑った。
「ほら」
「お前は結局…親が偉いから選ばれるだけの人間だ。
最悪な経験をした人間を“羨ましい”って思ってしまうクズだ
大した苦労もせず親の力で生きてきたヤツが考えて良い事じゃない」
「やめろ」
「だから――」
世界が、白くなる。
「お前の存在が許されるのは、ココだけだ…俺はお前を拒否も否定もしない、ずっとここで自分らしく生きれば良い」
「さぁ…」
心が、揺れた。
ほんの一瞬。
だが。
小泉は、思い出した。
炭十郎が言った言葉。
――「お前がいてくれて良かった」
役割でも、血筋でもない。
あの声は、嘘じゃなかった。
「……ふざけるな」
小泉は、拳を握った。
「俺は…正しく成長したいのだ。そのために考える。鬼殺隊は本当に鬼が許せないから入ったのだ。親にも相談などしていない。自分の生きる道はここだと思ったからだ。多くの人に幸せになって欲しい…死んで欲しくない。その考えで選んだのだ」
影が揺れ語る
「浅いんだよ」
それでも…
「自分で考えた事なのだ」
と、影を見る。
深呼吸… 伍ノ型 左・逆袈裟斬り
ズバン!!!!
影を切り裂く
世界が、崩れ落ちる。
⸻
竈門炭十郎は、鼻先に漂う匂いで目を覚ました。
薪の香り。
炊き立ての米。
湯気と一緒に立ち上る、懐かしい家の匂い。
「……あ」
声が、柔らかく喉を通る。
囲炉裏の前。
木の床。
揺れる灯り。
そこに――いた。
「おとうさん、もうすぐご飯だよ」
禰豆子が、葵枝と一緒に料理をしながら言う。
茂が笑いながら薪を足し、
母は鍋をかき混ぜている。
花子は、膝の上で眠そうに目をこすり、
炭治郎が外から戻ってきたところだった。
「ただいま!」
その声に、胸がぎゅっと締めつけられる。
――生きている。
全員が、何事もなかったように。
「……(何事もなかった?)」
炭十郎は、違和感はあるが思い出すことができず何も言えずに座っていた。
「あなた?どうしたの?」
葵枝が、心配そうに覗き込む。
「いや、すまない。なんでも無い」
「疲れてるんでしょう。無理しないで」
その手が、炭十郎の肩に触れる。
あまりにも、温かい。
「……ああ」
短く答えた。
胸の奥で、何かが溶けていく。
だが、
(いや、何でも良いか)
そう思ってしまった。
鍋が煮える音。
子ども達の笑い声。
誰かが、失敗して皆で笑う。
炭十郎は、その輪の中にいた。
彼はただの父であり、家族だった。
時間が、流れる。
夜。
布団に入る。
花子が隣で寝息を立てている。
禰豆子が、無意識に袖を掴んでいる。
炭十郎は、天井を見つめた。
(……幸せだ)
心から、そう思った。
その瞬間。
――小さな違和感。
外が、静かすぎる。
風の音がない。
虫の声がない。
「……?」
炭十郎は、そっと起き上がった。
障子を開ける。
月明かり。
森が見える。
だが――
血の匂いが、しない。
獣の気配も、ない。
(おかしい)
胸が、ざわつく。
囲炉裏の前に戻ると、母がまだ起きていた。
「どうしたの?」
「…… 葵枝」
炭十郎は、ゆっくりと言った。
「今日は……何日だ?」
母は、少し考えて答える。
「春の……」
その言葉が、途中で止まる。
表情が、曖昧になる。
「……何日、だったかしら」
――完全に思い出す。
(これは夢だ…鬼がいなければ続いていた未来、なんと暖かいことか…ずっと…ここにいたい…だが…それは許されない)
炭十郎は、静かに目を閉じた。
「……そうか」
この温もりは、
自分が望んでしまったものだ。
知っている。
本当は、もう戻らない時間だと。
それでも、
「失いたくない」と思ってしまった。
「……情けないな」
声が、震えた。
鬼殺隊として。
剣を振るう者として。
多くの死を見てきた者として。
この夢に、甘えている。
背後から、花子の声。
「おとうさん?」
振り返れなかった。
振り返れば、もう一度、抱きしめてしまう。
「……ごめんな」
それだけ、言った。
炭十郎は、刀を取った。
いつの間にか、腰に刺していた。
家ではあり得ないはずの2刀。
柄を握る。
冷たい。
現実と同じ重さ。
「うぅん、許さないよ。だって私を殺したんだから」
ハッとして花子をみる
それは堕摘(だつみ)となった時の花子だった
「私がこんなになったのはお父さんのせいなのに」
葵枝が捲し立てる
「私が死んだのもあなたのせいなのに」
炭治郎が泣きながら訴える
「俺が鬼になったのも父さんのせいなのに」
禰豆子が可愛い顔を歪めながら叫ぶ
「私が鬼になったのも、お父さんのせいなのに!」
竹雄も茂も六太も炭十郎を理不尽に立て続けに責め立てる
「どうせ自分だけが生きていれば良いんだろ」
「きっと他に女でも作るんだ」
「僕たちなんて、どうでも良いんだね」
戯言に向き合うつもりはない、しかし…聞こえているのは事実。
「俺の大切な家族を侮辱したな…許すものか……」
ギリィ!!!!
静かな佇まいだが炭十郎は今まで感じたことのないほどの強い怒りが腹の底から湧き出てくるのを自覚する。
「伊邪那岐(いざなぎ)神楽 壱ノ手 禊(みそぎ)」
ザン!!!!
家族では無いナニカの影を切り裂く
「もう一度…姿を見れただけでも幸せだった…」
言葉の裏には役目を果たすことの意義を
もう一度確認したことが含まれていた。
―世界が、暗転する。
炭十郎は、息を吸い込んで目を開けた。
目を開けるとそこは、赤い月の荒野だった。
「なに?」
周りを見渡すと皆がいた。
我妻善逸、嘴平伊之助、小泉寸津浪
そして
煉獄杏寿郎
全員がほぼ同時に目を覚ます
「夢から覚めたと思ったら…また夢か」
炭十郎の呟きにそれぞれが口火を切った。
「うむ!性根が腐ったような奴が描いた物語を夢で見た!おそらくここもだろう」
「早く覚めなければ、な」
「いぃーーやあぁーー!!女の子とイチャイチャしてたと思ったら漢だった!!最悪な夢だった!!絶対に許さねー…鬼だろうと何だろうとぶっ殺してやる!!」
「ふんすーーー!!!クソみたいな夢だったぜ!まさか俺様が世界で1番弱いミジンコになっちまうなんて!!ぶっ殺す!!」
「…ようこそ、夢月の世界へ…ここは心が強いやつが来れる第二の夢。当然…僕は本体じゃ無いんだけど…ここでの死は現実の死に繋がるって事は伝えておくよ、ねぇ?はやくオネンネしなよ?ねんねんころり…ねんころり…」
現れたのは、その瞳に『上弦 拾壱』と描かれた鬼… 魘夢
「出る方法はたった一つ…お前達が殺し合って生き残った1人だけを出してあげるよ…あぁそうだ、心も身体も弱い雑魚を混ぜればやる気が出るかな?」
そう言って
「嫌だ!死にたくない!お前が死ね!」
「何でこんな目に!…絶対に生き残ってやる!」
「夢の続きをみせてくれ…そのためなら何だってやってやる!」
「嫌な現実より夢に浸りたい…コイツら殺せば良いんでしょ?」
さらに現れたのはまだ幼さの残る4人の少年少女達だった。
その手には鉄砲を持ち、鬼殺隊にも…それぞれにも銃口を向けて今にも殺し合いを始めようとしていた。
最後に出てきた男女4人は夢の中で核を壊そうとした少年少女達です