メタリックガーディアンで使用するPCの心情を綴ったものその第2編。
先に『鷹よ、焔を纏いて天(そら)へ羽撃け』読了を推奨。

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第1話

 「…はてさて…如何様にすべきか…完全に失念していた…」

自分は、途方にくれていた。配属に不満は一切ない。寧ろ、隊の理念や秘めたる「願い」を叶える為には、これ以上ない素晴らしいものである。よって、粉骨砕身の意をもって励む事を誓おう。

しかし…部隊構成の一つに、「護衛部隊のガーディアン1機に、歌姫1人を同乗させる」というものがあった。情緒的に不安がある、ということではない。全身全霊で歌姫を守ってみせよう。

問題は…受領したパラディオン級ガーディアン「裂影輝翔」の機体性能に集約されているからだ。

 

 そもそもパラディオン級ガーディアンの特徴を述べると、「そもそもの由来がこの世界のものではない」という事だ。聞いた話によると、

·現状はフォーチュンと協力関係を築いている秘密めいた情報が多くある組織テラネシアによって、この世界とは異なる"ドラゴーディアという異世界"が観測された。

·その世界でも、奈落による災禍が起き、それを止める為に"龍"と呼ばれる存在が舞い降りた。

·その"龍"がALTIMAと一体化し、魔術によって魂そのものや分霊を宿した兵器であり、自己の意識を持っていること

である。しかも本来の力の大半は封印されており、解放する為には"乗り手との絆"を深めることによって"龍の身に眠る歌"を聴いた上で奏でなればいけない、とのことである。

…正直な話、空想の存在であるはずの異世界や龍などが実際にあるということには不思議に、いやほんの少しであるが恐怖すら抱いている。だが自分は『歌』という存在によって、この世界と向き合う事が出来たのである。『歌』によって、人々を救う為には先ずは己の手に届く存在との"協奏"が出来なければ、幾ら理想を掲げようと夢物語の一端として終わってしまう。だからこそ、この"龍"との交流を…この機体に乗る事を決心した。

 

 

 だが、受領した直後の試乗した結果、「何なんなのだ、この凶暴性は…まさしく"魔竜"としか形容できぬ気性の荒さだ…」という感想しか抱けなかった。

そもそもこの機体は「現状では本来の秘めた力のほとんどが封じられているにも関わらず、解析を試みようとすると向こう側からの妨害が激しい上に、度々自律起動を起こしかけ、その凶暴性からマガツカミ級と同等の扱いとなり、最先端研究施設で厳重に保管されていた」という代物である。

よって、操縦部に座った瞬間に突如として体を激しく揺らし始め

、地面へ振り落とさんかのように動き出したのである。まるで"この程度の抵抗に負けるようでは、己を駆る資格はない"と言わんばかりの試練を課された心境であった。同時に「自分が炎に焼かれ、全身を噛み砕かれるような感覚」を得たのである。

しかし、大願を叶える為にはこの機体の性能を最大限に発揮してみせなければならない。そして幾度となく搭乗を試みた結果、二回程不思議な感覚に陥ったのである。

最初は、"搭乗しても、体を揺らさなくなった時"である。その際には、

「音も光も全てが存在しない場所に自分のみが佇んでおり、目線の向こうには"何か"が自分を見つめているという視線だけを感じ、眼が見えていないにも関わらず激しい憎悪と悲しみの感情を抱いている事が理解できた」事である。立ち会った人々に聞いても、口を揃えて「自分はずっと操縦席にいることを確認していた」と言ったのである。それ以降は龍形態のままであるが、操縦が可能となったため、戦闘用の演習などが行えるようになった。

もう一つは、つい最近の事であるがこの機体の可変機能…即ち"龍騎士"形態への変化が可能となった時である。その際は

「何もない空間の中でただひたすらに"何か"が飛び続けてており、その飛び方は何かを探しているように見えた事、そして一瞬であるが微かに"声"のようなものが聞こえた」事である。これに関しても、周囲からは「ごく普通の演習を行っていた最中であるが、突如として動きが止まった後に変形を開始した」との事である。

…スターゲイザーの中には"戦場などで、通信機能がないにも関わらずに他者の声が聞こえてくる"という者がいる。そして、強化人間は"スターゲイザーの性質や能力を人為的に獲得した存在"である。あくまで仮定であるが、強化人間と「なってしまった」自分もそれに酷似した現象を体験したのであろう。

今はそういったような感覚を得る事は無くある程度はこちらの意志で操縦が可能となっている。その為、自分は裂影輝翔に対しては「完全に心を許した訳ではないが、現状の乗り手としては一応認められた」と感じている。しかし、自分の胸中を完全に叶える為に、この部隊で一層の研鑽を積んで真なる友好関係を築かなければいけないのであろう。その為の修練は絶やすことなく続けて行く所存である。

 

 だが、今再び問題が生じた。それは冒頭に述べた「護衛部隊のガーディアン1機に、歌姫1人を同乗させる」ということである。

「…強化人間である自分ですら手を焼いているこの機体…というより『魔竜』に、歌姫を?

これでは希望をもたらす翼どころか、冥府への片道を示す死の羽根だ。そのようなことがあれば、腹を切って無限地獄に自ら飛び込もうとも、相殺できぬ大罪と断言しよう。」

「……歌姫を選出する審査はまだ先か…ならば…この期間にさらに収集を行なわければ。そして…『スフィア』の社長、『アステリズム』の隊長、そしてフォーチュンの技術者達に懇願せねばならない。」

「自分の機体と同乗する歌姫専用の特別製装備を…『天女を護る為の装い』を用意してほしい、と。その為の『糸』は多ければ多いほど良いであろう。」

そう考えた自分は韋駄天の如く、「裂影輝翔」の元へ駆け出した。

 

―まだ見ぬ歌姫を守るための、自身が灰になろうと厭わない燃え盛る焔が移らぬようにする為の『羽衣』を織るために。

 

 


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