ぼっちアートオンライン(再)   作:凪沙双海

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ちょこちょこ更新でございます。
感想でも頂いたのですが、戦闘描写が私の課題だなと自分でも思っております。
自分なりに勉強してみてるので、ちょこちょこ書き方が変わったりするかもですが、その中で何かしら掴めたらと思います。
では、始まり始まり。


Episode2,part7

「=======!!」

 

 

大きな声と共に刀を振り上げ、先に前へ飛び出した俺へと風を斬る音と共に勢いよく振り下ろされる。

……その前の、振り上げた段階で後ろまで走ってるんだけどな。

 

 

「当たるかよ、そんなもん」

 

 

刀身が光り、俺は構えから斬撃へと手を振った。何回も何回も振りすぎて、アシストが働いてるかもわからない。ほれほどまでに手に馴染んだソードスキル。

得意の一太刀をその背中へと浴びせる。

 

 

「──おいおい、余所見してていいのかよ」

 

 

先程の決闘のようなやり取りから継続して俺にヘイトは向いているらしい。

のそりと鎧を鳴らしてこちらへ向き直るボスに、後ろから黒の剣士が迫っていく。

 

 

「おおおおおおっ!」

 

 

ザザザ……と刹那に三撃。そのまま振りかぶり袈裟斬りの四撃目。

隙をついて放たれたキリトのソードスキルは、その剣閃、威力、技量のどれもが最上級のものだ。

俺とキリトに挟まれ、ボスは攻撃された方に向き直っては後ろからから攻撃されてを繰り返す。

 

 

「……はっ、所詮はゲームだ。お前は偽物だ」

 

 

生きている……そして死んでしまう俺達とは違う。

俺達は組み込まれたパターンもなければ、同じ台詞を繰り返すこともない。

この俺ですら、ゲームクリアの仲間に組み込まれてしまう。それほどまでにこのゲームの死と──そして生は、紛れもなく本物だ。だから、ハチマン()はこうして存在する。他ならぬ比企谷八幡に戻る為に。

 

 

「キリト」

 

 

「おう」

 

 

「ちょっと……速くする」

 

 

「──ははっ、望むところだっ!」

 

 

──トン……トン……と軽く跳び跳ねる。ちょっとずつ、跳ねる高さを低くして、ちょっとずつ、跳ねる感覚を狭めて。

合わせるように、キリトも構えを変える。低く低く、いつでも標的目掛けて飛び出せるように。それは今にも矢を射る弓のようだった。

トントントン──ほとんどの跳ねていない、最低空のジャンプ。右足だけで跳ねて、左足は着地と同時にトン。と爪先のみを地面に意識的に当てるようにする。

 

 

「──行くぞ」

 

 

「おお! ハチマン!」

 

 

何回目かの着地。右足に遅れて接地した左足の爪先で、俺は思い切り地面を蹴り出した。

これが俺の出せる最高速。俺が俺に望むように強化した、俺だけの戦い方。

一定の信頼を認めざるを得ない、そんなやつと今組んでるからこそ、俺は躊躇わずに走る。

合わせて飛び出したキリトよりもいくらか速くボスへと袈裟斬りを放つ。ここからはスイッチも全て高速だ。

……ああくそ、これがただのゲームだったら良かったのに。

一瞬でもそんな思いが頭に過ったのを、俺はソードスキルでボスごとまとめて斬りつけた。

 

 

──side other──

 

 

「あれが、ハチマンくんの……キリトくんの本気」

 

 

目の前で行われる高速の攻撃に、アスナはぽつりと呟いた。

彼女の知る彼らはもちろん強い。個人の技量で言えば攻略組で間違いなく頭を張れるものである。だとしても──

 

 

「うおおおおおおおおおっ!」

 

 

恐怖などないとでも言うように、黒の剣士はボスの太刀を捌き続ける。そして、先程よりも素早く鋭く、一呼吸の間に自身の連撃を叩き込む。

その剣閃はもはや暴風のようで、雄叫びと共に何度も撃ち込まれていく。

 

 

「ハチマン!」

 

 

「わーってるよ」

 

 

暴風の止む瞬間──ソードスキルの硬直に合わせ横から後ろから斬撃が放たれる。

そして、右から放たれたなら左に、後ろから放たれたなら正面に、その斬撃の主は現れる。そしてまた影を纏って、再び斬撃が繰り返される。

 

 

「ったく、なんだありゃ……」

 

 

クラインの呟きはもっともだ。もはや最初のような模範的なパーティプレイではない。名前こそ呼んでいるが内容はただお互い得意で、かつ本気の攻撃を繰り返しているだけである。

 

 

「さすがに鎧が邪魔くさいな」

 

 

「でも、確実に削れてる」

 

 

「そりゃ、なっ」

 

 

すり抜け様にハチマンの斬撃がボスのうなじを捉える。そのまま着地したところで、ボスは大きく声をあげた。

 

 

「へへっ、今度は俺かっ!」

 

 

キリトとボスを中心にして円形の陣が広がり、外部と遮断する壁を作り上げる。

キリトのところへ戻ったハチマンが壁に背中を預けるようにして一息ついて、

 

 

「……キリト、お前ポーションは?」

 

 

「大丈夫、まだある。……だいぶ無くなったけど」

 

 

「俺ももう十個切ってる。……無くなる前には終わらせるから、適当にやっといてくれ」

 

 

「おう。とはいえ、別にアレ倒しちゃってもいいんだろ?」

 

 

「ばかか、それだとお前が死ぬぞ。洒落になってねぇ」

 

 

「お、やっぱりわかった? へへ、ハチマン絶対わかると思ってたよ。終わったらこういう話もしようぜ!」

 

 

「いいから、集中しろ。どんどん自分から旗を立ててくなっつの」

 

 

「わかってるって、任せろよ。だから任せたぜ?」

 

 

「……あいよ」

 

 

言い切る前に声が小さくなり、それは声の主が離れていくことを意味した。

背中に確かな安心感を覚えて、キリトは片手剣の切っ先をボスに向ける。

 

 

「さーて、やるぞ。ハチマンに任せて任されたんだ。思いっきりいくからな!」

 

 

ブン。と右手を振って風切り音を鳴らし、切っ先を下に向けるようにして左手を少し前に出す。そして身体は斜に構え、キリトはボスを見上げてニヤリと笑ったのだった。




本来ここでボス戦は終わる予定だったのですが、キリが良かったのと尺の都合でまだ終わらず。
ちょっと強すぎかなこの子らと思わないでもないですが、まだ序盤ですしこれくらい強くてもいいかなと。
戦闘描写、もっともっと勉強して満足いけるようになったらいいなと思います。
では、また次回で。

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