君と出会えた僕は、最高のトレーナーになりたい   作:ティファールは邪道

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一話 落ちてきた不思議な通訳者(インタプリター)

 

夏の日差しがアスファルトを揺らす、セミの声が降り注ぐ午後。ポケモン好きの少年、ソウヤは近所の草むらに座り込んで、膝を抱えていた。目の前には、相棒のコノハナ。その頭の葉っぱは心なしかソウヤと同じようにしょんぼりしているように見える。

ソウヤは、もう何日もこの状態だった。ポケモンが大好きで、もちろんトレーナーになるのが夢だ。学校でもポケモンについて学んでいるし、バトルをして、ポケモンと絆を深めて、いつかチャンピオンを目指すんだ。

そう考えて、頭の中では毎日何十ものバトルプランが生まれては消えていく……

 

「なぁ、コノハナ……」

 

だが、ソウヤは弱々しい声で語りかけた

 

「俺さ、みんなみたいに上手くバトルができない気がするんだ。もちろん、技とかも工夫したいし、たくさん新しい戦法を試してみたい。でもさ、もし俺の発想が突拍子もなくて、お前が嫌な思いをしたり、上手く出来なくて馬鹿にされたりしたらどうしようって…」

 

コノハナはソウヤの言葉を理解しているかのように、不安そうに鳴いた……。

ソウヤはポケモンの気持ちが手に取るようにわかる能力があるわけではない……。

ただ、彼自身の不安がそのままコノハナに伝わっているような気がした……。

 

「せめて、もし俺の言ってることとか、考えてることが分からなかったら、ちゃんと言葉で教えてくれる、通訳してくれるポケモンがいたらなぁ…」

 

ソウヤがそう呟いた、その時だった。

 

「アアアアァッ!?」

 

空から、聞きなれない悲鳴が響いた。反射的に顔を上げると、ソウヤの近くにある木の枝に引っかかりながら何かが勢いよくソウヤの足元に落ちてきた……。

 

それは、ぎたいポケモン、シャリタツだ……。

 

寿司のような見た目をしたポケモンで、こんななりだがドラゴンポケモンであるという、とても珍しいポケモン……

 

だが、他のシャリタツとは少し違って見えた……。

その姿は橙色で、俗にいうそったすがた、というものなのだが身体中はボロボロで、ところどころ鱗が剥がれている……。どうやら、どこかで怪我をしたらしい。

 

「へ、ちょっ!?大丈夫!?」

 

ソウヤは慌てて駆け寄った。シャリタツは苦しそうに息を吐いている。

 

「あらぁ……イタタタ……もう、やんなっちゃうわ」

 

ソウヤは耳を疑った。今、このシャリタツ、人の言葉を話した……?

 

「コノハナ! ポケモンフーズ!……じゃなかった!傷薬、 早く!」

 

ソウヤはパニックになりながらも、コノハナに指示を出し、それ聞いたコノハナはリュックから傷薬の入った応急処置セットとポケモンフーズを取り出した……。

 

「いや、フーズはいらないって!?」

 

-一度それは戻しなさい!?

 

二つを取り出したコノハナに突っ込みをいれながらフーズを取り出し、蓋を開けようとするソウヤ……。

 

「コノッ!?」

 

コノハナはそれを見て慌てて止めて、傷薬を渡す……。

 

あ、ごめん……(--;)

 

それに対して謝りながら受け取り、フーズの缶を渡すソウヤ……。

 

お互い慌てていたのか、少しパニック状態だったが、このやり取りのお陰なのか、一週廻って冷静になったのか……。

 

そこからは、ソウヤの指示通りテキパキと動き、ソウヤも途中取り出したスマホロトムに応急措置の仕方を調べてもらいながらシャリタツを治療していた……。

 

その様子をシャリタツは驚いたように見ていた。

 

「まぁ、ずいぶん手際がいいじゃない……。

それにしても……ナニヨ、その妙に複雑な感情は。ポケモンとは、ちゃんとコミュニケーション取れてるミタイじゃない、アナタ?」

 

シャリタツの言葉に、ソウヤは思わず固まった。

 

「あの……え? もしかして、本当に人の言葉、話してる……?」

 

-いや、確かにシャリタツは頭が良いって聞くけど……。

 

そんなことを思っていると、シャリタツは笑いながら手……というよりヒレを振る

 

「ナニ言ってるのよw

そりゃ、多少は訛りもあるでしょうけど、理解はできるハズよ。アタシ、旅の途中、ちょっとした手違いで空を飛んでいたんだけど、落とされちゃってねぇ……」

 

-あイタタッ

 

シャリタツは体を起こそうとして、身体に走った痛みに思わず顔を歪めた……

 

「まぁ、なにはともあれ、助けてくれてありがとねぇ」

 

そう言うと、シャリタツはソウヤの顔をじっと見つめた

 

「ねぇ、アナタの心の声、ヨォク聞こえてきたわよ。ポケモンと心を通わせるのが怖いんデスって?

だから、通訳が欲しいって?

まぁ、アタシも怪我を治すまで、当分マンゾクニ動けそうにないしぃッ?」

 

シャリタツはニヤリと、どこか不敵に笑った。

 

「ねぇ、お礼に良かったらアタシが通訳してあげようか? アナタとポケモンの間を取り持ってあげるわよ。アナタが心配する程の奇想天外なバトル、アタシがちゃんと伝えてあげるから、ご安心なさい」

 

ソウヤは、シャリタツの言葉に驚きで目を丸くした。

 

「……え、本当に?」

 

「ええ、本当よぉ。ただ、タダじゃないわよぉ。アタシが完全に回復するまで、アナタのパートナーとして、一緒にいてアゲル♡

条件は……ソウネェ。面白いバトル、たっくさん見せてちょうだい。アナタの発想、すっごく面白そうだもの!」

 

シャリタツはそう言って、ソウヤにウインクをした。

 

ソウヤは、ただ呆然と、目の前にいる不思議なシャリタツを見つめていた。まるで、自分の願いがそのまま形になったかのような、そんな存在。

 

「面白そうじゃない、アナタの冒険。アタシも混ぜてちょうだいな」

 

シャリタツの言葉が、ソウヤの心を、長らく抱えていた不安から解き放つように響いた。

 

「……うん、分かった!」

 

ソウヤの顔に、いつもの明るい笑顔が戻った。

 

「コノハナ! 新しい仲間ができたぞ!」

コノハナはソウヤの言葉に呼応するかのように、頭の葉っぱをいつもより力強く揺らした。

 

こうして、発想力豊かなトレーナー志望の少年と、人の言葉を話す不思議な通訳者(インタプリター)が出会った……

 

「あ、その前にポケモンセンター連れていくよ?俺がやったのは応急措置だし、ちゃんとしたところで診てもらわないと」

 

「……しまらないワネェ……」

 




登場人物説明

ソウヤ
主人公
ホウエン地方、カナズミシティ在住
ポケモンバトルをしたいトレーナー志望の普通の少年だが、ポケモンの事を考えないトレーナーのプレイングと、それに我慢できなくなって反逆を起こしたポケモン達の怒りや憎しみなどの籠った"眼"を見た影響で、ポケモンに指示を出す事に恐怖心を持つ事になってしまい、その発想力(アニメで言うと、サトシ以上の突飛且つ大胆)が持ち腐れとなっている……
シャリタツとの出会いでどんな成長をするか見物である

女子に間違えられる程の可愛い顔立ちをしており、髪を伸ばせば女の子にしか見えない
※イメージは魔法先生ネギまのネギ·スプリングフィールド

そのため学校の女子や一部の男子から狙われている……

逃げろ少年

因みに、やろうと思えばコーラを5リットル一気飲み+ケーキ1ホール完食できるほどの甘党兼ジュース好きである

シャリタツ(そったすがた):♂
オネェ言葉で人間の言葉を片言混じりで話すポケモン
何故か人の言葉を流暢に話す
元々はパルデアで暮らしていたらしいが、鳥ポケモンに襲われてそのまま空の旅に連れられ、暴れ続けた結果ソウヤの近くに落とされた……
暴れ続けていたお陰で食べられずにいたらしいが、その結果身体中に傷が出来てしまったのが悩み
他のシャリタツよりも知能が高く、相手の感情も感じ取れるらしくソウヤの悩みを知り、助けてくれたお礼として通訳係を兼ねて仲間入りした

コノハナ:♂
ソウヤの最初のポケモンで、タネボーの頃に家の庭に植えた木にぶら下がっていたところを当時のソウヤが見つけ、一緒に遊ぶ内にゲッドされた。
ソウヤの事は家族のように思っており、ソウヤの悩みをよく知っている。
ソウヤを(ある意味)狙っている女子や男子、一部の変態から守る為にこっそり行動しているからか腕っぷしはかなり強い(アニポケでいうシンオウ編のサトシのピカチュウ位)
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