君と出会えた僕は、最高のトレーナーになりたい   作:ティファールは邪道

4 / 6
四話:二匹の小さきモノと奇策(トリック)

コドラの叫び声が、怒りではなく極度の恐怖と怯えに満ちていることを知ったソウヤは、すぐに作戦を立てた。

 

「あのコドラは、自分を捨てた奴らと同じ人間に捕まることを恐れているんだ……。逃げ場のない場所に誘導し、コノハナの力で動けなくして、落ち着かせるしかない」

 

ソウヤは、臆病なメタモンの「風景に化ける」特殊能力を活かし、コドラを自分たちに有利な盆地の地形へと誘導する作戦を思いついた。

ソウヤとコノハナは、あらかじめ盆地の底に隠れ、やどりぎのタネを設置してコドラを待ち構えることにした。

 

「よし、シャリタツ、メタモン!君たちでコドラの前に出て、挑発してくれ!そして、俺の指示した場所まで逃げるんだ!」

 

「はぁ!? アタシが、あの巨大な鋼鉄の塊を挑発するですって!? 冗談じゃないわよ! 寿命が縮むわ!」

 

シャリタツが絶叫した。

しかし、ソウヤの眼差しは真剣だ。コノハナは信頼を込めて強く頷いた。

メタモンも、ソウヤの熱意に触発されたのか、プルプルと震えながらも意を決したようにうなずく。

 

「大丈夫! メタモンの能力で、誰にも追いつけないスピードで逃げられる!……多分」

 

「多分!?」

 

ソウヤの呟きに、シャリタツはそう叫ぶのであった……

 

数分後、ソウヤの指示の元シャリタツとメタモンは森の奥で吠え続けているコドラの前に躍り出ていた。

 

因みに、ソウヤとコノハナは別の場所に向かっている…

 

「あらあら、ずいぶん大きなポケモンじゃない。ソンナに怒って、ダレにも構ってもらえない寂しい子なのかしらねぇ!」

 

シャリタツが、あえて煽るようなオネェ言葉でコドラを挑発する。

 

「グオオオオオ!」

 

コドラは言葉の意味は理解できずとも、シャリタツの態度と、そこにいるちっぽけなポケモンたちに怒り狂い、突進を仕掛けた!

 

「ヒェェェッ!」

 

シャリタツの合図で、メタモンは体を瞬時にタイヤのような真円に変形させた。その中にシャリタツが乗り、「いっくわよぉ!」と叫ぶと、メタモンはタイヤとなって地面を転がり始めた!

 

ソウヤの指示通り、「○の形になれば、シャリタツを乗せて簡単に逃げることが出来るようになる」という奇抜な発想が見事に的中し、二匹はコドラとの距離をみるみる稼いでいく。

 

しかし、巨大なコドラのスピードも侮れない。

 

「ソロソロ次のポイントヨォッ!?」

 

そう言うシャリタツ……

しばらくすると、今度は木々が密集した地帯に着く

 

「メタモン!次は予定どおり鉤縄(かぎなわ)ヨォッ!鍵縄になる、もとの姿に戻る、を繰り返せば木々の間を自由に移動デキルワッ!!」

 

シャリタツの合図で、メタモンは一瞬で体を長く伸ばし鉤縄のような姿に変え、近くの木の枝に引っ掛けて一気に体を引っ張り上げるように戻る。

 

次の瞬間には元の形に戻り、再び鉤縄になって次の木へ。木々が密集する森の中を、二匹はまるでブランコを渡るように、コドラに一定の距離を保ちながら誘導していく。

 

数分後、二匹はソウヤが指示した崖のふちにたどり着いた。

 

「ひぃ、ひぃ……行き止まりだぁっ!?もうダメぇっ!!」

 

シャリタツは演技指導された通りの悲鳴を上げ、崖に背を向けて崩れ落ちた。

 

コドラは、目の前の獲物を逃すまいと、その巨体で最後の突進を仕掛け、シャリタツに向かって飛び込んできた!

その瞬間、崖の風景に化けたスクリーンのようなメタモンが、シャリタツを素早く自分の体内に取り込んで、崖のふちから滑り落ちるようにして逃げた。

 

「そう、メタモンの変身能力、その真骨頂は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相手の目を騙すことにある」

 

風景に化けたメタモンが隠していたのは、鋭い傾斜を持つ盆地の地形だった。コドラは勢いそのままに、メタモンが作った幻影に騙され、盆地の底へと真っ逆さまに落ちていった。

 

-ドゴオオオォン!!

 

盆地の中で待機していたのは、ソウヤとコノハナだった。

 

「二人とも、お疲れ様~っ!後は休んでて良いよ?」

 

「そ、ソウサセテモラウワ……」

 

「……」チーン

 

盆地の淵で、息も絶え絶えなシャリタツとメタモンに声をかけるソウヤ……

 

そんな中、落ちてきたコドラは、すぐに起き上がり、新しく現れた二人に威嚇しようとするが、突然の違和感に襲われた。

 

その体には、いつの間にか複数のやどりぎのタネがしっかりと付着していたのだ。

 

「罠にかけたようで悪いけど、倒させて貰うよ?」

 

ソウヤは、盆地の地形に落ちてきたコドラに、コノハナがあらかじめ設置しておいたやどりぎのタネが自動的に付着する仕組みを作動させていたのだ。

 

そう言いながら、ソウヤはコノハナと共に構える。

それを見たコドラは、怒りを持った目でソウヤたちに吠えるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。